『X-MEN ファイナルディシジョン』来日記者会見
●2006年7月13日パークハイアット東京にて
●出席者:ヒュー・ジャックマン、ハル・ベリー、ファムケ・ヤンセン、亀田興毅(ゲスト)
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2006年7月13日(木)、パークハイアット東京にて『X-MEN ファイナルディシジョン』の来日記者会見が行われた。当日は、ヒュー・ジャックマン、ハル・ベリー、ファムケ・ヤンセンの各氏が登壇。また、スペシャルゲストとしてプロボクサーの亀田興穀氏も会場に駆けつけた。


【質疑応答】

◆質問:みなさんに質問いたします。この人気シリーズに出演して得たものは?

■(ヒュー・ジャックマン):美しい女性に囲まれてする仕事の楽しさでしょうか。そして、この『X-MEN』は私のアメリカ映画のデビュー作だったんです。つまり、新人としてこの映画に加わったので、素晴らしいキャストと共に3作撮りまして、すべての経験を楽しんで参りました。そして、このパート3、この素晴らしいシリーズの最後を飾る結末としまして、誇りに思っております。みなもそのように思っていると思いますけれども、非常に誇りに思っております。すべての年齢層にわたる映画ということでも誇りに思っております。

■(ハル・ベリー):今回、いろいろなことを学びました。私にとっては、今回、初めて映画において同じ役を3回繰り返して演じるという経験をいたしました。今までは、映画で役を演じて、終わるとその役とはお別れということになっていたのですが、6年をかけてこのキャラクターと共に成長することができましたし、いろいろな発見がありました。そして最高なのは、ここにいらっしゃる素晴らしい方々とも知り合いになりまして、そして、彼らからいろいろと学ぶことができました。ヒュー・ジャックマンさんはトニー賞を獲られたばかりですし、サー・イアン・マッケランさんは、すべての賞を獲っているといってもいいくらいの方ですし、アンナ・パキンさんは9才にしてオスカーを受賞されて、本当に才能あふれる方々と一緒に仕事をすることができまして、彼らの仕事ぶりですとか倫理観などからいろいろと学ぶことができました。

■(ファムケ・ヤンセン):あまりこれ以上、付け加えることはないのですが、一つ付け加えるとすれば、本当にこのコラボレーションは素晴らしかったと思います。考えてみますと、6年間一緒に仕事をしてきたわけです。6年間にいろいろなことがありました。中には離婚した人もおりましたし、結婚した人もおりますし、また子供が産まれた方もおります。そういった形で私生活なども共にしまして、いろいろ経験を共有できたことは本当に素晴らしかったと思います。そして、このような6年間を過ごしたスタッフ、キャストは(今までに)なかったと思います。

◆質問:それぞれ、一番見て欲しい場面、気に入っている場面は?

■(ヒュー・ジャックマン):最後の方の場面はあまりばらすとまずいので、ばらさないように申し上げますけれども、最後のファムケと絡むシーンの彼女の演技が本当に素晴らしかった。この映画はいろいろなところにメッセージが込められておりますけれども、特に、今回言っているのは、「あなたは愛する人を救うためにどこまでできるか」 ─ それを問いかけているのがこの映画です。最後、演劇的なスケールにおいて感動的なものを伝えています。

■(ファムケ・ヤンセン):私もどうしても、ヒュー・ジャックマンとのシーンなんですけれども、こういうタイプの映画ですと、演技力を発揮できるシーンがなかなかないのです。どちらかというと、グリーンスクリーンの前で特撮の演技を要求されてしまいます。この映画では、研究所の機械の前に私が横たわっております。そして、目が覚めるとヒューがいるという場面なのですけれども、あれは実は、1作目の『X-MEN』の時に、まったく逆の立場でウルヴァリンが眠っていて、私が傍に立っていたというように、本当に逆なのです。このシーンは、本当に演技力を発揮できたシーンです。これまで3作、彼と一緒に仕事をしてきて、なかなかあそこまで演技ができるシーンがなかったので大変印象に残っておりますし、あそこでの彼の演技は大変素晴らしかったと思います。


■(ハル・ベリー):私の大好きなシーンというのは、ファムケもヒューも私も出ていないシーンなんです。観客の一員として観た時に、私が本当に感動したシーンは、 ─ エンジェルという役がありまして ─ エンジェルが初めて翼を広げるというシーン、とてもポエティックで、シュールで、美しくて、非常に平和的なシーンなんですね。あんなシーン撮ってたのね、ってびっくりしましたが、その後で、実は彼の父親は彼の翼に対して反対していたのですけれども、その父親の命を救うことになるわけです。そこが演劇的でもあり美しく、人生の比喩のような気がしました。とても美しいシーンでした。

◆質問:監督が、ブライアン・シンガー監督からブレット・ラトナー監督になりましたけれど、いかがだったでしょうか? 他の監督とは違った点などありましたらお願いします。

■(ファムケ・ヤンセン):ブライアンとブレットというのは本当に違う監督なんですね。まさに、ブライアン・シンガー監督はとても落ち着いてらっしゃるインテリタイプ。反対に、ブレット・ラトナー監督は、本当にエネルギッシュで楽しく、一緒に仕事をしようというタイプ。ですから、必然的にセットでの雰囲気も違います。ただ、今回、ブレット・ラトナー監督が気にかけていたのは、これは3部作の1本であるということ、これまでにブライアン・シンガー監督が作り上げてきたものを大切に受け継ごうという姿勢を持っていました。もちろん、彼なりに足したものもありましたけれども、それはそれなりに、以前の作品のトーンに添ったものを出したのです。強いて言えば、より感動的になったかもしれませんし、それなりにいろいろ足したこともあったかもしれませんけれども、果たして、これは以前の2作品とまったく違う作品になっているかというと、そうではないと思います。本当に一つのトーンを受け継いで作られていると思います。センスは少し違いますし、とにかく現場では元気なんですけれども ─ エネルギッシュで24時間ジャンプし続けているような監督でした。とにかく、この作品の監督になることができて、喜んでエキサイトしているということが端から見ていてもよくわかりました。

◆質問:みなさん、すごく完璧に見えるのですが、自分の中で何かキュア(強制的に人間のある部分を変えてしまうこと、また、それを可能にする新薬として作品の中では語られている)したいことはありますか? そして、キュアしてしまうということについてどのように思われますか?

■(ハル・ベリー):実は、ここで出てくるキュアに関しては、非常に強く反対しています。私としては、現実にこういうキュアというものが出されて、たとえば、有色人種全員 ─ 私も日本人のみなさんも含めて ─ 色をなくして、白人になるようにと言われたら、果たしてどれだけの人がその薬を飲むでしょうか。本当に、現実的に考えて非常に腹立たしく、憤りを感じました。今は私も不完全な人間だと思っています。完璧ではない ─ 完璧に不完全だと思っておりますし、この太ももの肉だけはなんとかしたいなぁと思っております(笑)。

■(ヒュー・ジャックマン):私は今、37歳です。人間37歳になりますと、もうこれでいいと思うようになります。15歳の時の私は、スティック(棒)というあだ名がついてしまうほど背丈があって、足が長く痩せていて、 ─ 当時『V』というテレビ番組があったのですが、私はVの形のニキビが額にできておりまして、その時だったら、キュアがあればと思ったかもしれません。しかし、今は親になりました。6歳の子供がおります。子供が学校へ行くとアクセントを笑われたり、髪の毛を笑われたりするんですね。私は、それで子供が虐められても、親として一つとしてそれを変えてあげたいとは思いません。子供は確かに虐められてトラウマにはなるかもしれませんし、気にもかけますけれども……それが、この映画が伝えようとしていることなんです。そういう差別はどんな時にも起こる。ナチスドイツの例もあります。今も世界では、差別的な問題、政治的な問題が起こっております。みんなある時、人と自分とは違うのではないかと、ミュータントのような気分を味わいます。でも、その克服を語っているのがこの映画で、まさにこの映画の素晴らしいところなんです。

■(ファムケ・ヤンセン):やはり、人生の中で、いろいろな葛藤は誰しもあるとは思います。人はそれぞれ違います。肌の色から始まって、人種だったり、宗教だったり……政治的思想が違う人たちもいるでしょう。考えてみると、歴史を振り返ってみても、あらゆる戦争は、これらなんらかの原因で起きていると思います。『X-MEN』の本当に素晴らしいところというのは、 ─ もちろん、これは大人から子供まで楽しめる作品ですが ─ 特に、思春期の方々に見てもらいたいと思えるところです。彼らの年代は疎外感を抱えています。そして、人に受け入れてもらえないのではないかという不安も抱えています。この映画はコミックが原作です。最初のうちは、この作品にそれほどの期待感はなかったでしょう。でも、結果的にはとてもインパクトのある、疎外感を抱えている人たちにもとてもインパクトのある作品になって、それが3本も作られたということに、私は大変誇りを持っています。

◆質問:特に大変だったアクションシーンは?

■(ハル・ベリー):前回、1作目、2作目では稽古はしていたんですけれども、 ─ あれは飛ぶための稽古だったんですが ─ 一度も使われなかったんです。今回、初めて飛ぶことができまして、それはとても興奮していたんです。そして、今度は旋回というのもありまして、トルネードを作るために、時速90マイルで旋回させられたんです。初めはとても喜んでいましたが、人間の身体というのは……時速90マイルで旋回しますと必ず吐くんです。ですから、スタッフの上に吐いてしまいまして(笑)。確かに、今回のストーム役はアクションがたくさんあって楽しかったと思います。

■(ヒュー・ジャックマン):彼女が吐いたものをかぶった35歳のスタッフは、もったいないと言ってTシャツを洗っていないんです(笑)。私はスタントは大好きです。3本とも私のスタントをやっていたスタントマンが足を折ってしまい、自分でやることになったのですが、800フィートの距離を4秒間で走るところで、グライダーに縛り付けられて飛ぶんですが、あまりに風圧で顔が強ばってしまいNG。5テイクもいってしまいまして……。息子が現場に来ていたので、息子もそれに乗せて飛ばせば喜ぶと思って飛ばしてみたら、大喜びでした。

(通訳者の表現をもとに採録。細部の言い回しなどには若干の修正あり)


『X-MEN ファイナルディシジョン』は2006年9月9日より日比谷スカラ座ほかにて公開。