【プロダクションノート】
今日の映画界でもっとも影響力のある2人、トム・クルーズとジョン・ウーが、ロマンティック・アクション・スリラー『M:I-2』のために手を組んだ。今回は、特別諜報員イーサン・ハントが、コンピューターを自在に操るルーサー・スティッケル(ヴィング・レイムス)を見方に、美しき怪盗(サンディ・ニュートン)に心を奪われながら、想像を超えた恐るべき国際的な危機に追い込まれる。そしてハントはオーストラリア、スペインを駆け抜け、不可能(インポッシブル)にしか思えないミッション(敵が破滅的な作戦を満たす前に阻止するという)に挑む。
トム・クルーズが主演する、パラマウント・ピクチャーズ提供、アクションの巨匠ジョン・ウー監督による『M:I-2』。トム・クルーズとポーラ・ワグナーがプロデューサーを担当。ブルース・ゲラーによるテレビシリーズに基づく脚本の執筆はロバート・タウン。クルーズ/ワグナー・プロダクションによる『M:I-2』の製作総指揮はテレンス・チャンとポール・ヒッチコックが担当した。キャストには、ダグレイ・スコット、サンディ・ニュートン、リチャード・ロックスバーグ、ジョン・ポルソン、ブレンダン・グリーソン、レイド・セルベッジアほか。パラマウント・ピクチャーズはヴィアコム・インクのエンターテインメント部門の一部である。
■小さな画面からビッグ・スクリーンへ
1960年代から1970年代初期にかけてCBSテレビで放送されたシリーズ“スパイ大作戦”の大ファンだったトム・クルーズは、この番組を映画化することを考えついた。そして1996年、『ミッション:インポッシブル』が公開され、世界的な大ヒットとなり、彼の夢はかなえられたのである。「トムは、従来の方法論を破棄することで問題を解決するスパイ・グループの頭の良さが気に入っていました」クルーズのプロダクション・パートナーであるポーラ・ワグナーが語る。「シリーズはとても知的で、観客が夢中になるようなあらゆる要素を備えていました。つまり、ロマンスがあって、ドラマがあり、しかも、アドベンチャーとアクションが盛り込まれています」。
「今回の映画は1作目の『ミッション:インポッシブル』とは違っています」ワグナーが続ける。「もっと個人的なストーリーになっています。エキサイティングなアクション・ドラマのなかで、イーサン・ハントのロマンティックな一面を見ることができるんです」。
■ジョン・ウーとのジョイント
監督を選ぶにあたり、クルーズとワグナーは、プロジェクトのリーダーとして誰を選ぶかについて迷うことはなかった。
「私たち2人ともジョン・ウーの大ファンです」ワグナーが語る。「ジョンは信じられないほどの情熱を仕事にかける人です。彼は世界でも最高のアクション監督ですが、人間的な心の葛藤や弱さ、矛盾、ロマンスといった要素にも非常に気を配る人です。しかも、ユーモアをよく理解しています。ジョンとトムの2人は、怖いものなしの最強のコンビです」。
クルーズが語る。「ジョン・ウーはものすごい人です。彼は『ミッション:インポッシブル』のアイディアを把握し、神話化しました。彼のアクションには現実と超現実が見事に組み合わされ、それが感情的な部分をとてもリアルに見せます」
「私はいつでも何か新しいことをやりたいと思っています。ウーが語る。「今まで一度も触れたことがないようなことです。このプロジェクトはまさにそれを手にするチャンスでした。私にとって、ストーリーの一番重要な面は人間的な要素だったのです。ドラマ性がある、感情と魅力があふれた内容にしたいと思いました。2人の男が1人の女性を好きになるというアイディアが気に入りました。そのために、ストーリーが感情的に大きく広がったと思います」
ストーリーを新しいミレニアムにもたらすことは、ジョン・ウーにとってまた別のエキサイティングなチャレンジとなった。
「アイディアを現代的なものにするために、21世紀のテクノロジーを持ち込む必要がありました」ウーが語る。「映画を新しいものに見せるため、我々は多くのコンピューターのエキスパートの助けを借り、最新鋭のデザインを追求したのです。それに、トムにも新しいイメージが必要だと思いました。今回の新しいルックスは、すべてトムのアイディアです。髪の毛を長くしたり、服の選び方などです。この映画では彼はとてもエレガントで、魅力にあふれ、セクシーです」
ウーの作品はスタイリッシュなアクション・シークエンスで有名だが、この『M:I-2』も例外ではない。
「私はとても感情に訴える手法でアクションを撮るのが好きです」ウーが語る。「スローモーションを使い、シークエンスにロマンスの要素をもたらすんです。アクションはバレエのようなもので、時にはアニメーションにもなります。
■国際的なキャスト
『M:I-2』は非常に国際的なプロジェクトであるが、映画製作者たちはキャストの顔ぶれにもそれを反映させたいと考えた。「世界中からあらゆる分野の俳優陣を集めました。作品には、まったく違う文化や国民性が盛り込まれています」ポーラ・ワグナーが語る。
スコットランドで人気を博す俳優のひとり、ダグレイ・スコット(“The Prohect”、『ディープ・インパクト』)はハントの元同僚の諜報員で、今や、恋敵であり、戦う相手となるショーン・アンブローズを演じる。「私たちは実力をつけて伸びている俳優を使いたいと思いました」
ワグナーが語る。「ダグレイは大きな幅を持ったすばらしい役者です。彼を見ると、鋼鉄のような鋭い目つきに気づきますが、次の瞬間には、人を恋しているロマンティックな男の姿が見えます。そういった二面性がこのキャラクターには必要でした」。イギリス人女優のサンディ・ニュートン(“Beloved”、『グリッドロック』)は2人のライバルたち、ハントとアンブローズの心を奪う国際的な怪盗、ナイア・ホールを演じる。
「ナイアの役を決めるのは特に大変でした」ワグナーが語る。「彼女にはある意味で弱さが必要でしたが、同時に本物の自立した女性の雰囲気も必要だったからです。私たちは新しいミレニアムを代表するような女性を探しました。彼女は女性的で、セクシーで、とても頭がきれて、しかも、必要な時には肉体を駆使できる人です。サンディはずばぬけた才能のある女優で、そういった要素をすべて披露できるような幅の広さを備えています」
ヴィング・レイムスは、トム以外で唯一人、1作目の『ミッション:インポッシブル』と同じ役柄で出演する。「ヴィングについて面白いのは、見かけと実際の中身が違う二面性のあるところです」ワグナーが語る。「彼の役はコンピューターの天才で、やさしい心の持ち主です。でも、一方で彼は非常に支配的な、他を圧倒するような肉体的な存在感を持った人です。観客は彼に魅了されるでしょう」
■トム・クルーズがスタントに挑む
『M:I-2』は1999年の春と夏に撮影され、キャストとクルーはオーストラリアから、ユタ州、そしてロサンゼルスへと移動した。撮影の中でも一番興味をそそる一面は、クルーズがスタントのほとんどを自分自身で行うと主張したことだった。おかげで、ウー監督はハラハラしながら見守ることになった。
「トムが自分でスタントをやりたがったことは、本当に高く評価しています」ウーが語る。「でも、時々はトムのおかげで恐い思いをしました。もちろんトムが大きな信頼を寄せているブライアン・シュムズをリーダーとするすばらしいスタント・チームが控えていて彼らの準備は万全でした。それでも、“もしも、何かがうまくいかなかったら、ケーブルが切れたら”といった思いを完全に忘れ去ることはできなかったんです」『M:I-2』のなかでクルーズが気に入った体験のひとつは、ユタ州のモアブで撮影した登山のシーンだった。
「F-14(米海軍の現用主力艦上戦闘機・トムキャット)やF-18(ホーネット)で飛べば、あそこにすぐ着けたでしょうね」とクルーズが語る。「あの場所では素敵な、信じられないほど楽しい気分を味わいました。指を一本かける幅もないほどの場所もあったんです。」。一方でウーはこう語っている。「あれは私にとっては最悪の撮影でした。トムが何千フィートもの空高く、断崖の一方に吊り下がり、ヘリコプターがほとんど彼に触れそうな位置にいました。彼はただ1回のスタントをやるというわけではありません。完璧に見せるために、何度もやるからです」
しかしながら、ウーは何がクルーズをそうさせるかについては理解していた。「トムは観客と心を通わせたいという気持ちが強いんです」ウーが語る。「そのために、彼は何もかも自分でやるんです。観客を落胆させたくないからです」。ワグナーが付け加える。「クルーズは自分の限界を知っています。彼は最終的な責任を自分に対して負っていますし、そばにいる立派なチームの人たちを信頼しています。彼は肉体的には強い印象を与えますし、すばらしい集中力を備えています」
■オーストラリア
オーストラリアでの撮影ロケ地は、首都のシドニーから広大な奥地にある町、ブロークン・ヒルにまで及んだ。
ダグレイ・スコットの役柄(アンブローズ)が住む美しい家は、実際のところ、シドニーの港のそばに建てられたセットだったが、ここは観光客のアトラクションとなった。港のフェリーの航路には、『M:I-2』の家という項目が追加され、撮影風景を見ようとするツーリストが乗り込んだクルーザーがそばを通り、撮影が中止されたこともあった。また、シドニーの有名なロイヤル・ランドウイック・レース・トラックでも撮影が行われた。そこには、エキストラの募集広告に応じた人々が多数押し掛けた。
他にも、港を見下ろすシドニーのロイヤル・ボタニカル・ガーデンや、シドニーでもっとも歴史的な意味のある家々が並ぶブーメランでのロケが行われた。命知らずのバイクによるチェイス・シーンなどエキサイティングなスタント・シーン、シドニー近くにある、オーストラリアの国立公園と野生事業団が管理している無人島、ベア・アイランドで撮影された。そこで撮影されたシーンの一つは“バイクによる一騎打ち”として名づけられたが、ハント(クルーズ)とアンブローズ(ダグレイ・スコット)が中世の騎士たちが馬にまたがったようにバイクに乗り、激突し、宙に投げ出される。
撮影は、また、オーストラリアの広大な奥地にあるシドニーの北西にあたる町、ブロークン・ヒルでも行われた。そこは砂漠とサボテンに囲まれ、アメリカ人の俳優やクルーにとって嬉しかったのは、カンガルーがたくさんいたことだった。
アメリカに戻ってからは、クルーズとニュートンはロサンゼルス近郊にあるサン・ガブリエル・マウンテンでカー・チェイスのシーンを撮影した。ロケ地が決定されてまもなく、山で巨大な火事が発生し、映画製作者たちは火が徐々に迫ってくるのを見ながら息を詰めていた。
■音楽
『M:I-2』のサントラにはオスカー賞受賞の作曲家、ハンス・ジマー(『ライオン・キング』)のスコアが含まれ、この中には即座に誰もが気付くテーマ音楽と、今現在もっとも活躍しているレコーディング・アーティストの歌が組み合わされている。実際の映画用のサントラと別個のサントラ・アルバムの両方に収録されているのは、メタリカの“アイ・ディスアピア”で、これは彼らが初めてサントラのために録音した曲である。そしてもう一曲は、“M:I-2のテーマ”を手がけたリンプ・ビズキットの力強い生のテイクである。サントラ・アルバムにのみ収録されているのは、ピンク・フロイドの“ハヴ・ア・シガー”をカバーしたフー・ファイターズ&ブライアン・メイのほか、この作品のために新たにレコーディングした、ロブ・ゾンビ、クリス・コーネル、トリ・エイモスなどの曲がある。
ミュージック・スーパーバイザーのミッチェル・レイブが語る。「このサントラのために、世界でも最大の演奏をねらいました。クリエイティブな過程で、サントラに収録された演奏を聞いていて、私はひどく感動しました。ジョン・ウーのような力のある監督、トム・クルーズというスター、クルーズとワグナーのプロデュースで、『M:I-2』といったフランチャイズを組み合わせると、最高のアーティストから最高のパフォーマンスが引き出せるんです」
|