『ワールド・トレード・センター』/"WORLD TRADE CENTER"


10月7日より日劇1他全国にて公開

2006年度作品/パラマウント映画/UIP配給/ビスタビジョン/DTS・SRD・SDDS・SR/7巻/11,614ft/3,540m /上映時間:129分/翻訳:戸田奈津子

◇監督:オリバー・ストーン ◇脚本:アンドレア・バーロフ ◇原案:ジョン&ドナ・マクローリン、ウィル&アリソン・ヒメノ ◇製作:マイケル・シャンバーグ、ステイシー・シェア、モーリッツ・ボーマン、デブラ・ヒル ◇製作総指揮:ドナルド・J・リーJR、ノーム・ゴライトリー ◇撮影:シーモス・マクガーベイ ◇プロダクション・デザイン:ジャン・ローエルス ◇編集:デビッド・ブレナー、ジュリー・モンロー ◇音楽:クレイグ・アームストロング ◇視覚効果:ジョン・シール

◇キャスト:ニコラス・ケイジ、マイケル・ペーニャ、マリア・ベロ、マギー・ギレンホール、アルマンド・リスコ、ジェイ・ヘルナンデス、ウィル・ヒメノ、マイケル・シャノン



| 解説 | キャスト&スタッフ |
| オフィシャルサイト | 来日記者会見 | WERDE OFFICE TOP | CINEMA WERDE |



【解説】

「私たち自身のことを語るというよりも、我々の物語を通して
 あの日に犠牲となったすべての人々のストーリーを語ること
  ─ それが私たちの義務なのです」

  ─ 港湾局警察官ジョン・マクローリン

「私もジョンも普通のアメリカ人ですが、あの日は私たちだけでなく
 多くの普通の人々ができる限りの力を発揮しました。
 私がその行動の代表となったことをとても光栄に思っています」

  ─ 港湾局警察官ウィル・ヒメノ

「人々が人間性に対する信頼を失いかけたあの日に、
 彼らは信じることの大切さを我々に取り戻させてくれたのです」

  ─ オリバー・ストーン監督



◆いま語り継ぐべきなのは、
“悲劇”の中に差し込んだ“希望”の光……
支え合って生きること ─ あの日の出来事が呼び覚ました人間のあるべき姿


20世紀に起きた最大の悲劇のひとつが、映画史に輝く『タイタニック』を生み出した。そして今、21世紀最初の悲劇が永遠に語り継ぐべき映画となって誕生する。『ワールド・トレード・センター』は、文字通り2001年9月11日に最も甚大な被害を出した場所そのものを舞台にした作品である。しかし、そこに描かれているのは政治的な背景や歴史的な評価ではなく、TVの画面やその後の報道などでは決して知りえなかった血の通った真実の人間ドラマ。避難する人々を救助するため、命を顧みず世界貿易センタービルに入り、倒壊した瓦礫に封じ込められた実在の港湾局警察官の勇気と、彼らの生還を待ち続ける家族 ─ 。憎むべき悪を引き起こしたのも人間であったが、その出来事の中で必死になって生きようとし、同時にひとりでも多くの人々を救出しようとしたのもまた、同じ人間であった。もちろん、「9.11」に直面した人々のドラマはこれひとつだけではない。そして、彼らの英雄的な行動をスクリーンに刻むことだけでは、あの日のすべての被害者たちの魂が救われることにはならない。しかし、我々に「希望」をもたらしてくれた男たちの姿を描くことは、「信じること」「助け合うこと」という、人間が本来持っているべき尊い感情を喚起させるに違いない。極限状態で生まれた真実だけが伝えられる、心を揺さぶるような感動 ─ 信じられないほどの「悲劇」と対峙するために私たちができることは、事実をありのままに見つめながら、その中から<真の意味で素晴らしい人間の姿>を探し出すことに他ならない。それこそが、全世界を震撼させた事件が私たちに問いかけていることなのである。

2001年9月11日、午前8時40分過ぎ。あるはずのない旅客機の機影がマンハッタン上空を横切った。やがて起こる巨大な地響き ─ ニューヨークのシンボルともいえる2つのタワー、世界貿易センター北棟にアメリカン11便が、そしてユナイテッド175便が南棟に激突した。港湾局警察官(PAPD)のジョン・マクローリンとウィル・ヒメノは同僚とともに現場に急行。「すべてのことに備えてきたつもりだが、これほどの事態とは……」。誰もがあまりの惨状に呆然と立ち尽くすしかなかった。しかし、手をこまねいていることはできない。リーダーのマクローリンは、ヒメノを含めた3名の部下とともに、ビルの内部へ遭難者の救出に向かう。その時、再び起こる轟音 ─ ビル全体が崩壊を始めたのだ。奇跡的に生き残った2人だったが、瓦礫の下敷きになって身動きすら取れなくなってしまう。互いの姿は見えなかったが、彼らには一筋の光が見えていた。それは、必ず生きて帰れるという希望の証。そして、闘っているのは彼らだけではなかった。無事を祈る家族、二次災害を恐れずに瓦礫の下に埋もれた彼らを救い出そうとする海兵隊員、消防士、警官たちにとっても、永遠のように長い時間が過ぎていくのだった……。



◆アカデミー賞監督をはじめとするスタッフ・キャストが目指したのは、
2人の物語に敬意を払うだけでなく、救助に関わったすべての人々を描くこと


監督は、これまで3度のアカデミー賞に輝く巨匠オリバー・ストーン。“信じるもののために全力を尽くす”人々を描き続けてきた監督にとって、この超大作が集大成になることは間違いない。初めて脚本に目を通した時、その“シンプルでエモーショナルな内容”に打ちのめされたと語り、「あの恐ろしい出来事 ─ 「9.11」を、私の今までのアプローチとは違う、2人の男のパーソナルな面から描くことを決意したと監督は語る。その根底にあるのが、作品のキーワードにもなっている“勇気”と“生還”、そして、人は“支え合って生きている”という現代人が忘れてしまった事実であることは言うまでもない。


港湾局警察のベテラン巡査部長ジョン・マクローリンを演じるのは、『リービング・ラスベガス』でアカデミー賞を受賞し、『アダプテーション』でも同賞にノミネートされている名優ニコラス・ケイジ。「俳優としての能力を、何か意味のある、人々の役に立つものにしたい」と考えていた彼は、経験を積んだ静かで重厚な演技力で、部下を率いるリーダーシップと前向きに生きる力を、絶望と哀しみに襲われた人物の中に吹き込んでいる。その志と存在感は、まさにマクローリン本人とも重なっているかのようだ。もうひとりの主人公である港湾局警察官ウィル・ヒメノ役には、『クラッシュ』、『ミリオンダラー・ベイビー』等の話題作に出演しているマイケル・ペーニャが扮している。ヒメノ本人が、どんな状況でもユーモアを忘れない人物であるのと同様、ペーニャのキャラクターとその演技がストーリーに生き生きとした活力を与えている。「瓦礫に囲まれている状態では、俳優として選べる選択肢は多くありません。ウィルの家族への思い、ジョンとのつながりを見せようと、僕は、台詞によって絵を描こうとしました。僕の体は、そこから出たいと叫んでいました。ウィルが実際に経験した痛みとは比較になりませんが、その感覚を体感しました」とペーニャは語る。


物語は、2人の主人公を中心に展開していくが、崩壊したビルの下敷きになっている夫の安否を気遣う妻たちがもう一方の主人公になっている。マクローリン夫人のドナを、『ヒストリー・オブ・バイオレンス』の強烈な演技で批評家の絶賛を浴びたマリア・ベロ、ヒメノ夫人のアリソンを、『モナリザ・スマイル』のマギー・ギレンホールがそれぞれ演じ、勇敢な男たちの家族を支える女性らしい優しさと忍耐力を見事に表現してみせる。また、グランド・ゼロで救出にあたった50人以上の実際の警察官、消防士たちも、エキストラとして出演している。

本作品の映画化は、プロデューサーのデブラ・ヒルが、ジョンとウィルの2人についての新聞記事を読んだことから始まった。しかし、多くのジョン・カーペンター監督作品で知られる彼女は映画の完成前にこの世を去り、本作品が遺作となった。その他の製作陣には、『パルプ・フィクション』、『エリン・ブロコビッチ』のマイケル・シャンバーグとステイシー・シェア、『ターミネーター3』のモーリッツ・ボーマンが名を連ねている。ジョン&ドナ・マクローリンとウィル&アリソン・ヒメノの原案を脚本化したのは、女性新進作家のアンドレア・バーロフ。撮影監督は、2006年のクリスマス作品『シャーロットのおくりもの』を手がけているシーモス・マクガーベイ。音楽は、『Ray/レイ』のクレイグ・アームストロングが、心に響く情感溢れたスコアを提供している。


撮影にあたり、ニューヨークとニュージャージーの港湾局警察は、先例のないサポートをした。ポート・オーソリティのバス・ターミナルでは初となる撮影を許可され、本物らしさを最優先するという責任を果たす上で、小道具にいたるまで港湾局からの協力を得ることができた。

2001年9月11日に起こった出来事を、真の意味で乗り越えることは不可能かもしれない。しかし、あの絶望的な状況の中でも「希望」という言葉を信じていた人たちがいたように、この映画が語り継がれていくことによって、人間の持つ真の勇気が永遠に記憶されるに違いない。




◆港湾局警察官ジョン・マクローリンについて

勤続21年の港湾局警察巡査部長ジョン・マクローリンは、NYのブルックリンで生まれた。大学で経営学の学士号を取得し、在学中、インターンとして銀行に勤めた。卒業後、管理者養成プログラムに参加し順調に昇進したが、兄が参加していたボランティアの消防部に参加したことが人生の転機となった。「銀行に5年間勤めた私は、型にはまった生活をしている気がしました。兄は港湾局警察官だったので、私もテストを受けることにしました。すでに27歳で、警察学校に入るには遅かった。しかし、転職したことを振り返って後悔したことはありません」。

ポート・オーソリティのバス・ターミナルに3年勤務した後、世界貿易センタービルへ移り、そこで12年間を過ごし巡査部長になった。1993年のテロリストによる世界貿易センタービル爆破事件の際も、彼は救助活動に励み、事件後、志願して世界貿易センター勤務となった。

ビルに関する独特の知識を取得し、災害事件を処理する特別部門、緊急活動隊の授業を受けた。世界貿易センタービルは重要なターゲットであり、また襲われる可能性があると考えていた彼は、バス・ターミナルに再び転任した際、緊急活動のスーパーバイザーとして勤めあげることができれば本望と考えていた。「しかし、9.11が訪れました」と彼は語った。




◆ジョンを演じたニコラス・ケイジ

「ジョンに、瓦礫の下で生き延びるために何をしたか尋ねました。彼は、祈りを捧げ、妻や家族のことを思っていたと答えました。警官として人身保護に奉仕する宣誓をしたことが、家族に辛い思いをさせたという重い罪の意識を感じていました。彼のその思いが、このストーリーを感情に訴えかける人間的なものにしています」。



◆港湾局警察官ウィル・ヒメノについて

1967年11月26日にコロンビアで生まれたウィル・ヒメノは、2歳の時、アメリカに移住した。子供の頃からの夢は警官になることだったが、彼は海軍に入隊し、米艦トリポリに乗船した。 4年の勤務期間を1990年に終了し、その後、刑事裁判について学んだ。軍の経験を生かして生活費を稼ぎ、デパートの警備員をつとめた。手に入れるのが非常に困難な職である港湾局警察官になる夢を果たすまでに6年かかった。

警察学校時代のクラスメート、ドミニク・ペズーロとアントニオ・ロドリゲスも、ヒメノと一緒にジョン・マクローリン巡査部長の要請を受け、救助のため世界貿易センタービルへ入った。「警官のすばらしいところは、人々を保護し、人の役に立つことです。ビルのそばへ行き、飛び降りる人たちを目にしながらどうすることもできなかった時、警官の身として最悪の気持ちになりました。自分たちは中へ入り、できるだけ多くの人を救い出したいと思っていました」。

「私たちは、2001年1月19日に警察学校を卒業しました。卒業式は世界貿易センタービルで行われました。あのビルは、私にもクラスメートや亡くなった人たちにとっても、大きな意味があります。そこは、私たちが人々に仕えることを宣誓した場所だからです。9月11日に亡くなった港湾局警察官の多くが、自分のクラスメートでした」。

常に警官になりたいと願っていた男は、世界貿易センタービルでの悲劇が起こるまでの9カ月間を警官として過ごした。「短い期間でしたが、良いものでした」とヒメノは回想した。




◆ウィルを演じたマイケル・ペーニャ

「台本を読みながら、“ウィルのような人が実在するなんてありえない”と考えていました。“生まれてからずっと警官になりたいと思っていた”なんて、決まり文句だと思っていました。その後、本人に会った時、彼は本物だと感じました。苦痛に耐えながらもユーモアを失わないでいられる人間、そして、極限の状態でも気力を失わずにいた彼を演じること、本人に出会えたことを光栄に思っています」。



◆救助活動について

海兵隊、警官、消防士、レスキュー隊などの人々が、瓦礫に閉じ込められた港湾局警察官たちと同様に生き埋めにされる危険を冒しながら、マクローリンとヒメノの救助に力を合わせた。2人のストーリーにとって、この人たちこそ本当の英雄なのかもしれない。

「ウィルも私も死に直面しましたが、我々には選択肢はありませんでした。でも、私たちの救助にあたってくれた人たちは、死に直面しながら瓦礫の中を這い、いつ生き埋めになるかもわからないまま、我々が閉じ込められた穴へと進んだのです。彼らは、我々2人を救い出すためだけに命を賭け、すばらしい勇気を奮ってくれました」とマクローリンが語る。


マクローリンとヒメノを最初に見つけたのは、2人の海兵隊員だった。三等曹長デイブ・カーンズは、あの日、多くの人々と同様、テレビで世界貿易センタービルの悲劇を見ていた。信心深いカーンズは助けを求める声を感じ、それを神が彼に与えた使命と考えた。彼は、グラウンド・ゼロへと急いだ。夜になって正式な救助活動が打ち切られた時、カーンズはもう一人の海兵隊員の助けを得て、生存者探しを始めた。困難に立ち向かった2人は、遂にマクローリンとヒメノを見つけ出す。

12時間近くが経ち、消防士、警官、レスキュー隊の努力の末に、ヒメノとマクローリンは瓦礫の中から助け出された。マクローリンの救助に関わった消防士の一人、スコット・フォックスは自らの役を演じている。「スコットは、私を助けるために長時間働いてくれました」とマクローリンが語る。「彼は、ずっとそばにいてくれたのです。どうするか、もう選択肢がなくなり、さようならを言うために私の妻を連れてこようとした時がありました。その時、スコットがコンクリートの中核部分を切断したのです。ヘルメットがはさまったところを切ってくれたので、私は頭を動かせました。そのおかげで、他の人たちが残りの仕事を終えられたんです」。



 


【キャスト&スタッフ】

■ニコラス・ケイジ(港湾局警察官ジョン・マクローリン)

1964年1月7日、カリフォルニア州ロングビーチ生まれ。15歳の時にサンフランシスコのアメリカン・コンサバトリー・シアターに入団して、演技の世界に足を踏み入れる。TV映画への出演を経て、1982年に『初体験/リッジモント・ハイ』でスクリーン・デビュー。1983年の『ランブルフィッシュ』と、1984年の『バーディ』で注目を集める。その後は、『月の輝く夜に』(1987)と『ハネムーン・イン・ベガス』(1992)でゴールデン・グローブ賞にノミネートされ、デビッド・リンチ監督作品『ワイルド・アット・ハート』(1990)に出演するなど、順調にキャリアを重ねていく。1995年には、『リービング・ラスベガス』で演じたアルコール中毒者役で強烈な印象を残し、アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞をはじめ、各賞の主演男優賞を受賞、一躍名優の仲間入りを果たす。

以降は、『フェイス/オフ』『コン・エアー』(1997)、『シティ・オブ・エンジェル』(1998)、『60セカンズ』(2000)、『コレリ大尉のマンドリン』(2001)、『ウインドトーカーズ』(2002)、『ナショナル・トレジャー』(2004)、『ロード・オブ・ウォー』(2005)といった数々の話題作に出演。2002年の『アダプテーション』では再びアカデミー賞にノミネートされている。

また、同じく2002年には『SONNY/ソニー』で監督業にも進出。現実から抜け出そうと苦悩する若者の姿を瑞々しいタッチで描いている。本作品の後にも、製作準備中や製作発表されている出演作が目白押しで、円熟味を増した演技力にますます磨きがかかっている。



■マイケル・ペーニャ(港湾局警察官ウィル・ヒメノ)

1976年、イリノイ州シカゴ生まれ。高校卒業後に俳優を目指してロサンゼルスに移り、すぐに『ランニング・フリー/アフリカの風になる』(1994/未)で映画デビューを果たす。『元大統領危機一発/プレジデント・クライシス』(1996/未)、『迫撃者』(1997/未)、『ラスト・デスペラード』(1998/未)、『60セカンズ』(2000)といった作品に出演するかたわら、数多くのTVシリーズにも顔を出している。その中には、「フェリシティの青春」、「センパー・ファイ!/海兵隊の誇りを胸に」、「ロズウェル/星の恋人たち」、「ER/緊急救命室」、「NYPDブルー」、「CSI:科学捜査班」といった話題作も含まれている。映画界でその実力が認められるようになったのは、『戦争のはじめかた』(2001)、『16歳の合衆国』(2002)からであり、幅広い演技力と独特の存在感によって独自の地位を確立。2004年には、クリント・イーストウッド監督のアカデミー賞受賞作品『ミリオンダラー・ベイビー』と、アンサンブル・キャストによる同じくオスカー受賞作品『クラッシュ』に続けて出演。作品自体が絶賛されたのはもちろんのこと、ペーニャの演技も大きな賞賛を浴びている。現在は、『キング・アーサー』のアントワン・フークア監督作品で2007年公開が予定されているアクション・スリラー『Shooter』の撮影中であり、本作品での主演が今後への新たなステップになっていることは間違いない。また、ペーニャはミュージシャンとしての一面も持ち、バンドではドラムを叩いている。


■マギー・ギレンホール(ウィルの妻アリソン・ヒメノ)

飛行機の中で脚本を読み、感動のあまり涙を流したというギレンホール。ヒメノの妻アリソン役を演じるにあたり、本人から「あの日に起こったことや、私の言葉や行動ではなく、どう感じたかを伝えてほしい」と言われ、見事にその約束を果たした彼女は、2002年のサンダンス映画祭で高い評価を受けた、ジェームズ・スペイダー共演の『セクレタリー』(2002)でゴールデン・グローブ賞のコメディ/ミュージカル部門の最優秀女優賞にノミネートされた他、インディペンデント・スピリット・アワード最優秀女優賞ノミネート、シカゴ映画批評家協会の新人賞、ボストン映画批評家協会最優秀女優賞、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞の“ブレイクスルー・パフォーマンス”賞など数々の受賞歴を誇る。

他の出演作には、ジョン・セイルズ監督『カーサ・エスペランサ』や、マイク・ニューウェル監督『モナリザ・スマイル』(2003)などがあり、待機作に、ジュリアン・ムーア共演の“Trust the Man”、 ダスティン・ホフマン、エマ・トンプソン共演の“Stranger Than Fiction”がある。



■マリア・ベロ(ジョンの妻ドナ・マクローリン)

2001年9月11日当時、看護婦の母親とともに病院へ駆けつけ、実際に救助活動を経験したマリア・ベロ。ジョンの妻ドナと長い時間を過ごすことで、ドナとして成長していく姿が見られたと監督は彼女を評価した。

TVシリーズ「ER/緊急救命室」の医師役で視聴者と批評家の注目を浴びた彼女は、デヴィッド・クローネンバーグ監督『ヒストリー・オブ・バイオレンス』(2005)で強烈かつ繊細な演技を披露し、NY批評家協会賞助演女優賞を受賞、ゴールデン・グローブ賞にノミネートされた。他の出演作は、『ペイバック』(1999)、『コヨーテ・アグリー』(2000)、グゥイネス・パルトロウ共演の『デュエット』(2000)、ジョニー・デップ共演の『シークレット・ウインドウ』(2004)、『アサルト13 要塞警察』(2005)など、さまざまなジャンルに渡っている。



■オリバー・ストーン(監督)

1946年9月15日、ニューヨーク生まれ。1967年にベトナムの米陸軍歩兵隊に志願し、1968年までの従軍中に2度の負傷を負う。除隊後は、ニューヨーク大学のフィルム・スクールでマーチン・スコセッシに師事して映画製作を学ぶ。卒業後は、監督・製作・脚本などをすべて手がけていたが、アカデミー賞脚本賞に輝いた『ミッドナイト・エクスプレス』(1978)に代表されるように、初めは脚本家として注目を集める。『コナン・ザ・グレート』(1982)、『スカーフェイス』(1983)、『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』(1985)等、発表した作品がどれも大評判となり、ライターとしてハリウッドNo.1のヒットメイカーに名を連ねる。そして、1986年、監督として自らのベトナム体験を映像化した『プラトーン』がアカデミー賞4部門を受賞し、自身も監督賞を獲得。一貫して“闘う人間たち”を描く社会派監督と呼ばれるようになる。1989年には、同じくベトナム戦争に翻弄される若者を主人公にした『7月4日に生まれて』で、再びアカデミー賞監督賞を受賞。その後も『JFK』(1991)、『ニクソン』(1995)といった数々の問題作を世界に送り出し、しばしば論争を巻き起こしている。

その他の主な監督作品には、『ウォール街』(1987)、『トーク・レディオ』(1988)、『ドアーズ』(1991)、『天と地』(1993)、『ナチュラル・ボーン・キラーズ』(1994)、『エニイ・ギブン・サンデー』(1999)、『アレキサンダー』(2004)等があり、脚本も自ら執筆している。