「第23回東京フィルメックス」授賞式
●2022年11月5日有楽町朝日ホールにて
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●司会者:本日は、第23回東京フィルメックスにご来場いただきまして誠にありがとうございます。10月29日土曜日から数々の作品を紹介してまいりました東京フィルメックスですが、明日の最終日を前に、本日、授賞式を迎えました。この授賞式では、東京フィルメックスコンペティションで上映された9作品の中から、3名の学生が審査いたしました学生審査員賞の発表と、3名の国際審査員が厳正に審査した結果選ばれました最優秀作品賞と、審査員特別賞を発表させていただきます。また、ツァイ・ミンリャン監督特集の特集上映作品とクロージング作品を除いた全プログラムを対象に、ご来場の皆様から選ばれました観客賞の発表も併せて行います。

さて、授賞式を進めてまいりますが、東京フィルメックス各賞受賞者の発表の前に、タレンツ・トーキョー・アワード受賞者のご報告をさせていただきます。東京フィルメックス会期中の6日間実施しております映画分野の人材育成プロジェクト、タレンツ・トーキョー2022、東京都アートカウンシル東京、タレンツ・トーキョー実行委員会の共催、およびベルリン国際映画祭との提携、ゲーテ・インスティトゥート東京の協力によるこの事業は、10月31日の月曜日から11月5日土曜日の6日間に渡りまして、ゲーテ・インスティトゥート東京で実施して、アジアから15名の映画の次代を担う人材が参加しました。このタレンツ事業の修了生でもありますアンソニー・チェン監督をはじめとする講師による講義、同じく修了生の『プラン75』の早川千絵監督、水野詠子プロデューサーのゲスト講義も行われたほか、会期中にはドイツの大統領も授業を視察されました。

11月3日金曜日には、自身の企画を発表する公開プレゼンテーションが行われまして、講師陣が審査いたしましたので、結果をご報告させていただきます。そして、2つの企画にスペシャル・メンションが授与されることになりましたので、そちらも発表させていただきます。スペシャル・メンションは、マウン・サンさんの『Future Laobans』、そして、シャルロット・ホン・ビー・ハーさんの『TROPICAL RAIN, DEATH-SCENTED KISS』です。マウン・サンさん、シャルロット・ホン・ビー・ハーさん、お席にいらっしゃるということなんですが……おめでとうございます! さあ、それではタレンツ・トーキョー・アワードも発表していきましょう。タレンツ・トーキョー・アワードに選ばれましたのは、ソン・ヘソンさんの『Forte』です。ソン・ヘソンさんにご来場いただいておりますので、ステージにお呼びいたしましょう。ソン・ヘソンさん、どうぞ!


■ソン・ヘソンさん:タレンツ・トーキョーを企画いただいたことにお礼を申し上げます。そして、一緒に時間を過ごしたフェローたち、そして、素晴らしいエキスパートに触発されました。さまざまな学びがありました。そしてやはり、エキスパートの1人がこのプログラムの参加者、卒業生だということにも勇気づけられました。非常に興味深い学びの時間をいただきました。ありがとうございます。


●司会者:はい、ありがとうございました。では、ソン・ヘソンさんへ今一度大きな拍手を。それでは、東京フィルメックス各賞受賞者の発表にまいりましょう。まずは、観客賞の発表です。東京フィルメックス、プログラム・ディレクターの神谷直希より発表させていただきます。神谷ディレクター、ステージへお願いします。

■神谷直希氏:本日は、ご来場いただきましてどうもありがとうございます。まずは、この場を借りて、この映画祭を支えてくださっているすべての方々に感謝いたします。多くの方々のご助力やご協力をいただいた上でこの映画祭は成り立っています。また、こうして映画を観に来てくださっている観客の皆様や、クラウドファンディングでご支援いただいた方々にも、主催者としてあらためてお礼を申し上げます。本当にどうもありがとうございました。それでは、観客賞の発表に移らせていただきます。第23回東京フィルメックス観客賞は、工藤将亮監督の『遠いところ』です。

●司会者:おめでとうございます。ご来場いただいております工藤監督、ステージへお願いします。

■工藤監督:こんばんは。全然こんな賞を獲れると思っていなかったのでこんな格好で来ています。とてもすごく才能のある監督たちが集まるコンペティション部門でこの作品を選んでいただいて、また、そういう一般作品と競い合うことができてとても幸せです。そして、何よりも観客賞という、お客さんに届いたということが、何よりも僕にとっては嬉しい賞ですので、皆さんにお客さんに感謝したいと思います。この映画の何か見どころがあるとすれば、やはり俳優陣の演技だと思っています。その演技を、演じてくれた俳優陣に本当に心から、この作品の力を信じてくれた、この作品の内容を信じてくれた俳優陣に、心から感謝したいと思います。そして、沖縄の関係者の皆様、沖縄の協力してくださった皆様、すべての方にこの賞を捧げたいと思います。ありがとうございました。

●司会者:それでは、続きまして、学生審査員賞、審査員特別賞、最優秀作品賞の発表へと移るんですが、ここで審査対象となりました東京フィルメックスコンペティションの9作品を紹介させていただきます(スクリーン上で各作品の紹介)。以上の9作品です。それではまず、学生審査員賞の発表です。学生審査員の皆さんをステージへお呼びしましょう。はるおさきさん、山辺愛咲子さん、高野志歩さん、ステージへどうぞ! 山辺愛咲子さんと高野志歩さんですね。それでは、学生審査員のお二人、発表をお願いしたいと思いますので、まずは授賞理由を山辺愛咲子さんからお願いします。


■山辺愛咲子さん:この映画からは、彼らのアイデンティティを包み込むようなやさしさを感じました。ユーモアあふれる演出の中に漂う確かな絶望感、決して明るくない社会に生きる一人の人間と、映画の外までも続いていく世界の広がり、そしてその先の人生も描き出されていました。

●司会者:ありがとうございます。そして、受賞作の発表を高野志歩さんからお願いします。

■高野志歩さん:学生審査員賞は、『地中海熱』です。

●司会者:マハ・ハジ監督から受賞の喜びのコメントをいただきましたので、私の方から代読をさせていただきます。「『地中海熱』が学生審査員賞を受賞したことはとても嬉しく感激しましたし、大変感謝しています。このような素晴らしい特権を与えてくださった映画祭と審査員の方々に感謝いたします。今、東京で皆さんと一緒にいられたらよかったのにと本当に思います。そうすることができれば、さらに素晴らしく夢のような体験になったでしょう」ということでした。マハ・ハジ監督、学生審査員賞受賞、おめでとうございます。学生審査員の皆さんもありがとうございました。皆様、今一度、大きな拍手をお願いいたします。

ありがとうございました。緊張されましたよね、きっとね。さあ、続きまして、最優秀作品賞、審査員特別賞の発表となります。発表の前に、国際審査員の皆さんをお呼びしたいと思います。キキ・ファンさん、キム・ヒジョンさん、審査委員長のリティ・パンさんです。どうぞ!


国際審査員の皆さん、早速発表に移りたいと思います。まず今年はですね、スペシャル・メンションがありました。スペシャル・メンションの発表は、審査委員長のリティ・パンさんにお願いしたいと思います。スペシャル・メンションは『ダム』ですね。


■リティ・パン氏:授賞理由の前に、お礼を申し上げたいと思います。映画祭に関わってくださった皆様、そして観客の皆さん、2年間のコロナ禍を経て、またこのように集えたことをとても嬉しく思います。そして、ボランティア、参加してくださっている皆さんのおかげで、私たちはとてもいい一週間を過ごすことができました。そして、素晴らしいこのスクリーンと画像と音で鑑賞して審査ができたことをお礼を申し上げます。

そして、スペシャル・メンション、『ダム』アリ・チェリ監督、この作品の授賞理由に関しては、「リアリズムとイマジネーションを融合させた芸術的で詩的なこの作品は、腐敗やグローバル化の危険性に対する人間のどうしようもない闘いを隠喩的に表現している」です。


●司会者:はい、ありがとうございます。ということで、スペシャル・メンションはアリ・チェリ監督の『ダム』に決まりました。大きな拍手をお送りください。では、ここでアリ・チェリ監督からビデオ・メッセージも届いておりますのでご覧ください。はい、ありがとうございます。「こんばんは。皆さんと今晩一緒にいられなくてとても残念です。このスペシャル・メンションは、私にはとても重要です。特に、これが東京からのものだからです。審査員の皆様と東京フィルメックスの選考委員の方々、スタッフの皆様に感謝したいと思います。今週、映画祭へ観客の皆様と一緒に映画を観られて素晴らしかったです。私の思い、友人たち、スタッフのみんなはスーダンやベイルートにいるので、このスペシャル・メンションは彼らに捧げます。そして、この作品を作るために参加してくれた皆さんに捧げます。ありがとうございました」ということでした。アリ・チェリ監督に大きな拍手をお送りください。

それでは、ここで審査員特別賞の発表です。キム・ヒジョンさんからお願いしたいと思います。



■キム・ヒジョン氏:そうですね、本当にいいセレクションに恵まれたので、審査員特別賞を2作品に与えることに決めました。1作目は『ソウルに帰る』、ダヴィ・シュー監督の作品です。授賞理由としては、「私たちはどこから来てどこへいくのか、アイデンティティと出自を求めることで、疑問や可能性、新たな展望を切り開き、ほかにはない魅力的な文化と映画の旅へと導いている」以上です。 

●司会者:はい、ありがとうございます。それでは、ダヴィ・シュー監督からビデオ・メッセージが届いておりますので、皆さんご覧ください。

はい、ありがとうございます。代読させていただきます。「『ソウルに帰る』を監督しましたダヴィ・シューです。東京フィルメックスの審査員特別賞を受賞できてとてもありがたく、そして名誉に思っております。この映画が受賞するとは夢のようです。今は、映画祭での上映を、観客の皆様とご一緒できなかったことを残念に思っております。審査員の皆様、選んでいただき本当にありがとうございました。映画祭の皆様にもお礼を言いたいです。これを映画祭で上映するのは私の夢でした。できれば、日本で配給会社をみつけて、もっと多くの方々に観てもらえるようになればと願っております。この作品は、アイデンティティの問題と自分自身について扱っています。そして、さまざまな生い立ちの人々によって作られています。フランス、ベルギー、韓国、そしてカンボジアの技術者の皆さん、彼らと一緒になって映画を作ることができました。この賞を、私のチーム、スタッフ、そしてプロデューサーと分かち合いたいと思います。ありがとうございました。素敵な夜をお過ごしください」ということでした。ダヴィ・シュー監督に今一度、大きな拍手をお送りください。

続きまして、今年はもう1作品、審査員特別賞がございます。発表はキキ・ファンさんにお願いしたいと思います。


■キキ・ファン氏:皆様こんばんは。私は今回、この役目を果たすことができて光栄です。全作品を観て、そして、審査員で議論するというのは、本当に刺激的な体験でした。審査員特別賞、2作目は『Next Sohee(英題)』、そしてこちらの授賞理由ですが、「企業文化や資本主義が効率や経済的成果を追求する冷酷な世界では、人の命やその他の価値がどのように犠牲になっているかが考察されることで、人を搾取するメカニズムに光が当てられている」以上です。


●司会者:はい、ということで、チョン・ジュリ監督はご来場されておりますので、ステージにお呼びしたいと思います。

■チョン・ジュリ監督:シナリオを書いて撮影をして、そして編集している時には、ここ東京フィルメックスに来て皆様と会える日は想像もしておりませんでした。韓国社会に隠れる小さな話だと思ったからです。しかし、一昨日この場で上映されまして、観客の皆様が心から映画を観て共感していてくださる、その姿を見て私は感動しました。本当に久しぶりに作った映画なんですけれども、このような大きな賞で私を応援してくださいました審査員の皆様に、心より感謝申し上げたいと思います。この映画に着手した瞬間から、完成して今ここに至るこの瞬間まで、私の最も力強い同志であり最高の俳優であるぺ・ドゥナさん、そして、私と最初に会ったその瞬間から、ソヒそのものの姿で私の前に現れてくださいましたキム・シウンさん、このお二人にこの光栄を捧げたいと思います。実はですね、私は上映を終えたあと、昨日韓国に戻ったんですけれども、この知らせを聞きまして今日再びこちらに戻ってまいりました。私の映画の中で描かれている感じよりも、もっと現実に惨憺たる現実がありまして、私は映画祭の間、ずっと心を痛めておりました。今日、皆様がくださいましたこの格別な感激に勇気をもらい、そして、私たちを結びつけてくれたこの映画の力というものを信じ、私は韓国に戻りましたら、自分のいる場所で全力を尽くして映画を作っていきたいと思います。本当にありがとうございました。

●司会者:ありがとうございました。おめでとうございました。

■リティ・パン氏:次の作品の発表にこの名前を言わないといけませんね。「見事な演出による自信に満ちた映画スタイルで、モラルコントロールの巨大な網に対する個人の抵抗の探求は、次第に権力構造が不穏な邪悪さへと変化する様子を描いている。このテーマは緊急かつ普遍的である」、以上の理由で、グランプリ受賞者は、『自叙伝』のマクバル・ムバラク監督です。


●司会者:はい。ということで、最優秀作品賞は、マクバル・ムバラク監督の『自叙伝』ということで、ご来場されております監督をお呼びしたいと思います。マクバル・ムバラク監督、どうぞステージにお越しください。

■マクバル・ムバラク監督:この作品は、私の長編第一作です。そして、完成までに5年かかりました。この撮影をした村全体と世界中の友人の力を借りて撮影、映画を完成することができました。ですからこの映画はまさに友情の産物ですね。私に協力してサポートしてくださった皆さん、長い年月の間、ありがとうございました。まず、本当に映画祭にお礼を伝えたいと思います。そうですね、プログラミング・ディレクターはじめとして、映画祭の皆さん、そしてこの映画を信じてくださったこと、これからインドネシアでは公開となりますので、これによってさらに期待が高まるのではないかと思います。簡単なご紹介しやすい映画ではないかもしれません。けれども、このように受賞して、そしてプロデューサーのユィヤは今この会場にはいませんが、共にこの賞を分かち合いたいと思います。ありがとうございました。

●司会者:ありがとうございました。それでは、最後に審査委員長のリティ・パン監督より、講評をお願いしたいと思います。

■リティ・パン監督:本当に今回の選考された作品すべてにとても圧倒されたということを申し上げたいと思います。本当に映画的にも異なるさまざまなスタイルを持っているたくさんの作品を観ること、我々審査員は本当に嬉しく思いました。本当なら2作にしか授与しないそうですけれども、今回特別に4作に授与させていただきました。本当に素晴らしかったんです。アイスクリームを皆さん食べる時、1個目が美味しかったら、もう1個、もう1個ときますよね。だから、私たち、あんまり分別はなかったかもしれませんが、たくさんたくさん作品賞をばら撒いた感じです。そしてもちろん、もう一度あらためて、今回のこの東京フィルメックス映画祭にご協力いただいたすべての方々、スポンサーの方々に心よりお礼申し上げます。そしてもちろん、技術スタッフの方々にもお礼を申し上げます。そして、本当に温かく本当に細やかなお心遣いでもてなしてくださった若いボランティアのスタッフの皆さん、心からありがとうと申し上げます。

●司会者:ありがとうございました。受賞者の皆さん、あらためましておめでとうございました。そして、審査員の皆さんもありがとうございました。皆さん、盛大な拍手を!