「テックス・エイヴリー 笑いのテロリスト」


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【上映作品】<『』=邦題/原題/()=製作年/[]=キャラクター名>


Aプログラム(91分)

『人の悪いリス』(44)Screwball Squirrel [狂暴リス]
◇ストーリー=ヘック・アレン、アニメーション=プレストン・ブレア、エド・ラヴ、レイ・エイブラムズ、音楽=スコット・ブラッドレー

◎鳥がさえずるのどかな森に現れた狂暴リス。狂暴リスがおふざけで犬を電話に呼び出すと、いつ終わるとも知れない追いかけっこがはじまる。
◎「狂暴リス」のデビュー作。リス=愛らしいペットという先入観が一瞬にケシ飛んだ。




『うそつき狼』(42)Blitz Wolf [狼] 1942年アカデミー賞ノミネート
◇ストーリー=リチャード・ホーガン、アニメーション=レイ・エイブラムズ、アーヴェン・スペンス、プレストン・ブレア、エド・ラブ、音楽=スコット・ブラッドレー

◎ご存知「三匹の子豚」のテックス版。一匹の子豚(ポーク軍曹)が、ヒットラー狼との条約に署名すれば平和が保証されるという口車にはのらなかったため、狼と三匹の子豚との攻防戦が始まる。
◎1942年度アカデミー賞にノミネートされたが、オスカーを受賞したのはコミック的にも映像の豊かさの点でも明らかに劣る、とても似通ったディズニー作品「総統の顔」Der Fueher's Face(43/未公開)。「あれには全くやられちまったよ」とはテックスの談。さまざまに姿を変えながらMGM作品を通じてたびたび登場するにもかかわらず、ちゃんとした名前がないテックスの「狼」はこの作品でデビューを果たす。
この狼はキャラクターとしては連続ギャグとアニメの華麗さを表すのに最適で、他の愛すべきキャラクターの誰よりもテックスの個性を一番良く反映している。




『ドルーピー/つかまるのはごめん』(43)Dumb-Hounded [ドルーピー、狼]
◎警察犬ドルーピーが狼の刑務所破りを阻止する。あの手この手で世界中を逃げ回る狼。しかし、息を切らせて逃亡した先々には必ず、ポーカーフェイスのドルーピーが狼を待ち構えている。
◎「ドルーピー」シリーズ第一作。初期のレギュラー敵役は狼。彼が脱獄するのは、N.Y.州の「SING SING(シンシン)」刑務所をもじった「SWING SWING(首つり)刑務所」。




『腹ぺこハゲタカ』(43)What's Buzzin' Buzzard
◇アニメーション=エド・ラブ、レイ・エイブラムズ、プレストン・ブレア、音楽=スコット・ブラッドレー

◎くる日もくる日もエサを探す二羽のハゲタカ。やがて空腹のあまり相手が食べ物に見えてくる。相手を食べてしまおうと必死で知恵を絞るが…。



『ぼくはひとりぼっち』(46)Lonesome Lenny [狂暴リス]
◇ストーリー=ヘック・アレン、アニメーション=レイ・エイブラムズ、プレストン・ブレア、ウォルト・クリントン、エド・ラブ、音楽=スコット・ブラッドレー

◎ブツブツ言いながらドッグフードのボウルを握りつぶす、バカ力のある大きくてまぬけな犬レニー。ペット屋で「イカれたリス」として売られていた狂暴リスは、ある日、レニーの「友達」として買われていく。
◎「狂暴リス」の第5作。最終回にふさわしい(!?)結末。「『二十日鼠と人間』から話を頂戴して、大きくてまぬけな犬を登場させたんだ」とのテックス談。




『スカンク君の悩み』(48)Little 'Tinker
◇アニメーション=ウィリアム・シュル、グラント・シモンズ、ウォルター・クリントン、ロバート・ベントレー、音楽=スコット・ブラッドレー、プロデューサー=フレッド・クィンビー

◎ガールフレンドを見つけようと必死のB.O.(体臭)スカンクは、フランク・シナトラのもの真似をして女の子の気をひこうとするが…。



『ウルトラ小鴨』(48)Lucky Ducky
◇ストーリー=リチャード・ホーガン、アニメーション=ウォルター・クリントン、プレストン・ブレア、ルイ・シュミット、グラント・シモンズ、音楽=スコット・ブラッドレー、プロディーサー=フレッド・クィンビー

◎カモ狩りにやってきた2匹の犬。朝6時の「狩り解禁」とともに、小さいくせにセクシーで頭がきれるウルトラ小鴨との追いかけっこが始まる。
◎ワーナーで演出した『ポーキーのアヒル狩り』(37)に似た、ジョージとジュニアの冒険として生まれたこの作品は、この小鴨を新しいスターに使用との意図もうかがえる。小鴨が卵の殻を脱ぐ場面はストリップティーズの戯画化。最初と最後の鴨たちの踊りに狂喜した筒井康隆は、彼の戯曲「三月ウサギ」に、そのマンガを取り入れた。




『月へ行った猫』(48)The Cat that Hated People
◇ストーリー=ヘック・アレン、アニメーション=ウォルター・クリントン、ルイ・シュミット、ウィリアム・シュル、グラント・シモンズ、音楽=スコット・ブラッドレー

◎人間嫌いの猫が地球を捨ててロケットで月に脱出するが、月面で遭遇したのはもっととんでもない世界だった。幸せな住みかはどこに…?
◎ルナティックという言葉があるように、月はもともと狂気のイメージがあるが、月の狂気よりも地球の悪意の方がましだというエンディングは、ただ事ではない。




『ねむいうさぎ狩り』(49)Doggone Tired
◇ストーリー=リチャード・ホーガン、ジャック・コスグリフ、アニメーション=ボブ・キャノン、マイケル・ラーグラント・シモンズ、ウォルター・クリントン、音楽=スコット・ブラッドレー、プロデューサー=フレッド・クィンビー

◎猟師が「明日はウサギ狩りだからしっかり寝ておきなさい」とポインター犬に言うのを聞き付けたウサギは、あの手この手で犬を寝かさないようにする。
◎「睡眠不足」「安眠妨害」はコメディのパターンのひとつ。漫画映画ではディズニーの『ドナルドの目覚まし時計』(41)、『ドナルドの神経衰弱』(47)ハナ・&バーベラの『トイさんと悪友』(51)等々がある。




『田舎娘と都会娘』(49)Little Rural Riding Hood
◇ストーリー=リチャード・ホーガン、ジャック・コスグリフ、アニメーション=グラント・シモンズ、ウォルター・クリントン、ボブ・キャノン、マイケル・ラー、音楽=スコット・ブラッドレー、プロデューサー=フレッド・クィンビー

◎赤頭巾ちゃんに夢中の田舎娘は、都会に住むいとこの誘いで都会に行くことに。田舎娘は、都会のナイトクラブで歌う赤頭巾に、ハメをはずして興奮する。
◎「踊り子と娘」シリーズ最後にあたる6作目。




『冬眠中はお静かに』(52)Rock-a-Bye Bear [スパイク]
◇アニメーション=マイケル・ラー、ウォルター・クリントン、グラント・シモンズ、ストーリー=ヘック・アレン、リチャード・ホーガン、音楽=スコット・ブラッドレー、プロデューサー=フレッド・クィンビー

◎冬眠中の熊に番犬として雇われたスパイク。熊に「静かにしろ!」とキツクくぎを刺され、ひたすら音をたてないように気をつける。しかし、スパイクを妬んで失職させようとするライバルの犬が、あの手この手でスパイクにちょっかいをだし…。
◎これも「安眠妨害」パターンの快伝。ハナ&バーベラの『ただいまお昼寝中』(45)、『王様を起こさないで』(58)などもその中に入る。




『呪いの黒猫』(49)Bad Luck Blackie
◇ストーリー=リチャード・ホーガン、アニメーション=グラント・シモンズ、ウォルター・クリントン、プレストン・ブレア、ルイ・シュミット、音楽=スコット・ブラッドレー、プロデューサー=フレッド・クィンビー

◎極悪ブルドッグにいじめられている子猫に救いの手をさしのべた黒猫。子猫をいじめようとするブルドッグの前をよこぎるたびに、ブルドッグを不幸が襲う。
◎オープニングタイトルはエドガー・G・ウルマー監督の古典的ホラー『黒猫』(34)の視覚効果に負っているようだ。ひとに不運をもたらすという超能力を、黒猫が前向きに自覚したらどうなるか?これぞ発想の逆転!?




 
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【上映作品】<『』=邦題/原題/()=製作年/[]=キャラクター名>


Bプログラム(91分)

『おかしな赤頭巾』(43)Red Hot Riding Hood [狼]
◎「赤頭巾ちゃん」の赤頭巾は、この定番のお伽噺を繰り返し演ずるのを拒否。現代版を要求する。
◎「踊り子と狼」シリーズ第一作。レイモンド・デュルグナットはクレイジー・ミラー誌において、テックスについて「お伽噺をここまで茶化すか、というほどうまくコワーイお話に転化させている。」と述べている。




『のろまな早起鳥』(42)The Early Bird Dood It!
◇ストーリー=リチャード・ホーガン、アニメーション=アーヴェン・スペンス、プレストン・ブレア、エド・ラブ、レイ・エイブラムズ、音楽=スコット・ブラッドレー

◎鳥に追われるイモ虫が猫をたきつけて鳥を追いかけさせる話。敵の敵は味方になりうるか?



『狼とシンデレラ』(45)Swing Shift Cinderella [狼]
◇ストーリー=ヘック・アレン、音楽=スコット・ブラッドレー、アニメーション=レイ・エイブラムズ、プレストン・ブレア、エド・ラブ

◎レギュラーの「赤頭巾ちゃん」から抜け出した狼はシンデレラの「素敵でコワイ世界」にもぐり込む。
◎「踊り子と狼」第3作。「Swing Shift」は「夜勤交替」の意味。第二次世界大戦を勝ち抜くためには、シンデレラも夜勤をするのだ。




『ある殺人』(43)Who Killed Who?
◎予告された通りにおこった、ある殺人。刑事がやってくるが、謎が謎をよび、解決の糸口はまったくつかめない。
◎解決されるべきミステリーは確かに存在するが、手懸かりの10倍もあるギャグに圧倒されてしまう。




『さぼり屋リス』(45)The Screwy Truant [狂暴リス]
◇ストーリー=ヘック・アレン、アニメーション=プレストン・ブレア、エド・ラブ、レイ・エイブラムズ、音楽=スコット・ブラッドレー

◎補導員である犬が、学校をさぼった狂暴リスを捕まえようとするが、逃げ足の早いリスにことごとくしてやられる。
◎「狂暴リス」第4作。ディズニーの『ドナルドとサボ学生』(47)というのもある。




『恐怖よさらば』(50)The Cuckoo Clock
◇アニメーション=グラント・シモンズ、ウォルター・クリントン、マイケル・ラー、ストーリー=リチャード・ホーガン、音楽=スコット・ブラッドレー、プロデューサー=フレッド・クィンビー

◎神経症の猫。その原因がカッコー時計にあるとひらめき、カッコーを抹殺しようと試みる。
◎美しいゴシック調の映像にエドガー・アラン・ポーの世界で詩的な魂の苦悩を語るナレーションの入るオープニングから始まって、一転、カッコー時計のカッコーを捕まえようと奮闘する猫が描かれる。ふんだんに盛り込まれたカッコー時計ネタのギャグは全部オリジナル。




『ドルーピー/アラスカの拳銃使い』(45)The Shooting of Dan McGoo [ドルーピー、狼]
◇ストーリー=ヘック・アレン、アニメーション=レイ・エイブラムズ、プレストン・ブレア、音楽=スコット・ブラッドレー

◎酒場にやってきた狼は、踊り子をめぐってドルーピーと対決する。
◎「踊り子と狼」第2作。オープニングで、並んだ絞首台に野球をひっかけた看板があるなどは、テックスらしいワイルドなユーモアだ。ロバート・サービス作のコメディが下敷きで、MGM時代のテックスの最も成功したスターたち、ドルーピーとあのいやらしい狼が登場する。




『とんだ野球試合』(44)Batty Baseball
◇アニメーション=レイ・エイブラムズ、プレストン・ブレア、エド・ラブ、音楽=スコット・ブラッドレー

◎野球場でのスポット・ギャグ。W・C・フィールドでヤンキー・ドゥードゥラーズがドラフト・ドジャーズを迎え撃つ試合。
◎W.C.フィールズ(1879-1946)はボードビル出身の有名なコメディアン。女子供を嫌う意地悪じいさんというキャラクターがアメリカで大ウケした。また「ヤンキー・ドゥードゥラーズ」はジョージ・M・コーハン(1878-1942)の伝記映画『ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ』(42)のもじり。




『ドルーピー/チャンピオン誕生』(49)Selor Droopy [ドルーピー、狼]
◇ストーリー=リチャード・ホーガン、音楽=スコット・ブラッドレー、アニメーション=グラント・シモンズ、ウォリター・クリントン、ボブ・キャノン、マイケル・ラー、プレストン・ブレア、プロデューサー=フレッド・クィンビー

◎ドルーピーと狼の二人の闘牛士がチリ・ボウルで闘牛を競う。勝者は商品として「メキシコにあるものなら何でも」もらえるという。ドルーピーはカルメン・ミランダに似た実写の映画スターが欲しいと言う。
◎「闘牛士」ものもコメディの定石。漫画にもW.ランツ(ユニヴァーサル)の『きつつ斗牛士』(42)やディズニーの『グーフィーの闘牛士』(52)など多数あり。




『森の小さな靴屋さん』(50)The Peachy Cobbler
◇アニメーション=ウォルター・クリントン、マイケル・ラー、グラント・シモンズ、ストーリー=リチャード・ホーガン、音楽=スコット・ブラッドレー、プロデューサー=フレッド・クィンビー

◎年老いて体が弱った靴屋夫婦が、雪の中で凍える小鳥たちに無け無しのパンをやる。小鳥たちは妖精に姿を変え、靴を次々に仕上げていく。
◎「Cobbler and Elves」の話がギャグ満載で語られる。設定が紹介されるやいなや、テックスは妖精の靴作りギャグを連発する。




『腹話術は楽し』(50)Ventriloquist Cat [スパイク]
◇アニメーション=ウォルター・クリントン、マイケル・ラー、グラント・シモンズ、ストーリー=リチャード・ホーガン、音楽=スコット・ブラッドレー、プロデューサー=フレッド・クィンビー

◎スパイクに怯えていた猫は、声を飛ばせる発声装置をみつける。それを使ってごみ箱や教会の鐘などとんでもないところから「ニャオ」という鳴き声を出してスパイクをかく乱し、反撃に出る。
◎後にクィンビー引退後にプロデューサーとなったハナ&バーベラによって「Cat's Meow」(57)という題のシネマスコープ版でリメイクされた。




『太りっこ戦争』(47)King-Size Canary
◇ストーリー=ヘック・アレン、アニメーション=ロバート・ベントレー、ウォルター・クリントン、レイ・エイブラムズ音楽=スコット・ブラッドレー

◎生長剤を飲んで太りっこ競争をし、不釣り合いに巨大化した猫、ネズミ、ブルドッグ、カナリアが地球を舞台に追いかけっこを繰り広げる。
◎MGMのテックス作品は、なぜか猫がからむと一段とスゴ味が加わる。とりわけこのラストシーンは究極の悪夢。笑いこけながら背筋が寒くなる。




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