『グリーンマイル』/"GREENMILE"




(c) CASTLE ROCK ENTERTAINMENT 1999


★全米放送映画批評家協会賞(B.F.C.A.Awards)受賞
最優秀脚色賞/フランク・ダラボン
最優秀助演男優賞/マイケル・クラーク・ダンカン

★本年度アカデミー賞4部門ノミネート
最優秀作品賞、最優秀助演男優賞
最優秀脚色賞、最優秀音響賞

グリーンマイル SPECIAL BOX [DVD]
2000年3月25日、日本劇場ほか全国東宝洋画系にて公開

1999年/アメリカ映画/カラー/ビスタサイズ/188分/ドルビーデジタルS.D.D.S DTS/サントラCDワーナーミュージック・ジャパン/原作:新潮文庫刊/ 提供:ギャガ・コミュニケーションンズ、フジテレビ、ポニーキャニオン、博報堂、ヒューマックスピクチャーズ/協賛:広美、デジタル・メディア・ラボ/ギャガ・ヒューマックス共同配給

◇音楽:トーマス・ニューマン ◇衣裳デザイン:キャリン・ワグナー ◇編集:リチャード・フランシス・ブルース ◇撮影監督:デヴィッド・タッターソル ◇原作:スティーヴン・キング ◇製作:デヴィッド・ヴァルデス、フランク・ダラボン ◇脚本・監督:フランク・ダラボン ◇キャスト:トム・ハンクス(ポール・エッジコム)、デヴィッド・モース(ブルータス“ブルータル”ハウエル)、ボニー・ハント(ジャン・エッジコム)、マイケル・クラーク・ダンカン(ジョン・コーフィ)、ジェームズ・クロムウェル(ハル・ムーアズ)、マイケル・ジェター(エデュアール“デル”ドラクロア)、グラハム・グリーン(アーレン・ビターバック)、ダグ・ハッチソン(パーシー・ウェットモア)、サム・ロックウェル(“ワイルド・ビル”ウォートン)、バリー・ペッパー(ディーン・スタントン)、ジェフリー・デマン(ハリー・ターウィルガー)、パトリシア・クラークソン(メリンダ・ムーアズ)、ハリー・ディーン・スタントン(トゥート=トゥート)



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【解説】

◆思いきり泣くことでしか、この物語には答えられない…
『ショーシャンクの空に』の原作・監督がふたたび贈る、至高の感動傑作



 処刑室へ送られる受刑者が、最後に歩む緑色のリノリウムの廊下、グリーンマイル。そこは、生と死の分かれ道だ。1935年のコールド・マウンテン刑務所。このマイルに、ひとりの受刑者が送られて来る。彼の名はジョン・コーフィ。世の中のあらゆる苦しみを自分のものとして、命の奇跡を生み出す男。不思議な癒しの力で、人生の光と陰を照らし出す彼の物語を見た人は、気づくだろう。人間には、誰にでも、それぞれの歩むべきグリーンマイルがあることを―。

『フィラデルフィア』『フォレスト・ガンプ/一期一会』で二度のアカデミー賞に輝くトム・ハンクスと、デビュー作『ショーシャンクの空に』で一躍名匠の仲間入りを果たしたフランク・ダラボン。ヒューマニズム溢れる寓話の語り手としてまさに、ベスト・カップリングのふたりが、スティーヴン・キングの最高傑作と謳われるベストセラーの映画化に挑んだ。

物語は、大恐慌時代、アメリカの南部の刑務所で、死刑囚舎房の看守主任を務めていた主人公ポールの回想形式で綴られていく。双子の少女を殺した罪で、ポールの元へ送られて来たジョン・コーフィ。いかつい外見とは裏腹に子供のように純粋な心を持つ彼は、持てる不思議な力でポールの病を治し、死の影が宿るグリーンマイルを奇跡の光で満たしていく。まるで神様の贈り物のようなこの男が、本当に罪を犯したのか? 疑問にかられるポールと、仲間の看守たち。やがて真実を知った彼らは、自分自身の果たすべき義務と、人間としてなすべき正しさのあいだで、激しい葛藤を強いられることになる。

果たして彼らはコーフィを救うことができるのか? コーフィの不思議な力に触れたポールの運命は? 見る者をハラハラさせずにおかないドラマは、善良な看守たちとコーフィのあいだに通い合う切ない情感を湛えながら、人に与え、与えられる救済のテーマを強く浮かび上がらせていく。その最後に待ち受けるのは、予測を遥かに超えた驚きの結末。コーフィとポールをつなぐ「グリーンマイル」の絆が、圧倒的に重みを伴って迫って来るラストには、誰もが胸しめつけられる感動を覚えずにはいられないだろう。


主人公ポールの役柄に誠実な持ち味を光らせるトム・ハンクスを筆頭に、「宝くじに当たり続けたように第一希望の役者が揃った」とダラボンが自負するキャストには、脇役の隅々にいたるまで最高のメンバーがそろった。無垢な魂を持つジョン・コーフィを渾身の力をこめて演じるのは、『アルマゲドン』の巨漢マイケル・クラーク・ダンカン。ポールの右腕のブルータルに扮し、男気たっぷりの名演を見せるのは、『交渉人』『ザ・ロック』のデヴィッド・モース。感受性が人一倍豊かな看守のディーンに扮するのは、『プライベート・ライアン』の狙撃兵役で強い印象を残したバリー・ペッパー。看守チームの良識を代弁するハリーを演じるのは、『Xファイル ザ・ムービー』『フェノミナン』のジェフリー・デマン。温情に厚い刑務所長のムーアズには、『ベイブ』『L.A.コンフィデンシャル』のジェームズ・クロムウェル。その妻メリンダには、『ハイ・アート』のパトリシア・クラークソン。さらに、『ベートーベン』『ジュマンジ』のボニー・ハントがポールの愛妻ジャンに扮し、ハンクスと息ぴったりの好演を見せる。

悪役のパーシーを演じるのは、「Xファイル」「サンフランシスコの空の下」といったTVのレギュラーで知られるダグ・ハッチソン。もうひとりの悪役ウォートンには、『キャメロット・ガーデンの少女』で注目を集めたサム・ロックウェル。ネズミのミスター・ジングルズと友情を通わせる受刑者のドラクロアには、ミュージカル『グランド・ホテル』でトニー賞に輝くマイケル・ジェター。また、『ダンス・ウィズ・ウルブズ』のグラハム・グリーンと、『パリ、テキサス』のハリー・ディーン・スタントンが、それぞれ受刑者のビターバックと模範囚の雑役係トゥート=トゥートに扮し、短い出番の中に味のある個性を光らせている。もうひとり、『フォレスト・ガンプ/一期一会』のダン中尉ことゲイリー・シニーズが、コーフィの官選弁護人役でカメオ出演しているのも見逃せない。

スタッフの顔ぶれも豪華だ。撮影は、『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』のデヴィッド・タッターソル。プロダクション・デザインは、『ドクトル・ジバゴ』『オリバー!』で二度のアカデミー賞に輝くテレンス・マーシュ。彼と同様、編集のリチャード・フランシス=ブルース(『エアフォース・ワン』『セブン』)、音楽のトーマス・ニューマン(『若草物語』『ジョー・ブラックをよろしく』)が、『ショーシャンクの空に』に引き続きダラボン組に加わっている。視覚効果を担当するのは、『ベイブ』『マウス・ハント』のチャールズ・ギブソン。彼が指揮にあたり、99%実物のネズミを使ったというミスター・ジングルズの名演技も、大きな話題を呼ぶことだろう。




【PRESS評】

「試写の間、私はこらえきれずに四回泣いてしまった。」
スティーブン・スピルバーグ(MOVIE LINE11月号)


★★★

本年度ベスト1!
DAVID Sheehan, CBS_TV


★★★

半年前この映画に対してオスカーの噂が立った。
…その噂は正しかった。トム・ハンクスはそれほど素晴らしい!
Joel Siegle,GOOD MORNING AMERICA


★★★

TWO THUMBS UP!
Roger Ebert&Lisa Schwarzvaum,ROGER EBERT&THE MOVIES


★★★

傑作!
Bob Polunsky,NORTH SAN ANTONIO TIMES


★★★

『グリーンマイル』はすべての点で期待を上回る。アカデミー作品賞を穫るべき作品
John Urancich,CLEBELAND SUN NEWSPAPERS


★★★

現代の映画には魂ではなく技術が期待されがちだが、この映画には真の魂がある
Joe Baltake,SACRAMENTO BEE
<

★★★

言うまでも無く、間違い無くハンクスがいい!
Janet Maslin,THE NEW TORK TIMES


★★★

頑固な批評家を、
一分笑わせたかと思うとその一分後には泣かせる…
そんな映画はそれほど多くはない。
この映画はハリウッド映画が良いものになり得るということを示している。
Jonathan Forman,NEW YORK POST


★★★

才能豊かなキャスト!S・キングの作品の映画化でもっとも魅力的な一本。
ハンクス、ダンカンが心を奪う!
Michaer Wilmington,CHICAGO TRIBUNE


★★★

オスカーを獲得すべき傑作!
ENTERTAINMENT WEEKLY



 




【プロダクションノート】

●キングとダラボン、運命の出会い

 フランク・ダラボン監督が、『グリーンマイル』の原作者スティーヴン・キングと初めて交流を持ったのは、約20年前。キングの「312号室の女」をもとに短編を作ろうと思い立った彼が、手紙でキングに許可を求めたことが始まりだった。その作品、『老母の部屋』を、「私の短編の映画化では最高の出来映え」とキングは絶賛。さらに『ショーシャンクの空に』の成功を通じて、ふたりの信頼関係はより確かなものになった。 ダラボンが『グリーンマイル』の原作について知ったのは、キングが執筆にとりかかる以前のことだったという。

「電話で、スティーヴンが新作のアイデアを話してくれたんだ。アウトラインを聞いただけで素晴らしい作品になると思い、さっそく映画化に名乗りをあげた。でも、全部の物語を読むには、みんなと同じように6ヶ月間待たなくてはならなかったよ」

原作の一巻目を読むやいなや、ダラボンは飛行機に飛び乗り、キングがTVミニシリーズの「シャイニング」を撮影しているコロラドまで駆けつけたという。

「『シャイニング』のジャック・トランスみたいに山道を運転して行った。そして、スティーヴンをみつけるなり、“ぜひ、映画化させてくれ”と頼んだんだ」

ちなみに、キングがダラボンに映画化権を譲渡したときのオプションは、1ドル。

「スティーヴンは、若いフォルムメーカーに対してとても寛大なポリシーを持っていて、学生が許可を求めてきた場合、彼自身が映画化権を持っていれば1ドルのオプションで譲る。僕の場合は、『老母の部屋』がそうだったので、そのよしみで『ショーシャンクの空に』も『グリーンマイル』も、オプションは1ドルだった。でも、ひとたび映画の製作がスタートしたら、もちろんその金額じゃすまないよ。なんたって、彼はスティーヴン・キングだからね(笑)」



●最高の脚本、最高のキャスティング

 トム・ハンクスとフランク・ダラボンは、『フォレスト・ガンプ/一期一会』と『ショーシャンクの空に』が共にアカデミー賞にノミネートされたときの昼食会の席で出会った。

「『ショーシャンクの空に』を初めて見たときは信じられない思いがした。デビュー作でありながら、奇跡的な出来映えだったからね。フランクの感性に惚れ込んだよ」とハンクスは言う。

その昼食会の席で、「一緒に仕事をしたいときは連絡をくれ」とハンクスに声をかけられたダラボンは、『グリーンマイル』の脚本を書き上げると、すぐにそれを実行に移した。 「脚本を執筆中、無意識のうちに役者を役に当てはめていることがあるけれど、今回がまさしくそのケースだったんだ」その思いは、原作者のスティーヴン・キングも同じだった。

「ポールの役に、トムほどぴったりの役者はいない。彼の名がフランクの口から飛び出したとき、“あまりにも出来すぎているから、実現できないんじゃないか”と思ったくらいだよ」

そして、脚本を一読したトムは「私がこれまで読んだものの中で最高」と評し、主人公のキャスティングは終了した。



●キングを驚かせた刑務所のセット

 『グリーンマイル』のプロダクション・デザインをつとめたのは、『ショーシャンクの空に』でもダラボンと組んだテレンス・マーシュ。「もし、この映画が賞の候補になるとしたら、それに値する仕事をした人間の筆頭がテレンスだ」とダラボンはコメントする。「この映画では、ネジから電気のコードにいたるまで、あらゆるセットがゼロから作りだされている。スティーヴン・キングが初めて独房のセットにやって来たとき、彼は“まるで自分の頭の中を探索されたみたいに、思い描いていたことがそっくりそのまま再現されている”と、驚いていたよ」

ロケーションの場面は、テネシー州の旧刑務所で撮影されたが、ダラボンとマーシュは、デザインの参考にしようと他の南部の刑務所にも足を運んだ。マーシュは言う。

「訪れた刑務所のほとんどは、天井が低くて狭い廊下の左右に独房が並んでいるだけの興味をそそられないものだったけどね。我々がEブロックのセットの中に盛り込みたかったのは、宇宙的な広がり、歴史、ミステリーの感覚だった。そこで、映画の超自然的な要素を醸し出すために、聖堂のような長い窓を作ったんだ」

刑務所以外では、テネシー州中部のシェルビービル、ルイスバーグ、ノレンスビル、ウィリアムポート、キャニー・フォーク・リバーなどが撮影に使われている。また、冒頭とラストを飾る老人ホームのシーンは、ノースカロライナ州のブローウィング・ロックで撮影された。



●『トップ・ハット』へ込められた想い

 スティーヴン・キングの原作が1932年を背景としているのに対し、映画版は1935年に時代がセットされている。これは、ポールを過去の記憶へ誘うきっかけに、『トップ・ハット』を使うべくしてなされた改変だ。

「どうしても『トップ・ハット』を使いたかった。なぜなら、それはアイコンとなりえる映画だったからだ」とダラボンは言う。「国中が大恐慌に苦しんでいた時代、ハリウッドはミュージカルに代表される現実離れした映画を作り、人々に夢を提供した。『トップ・ハット』は、そんな夢の象徴だった。スウィートでイノセントなこの映画から、イノセントなストーリーが展開されていく―それが、最もふさわしい導入の仕方に思えたんだ」 そんなダラボンの意向を受け、プロデューサーのデヴィッド・ヴァルデスはフレッド・アステアの未亡人と連絡をとり、『トップ・ハット』の使用許可を獲得。アステア&ロジャースが華麗なダンスを見せる「チーク・トゥ・チーク」のナンバーが、ドラマを効果的に彩ることになった。





●ネズミの演技は99%がホンモノ

 『グリーンマイル』の豪華なアンサンブル・キャストの一員として、素晴らしい演技を見せるネズミのミスター・ジングルズ。当初は出番の3割くらいがCGになる予定だったが、最終的には、99%のシーンが実物のネズミによって演じられたものになっている。 アニマル・トレーナーをつとめたのは、『マウス・ハント』のブーン・ナール。この作品で彼と組み、『ベイブ』でオスカーを受賞したチャールズ・ギブソンが、第二班監督としてミスター・ジングルズ登場場面の演出にあたった。ネズミの演技指導について、ダラボンはこう語る。

「ブーンもチャーリーも経験豊富で、ネズミがどんな考え方をするかがわかるから、こっちがやってほしい演技をちゃんとやらせることができるんだ。なにせ、チャーリーはブタをしゃべらせた男。彼に不可能はないよ」



 


【ストーリー】

 ※Green Mile:死刑囚棟の別名は“最後の通路(ラストマイル)”。コールドマウンテン刑務所E号棟の床は色褪せた緑色で、“グリーン・マイル”と呼ばれていた。



まるで雷に打たれたような衝撃だった。娯楽室のTVに映った『トップ・ハット』の名場面。アステア&ロジャースの優雅な舞いを目にしたとたん、私の心は、老人ホームの現実から離れ、一気に1935年のあの日へと引き戻された。60年間、胸に秘めてきたグリーンマイルでの出来事。それを、これから私は、友人のエレインに話して聞かせようと思う。

私の名はポール・エッジコム(トム・ハンクス)。大恐慌時代の1935年、私は、ジョージア州のコールド・マウンテン刑務所で看守主任を務めていた。受け持ちは、死刑囚舎房のEブロック。グリーンマイルを通って電気椅子に向かう受刑者たちを、できるだけ心安らかに死なせてやることが、我々Eブロックの看守の仕事だ。副主任のブルータル(デヴィッド・モース)や、ハリー(ジェフリー・デマン)、ディーン(バリー・ペッパー)たち常勤の看守は、皆ここでの仕事のやり方を心得ていた。しかし、州知事の義理の甥にあたる新人のパーシー(ダグ・ハッチソン)は、受刑者いじめに喜びを感じる卑劣な性格の持ち主だった。

そのパーシーの嘲りの言葉を浴びながら、ジョン・コーフィ(マイケル・クラーク・ダンカン)がEブロックへ送られてきたのは、私の尿路感染症が最悪の症状を呈し始めたころのことだ。コーフィは、身長2メートルを越す大男の黒人だった。しかし、態度は物静かで、子供のように暗闇を怖がり、その目には始終涙が溢れていた。私は彼の手を握り返したのだが、いま振り返ると、それはコーフィが不思議な力を発揮した最初の瞬間だったように思える。


当時、Eブロックは、コーフィ以外にふたりの死刑囚がいた。ひとりはネイティブ・アメリカンのビターバック(グラハム・グリーン)。もうひとりは、フランス系南部人のドラクロア(マイケル・ジェター)=通称デルだ。このデルの独房に、ネズミが訪れるようになったのは、ビターバックが処刑された直後のことだった。デルの腕と腕を器用に渡り歩き、糸巻きを前足でクルクル廻す芸達者なこのネズミはミスター・ジングルズと名づけられ、デルの無二の親友となった。

数日後、Eブロックに新たな受刑者が加わった。「ワイルド・ビル」の異名をとる凶悪犯のウォートン(サム・ロックウェル)だ。鎮静剤を打たれたフリをしてEブロックまで運ばれてきた彼は、室内に足を踏み入れるや凶暴な正体を現し、ディーンを瀕死の目に合わせた。駆けつけたブルータルのおかげで騒動はおさまったものの、その日、朝から尿路感染症の激痛にさいなまれていた私は、部下たちが解散したあとの廊下にへたりこんでしまった。そこに、コーフィの呼びかける声がした…。

 


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