『X-MEN:ファイナルディシジョン』/"X-MEN:THE LAST STAND"




2006年9月9日より日比谷スカラ座ほか全国にて公開

2006年度作品/シネマスコープ/ドルビーSR・SRD, DTS, SDDS/上映時間:105分/字幕スーパー翻訳:林 完治/20世紀フォックス映画提供/マーベル・エンターテイメント提携

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X-MEN:ファイナルディシジョン 特別編 [DVD]

◇監督:ブレット・ラトナー ◇脚本:サイモン・キンバーグ & ザック・ペン ◇製作:ローレン・シュラ・ドナー、ラルフ・ウインター、アヴィ・アラド ◇製作総指揮:スタン・リー、ケヴィン・フェイグ、ジョン・パレルモ ◇撮影監督:ダンテ・スピノッティ, ASC/AIC ◇プロダクション・デザイナー:エドワード・ヴァリュー ◇編集:マーク・ヘルフリッチ, A.C.E.、マーク・ゴールドブラット, A.C.E.、ジュリア・ウォン ◇共同製作:ロス・ファンガー、カート・ウィリアムズ、ジェームズ・ M. フライターク ◇音楽:ジョン・パウエル ◇視覚効果スーパーバイザー:ジョン・ブルーノ ◇衣裳デザイナー:ジュディアンナ・マコフスキー ◇第2ユニット監督 /スタント・コーディネーター:サイモン・クレーン

◇キャスト:ヒュー・ジャックマン、ハル・ベリー、イアン・マッケラン、ファムケ・ヤンセン、アンナ・パキン、ケルシー・グラマー、レベッカ・ローミン、ジェームズ・マーズデン、ショーン・アシュモア、アーロン・スタンフォード、ヴィニー・ジョーンズ、パトリック・スチュワート、ベン・フォスター、ダニア・ラミレス、エレン・ペイジ、マイケル・マーフィ、ショーレー・アグダシュル、ジョセフ・ソマー、ビル・デューク、ダニエル・クドモア、エリック・ディーン、キア・ウォン、コナー・ウィドウズ、ブライス・ホジソン、ルーク・ポール、ショーナ・ケイン、キャメロン・ブライト、オマイラ、ケン・レオン、スタン・リー、クリス・クレアモント、メイ・メランコン



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【解説】

◆全米公開4日間で1億2000万ドルのNo.1大ヒット!
メモリアル・デー オープニング新記録樹立!!


『スター・ウォーズ』シリーズと並ぶ一大サーガ『X-MEN』が、ついにシリーズ3作目『X-MEN:ファイナルディシジョン』でサーガの最終章を迎える。今作では、ミュータント・パワーを無効にして彼らを普通の人間へと変えることのできる新薬“キュア”の開発が、前2作の謎と愛憎へ絶妙にリンクしてサーガは圧巻の一大ドラマへと向かっていく。

そして、前2作で正義のミュータント集団、X-MENのプロフェッサーXとジーン・グレイが語っていた、「不吉なことが起こる予感がする」という言葉がついに具現化……それはとてつもない衝撃力を持つエピソードとして描かれ、観る者を圧倒し驚きや哀しみという感情を表現する言葉さえも忘れさせる、凄まじいものとなっている。

また、前作のラストでX-MENのメンバーを洪水の危機から救うために犠牲になっていったジーン・グレイが発見される。ところが、発見されたジーンはかつての彼女とは違っていた。そのミステリーとスリルと恐怖に満ちたストーリーテリングの妙味も観る者を刺激し、サーガの新たな魅力になっている。と同時に、エンタテインメントとしての最高の作品であることを証明している。

さらに、バトル・アクションも、他のアクション映画やSF映画では到底肩を並べることもできないほどのスペクタクルとリアリズム、スピード感とエネルギーを誇っている。サンフランシスコの金門橋が、ミュータント・パワーによって橋の台座から根こそぎ引き抜かれ、車両と人々を乗せたままの状態で宙を移動していき、陸上から遠く離れているアルカトラズ島へのかけ橋にされてしまうシーンは、想定外の卓越した発想とともに、ディティールにまで徹底して緻密に描かれたビジュアルに感服させられる。

そのほか、猛スピードで走るトレーラー車の一団がマグニートーにより次々と前倒しにひっくり返されていくシーンも、3D映画を観ているような立体感にあふれ思わず身体をのけぞってしまうほど。

しかも、『X-MEN:ファイナル ディシジョン』は、それぞれのミュータントの個性を生かした過激なバトル・シーンがふんだんにあるのも魅力の1つである。ウルヴァリンは、原作のファンの間では伝説化されていた大技“ファストボール・スペシャル”をついに映画で初披露。その“ファストボール・スペシャル”を食らうのは、これまた原作のファンの間では映画での登場が待たれていた、対ミュータント用の巨大戦闘ロボット“センチネル”だ。前2作ではアクションの見せ場が少なかったストームも大活躍。身体を回転させながら嵐と雷を巻き込み、相手にアタックするという荒技にエキサイトせずにはいられない!

前作ではX-MEN予備軍だった、炎を自在に操る少年パイロは邪悪な心に支配され、ミュータントへの迫害にミュータント・パワーで対抗する組織<ブラザーフッド>へ転向。ブラザーフッド最強のリーダー、マグニートーと組み、マグニートーが念動力で宙に浮かせた車を炎で包み、次から次へと放り投げていくという合体技を披露。そのパイロと、瞬時にして物体を冷凍化させる能力を持つアイスマンとの宿命の“炎VS氷”の初対決も見逃せない!

また、ウルヴァリンは意外にも、シリーズ3作目にして初となるマグニートーとの1対1の勝負が実現し、ストームは初登場のミュータント集団<オメガ・ミューティーズ>の女性リーダー、カリストと激突する。前2作では幼い少女だったキティ・プライドが《物体透過》の能力を生かして、これも初登場のすべてを破壊しつくすまで突進していく凶悪男、ジャガーノートとパワーVS頭脳戦を展開する。

すなわち、『X-MEN:ファイナルディシジョン』は、VFXのCGや合成だけが見せ場を作っているのではないということだ。キャラクターの魅力が十分に生かされ、役者が自らの肉体を酷使して演じているところからVFXとフィジカル・アクションの理想的な融合も満喫できるのである。

そうなることにより、当然ドラマ展開にも深みが生まれる。ミュータントを人間に変えるという新薬の“キュア”が開発されるが、“キュア”を使えばミュータントではなくなるので超能力も失う。超能力を失いたくなければ、“キュア”を使わずにミュータントのままでいるしかない……ミュータントたちはこの究極の選択を迫られ、そこから観る者の感情に訴えるドラマが展開されていく。遺恨を残す三角関係、夢と絶望、平和と闘争、誤解と和解、生と死など、感性と関係の対比も鮮やかに描かれる。

それらの心模様とバトルを迫真の熱演で表現しているのは、このサーガをステップにして大ブレイクした面々。ウルヴァリン役には、本シリーズで一躍ハリウッドスターへと登り詰めたヒュー・ジャックマン、ストーム役は『チョコレート』でアカデミー女優となったハル・ベリー。二つの人格を持つ複雑な役どころ、ジーン・グレイに挑む『ハイド・アンド・シーク/暗闇のかくれんぼ』のファムケ・ヤンセン。悲劇の超能力少女ローグ役には、『ピアノ・レッスン』でアカデミー賞助演女優賞受賞のアンナ・パキン。悪の女性ミュータント、ミスティーク役のレベッカ・ローミン(『ファム・ファタール』)は、このサーガの中で初めて、きらめくほど美しい肢体と美貌を見せる。そして、『新スター・トレック』シリーズのパトリック・スチュワートと、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのイアン・マッケランがプロフェッサーX役とマグニートー役で、それぞれ大ベテランの存在感を示す。

ほかに、『スナッチ』のヴィニー・ジョーンズがジャガーノート役、人気番組「そりゃないぜ!? フレイジャー」のケルシー・グラマーが元X-MENで人類との交渉にあたるビースト役、『ホステージ』のイケメン男優ベン・フォスターが美麗なミュータントのエンジェル役など、新キャラクターに扮している。

監督は、『ラッシュアワー』シリーズや『レッド・ドラゴン』のヒットメイカー、ブレット・ラトナー。この『X-MEN:ファイナル ディシジョン』では、自身初となる集団劇でも見事な演出力と構成力を発揮している。



 


【プロダクションノート】

サーガのクライマックスへのキャストの再結集とキャラクターの変化

キャストは多忙を極める売れっ子たちだが、製作側は不参加者が出るなどとは誰も思っておらず、実際、俳優たちは誰一人欠けることなく再結集している。プロデューサーのローレン・シュラ・ドナーは、「俳優の誰もが『X-MEN:ファイナル ディシジョン』の脚本を気に入ってくれた。それに、俳優の全員が『X-MEN』サーガは大好きだ、と言ってくれたわ」と語る。そして俳優たちは、自分たちが愛するキャラクターが大きく変化した姿を演じている。

◆ウルヴァリンのキャラクターとヒュー・ジャックマン

第2ユニットの監督であり、スタント・コーディネーターであるサイモン・クレーンは、このように言っている。「ほとんどの場合、ウルヴァリンは自分のためにのみ戦ってきた。しかし今回は、より大きな何かに向かっての戦いなので、彼の戦いはこれまでより激しく、さらに恐ろしくなっている。本当に怒り狂うウルヴァリンの姿を観ることができるよ」。そして、ヒュー・ジャックマンが話を続ける。「最初の2作では、ウルヴァリンがX-MENに加わるのか、自分の性格に合わせて孤独のままで生きていくかを自問自答している。しかし今回は、ウルヴァリンがX-MENでリーダーシップをとるべきかどうかという次元に話が進んでいる。それによってめざすハードルは高くなるが、それは大事なことだ。なぜなら3度も同じ役を演じるなら、より良く、より深く演じたいとぼくは常に思っている。そして、ぼくの理想とする演技プランを監督のブレット・ラトナーが可能にしてくれたんだ」

また、ヒュー・ジャックマンは、アクション・シーンに備えるため、何百時間もジムでトレーニングをこなし特別のファイト・トレーニングを受けた。その結果ジャックマンは、両腕に付けている23センチの巨大な鉄の爪のアクションでも、新しいスタイルを披露している。「前2作でのぼくのアクション・スタイルは、スライシング=薄切りとダイシング=サイの目切りだった。今回は、原作にある見事に配慮されたファイト・シーンが展開できた。(注:ウルヴァリンは基本的に地上で戦うが、今回は原作で人気の空中殺法「ファストボール・スペシャル」を初披露する)それはとてつもない経験だった。CGなしの撮影だったんだよ」。すなわちジャックマンは、「ファストボール・スペシャル」を演じるために何とワイヤーで宙に吊られ、時速80キロで森の中を移動させられたのである!



◆ストームのアクションとハル・ベリー
ハル・ベリー扮するストームも、宙を飛ぶ!


前2作ではストーム本人も気づかなかった能力。「簡単なことだと思っていたので、最初からみんなに言っていたの、“空を飛びたいわ”って」と、ハルは笑って話す。空を飛びたいという夢がかなったハルだが、それは過激な形で実現した。ストームが空をトルネード=竜巻のようにスピンするシーンでは、ハルはわずか2、3秒の間に体を24回も旋回させられた。そんなワイヤーワークのアクション・シーンを実現させるために、ハルはめまい対処のために酔い止めの薬を服用した。「見事なアクション演技だったよ。誰もハル本人がやったと信じないだろうが、しかし本当にスタントマンなしに彼女自身が演じたんだ」と、監督のブレット・ラトナーはハルのアクションを絶賛する。


◆ジーン・グレイとファムケ・ヤンセン

『X-MEN:ファイナル ディシジョン』で、ファムケ・ヤンセン演じるジーン・グレイのキャラクターが、最もドラマティックかつ衝撃的な変化を遂げる。つまり、ジーン自身も理解不能な大きな力を持つと同時に、邪悪な「もう一人の」ジーン・グレイへと変身。彼女の変身ぶりは、X-MENのみならず世界的な脅威にまで至ってしまうのだ。「ジーンの変身と運命が一番極端だ。我々は、これまで一度も取り上げられたことのない原作のある部分からインスピレーションを受けて、ヒーローを悪役へと変えた。ジーンの変化は彼女の感情と共鳴している。なぜなら、それは愛する相手が内側と外側から同時に炸裂するのを見守ることができることでもあるからだ」と、脚本家のサイモン・キンバーグはジーンの変身をめぐる衝撃のヒントを提示している。

さらに、ファムケ自身が話を続ける。「第1作目からジーンは時折、自分でもコントロール能力を越えたパワーを感じ取り、自分のどこかがヘンだと感じるシーンがあったわ。それが第2作目でさらに深まり、頭痛も感じるようになり、自分のパワーをコントロールできなくなってしまう。そして『X-MEN:ファイナル ディシジョン』のジーンの言動は、前2作でのものと大きな隔たりがある。その隔たりと変化に映画ファンはショックを受けると思うわ」



◆サイクロップスとジェームズ・マーズデン

ジーンとの結婚を誓いあっていたサイクロップスも、前作でのジーンの英雄的な死によって、勇敢で潔よかった感情を失い嘆き苦しみ落ち込むという変化を見せる。「サイクロップスは、最も愛する人を失ったことから人生の目標も自分自身の価値も、X-MENとしての存在意義もすべてを失ってしまう。サイクロップスだけでなく、みんなが悲しんでいるんだけどね……」と、演じるジェームズ・マーズデンは語る。


◆ローグを中心にした、X-MENのニュー・ジェネレーションたち

「ローグはミュータントの中でも最悪のパワーを持っていると思う。ローグは相手に触れると相手のパワーや生命力を吸い取ってしまうから、愛する相手に触れて愛情を表現できない。彼女はどうすればいいのか? 『X-MEN:ファイナルディシジョン』では、その質問の答えも描いている」と、製作のラルフ・ウインターがローグの能力の悲劇性について語る。

アンナ・パキンが等身大の演技で表現しているローグの悲劇は、ショーン・アシュモア演じるアイスマンともリンクしている。前作でローグとアイスマンの間には淡い恋心が芽生えたが、ローグをめぐる悲劇のおかげで二人の恋の関係は先へと進めない。「ローグとの関係で大きな問題に直面してしまう一方、エレン・ペイジ扮するキティ・プライドにも好意的なフィーリングを抱くようになるし、エグゼビア・スクールで一緒だった少年パイロとは宿命的な敵対関係になり、アイスマンをめぐる状況はさらに複雑になる。折角、X-MENのレギュラー・メンバーになれたというのに」と、アシュモアがニュー・ジェネレーションたちの関係を説明する。



新しいキャラクターたち

『X-MEN:ファイナルディシジョン』は前2作からのレギュラーメンバーに加え、次々と新しいキャラクターが登場する。中でも元X-MENのメンバーで、現在はアメリカ大統領の内閣の一人でありミュータント省長官、そして遺伝子学の世界的な権威でもあるビーストと、大企業の御曹子であるが16フィートもある大きな翼で華麗に空を舞うエンジェル、圧倒的な突進力ですべてを破壊するヴァイオレントなワイルド・ミュータント、ジャガーノートは、原作のファンの間でも絶大な人気を誇る。この個性溢れる3人のミュータントの初登場も大きな話題となっている。


◆ビースト

特殊メイク・アップ・アーティストも、ビーストのメイクはとても複雑だと説明する。ビーストの頭部だけでも首、頭蓋骨キャップと耳、顎と頬が一つになった大きな部分、額、下唇の5つのパーツからできている。そのほかにもボディスーツ、手袋&フットカバー、6つのヘアピース等があり、これらのメイクには十分な柔軟性が求められ、演じるケルシー・グラマーは装填に毎日3時間かかった。脚本のサイモン・キンバーグは、「ビーストで一番苦労したのは、キャラクターを描きこむことじゃなかった。キャスティングなんだよ。ケルシーをキャスティングしたことは天才的なことだね。ケルシーの声、立ち振る舞い、体型、それに目にはビーストが内在しているからだ」と言う。キャスティングされたケルシーは、「ビーストはすごく知的だ。実は出演契約をした時には、特殊メイクをすることに関して正直言って複雑な気持ちだったね。あれだけのマスクを付けていると、動きも大変でエネルギーを大いに消耗する。多少の居心地の悪さは否めないな。プラスの側面としては、キャラクターを表現するのにとても役に立つ。つまり、動きの少ない演技のダイナミックなパワーを実感させてくれる手助けをしてくれたということだ。そこで私は顔の表情にあまりエネルギーを注がず、その代わりに目に頼ることにした。ビーストの知的な輝きは目から発せられているからなんだよ」と、エミー賞を5回も獲得している名優のケルシーが解説する。


◆エンジェル

「エンジェルがミュータント・パワーの源を取り除こうとするシーンは、若者たちがどんなにみんなと同じように適合して、愛されたいかということを代弁している。ある意味で、X-MENについてのすべてを集約しているともいえるね。つまり、我々はみなそれぞれ異なり、それらの違いを受け入れる道しかないということ。そうでないと、結果は破壊的になるだろう」と、演じるベン・フォスターはエンジェルのキャラクターを分析する。監督のラトナーによれば「フォスターは、エンジェルの苦しみと複雑さをうまく表現している。またエンジェル役を演じるために、これまでにぼくが見たこともないようなワークアウトをして肉体を改造した」。フォスターが肉体を改造した理由は、翼を取り付けるために長時間のメイク接着作業に耐える必要もあったからだ。この翼を付ける作業の苦労はメイクだけではなかった、と衣裳デザイナーのジュディアンナ・マコフスキーがフォローしている。「異なる3つの翼に合わせて、エンジェルの衣裳のデザインをする必然性もあった。裸の背中に翼を取りつけた衣裳セット、閉じた翼を付けている時の衣裳セット、それと翼をすべてCGで処理する時の“通常”の衣裳セットの3つです」


◆ジャガーノート

恐るべきパワーの固まりのミュータントを演じるヴィニー・ジョーンズも元プロ・サッカー選手の肉体を持っているが、それでも肉体改造の必要があり、彼もまた猛トレーニングに励んだ。そこでジョーンズは言う。「ジャガーノートは傭兵だ。戦うマシーンだよ。ブラザーフッドのメンバーだが、“キュア”を何としても撲滅しようとするマグニートーの意図に賛成していない。彼は、ただ戦うことが好きなだけなんだよ」


◆新監督ブレット・ラトナー

『X-MEN:ファイナル ディシジョン』の監督は、前2作のブライアン・シンガーから大ヒット・メイカーのブレット・ラトナーに交替している。ラトナー自身は『X-MEN:ファイナルディシジョン』の脚本が、キャラクターたちの利害関係と、前2作で描かれた内容との密な関わりに焦点を当てているところにも惹かれたと言い、またこのようなことも語っている。「ブライアン・シンガーの前2作は、ぼくにとって青写真のようなものだった。ぼくはブライアンと俳優たちが築いたトーンと、物語の盛り上がりを維持したいと思った。観客はこれらのキャラクターに関心があるし、ぼくとしてもキャラクターのこれまでの流れに忠実に描く必要がある。ぼくのゴールは、前2作でうまくいった部分を残しながら、より感情豊かに、そしてキャラクターの心の動きにスポットライトを当てたいと思うところにあったんだ」

そんなラトナーのアプローチに関して、俳優たちも褒め讃えている。ヒュー・ジャックマンは、「ブレットは前2作を尊重して、そのヴィジョンを受け継ぎながら同時により豊かな感情とキャラクターの関係を深めることによって、このサーガを新しいレベルへ高めた」と喜ぶ。ハル・ベリーは、ストームの責任と視点、それに可能性をはっきり示されたことはラトナーと脚本家の力だと言う。「ブレットのおかげよ。ストームに一貫性のある視点を持たせるために、本当に力になってくれたの。私のセリフを増やすということだけじゃない。私をスクリーンの上で迷いがないようにしてくれたのよ」と、ラトナーの的確な演出力について語っている。



◆俳優たちの“キュア”に関する考察

マグニートーは、強制的な効力で人物の存在を根底から強引に変えてしまうという新薬“キュア”と、その強引な治療について断固反対しているが、演じるイアン・マッケラン自身も“キュア”に関しては否定的な意見を持っている。「自分の性癖を治療する方法が必要だと考える人を、私は認められない。また黒人の人に、飲めば白人になれる“治療薬”がある、などと言いだす人間を嫌悪する」

一方、X-MEN側は、“キュア”について統一した見解はなく、それぞれの考えを尊重した態度を描いている。どうやらX-MEN側を演じる各俳優たちも、実際には異なる意見を持っているようだ。たとえば、ヒュー・ジャックマンは、「本質的に内在する大きな問題だ。これを別の視点から見るとわかりやすい。ローグの場合だと、彼女の悲劇的な超能力のおかげで愛する人にも触れることができないから、肉体関係を持つことも子供を産むこともできない。政治的に“キュア”は嫌悪されるものだが、ローグのような場合は、使用したいという気持ちも理解できる」

そのローグ役を演じるアンナ・パキンは、「“キュア”で人生を永遠に変えてしまうか、ありのままの自分を受け入れて、自分のミュータント能力に付随する孤独な感情と共に生きていくか……。“キュア”があれば、ローグに人生のオプションが生まれるわ」と言う。

外見が最も人間と異なるビーストの場合も、“キュア”に関してビーストが悩むのも当然だとケルシー・グラマーは見解を語る。「たとえ、ほんの一瞬であれ“普通の男”になれるのであれば、とビーストは考える。ただし、“普通の男”になることが自分の運命ではないことを彼は知っている。そして、運命のありのままを受け入れて善となすことこそ真の勇気であり、その意味でビーストは本当に勇気のある男だと思う」



◆VFXについて

VFXを担当したのは、『タイタニック』や『ターミネーター2』などのVFXでアカデミー賞を受賞しているジョン・ブルーノだ。『X-MEN:ファイナル ディシジョン』の冒頭の回想シーンに、若返ったプロフェッサーXとマグニートーが登場するが、これはLOLOと呼ばれる「再生ソフト」を使って二人を若返らせたのだという。このLOLOを俳優の現在の顔の特徴に重ね合わせて3Dパッチを利用することで、プロフェッサーXとマグニートーを「20歳若返らせること」が可能になったのである。

そのブルーノが、持てる力を最大限に発揮したシーンが、マグニートーの超ド級の念動力によってサンフランシスコの金門橋が橋桁から引き抜かれ、宙を浮かびながらアルカトラズ島へと向かい、陸とアルカトラズ島との“かけ橋”にされてしまうシーンだ。このシーンは、橋の一部の実物大のセットとアルカトラズ島の一部のセットを用いて、島の部分をデジタル処理した後、CGで創った残りの部分をセットと実際の実写に合成させたものなのである。

こうした大規模なスケール感を創り出すために、業界のトップを行くVFXの複数の会社を参加させている。たとえば、『キング・コング』(2005)と『ロード・オブ・ザ・リング』の3部作で、アカデミー賞を受賞したWETAデジタル社(主に金門橋のシーンとジーン・グレイのCGシーンなどを担当)、ロンドンに拠点を置くフレームストアーCFCも金門橋のシーン創りに参加。他にムービング・ピクチャー・カンパニー、ハイドローリックス、ミスティークのシーンを手がけたクライサー・ワルザックなどだ。

また、撮影のために創られたセットは、ヴァンクーバーの木材工場跡の10エーカーの土地に設けられた、27万平方フィートにもおよぶ広さを誇るものだ。そこには長さ250フィートの金門橋のセットが組まれ、その四方には高さ50フィートのブルー・スクリーンや、メガ・サイズのアルカトラズ島のセットもあった。この巨大セットで使われた電力は、一般的な家庭の電気の供給量に換算すると60ワットの電球を176000個付けられるほどの電力である。

撮影監督として2度もアカデミー賞候補になったダンテ・スピノッティは、「最終的な効果は、すべて自然のままで美しく見せることだ」と言い、リアルな美しさを追求した。プロダクション・デザイナーのエドワード・ヴァリューのアプローチは、エレガントなリアリズムであった。ヴァリューは「映画で展開される物語が素晴らしいので、ラトナー監督の同意を得てセットをできるだけリアルに創り上げた。そして、前2作に登場した様々な象徴的である場所を今作でも訪れる。エグゼビア・スクールの教室と居住部分の下にある非常に様式美化された廊下、前作でジーン・グレイが犠牲になったアルカリ湖などだ。ヴァリューは、「既に確立された世界に居るのだから、どの場所も前2作と同じように見えるようにしたかった。しかし、その先を求めて、より興味深く、魅力的な場所にしたいとも思ったんだ。『X-MEN:ファイナルディシジョン』では、物語の高まりがそれを手助けしてくれている。その結果、我々は最終的にはある種の黙示録のような場所へと導かれた」とも語っている。



 


【ストーリー】

今から20年前。ミュータントと人類の平和的な共存を望み、子供の頃からミュータントを正しく導くための学校エグゼビア・スクールの主宰者であり、そのスクールの卒業生の中から優秀な者だけを選び、平和のために活躍するチーム、X-MENを組織したプロフェッサーXことチャールズ・エグゼビア(パトリック・スチュワート)は、ある家を訪ねる。その家とは、グレイ一家である。グレイ一家の娘ジーン、すなわちジーン・グレイはミュータントであり、しかも世界最強・最高のミュータント・パワーの持ち主であるプロフェッサーXですら、少女のジーン・グレイの内に潜むミュータント・パワーに脅威を感じていた。実際、少女ジーンはプロフェッサーXの目前で念動力を使い、家の近くに停車している数台の車を宙に浮かせて見せたのだ。この光景には、近所で庭に水を撒いている老人(スタン・リー)と庭で芝刈りをしている老人(クリス・クレアモント)も驚き、揃って腰を抜かしてしまう。

それから10年後。ワージントンという大企業の社長の息子、ウォーレン・ワージントン。世は、背中に翼が生え始め、自分は異常ではないかと脅える。そして、自分で剃刀やナイフを使い翼を切り落としていた。その時ウォーレンの父親は、息子の手と体が血に染まっている姿を見て驚き悲しみ、息子がミュータントであることを確信する。

その時からそれほど遠くない未来……。ダムの決壊によってX-MENのメンバーが洪水に襲われそうになった際に、念動力によって流れを換えたものの、洪水に飲み込まれていったジーン・グレイ(ファムケ・ヤンセン)は、いまや亡き人である。さらに、炎を自由自在に操る少年パイロ(アーロン・スタンフォード)を始め幾人かのミュータントが、人類のミュータント差別と迫害、ミュータント同士の愛憎関係のもつれなどが原因でエグゼビア・スクールから去っていった。そのパイロや、頭部から無数の凶器になるトゲを飛び出させる能力を持つクウィルなどスクールからのドロップアウト組は、人類のミュータント差別と迫害に対して武力で対抗し、人類打倒をめざすミュータントのテロリスト組織<ブラザーフッド>に加わっていたのである。もちろんブラザーフッドのリーダーは、旧友のプロフェッサーXとは思想の違いから袂を分かったマグニートーことエリック・レーンシャー(イアン・マッケラン)だ。

一方で組織が弱体化したX-MENは、ウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)を中心に、ストーム(ハル・ベリー)、スクールの生徒からX-MENに昇格したローグ(アンナ・パキン)、アイスマン(ショーン・アシュモア)、コロッサス(ダニエル・クドモア)、キティ・プライド(エレン・ペイジ)などがメンバーとなっていた。これまで強力な戦力であったサイクロップス(ジェームズ・マーズデン)は、恋人だったジーン・グレイを失ったショックから闘いにも参加できないほどの心の傷を抱えている。

かくしてX-MENとブラザーフッドは人間をも巻き込み、三つどもえの大戦争状態へと突入する。そんな大戦争のさなか、人類は拉致したミスティーク(レベッカ・ローミン)を訊問して、マグニートーの行方を追い始める。

最愛の息子ウォーレンがミュータントであることを知った父親は、自分の企業の全財産を注ぎこみ、ついにミュータントを人間に変えるという新薬“キュア”を開発。同時にこの“キュア”の、ミュータント・パワーを無効にさせるという弾薬カプセルの開発にも成功する。実はこの新薬の開発には、何も知らない無垢なミュータントの少年リーチ(キャメロン・ブライト)が人体実験として使われていたのである。

しかし、青年になり自分が背中に翼の生えたミュータントであることを自覚し、エンジェルと呼ばれるようになるウォーレン(ベン・フォスター)は、“キュア”の開発の秘密と兵器化などに疑問を抱く。結果、ウォーレンは父親に反抗し、天使のような巨大な翼を広げ大空の中へと消えていく。このキュアという、ミュータントと人類の命運を握るアイテムの最大の功労者となってしまったリーチをめぐり、この後、X-MEN、ブラザーフッド、そして人類の間で壮絶な争奪戦が繰り広げられてゆくのだった。

この画期的な新薬の発明により、“キュア”を使えばミュータントは超能力を失うが普通の人間になれる。逆に超能力を失いたくなければ、“キュア”を使わずミュータントのままでいればいい。ミュータントたちはそれぞれの運命をも左右する究極の選択を迫られる。元X-MENのメンバーであり、人類との交渉を務めるビーストこと高官のヘンリー・マッコイ博士(ケルシー・グラマー)は、久々にスクールを訪ねてプロフェッサーXたちと今後の理想的な展開について相談する。

対してマグニートーは、人類への復讐として“キュア”は不必要だと主張。彼の主張には、女性リーダーのカリスト(ダニア・ラミレス)率いる別派の過激集団<オメガ・ミューティーズ>も同調する。そして、ミュータントの凶悪犯を移送中のトレーラー隊を急襲。ミスティーク奪回作戦のさなか、凶悪犯のジャガーノート(ヴィニー・ジョーンズ)とマルチプル・マン(エリック・ディーン)を仲間に加える。

ブラザーフッドと人類軍が、ともに強大、強力化していくというのに、X-MENには致命的な事件が次々と起こる。失意のサイクロップスは、ジーンが姿を消して現在は湖と化した場所で失踪。アイスマンに淡い恋心を抱いているローグは、アイスマンとキティ・プライドとのデート現場を目撃してしまい、失恋の痛手のためにスクールを去っていく。

そして、サイクロップスが姿を消した湖を訪れたウルヴァリンとストームは、何と意識を無くした状態のジーン・グレイを発見する! すぐさまジーンを基地に連れて帰り、プロフェッサーXがジーンの意識をさぐると、もう一つの人格がジーンを支配していることを突き止める。ジーンは意識を取り戻すものの、やはりかつてのジーンとは違った言動を見せるようになる。ジーンの中に秘められていたパワーが目覚めようとしているのだ。

しかももう一つの人格のジーン・グレイとして蘇生したことから、彼女自身の力により、誰よりもかたい絆で結ばれていたはずのX-MENのメンバーたちに壊滅的なダメージを与えるという信じがたい大事件が発生! この事件はX-MENの宿敵マグニートーも目撃し、ジーンの底知れぬパワーに魅せられたマグニートーは、彼女を陣営に引き込もうと策略を企てる。かくして、史上最大の大ピンチに陥ったX-MENは、リーチをめぐる争奪戦を含め、ブラザーフッド、オメガ・ミューティーズ、そして人類との共存のための最終戦争に突入していく……。





 


【キャスト&スタッフ】

■ヒュー・ジャックマン(ウルヴァリン(本名:ローガン))

1968年10月12日、オーストラリアのシドニー生まれ。シドニー技術大学でジャーナリズムを専攻していたが、演劇の科目を選択していたことから演技に夢中になる。卒業後、後に結婚することになるオーストラリア人女優デボラ=リー・ファーネスと共演したテレビ・シリーズ「Corelli」(1995)などに出演。舞台劇でも活躍して、「サンセット大通り」などの舞台では、オーストラリアのトニー賞ともいえるMO賞を受賞。その後ハリウッドへ進出し、サーガ第一作目の『X-MEN』(2000)のウルヴァリン役に抜てきされる。原作コミックスのウルヴァリンは黄色と黒のコスプレとマスクだが、ヒュー版ウルヴァリンは素顔とワイルドさとセクシーさが魅力になっている。この作品が全世界でメガ・ヒットとなり、一躍大ブレイク。原作のウルヴァリン像を忘れさせるほどの強烈なキャラクター・イメージを構築した。

ハリウッド進出後も真摯な人柄と確かな演技力、そして野性味あふれるイケメンぶりが人気を呼び話題作に立て続けに主演。『恋する遺伝子』(2001)や『ソードフィッシュ』(2001)、『ニューヨークの恋人』(2001)、『X-MEN2』(2003)、『ヴァン・ヘルシング』(2004)などの主演作がある。また、今後の主演予定作には、ウルヴァリン単独のスピンオフ『ウルヴァリン』、ウディ・アレン監督作『Scoop』、ダレン・アロノフスキー監督作『The Fountain』、クリストファー・ノーラン監督作『The Prestige』などがある。



■ハル・ベリー(ストーム(本名:オロロ・マンロー))

過去にアフリカン・アメリカンの女優たちが、惜しくも手にすることのできなかったアカデミー主演女優賞のオスカー像を『チョコレート』(2001)で獲得。その受賞式での喜びのスピーチで語った「歴史の扉は開いたのよ!」という第一声は、名フレーズとしてアフリカン・アメリカンの歴史を語る書籍にも必ずといっていいほど引用されている。

そのハル・ベリーは、1966年8月14日、オハイオ州のクリーヴランド生まれ。母親は白人、父親が黒人ということで正確に言うとムラート(混血)ということになる。1986年にミス・オハイオ州の準ミス・アメリカに選ばれ、劇場用長編劇映画のデビューは、スパイク・リー監督作品『ジャングル・フィーバー』(1992)。役どころは、端役ながらも強烈な印象を残すドラッグ中毒者の役だった。その後、『フリントストーン/モダン石器時代』(1994)、良き相談相手であり、理解者でもあるウォーレン・ビーティとの共演作『ブルワース』(1999)、『X-MEN』(2000)、『ソードフィッシュ』(2001)などに出演。

アカデミー主演女優賞獲得後は、ボンド・ガール役の『007/ダイ・アナザー・デイ』(2003)、『X-MEN2』(2003)、『ゴシカ』(2004)、『キャットウーマン』(2004)、声の出演のCGアニメ『ロボッツ』(2005)などが公開されている。なお、表彰歴も数多く、NAACP(黒人地位向上委員会)のイメージ賞や長編テレビ・ムービーのプロデューサーとして、エミー賞なども受賞している。 1996年から現在も、化粧品会社「REVLON」のスポークス・ウーマンを務めている。



■ファムケ・ヤンセン(ジーン・グレイ(本名:ジーン・グレイ))

1965年11月5日、オランダのアムステルダム生まれ。ヨーロッパでモデルとして知名度を高め、1984年にアメリカへ移住。コロンビア大学で文芸と創作を学びつつ、演技の名コーチ、ハロルド・ガスキンのもとで舞台演技を学ぶ。1992年に映画デビューするが、注目を集めたのは1995年のシリーズ第17作目の『007/ゴールデンアイ』の女性殺し屋ゼニア・オナトップ役だ。その後、ロバート・アルトマン監督作『相続人』(1998)、ロバート・ロドリゲス監督作『パラサイト』(1998)、テッド・デミ脚本作『ラウンダーズ』(1999)、ウディ・アレン監督作『セレブリティ』(1999)、『X-MEN』(2000)、マイケル・ダグラス共演の『サウンド・オブ・サイレンス』(2002)、エディ・マーフィ&オーウェン・ウィルソン共演の『アイ・スパイ』(2003)、『X-MEN2』(2003)、ロバート・デ・ニーロ共演の『ハイド・アンド・シーク/暗闇のかくれんぼ』(2005)など、クセ者の監督作やアクの強い作品で強烈な印象を残している。



■アンナ・パキン(ローグ(本名:マリー・ダンキャント))

1982年7月24日、カナダのウィニペグ生まれ。演技とは無関係の生活をしていたが、姉が『ピアノ・レッスン』(1994)の新人オーディションをアンナに受けさせたところ、5000人以上の中からヒロイン役に抜てきされてしまう。そればかりか、11歳というアカデミー賞史上2番目の若さで、同賞の助演女優賞受賞という快挙を成し遂げる。その後、『グース』(1996)、『ジェイン・エア』(1996)、スティーブン・スピルバーグ監督作『アミスタッド』(1998)、『シーズ・オール・ザット』(2000)、『X-MEN』(2000)、キャメロン・クロウ監督作『あの頃ペニー・レインと』(2001)、ガス・ヴァン・サント監督作『小説家を見つけたら』(2001)、『ダークネス』(2003)、スパイク・リー監督作『25時』(2004)、『X-MEN2』(2003)などに出演。2006年の秋には、マット・デイモン共演の『Margaret』も公開される予定である。また、舞台劇へも進出。キアラン・カルキン共演の舞台は大きな話題となった。


■ジェームズ・マーズデン(サイクロップス(本名:スコット・サマーズ))

人気TVシリーズだった「アリーmyラブ」のラスト・シーズンに、グレン・フォイ役として出演して新たなファン層を開拓したマーズデンは、1973年9月18日、オクラホマ州のスティルウォーターに生まれた。母親の薦めで高校1年生の時に演劇スクールに入ったことがきっかけとなり、演劇にのめりこむ。オクラホマ大学卒業後は、俳優になることをめざしてロサンゼルスへ移り住み、売り込みを開始。すると、2カ月もしないうちに、TVドラマ・シリーズへの出演のオファーが殺到。1994年にFOXTVの人気TVドラマ・シリーズ「サンフランシスコの空の下」のグリフィン役でブレイクする。『X-MEN』(2000)と『X-MEN2』(2003)の出演を通じて、ブライアン・シンガー監督のごひいきの俳優となり、2006年夏公開のブライアン・シンガー監督作『スーパーマンリターンズ』では、デイリー・プラネット新聞社の編集長ペリー・ホワイトの甥で、ロイス・レインの恋人役に扮している。


■パトリック・スチュワート(プロフェッサーX(本名:チャールズ・エグゼビア))

1987年から1994年にかけて放映された番組「新スター・トレック/STARTREK」シリーズと、映画版スター・トレックの新シリーズ『ジェネレーションズ』(1995)、『ファースト・コンタクトSTARTREK』(1996)、『スター・トレック/叛乱』(1999)、『ネメシス/STX』(2003)のピカード艦長役であまりにも有名。スチュワートは、1940年7月13日、イギリスのミアフィールド生まれ。舞台俳優として役者の基礎を磨き、舞台の「クリスマス・キャロル」では、スチュワート一人で40人以上の人物を演じ分けるという壮大な一人芝居も演じた。映画デビューは1975年の『怒りの日』。ほかに、デヴィッド・リンチ監督作『砂の惑星』(1985)、スティーブ・マーティン共演の『L.A.ストーリー/恋が降る街』(1992)、ピアース・ブロスナン共演の『テロリスト・ゲーム』(1993)、名戯曲の映画化の『ジェフリー!』(1996)、メル・ギブソン共演の『陰謀のセオリー』(1997)などに出演。


■イアン・マッケラン(マグニートー(本名:エリック・レーンシャー))

1939年5月25日、イングランド北部のバーンリー生まれ。自分はゲイであるとカミングアウトして注目を集めたが、それよりも俳優としての芸域の広さでアピールしている。ブライアン・シンガー監督作品の常連俳優として、『ゴールデンボーイ』(1998)、『X-MEN』(2000)、『X-MEN2』(2003)に連続出演。一方では、魔法使いのガンダルフ役で『ロード・オブ・ザ・リング』(2002)、『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』(2003)、『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』(2004)の三部作にも出演している。また『ゴッド・アンド・モンスター』(2000)では、アカデミー主演男優賞にノミネートされている。

舞台劇での演技の確かさも高く評価されており、ブレヒトやチェーホフ、イプセン、バーナード・ショーなどの作品の舞台劇からピーターパンに至るまで出演し、イギリスとアメリカ両国の演劇界で活躍中である。なお、意外な一面だが、「サタデー・ナイト・ライブ」に出演経験がある。



■レベッカ・ローミン(ミスティーク(本名:レイヴェン・ダークホルム))

1972年11月6日、カリフォルニア州バークレー生まれ。オランダ人の父とオランダ系アメリカ人の母のもとで育つ。モデルとしてキャリアをスタートさせ、コスモポリタン、マリ・クレール、グラマー、FHM、GQ、ピープルなどの人気雑誌の表紙やグラビアに登場、彼女が表紙になったスポーツ・イラストレイテッド誌の1999年水着特集号は、同誌の水着特集号の最高の売り上げを誇っている。

映画出演は、『オースティン・パワーズ:デラックス』(1999)、『X-MEN』(2000)の好演の後、SFアクションの『ローラーボール』(2002)、アル・パチーノとの共演作『シモーヌ』(2003)、2003年のブライアン・デ・パルマ監督作品『ファム・ファタール』(2003)では、堂々たる悪女ヒロインぶりを見せている。マーベル・コミックスの映画化『パニッシャー』(2004)にも出演、人気番組だった『フレンズ』にもゲスト出演を果たした。



■ショーン・アシュモア(アイスマン(本名:ボビー・ドレイク))

1979年生まれ。『X-MEN』サーガにおいて目立った存在になったのは、前作『X-MEN2』(2003)からだが、実は、『X-MEN』(2000)にも端役で出演している。まさにエグゼビア・スクールの生徒としての成長を地でいくような彼だが、ショービズ界におけるキャリアのスタートは、1994年制作のTVムービー「Guitarman」(1994)の主役を演じてからである。このTVムービーでの好演でジェミニ賞にノミネートされている。その後も活動の場をTV界におき、ニッケルオデオンやディズニー・チャンネルの番組で活躍。ディズニー・チャンネルの「InaHeartbeat」の主役として新シリーズの撮影を終えた2日後に、『X-MEN』(2000)への出演が決定した。2005年9月放送のTVムービー「Terry」では、カナダを横断する「希望のマラソン」に片足で参加した、ガン患者のテリー・フォックス役を演じて好評を博している。


■アーロン・スタンフォード(パイロ(本名:ジョン・アルダーダイス))

『X-MEN2』(2003)に引き続きパイロ役で出演している。スタンフォードは、ラッツガーズ大学を卒業してからすぐにシガニー・ウィーバー主演の「Tadpole」(2002)で映画デビューしている。この作品でのスタンフォードの好演は、サンダンス映画祭でも高く評価された。ほかに「Winter Solstice」(2004)では、2004年度のハンプトン映画祭の新人スター賞を獲得。プロデュースも兼ねた『Runaway』は、2005年のトライベッカ映画祭の公式上映作品にも選ばれている。なおスパイク・リーの『25時』(2004)や、ウディ・アレンの『さよなら、さよならハリウッド』(2005)、ウェス・クレイブンのホラーの名作『サランドラ』のリメイク版『THEHILLSHAVE EYES』(2006)にも出演している。

一方、舞台でも活躍中で、故郷のマサチューセッツ州の小さな地方舞台から大学演劇、NYの有名な劇場など、幅広く出演している。



■ヴィニー・ジョーンズ(ジャガーノート(本名:ケイン・マルコ))

1965年、イギリスのウォーターフォード生まれ。1986年にウィンブルドンFC所属のプロ・サッカー選手になり、1988年にはFAカップで優勝も経験している。また、シェフィールド・ユナイテッド、チェルシー、QPR、キャプテン・オブ・ウェールズなどのサッカー・チームなどで活躍したスターだった。そして、カリスマ性のある個性がガイ・リッチー監督の目に止まり、リッチー監督の『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(1999)で映画デビュー。この作品ではエンパイア賞のイギリス新人賞に輝き、その受賞を機に、サッカー界から引退して俳優業に専念する。続くリッチーの『スナッチ』(2001)では、エンパイア賞の主演男優賞を獲得。その後は、イギリスとハリウッドを股にかけて『ソードフィッシュ』(2001)、『ミーン・マシーン』(2002)、『ビッグ・バウンス』(2004)、『沈黙の追撃』(2006)などに出演。2003年には「Vinnie」という番組を制作している。


■ケルシー・グラマー(ビースト(本名:Dr.ヘンリー・マッコイ))

1955年ヴァージン諸島で生まれ、ニュー・ジャージー州とフロリダ州で育つ。ニューヨークの名門ジュリアード学院で演技を学び、「マクベス」や「オセロ」の舞台に立つという演技派俳優の王道を歩んでいく。

その一方で、1984年から1993年までアメリカのTV史に残るほどの傑作人気番組「Cheers」で、ウディ・ハレルソンらと共演。この番組で演じたドクター・フレイジャー・クレーン役をスピンオフした番組、「そりゃないぜ!? フレイジャー」も圧倒的な人気と高い評価を獲得し、グラマーはスーパースターとしての地位を確立する。映画出演作には『潜望鏡を上げろ』(1996)、ロバート・デ・ニーロと渡り合った『15ミニッツ』(2001)、アニメの声の出演として『アナスタシア』(1998)、『トイ・ストーリー2』(2000)などがある。TVムービーにも精力的に出演しており、「ペンタゴン・ウォーズ」(1998)、「クリスマスキャロル」(2004)などに出演している。



■ベン・フォスター(エンジェル(本名:ウォーレン・ワージントン。世))

現在、アメリカで注目を集めている美形実力派俳優の一人である。1980年10月29日、マサチューセッツ州のボストンの生まれ。兄は俳優のジョン・フォスター。1999年にベン・スティラーによって才能を見出され、スティラーが監督した『リバティ・ハイツ』(1999)のベン・カーツマン役で主演デビューを果たす。2002年には、『ビッグ・トラブル』でレネ・ルッソ、ティム・アレンと共演。レベッカ・ローミンと共演した『パニッシャー』(2004)では、オタク青年の屈折した心理を巧みに表現した。売れっ子のジョエル・シューマカー監督もフォスターの才能に惹かれて『フォーン・ブース』(2003)に起用。ブルース・ウィリス主演の『ホステージ』(2005)でもフォスターは存在感を示している。また、カルト的な人気を呼んでいる話題の番組「Freaks and Greeks」のいくつかのエピソードに、印象的なキャラクターで出演。内面的演技の上手さをアピールした。


■エレン・ペイジ(キティ・プライド)

エレン・ペイジもハリウッドのニュー・ジェネレーションとして絶賛されている女優の一人だ。鬼気迫る熱演を披露した主演作『ハードキャンディ』(2006)は、2005年のサンダンス映画祭で上映されペイジの演技と作風がセンセーションを巻き起こした。ペイジのショー・ビジネス界でのキャリアのスタートは、彼女が10歳の時に出演したTVシリーズの「Pit Pony」だ。そして、ジェミニ賞の子供プログラム専門のベスト・パフォーマンス賞にノミネートされている。そのほか、トロント国際映画祭でカナダ映画としては初の作品賞に輝いた『Marion Bridge』で、ACTRAマリタムイ賞の女優賞を受賞。CATV用長編映画「Mrs.Asboro's Cat」の演技は、ジェミニ賞のベスト・パフォーマンス賞の候補となった。現在は、アトム・エゴヤン製作の青春映画『Mouth to Mouth』に出演している。


■ダニア・ラミレス(カリスト)

スパイク・リーが、HBOTV用に監督した「The Subway Stories」に起用されるやスパイクの秘蔵っ子女優になり、スパイク作品の『25時』(2004)、モニカ・ベルッチやウディ・ハレソルン、ジョン・タトゥーロなどが出演しているスパイクのブラックユーモア・ラブコメ『She Hate Me』(2004)などに出演。そのほか、人気アニメの実写版「ふわっとアルバート」(04/V)ではヒロイン役、TVシリーズの「バフィ/恋する十字架」にも出演していた。


■キャメロン・ブライト(リーチ)

1993年1月26日、カナダのブリティッシュ・コロンビア生まれ。CMからキャリアを出発させ、「ダーク・エンジェル」、「ナイトビジョン」、「マウンテン・ウォーズホライズン高校物語」などのTVシリーズに出演。アシュトン・カッチャー共演の『バタフライ・エフェクト』(2004)で、本格的に映画デビューを飾った。続く『Godsend』(2004)では、ロバート・デ・ニーロと共演。さらに、『記憶の棘』(2004)ではニコール・キッドマンを相手に、彼女の亡き夫の生まれ変わりだと主張する不思議な少年の役を存在感たっぷりに演じ、放送映画批評家協会賞、ヤング・アーティスト賞などにノミネートされた。以降も売れっ子街道を邁進し、ミラ・ジョヴォヴィッチ共演のSFアクション『ウルトラヴァイオレット』(2006)、ポール・ウォーカー共演のアクション『Running Scared』(2006)に主要キャストとして出演。また、全米で話題騒然となった注目作『サンキュー・スモーキング』(2006)で主人公の息子役を好演している。


■ブレット・ラトナー(監督)

監督した作品をすべてメガ・ヒットさせ、いまやスティーブン・スピルバーグをも凌ぐと言われるハリウッド屈指のヒット・メイカーである。

1969年3月28日、フロリダ州マイアミビーチ生まれ。8歳の時から8ミリ映画を撮り始め、16歳になるとニューヨーク大学のテイッシュ・スクール・オブ・アートに入学し、最年少の映画専攻学科生徒として一躍注目を集める存在になる。そして、スピルバーグのアンブリン・エンターテイメントの寄付金によって製作した卒業制作作品が、全米の数々の映画祭でいくつもの学生賞を受賞した。

また、在学中には、デフ・ジャム・レーベルの総帥ラッセル・シモンズからも認められ、パブリック・エネミーを始めヘヴィD、メアリー・J・ブライジ、ディアンジェロなどのミュージック・ビデオの監督を任される。

卒業後はコカ・コーラなどのCMを手がけ、1998年にクリス・タッカー主演の『ランナウェイ』で監督デビュー。続いて監督したタッカーとジャッキー・チェン共演の『ラッシュアワー』(1999)は、世界で2億5000万ドルを稼ぐ大ヒットとなる。ニコラス・ケイジ主演の『天使のくれた時間』(2001)も成功を収め、『ラッシュアワー2』(2001)は、世界で3億4200万ドルの収益を上げた。また『レッド・ドラゴン』(2003)は、2億5000万ドルの大ヒット。『ダイヤモンド・イン・パラダイス』(2006)も手堅くットさせ、現在はタッカー&チェンの「RushHour 3」(2007)を監督している。



■スタン・リー(原作&製作総指揮)

1963年9月に作画家のジャック・カービーとの名コンビによって、原作コミックスのX-MENを発表。約23年後の現在でも、X-MENは数多いコミックスの中でも売上NO.1の座をキープしている。その売上げ数は4億冊以上であり、25を越える言語に翻訳され、世界75カ国もの地域で販売されている。

生まれは1922年12月28日のニューヨーク州。1960年代初頭からマーベル・コミックス社で働き、編集者、アート・ディレクター、ライターとして大活躍し、当時は一週間に少なくとも2冊から5冊のコミックスを書き上げていた。当時スタンが生んだキャラクターには、スパイダーマン、ハルク、ファンタスティック・フォー、デアデビルなどがあり、マーベル社の全キャラクターの90%をスタンが生み出している。現在もマーベル社の名誉会長と編集委員として精力的に動き回り、自身が生んだキャラクターの映画には製作総指揮として関わりつつ、カメオ出演することを「趣味」の一つにしている。



■アヴィ・アラド(製作総指揮)

『X-MEN』(2000)、『X-MEN2』(2003)、『スパイダーマン』(2002)、『スパイダーマン2』(2004)、『ブレイド』(1999)、『ブレイド2』(2002)、『ブレイド3』(2005)、『デアデビル』(2003)、『ハルク』(2003)、『エレクトラ』(2005)、『パニッシャー』(2004)、『ファンタスティック・フォー[超能力ユニット]』(2005)などの公開済みの作品や、現在製作中または企画進行中の「Spider-Man3」(2007)、ニコラス・ケイジ主演「Ghost Rider」(2007)、ジョン・シングルトン監督の「Luke Cage」(2006)、トム・クルーズ主演との噂もある「Iron Man」(2008)、『ファンタスティック・フォー2』(2007)、『シン・シティ』(2005)のカーラ・グギーノ主演の「The Black Widow」(2006)、「Captain America」(2009)など、マーベル・コミックス社の生んだキャラクターの全映画の製作を務める。また、マーベル・スタジオの会長兼CEOとして、マーベル・グループを運営している主幹である。


■ケヴィン・フェイグ(製作総指揮)

マーベル・スタジオの製作担当社長も務める。ワーナー・ブラザース傘下の会社でローレン・シュラー・ドナーとリチャード・ドナーが主宰するドナーズ・カンパニーに入社。『ボルケーノ』(1997)や『ユー・ガット・メール』(1999)の製作に関わり、映画開発担当のポジションに就いて、『X-MEN』(2000)ではアソシエイト・プロデューサーを務めた。その後もマーヴェル社の映画製作に参加して、『スパイダーマン』(2002)の製作総指揮、『デアデビル』(2003)と『X-MEN2』(2003)の共同製作、『ハルク』(2003)の製作総指揮、『エレクトラ』(2004)の共同製作、『パニッシャー』(2004)と『スパイダーマン2』(2004)と『ファンタスティック・フォー [超能力ユニット]』(2005)の製作総指揮などを担当。現在は「Spider-Man3」(2007)に製作総指揮で関わっている。ハリウッド・リポーター誌の「ネクスト・ジェネレーション特集」の次代をリードする若手35人のうちの1人にも選ばれた。


■ジョン・パレルモ(製作総指揮)

ヒュー・ジャックマンが映画や舞台、TVを中心に製作を行う新会社、シード・プロダクションでジャックマンのビジネス・パートナーを務める。現在進行中の企画は、『X-MEN』サーガからのスピンオフ映画「WolVerine」(2007)を始め、「Fed-X」、「Rebound Guy」(2007)、「Drive」、「If You Could See Me Now」(2007)などがある。またシード・プロダクションは、20世紀フォックスとファースト・ルック契約を結ぶ一方で、ディズニーとのミュージカル映画の企画も進行させている。


■ローレン・シュラ・ドナー(製作)

夫であり、『リーサル・ウェポン』シリーズなどの監督でもあるリチャード・ドナーと製作会社のドナーズ・カンパニーを主宰。ハリウッドで最も成功した多作のプロデューサーの一人でもある。彼女の製作作品の総計は、20億ドル以上という。初製作作品の『ミスター・マム』(1984)の大ヒットを皮切りに、『X-MEN』(2000)と『X-MEN2』(2003)も製作。そのほか、『セント・エルモス・ファイヤー』(1986)、『プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角』(1986)、『ラジオ・フライヤー』(1992)、『デーヴ』(1993)、『フリー・ウィリー』(1994)と続編『フリー・ウィリー2』(1995)、『ユー・ガット・メール』(1998)、『エニイ・ギブン・サンデー』(2000)、『コンスタンティン』(2005)などをプロデュース。また製作総指揮の作品には、『ボルケーノ』(1997)、『ブルワース』(1999)、『ジャスト・マリッジ』(2003)などがある。現在は「WolVerine」(2007)など、4作品の製作を進めている。


■ラルフ・ウインター(製作)

『X-MEN』(2000)の大成功が認められ、20世紀フォックスと独占契約を結ぶ。そして、 『PLANET OF THE APES/猿の惑星』(2001)、『X-MEN2』(2003)、『ファンタスティック・フォー[超能力ユニット]』(2005)などの製作により、全世界で140億ドルの売上げを記録している。

20世紀フォックスとの契約以前のキャリアは、パラマウント映画のTV部門からスタートして映画界入り。製作者または製作総指揮として、『スター・トレック4/故郷への長い道』(1987)、『スター・トレック5/新たなる未知へ』(1989)、『スター・トレック、/未知の世界』(1992)などの旧スター・トレック・シリーズを手がけた。また、ディズニーでの業務経験もあり、『キャプテン・ロン』(1992/V)、『ホーカスポーカス』(1994)、『マイティ・ジョー』(1999)、『GO!GO!ガジェット』(2001/V)などの作品の製作総指揮、または製作を担当した。



■ジェームズ・フライターク(共同製作)

ブレット・ラトナーの『ランナウェイ』(1998)の第一助監督として参加して以来、『ラッシュアワー』(1999)、『ラッシュアワー2』(2001)、『天使のくれた時間』(2001)、『レッド・ドラゴン』(2003)、『ダイヤモンド・イン・パラダイス』(2006)といったラトナーの監督全作品に第一助監督とアソシエイト・プロデューサーとして参加している。

また、TVでも幅広く活躍していて、ビング・レイムズ主演のTVムービー「Don King:Only in America」(1997)では、DGAのドラマ・スペシャル部門の監督賞を共同受賞している。



■ロス・ファンガー(共同製作)

UCLAで英文学の学士号を獲得。卒業後は、まずパラマウント・テレビジョンのアシスタントとしてキャリアをスタートさせ、次にロケーション・マネージャーになり、『バーフライ』(1988)、『ミラクル・マイル』(1988)などを手がけた。1988年にディズニー・スタジオに製作エグゼクティブとして雇われ、『ビリー・バスゲイト』(1992)、『クール・ランニング』(1994)、『飛べないアヒル』(1993)と『D2/マイティ・ダック 飛べないアヒル2』(1995)など、在籍5年間におよそ20本の映画の製作に参加している。1995年からフリーとなり、『アダム・サンドラーはビリー・マジソン/一日一膳』(1995/V)、『絶対X絶命』(1998)などのプロダクション・デザイナーを担当。2000年から20世紀フォックスに雇われ、『X-MEN』(2000)、『X-MEN2』(2003)、『PLANET OF THE APES/猿の惑星』(2001)、『ファンタスティック・フォー[超能力ユニット]』(2005)、「ファンタスティック・フォー2」などの製作に参加している。


■サイモン・キンバーグ(脚本)

新進の脚本家として注目を集めている。1998年にコロンビア大学映画学科に入学。同校に在学中、『ウォール街』(1988)などの鬼才プロデューサー、エドワード・R・プレスマンと共同で脚本を執筆。同校で一番高い評価を受けている脚本賞のザキ・ゴードン・フェローシップを受賞している。ちなみに同校における最後の論文のプロジェクトが、あの『Mr.&Mrs.スミス』(2005)である。その論文が買い上げられ、2003年5月にプリ・プロダクションが開始される。同じ頃キンバーグも大学を卒業し、彼はほとんど毎日撮影セットに顔を出し、ワン・シーンだけ出演もしている。また、アイス・キューブに主演が交替したシリーズ第2作『トリプルX ネクスト・レベル』(2005/V)の脚本も執筆。ほかに、『Mr.&Mrs.スミス』のTV版のエグゼクティブ・プロデューサーや、脚本家としてダグ・リーマンとスティーブン・ソマーズの新作の脚本の執筆など、多くの企画で活躍中である。


■ザック・ペン(脚本)

23歳の時に最初に執筆した脚本、『ラスト・アクション・ヒーロー』(1993)が映画化されて以来、脚本家またはストーリー・コンサルタント、製作者として売れっ子となる。マーヴェル・コミックスでは『X-MEN2』(2003)にストーリー作家として参加し、『エレクトラ』(2005)では脚本を執筆している。そのほか、脚本家およびストーリー・コンサルタントとして関わった映画には、『メン・イン・ブラック』(1997)、『マスク・オブ・ゾロ』(1998)、『アンツ』(1998)、『マイティ・ジョー』(1999)、『GO!GO!ガジェット』(2001/V)、『ナッティ・プロフェッサー2/クランプ家の面々』(2000)、『チャーリーズ・エンジェル』(2000)、『エネミー・ライン』(2002)などがある。また、ネッシーを捜し続けるフィルムメイカーのワーナー・ハーゾクの人生を追ったドキュメント映画『Incident at Loch Ness』(2004)の監督・製作を務め、シアトル映画祭のニュー・アメリカン・シネマ賞を受賞した。


■ダンテ・スピノッティ(撮影監督)

1943年8月22日、イタリア生まれ。母国では1980年代初頭から活躍。『聖なる酔っぱらいの伝説』(1990)ではドナテロ・アワードを受賞した。アメリカでの初仕事は『刑事グラハム/凍りついた欲望』(1988)からで、同じ原作のブレット・ラトナー監督作品『レッド・ドラゴン』(2002)の撮影監督も務めている。なお、ラトナー監督作では、『天使のくれた時間』(2000)と『ダイヤモンド・イン・パラダイス』(2006)の撮影監督を担当。そのほかの撮影監督作には、ともにアカデミー賞の候補になりLA批評家協会の最優秀撮影監督賞を受賞した『L.A.コンフィデンシャル』(1998)と『インサイダー』(2000)。BAFTA賞に輝き、ASC賞にノミネートされた『ラスト・オブ・モヒカン』(1993)、『フォーエバー・フレンズ』(1989/V)、『トゥルー・カラーズ』(1991/V)、『恋のためらい/フランキーとジョニー』(1992)、『ネル』(1995)、『クイック&デッド』(1995)、『ヒート』(1996)、『ワンダー・ボーイズ』(2000)、『バンディッツ』(2001)、『ピノッキオ』(2003)など。


■エドワード・ヴァリュー(プロダクション・デザイナー)

スティーブン・スピルバーグの常連プロダクション・イラストレーターとして、『E.T.』(1982)、『カラーパープル』(1986)、『太陽の帝国』(1988)、それに『インディ・ジョーンズ/レイダース 失われたアーク《聖柩》』(1981)と『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(1984)、『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』(1989)の3部作などを担当した。ほかにプロダクション・イラストレーターとしてクレジットされている作品は、『ブルース・ブラザース』(1981)、『マーズ・アタック!』(1997)など。プロダクション・デザイナーとしては、『コンタクト』(1998)、『ミッション・トゥ・マーズ』(2000)、『ジュラシック・パーク。』(2001)、『スコーピオン・キング』(2002)、ベン・スティラー&オーウェン・ウィルソンの『スタスキー&ハッチ』(2004/V)などがある。美術監督としては、『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』(1989)と『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』(1990)、『キャスパー』(1995)など。


■マーク・ヘルフリッチ(編集)

ブレット・ラトナーが、マドンナのミュージック・ビデオクリップ「ビューティフル・ストレンジャー」を演出して以来、『ランナウェイ』(1997)、『ラッシュアワー』(1998)、『ラッシュアワー2』(2001)、『天使のくれた時間』(2000)、『レッド・ドラゴン』(2002)、『ダイヤモンド・イン・パラダイス』(2004)といったラトナーのすべての監督作品の編集を担当している。そのほか『ランボー/怒りの脱出』(1985)、『ジャンピン・ジャック・フラッシュ』(1986)、『アクション・ジャクソン/大都会最前線』(1987)、『ラスト・ボーイスカウト』(1991)、『ショーガール』(1995)、ジェシカ・アルバ主演の『ダンス・レボリューション』(2003/V)、『最終絶叫計画』(2000)などを手がけた。


■ジョン・パウエル(音楽)

幅広い活動分野と豊かな音楽性で注目を集めている才人。映画界における本格的なキャリアのスタートは、巨匠ハンス・ジマーのアシスタントからだった。それ以前は、ロンドンのパブ・バンド、ファビュリスティックに在籍し、ダイアナ妃の前で演奏したこともある。映画音楽に専念するようになってからは拠点をロサンゼルスに移す。『フェイス/オフ』(1998)で注目を集め、『アンツ』(1998)では、ジャズとラテンとクラシックのミックスといった実験的な音楽も成功させている。なお、アニメ作品の音楽には『シュレック』(2001)と『シュレック2』(2004)、『ロボッツ』(2005)、『アイス・エイジ2』(2006)、ジョージ・ミラー監督の期待作『ハッピー・フィート』などがある。実写映画の音楽では、『I am Sam アイ・アム・サム』(2002)、『トゥー・ウィークス・ノーティス』(2002)、『ボーン・アイデンティティー』(2003)と『ボーン・スプレマシー』(2005)、『ドラムライン』(2004)、『ペイチェック 消された記憶』(2004)、『アルフィー』(2005)、『BeCool/ビー・クール』(2005)など話題作を多く手がけている。


■ジョン・ブルーノ(視覚効果スーパーバイザー)

『アビス』(1990)でアカデミー賞特殊視覚効果賞を受賞。同賞には、『ゴーストバスターズ』(1984)、『ポルターガイスト』(1982)、『バットマンリターンズ』(1992)、『クリフハンガー』(1993)、『トゥルーライズ』(1994)で5度ノミネートされている。そのほかブルーノは、ILMのアニメーション効果部のスーパーバイザーとして、『スター・トレック2/カーンの逆襲』(1983)や『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還』(1983)などを手がけ、ボス・フィルムズの共同設立者となった。ボス・フィルムズでは『2010年』(1985)、『ダイ・ハード』(1989)の視覚効果を担当。また、ジェームズ・キャメロンとのコンビでは、『ターミネーター2』(1991)の視覚効果デザイン、『タイタニック』(1997)の視覚効果スーパーバイザー、I-MAX用の『ジェームズ・キャメロンのタイタニックの秘密』(2003)の製作と第2ユニット監督を務めた。なお『ヴァイラス』(1999)で監督デビュー、『エイリアンVS.プレデター』(2004)の視覚効果アドバイザーと第2ユニットの監督も務めている。


■ジュディアンナ・マコフスキー(衣裳デザイナー)

衣裳デザイナーとして、『カラー・オブ・ハート』(1999)、『ハリー・ポッターと賢者の石』(2001)、『シービスケット』(2004)で、3度アカデミー賞にノミネートされている。また、『ハリー・ポッターと賢者の石』ではBAFTA賞にもノミネートされている。そのほかに衣裳デザインを担当した作品には、『運命の逆転』(1991)、『私に近い6人の他人』(1995)、『リトル・プリンセス』(1995)、『クイック&デッド』(1995)、『白い嵐』(1996)、『ロリータ』(1997)、『ディアボロス』(1998)、『プラクティカル・マジック』(1998)、『大いなる遺産』(1998)、『グロリア』(1999)、『ラブ・オブ・ザ・ゲーム』(2000)、『バガー・ヴァンスの伝説』(2001)、『ナショナル・トレジャー』(2005)などがある。