『ホリデイ』/"THE HOLIDAY"




ホリデイ (ユニバーサル・ザ・ベスト
2008年第2弾) [DVD]
2007年3月24日より日劇3ほか全国にて公開

2006年/135分/ユニバーサル映画&コロムビア映画提供/UIP配給/Vista Vision/DTS,SRD,SDDS,SR/7巻 12,195ft : 3,717m/翻訳:古田由紀子

◇監督・脚本:ナンシー・メイヤーズ ◇製作:ナンシー・メイヤーズ、ブルース・A・ブロック ◇製作総指揮:スザンヌ・ファーウェル ◇撮影:ディーン・カンディ,ASC ◇プロダクション・デザイン :ジョン・ハットマン ◇編集:ジョー・ハッシング,ACE ◇衣装デザイン:マーレーン・スチュアート ◇音楽:ハンス・ジマー

◇キャスト:キャメロン・ディアス、ケイト・ウィンスレット、ジュード・ロウ、ジャック・ブラック、イーライ・ウォラック、エドワード・バーンズ、ルーファス・シーウェル、ミフィ・イングルフィールド、エマ・プリチャード



| 解説 | プロダクションノート | ストーリー | キャスト&スタッフ |
| オフィシャルサイト | 来日記者会見 | WERDE OFFICE TOP | CINEMA WERDE |



【解説】

◆アマンダとアイリス、ビバリーヒルズとロンドン郊外
すべてを交換する2週間。運命の休暇が今、はじまる ─


世界中で愛され、観る者を魅了してきたラブ・ロマンスが教えてくれたこと ─ 「恋することで人は変わるけれど、何かを変えることによって人は愛を受け止められるようになる」。ところが、変化を恐れて新しいステップがなかなか踏み出せない時、ドラマチックに背中を押してくれるのが、恋に破れ、使い古しの愛を捨てて旅に出ることだったとしたら……。男女4人が織りなす、洗練された大人のロマンスを描いた『ホリデイ』は、そんな恋物語の系譜に魅力的な1ページを書き加える作品。「もしあの時に失恋していなければ、新しい愛には出逢えなかった」 ─ そんな視点に立てば、きっとこれまでにないストーリーが見えてくる。今の自分をほんのひと時だけ忘れられる時間を与えてくれた運命の休暇。しかもそのバケーションのきっかけが<ホーム・エクスチェンジ>と呼ばれるものだったことが、想像もできない2つの出逢いを生み出していく。旅に出たのはキュートでチャーミングなキャメロン・ディアスとケイト・ウィンスレット。旅先で待っていたのはセクシーでエネルギッシュなジュード・ロウとジャック・ブラック。超豪華なキャスティングが今までにないシチュエーションで恋に落ち、鮮やかな2色のロマンチック・カラーで世界を虜にしていく。


<ホーム・エクスチェンジ>とは、条件の合う者同士が休暇中に家も車もそっくり交換すること。主にネット上でのコミュニケーションによって成立し、欧米では一般化していることもあって密かな注目を集めている。そして本作品は、2人の女性主人公が「今の私にとっては、見知らぬ土地へ行って環境を変えることが必要なの!」と思ったところからストーリーが始まる。


アマンダはハリウッドの映画予告編製作会社の社長。アイリスはロンドン郊外に住む新聞記者。順調に見える2人の人生だが、実はクリスマス直前だというのにそれぞれ恋に別れを告げていた。そんな時に見つけた<ホーム・エクスチェンジ>の休暇。成功を絵に描いたようなプール付き豪邸と、まるでおとぎ話のような田園風景のコテージを2週間だけ交換したアマンダとアイリス。そこで2人に訪れたのは予想もしていなかった心のときめき。アイリスは映画音楽作曲家のマイルズと出逢い、アマンダはアイリスの兄グラハムとハプニング。ところがマイルズは振り回されるだけの恋に悩み、グラハムも何かを隠しているような影がある。やがて刺激的でアバンチュールな恋と、気がついたら手をつないでいたような恋が、雪の舞うロンドン郊外と、太陽の光が降りそそぐビバリーヒルズで同時進行していくのだった……。



◆上質感漂う贅沢なアンサンブルキャストと、
チャーミングな恋愛映画の名手による<大人の遊び心>


ロサンゼルスからロンドンへと向かうアマンダを演じているのは、『シュレック』、『チャーリーズ・エンジェル』といった大ヒット・シリーズへの出演で、今やハリウッドNo.1女優の座を不動のものとしているキャメロン・ディアス。映画の予告編を作る才能には恵まれているのに、男女関係を作るのは上手くいかない ─ そんなキャリア・ウーマンの姿を、『メリーに首ったけ』の小悪魔的魅力と、『イン・ハー・シューズ』で見せた心の葛藤を融合させた演技で披露している。


まるで逃げるようにロンドンからロサンゼルスにやってきたアイリス役は、あらゆる映画史を塗り替えた『タイタニック』をはじめ、これまで4度アカデミー賞にノミネートされたケイト・ウィンスレットが演じている。思いを寄せていた男性の婚約に傷つき、環境を変えることによって過去を忘れたいけれど、彼からの再アプローチを拒否できない ─ 大女優の風格を感じさせる彼女が、揺れ動く女心を見事に表現している。


一方、旅先で待ち受ける“恋人たち”は、まったくタイプの違う2人の男優が顔を揃えている。アイリスの兄であり、ロンドンでアマンダと出逢うグラハムに扮するのはジュード・ロウ。『アルフィー』や、アカデミー賞にノミネートされた『リプリー』、『コールド マウンテン』と同様、女性を惹きつける色気を放ちながら、本作品では落ち着いた大人の円熟味も兼ね備えている。

『スクール・オブ・ロック』、『キング・コング』等、登場するだけで場面をさらってしまうほど圧倒的な存在感を持つジャック・ブラックは、アイリスの相手役マイルズを好演。純粋なラブ・ストーリーへの出演は少ないが、彼の愛すべきキャラクターがラブ・ロマンスでも十分に魅力的であることを証明している。


その他、『ゴッドファーザーPARTIII』、『ミスティック・リバー』のベテラン俳優イーライ・ウォラック。『サウンド・オブ・サンダー』等の俳優としてだけでなく、監督・製作・脚本も手がける才人エドワード・バーンズ。『レジェンド・オブ・ゾロ』、『トリスタンとイゾルデ』で深い印象を残したルーファス・シーウェルといった、いずれも主役級の俳優が豪華に脇を固めている。また、ある有名俳優がほんの一場面だけ顔を出しているが、それが誰かは見てのお楽しみ。

監督は『ハート・オブ・ウーマン』、『恋愛適齢期』のナンシー・メイヤーズ。女流監督らしく2組の恋愛関係に心地良いほど柔らかな視線を向けながら、恋する男女の繊細な心の動きを小さな仕草ひとつで絶妙に表現。また演出だけでなく脚本も手がけ、流れるようなストーリーラインの中に思わず頷きたくなるような名セリフを散りばめている。それはまるでメイヤーズ流の恋愛指南。集大成ともいえる作品を作り上げた彼女が、誰よりもこの物語を愛していることが伝わってくる。

ロンドン郊外とロサンゼルスの美しい風景を見事に切り取りながら、恋する心の機微を流麗なカメラワークで見せてくれる撮影は、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ、『アポロ13』のディーン・カンディが担当。物語の心象表現に欠かせない音楽は、『ライオン・キング』でアカデミー賞に輝き、最新作『ダ・ヴィンチ・コード』も記憶に新しいハンス・ジマーが手がけている。



 


【プロダクションノート】

◆何かを変えようとしている女性の素敵な出発点 ─ 企画のはじまり

監督・脚本のナンシー・メイヤーズが本作品のアイデアを思いついたのは、自身の休暇をプランしていた時にインターネットで偶然見つけた<ホーム・エクスチェンジ>サイトがきっかけだった。彼女は違う街や国にある家を交換することが行われていることに新鮮な驚きを感じ、映画のアイデアとして非常に興味を惹かれたという。「これは2人の女性主人公にとって素晴らしいスタート地点になると思いました。アマンダとアイリスは憂鬱な気分を何とかしなければと考えています。そんな時、家を交換するのが人生をやり直す第一歩となるのです」と語っている。


アマンダを演じたキャメロン・ディアスは、「彼女が経験した別れは心の隙間で起こったことでした。ですから、なるべくその場所から距離を置くことで心の問題に対処しようと考えたのです」と役柄の本質を解説。アイリスに扮するケイト・ウィンスレットも、「彼女の失恋はまるで頬を平手打ちされたようなものです。恋愛に関して傷つきやすいアイリスは、“彼”を忘れる方法を探さなければならなかったのです」と語っている。しかしそれはあくまでも表面的なことで、2人が直面しているのは“最近起きた事件”だけではなかった。「彼女たちは家を交換することによって何かを変え、それぞれが長い間悩んできた問題に向き合うことができればいいと考えています。環境の変化が根本的な問題の解決に役立つからです」とメイヤーズは、自身が作り上げたキャラクターの持つ背景にまで目を配っている。



◆募る気持ちを効果的に表現するツール ─ 音楽への思い入れ

メイヤーズは脚本執筆時にいつも音楽を聞いてイマジネーションを高めているので、撮影時にもその時の曲を流して雰囲気を盛り上げ、キャストやクルーに自分のイメージを伝えていた。こうした音楽の使い方はもちろん作品の中でも十分に生かされている。

ジャック・ブラック演じるマイルズとアイリスがお互いの心の距離を近付けていく場面 ─ マイルズがビデオショップの中を歩きながら、目に付いた好きな映画のパッケージを手に取り、そのテーマ曲をアイリスに歌って聞かせる。またアイリスが滞在している家では、マイルズが彼女のために書いた曲を演奏し、これは君のことを表現したサウンドだと語る。「僕は作品の中であのシーンが一番好きだ。ピアノで彼女の歌を弾いてから、やがて2人は一緒にハーモニーを奏でていく。とてもロマンチックなアイデアで、素晴らしく楽しいシーンだった」とブラックも絶賛している。

一方でジュード・ロウが演じるグラハムとアマンダがロンドン郊外の庭園で散歩しながら戯れ、やがてキスを交わす場面でも美しい音楽がエモーショナルな力を発揮している。監督によれば、「私はクロード・ルルーシュ(フランシス・レイの印象的な音楽が流れる『男と女』(1966)をはじめ、大人の恋物語を数多く世に贈ったフランス人監督)の大ファンなので、2人のシーンはアドリブで1960年代スタイルのモンタージュ風に撮影したのです」とのことで、彼女自身の思い入れも重なって、好きな場面のひとつに挙げている。



◆監督が俳優たちに恋をした ─ 完璧なキャスティング

アマンダ役のキャメロン・ディアスは、これまでドラマとコメディの両面で積み上げてきた経験を豊富に盛り込んでいる。マイヤーズは、「彼女はセリフによる心象表現の上手さもさることながら、体を使ったユーモラスな表現も得意なのです。彼女を見ていると大好きなゴールディ・ホーンを思い起こさせます」と賞賛をおくり、相手役のジュード・ロウも、「彼女はこのようなジャンルの作品をよく理解しているので、私は多くのことを学びました」と語っている。

ケイト・ウィンスレットにとって、ロマンチック・コメディという分野への挑戦は新たな経験の連続だった。「この作品に出演して一番報われたと思う瞬間は、撮影後にモニターを見ているスタッフが思わず笑い出した時でした」と本人は語っている。しかしアイリス役にはさまざまな側面があり、「ケイトはいろいろな表現方法を持っていて、彼女の演技を見ていて涙が出たことが何度もありました」とマイヤーズが撮影時を回想している。

2人の女優が素晴らしいキャスティングのため、その“恋人選び”にも非常に力が入っていた。グラハムが抱えている問題は意外なほど複雑で、その役を演じるためにはジュード・ロウが最適な人選だった。そしてこの作品での彼は、今までにない一面を見せている。ディアスはそれに関して、「私たちはジュードのドラマチックな面をよく知っていますし、この作品にもある種の重厚さをもたらしています。しかし同時に素敵なユーモアも見せてくれるのです」と語っている。

大胆なキャスティングに思えるマイルズ役については、『スクール・オブ・ロック』でジャック・ブラックに“恋した”マイヤーズが、脚本段階から彼を想定して執筆。出演オファーに一番驚いたのはジャック本人で、「ナンシーに、『あなたがやっていることは知っているし、好きよ』と言われた。それで『じゃあ、やろう』ってなったんだ。ケイト・ウィンスレットを間近で見られてギャラを貰えるなんて信じられないよ」と喜びを隠せない様子だった。

4人の主演俳優だけでなく、本作品で最高のキャスティングは、ハリウッド黄金時代を支えた脚本家アーサーに扮したイーライ・ウォラックであった。ストーリーの中に散りばめられている数々の名セリフはまるで上質なクラシック映画を見るようであるが、その案内人となっているのが、実際にその時代を生きた伝説のベテラン俳優なのである。誰もが彼の存在に賛辞を惜しまなかった。また『彼女は最高』で共演したエドワード・バーンズ(監督も手がけている)とキャメロン・ディアスが別れる恋人役を演じ、プライベートでは10年来の友人関係であるルーファス・シーウェルとケイト・ウィンスレットが初共演をするなど、心憎い配役も大いに楽しめる。



◆季節感を出すことも作品の重要な要素 ─ 撮影について

作品の舞台となるカリフォルニアはグリーンで青々としているが、ロンドン郊外の風景は雪に囲まれた白くて寒い冬の装い。しかしそれぞれの室内は正反対で、アイリスのコテージは豊かな色合いの温か味にあふれ、アマンダの家は色が少なくモダンでスマートなデザインとなっている。

アマンダの家の屋外撮影にはパサデナの東に位置する高級住宅街サンマリノが使用され、スタジオに作られた屋内セットには、彼女の自信をそのまま反映したようなスタイリッシュで現代風のインテリアが施されている。一方アイリスの家の外観はサリー州のシアでロケが行われた。小さな街を雪とクリスマスのデコレーションで埋め尽くしたことで、街は人気の観光スポットになったという。その他、ロンドンにやってきたアマンダとグラハムが食事をしながらデートを楽しむレストランは、実はビバリーヒルズのグレイストーン・マンションを撮影に使用。散歩をする屋外のシーンには、ジョージ王朝様式のカントリー・ハウスがロケ地に選ばれている。そしてマイヤーズは、このお気に入りのモンタージュ・シークエンスを冬に設定することが必要だと考えていた。「ルルーシュも『男と女』の撮影に際して語っている通り、ラブ・ストーリーの設定は寒くなければならないのです。なぜなら、温かさを見せてくれるのは恋人たちだからです。本作品の舞台を冬にした理由のひとつがそこにあります」とラブ・ストーリーの名手らしく語っている。



 


【ストーリー】

愛について書かれた言葉はどれも真実。
シェークスピア曰く、「恋人たちの出逢いは旅の終わり」。
何て素敵な言葉でしょう。
─ アイリス(ケイト・ウィンスレット)

街を離れ、どこか静かな場所で気分転換がしたい。
食事をしたり、読書をしたり……。
自殺したい気分にならなければいい。
─ アマンダ(キャメロン・ディアス)



ロンドンの新聞社に勤めるアイリスは、人生で最も惨めな瞬間を迎えていた。3年間も愛し続けてきた同僚のジャスパー(ルーファス・シーウェル)が、目の前で他の女性と婚約発表をしたのだ。2人の関係はとっくに終わっていたが、彼のことが忘れられずにいたアイリス。ひとり寂しく郊外のコテージに帰り、哀れな自分を思うと涙が止まらなかった。


ロサンゼルスで映画の予告編製作会社を経営するアマンダは、同棲中の作曲家イーサン(エドワード・バーンズ)とひどい別れ方をしていた。原因はイーサンの浮気だったが、恋愛に不器用なアマンダにも問題があった。彼女は怒りにまかせてイーサンを家から追い出したものの、そんな恋人との別れにも涙すら流せないでいた。そして ─ 。


9,600キロ離れたロンドンとロサンゼルスで、見ず知らずのアイリスとアマンダがパソコンの前に座っていた。最悪の状況を抜け出すための旅に出たいと考えていたアマンダが、アイリスの出した“貸しコテージ”の広告を見つけたのだ。2人はパソコンを通じて話し合い、<ホーム・エクスチェンジ>をすることに。それは条件の合うもの同士が、お互いのバケーション中に家も車もすべて交換するというもの。環境を変えることは、今の2人にとって願ってもないことだった。


●アマンダの場合 ─

ロンドン郊外のコテージに到着したアマンダの頭には、職業病で映画のナレーションが流れていた。「アマンダはすべてを手に入れていたが、この休暇には足りないものがある」。そして静かすぎる夜を迎えた時、突然の訪問者がやって来る。アイリスの兄グラハム(ジュード・ロウ)だった。初対面にもかかわらず、アマンダはグラハムに恋を終わらせたばかりなことや、かつてないほどの孤独に襲われていることを告白。そして気持ちが高揚するのを感じながらキスを交わし、やがて……。これこそバカンスで起こるハプニング。一方のグラハムもアマンダに心惹かれていくのだった。

翌朝、グラハムの携帯電話が鳴る。それは“ソフィ”という名前の着信。グラハムには彼の人生があり、アマンダは滞在2日目にして早くも元の生活に戻る決意をしていた。その時、再びナレーションが聞こえてくる。「求めていたわけではないが、愛が彼女をとらえた」と……。そしてその夜、ロスに帰るはずだったアマンダは、グラハムの行きつけのパブへと足を向けるのだった。

次の朝、再びグラハムの携帯が鳴る。今度の着信は“オリヴィア”から。彼は単なるプレイボーイなのだろうか? 2人は“夜を共にした後の初デート”に出かけ、お互いに自分の人生を語り合う。しかし恋人同士のように戯れてはいたが、アマンダは恋することに自信を失っていた。

「アマンダはいつも男と距離を置こうとする」というナレーションを振り払った彼女はグラハムの自宅を訪ね、そこで意外なものを見せられる。2年前に離婚したグラハムには、ソフィとオリヴィアという2人の子供がいたのだ。「他人が自分たちの生活に入ってくることが怖かった」というグラハム。アマンダはショックを受けながらも、今までとは違う一面を見せる彼とその子供たちを受け入れている自分に気づく。ロンドンとロスの“遠距離恋愛”が上手くいくとは思えなかったが、2人にとって一番の問題は、すでに本気で愛し合っているということだった……。


●アイリスの場合 ─

ロスでバカンス気分を満喫しているアイリスの元を、アマンダの仕事仲間だというマイルズ(ジャック・ブラック)が、恋人のマギー(シャニン・ソサモン)と共に訪ねてくる。少しエキセントリックだが、人の良さそうなマイルズ。それがアイリスにとって大切な出逢いになろうとは……。

今までの自分を忘れられそうだったアイリスを再び過去に引き戻したのはジャスパーからの電話だった。アイリスにひどい仕打ちをしておきながら、仕事のことでは都合のいいように彼女を頼ってくる。そんなアプローチを断りきれない自分を悔しく思っていたアイリスに、2つ目の出逢いが訪れる。かつてハリウッドの有名な脚本家であった老人、アーサー(イーライ・ウォラック)だった。アーサーは数々の名セリフを生み出してきただけあって、アイリスのことを映画に例えて励ましてくれる。「映画の中には主演女優とその親友がいる。君は主演女優のはずなのに、なぜか“親友役”をやっている」 ─ アイリスはそんな言葉に心を打たれるのだった。

「カリフォルニアに“サンタアナの風”が吹くと何かが起こる」とマイルズが語った通り、アイリスの周りには見知らぬ土地でできた友人たちが集まって賑やかになってきた。アーサーが脚本家協会から表彰されるための準備やマイルズとの交流を通して、彼女の中で何かが変わろうとしている。特にマイルズと過ごす時間がかけがえのないものに思えてきたが、彼にはマギーという恋人がいる……。ところがマギーは、マイルズに隠れて他の男とデートをしていたのだ。「叶わないと知りながら恋に落ちてしまう」 ─ アイリスとマイルズは似た者同士なのだった。お互いの心を慰め合いながら、2人の距離は急接近。しかしアイリスは「愛してる」の一言がどうしても言い出せなかった。

マイルズがマギーを忘れられないのと同じく、アイリスもジャスパーに心を残していた。そんな彼女の前に何とジャスパーが現れる。はるばるロンドンから会いにきた自分を許してほしいと語るジャスパーに、アイリスの心は大きく揺れ動くのだった……。





 


【キャスト&スタッフ】

■キャメロン・ディアス(アマンダ)

1972年8月30日、米・カリフォルニア州サンディエゴ生まれ。16歳の頃からモデルとして活躍し、日本にも2カ月間滞在していた経験を持つ。1994年にジム・キャリー主演のコメディ作品『マスク』のオーディションに合格して映画デビュー。キュートな魅力でいきなり大ブレイクしてからは、『フィーリング・ミネソタ』『彼女は最高』(1996)、『普通じゃない』(1997)、『ベスト・フレンズ・ウェディング』(1997)、『ベリー・バッド・ウェディング』(1998)といったラブ・ストーリーに次々と出演。新世代の“世界の恋人”としての座を確立する。その後はアイドル的な人気だけでなく演技力も高く評価され、『メリーに首ったけ』(1998)、『マルコヴィッチの穴』(1999)、『バニラ・スカイ』(2001)、『ギャング・オブ・ニューヨーク』(2002)の4作品で立て続けにゴールデン・グローブ賞にノミネート。中でも『メリーに首ったけ』ではニューヨーク批評家協会賞に輝き、女優として新境地を開く。また『チャーリーズ・エンジェル』シリーズ(2000・2003)、『シュレック』シリーズ(2001・2004/声の出演)といった世界的大ヒット作品にも出演し、興行面でもハリウッドの頂点に立つ存在である。その他の作品には、『エニイ・ギブン・サンデー』『彼女を見ればわかること 』(1999)、『姉のいた夏、いない夏』(2001)、『クリスティーナの好きなコト』(2002)、『イン・ハー・シューズ』(2005)等がある。


■ケイト・ウィンスレット(アイリス)

1975年10月5日、英・バークシャー生まれ。俳優一家の中で育ち、11歳で地元の劇団に参加。13歳でTVシリーズやコマーシャルへの出演を始める。映画初出演作となったのは、17歳の時に出演したピーター・ジャクソン監督作品『乙女の祈り』(1994)である。同作品でロンドン映画批評家協会賞を受賞するなど一躍注目を集めたことが国際俳優としての第一歩となり、続く1995年の『いつか晴れた日に』では早くもアカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞にノミネート。英アカデミー賞では助演女優賞に輝いている。その後も『日蔭のふたり』『ハムレット』(1996)といったアート系作品が続いていたが、1997年の『タイタニック』が彼女のキャリアを大きく飛躍させるきっかけとなった。映画史を塗り替える大ヒットとなった同作品は彼女に2度目のアカデミー賞ノミネートをもたらし、若くして大女優の風格すら漂わせるようになる。しかしハリウッド大作ばかりに目を向けることなく出演作品を厳選。『アイリス』(2001)、『エターナル・サンシャイン』(2004)でも米・英アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞のノミネートを果たしている。その他の作品には『グッバイ・モロッコ』(1998)、『ホーリー・スモーク』(1999)、『クイルズ』(2000)、『エニグマ』(2001)、『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』(2003)、『ネバーランド』(2004)等があり、日本での公開待機作品には『オール・ザ・キングスメン』(2006)『リトル・チルドレン』(2006)がある。


■ジュード・ロウ(グラハム)

1972年12月29日、英・ロンドン生まれ。高校を中退して本格的に俳優の道を志し、数々のTVドラマへの出演を経て1993年の『ショッピング』で長編映画デビュー。以降はハリウッドでも活動を始め、近未来SF『ガタカ』(1997)や、クリント・イーストウッド監督作品『真夜中のサバナ』(1997)に出演。しかし脚光を浴びたのは本国イギリスでの作品『オスカー・ワイルド』(1997)からであった。そして1999年の『リプリー』でセクシーな魅力を全開。アンソニー・ミンゲラ監督、マット・デイモン、グウィネス・パルトロウ共演の同作品で初めてオスカー候補となり、英アカデミー賞の助演男優賞を受賞している。その後は一流監督の下で毎年のように話題作に出演。デビッド・クローネンバーグ監督の『イグジステンズ』(1999)、ジャン=ジャック・アノー監督の『スターリングラード』(2000)、スティーブン・スピルバーグ監督の『A.I.』(2001)、サム・メンデス監督の『ロード・トゥ・パーディション』(2002)等で映画界を代表する俳優の仲間入りを果たす。2003年には再びアンソニー・ミンゲラと組んだ『コールド マウンテン』で2度目のアカデミー賞にノミネート。近年では『アルフィー』『クローサー』『アビエイター』(2004)、『オール・ザ・キングスメン』(2006)が観客、批評家から絶賛され、今後ますます目が離せない存在となっている。現在はウォン・カーウァイ監督の『My Blueberry Nights』の撮影中である。


■ジャック・ブラック(マイルズ)

1969年8月28日、米・カリフォルニア州生まれ。UCLA在学中にティム・ロビンスが設立した演劇集団「アクターズ・ギャング」に参加し、ロビンスの初監督作品『ボブ★ロバーツ/陰謀が生んだ英雄』(1992)で映画初出演を飾る。その後は『ネバーエンディング・ストーリー3』(1994)、『ウォーターワールド』(1995)といった作品に顔を出すが、1994年には俳優業と並行して友人のカイル・ガスと共に「テネイシャスD」というバンドを結成。痛烈なジョークと過激なパフォーマンスで爆発的な人気を誇り、1999年にはHBOで同名のコメディ・ショーが始まる。2001年に発売されたデビュー・アルバムも大ヒットを記録。本業の俳優としては、「テネイシャスD」の大ファンであったジョン・キューザックが、自身の製作、脚本、主演作品『ハイ・フィデリティ』(2001)の準主役にジャックを抜擢。エキセントリックなレコード店員役で一気に注目を集め、以降は出演依頼が殺到する。『愛しのローズマリー』(2001)、『アイス・エイジ』(2002/声の出演)と続いた後に、2003年の『スクール・オブ・ロック』が全米No.1大ヒットを記録。同作品ではゴールデン・グローブ賞にノミネートされ、個性的なキャラクターが一般的にも認められるようになる。それが2005年の超大作『キング・コング』への出演につながった。本作品の前には『ナチョ・リブレ/覆面の神様』(2006)でも彼らしい愛すべきダメ男を熱演している。


■イーライ・ウォラック(アーサー)

1915年12月7日、米・ニューヨーク生まれ。大学卒業後に本格的な舞台俳優として活躍を始め、1941年に陸軍に入隊したブランクを経て、1945年に舞台に復帰。映画の世界で頭角を現したのはエリカ・カザン監督の『ベビイドール』(1956)であり、英アカデミー賞新人賞を受賞。その後は『荒野の七人』(1960)や『荒馬と女』(1961)、『荒野の三悪党』(1969)等でアクの強い演技を披露。『ゴッドファーザーPARTIII』(1990)でもマフィアのドンを演じている。近年では『ミスティック・リバー』(2003)に出演し、50年以上に渡るキャリアを遺憾なく発揮している。


■エドワード・バーンズ(イーサン)

1968年1月29日、米・ニューヨーク生まれ。1995年に初めて監督、製作、脚本、主演の4役を手がけた『マクマレン兄弟』がサンダンス映画祭グランプリに輝き、その才能を広く世界に印象付ける。続く『彼女は最高』(1996)、『ノー・ルッキング・バック』(1999)、『サイドウォーク・オブ・ニューヨーク』(2001)でも同じく4役を担当して独自のポジションを確立。自らの監督作品以外でも『プライベート・ライアン』(1998)、『15ミニッツ』(2001)、『ブロンド・ライフ』(2002)、『コンフィデンス』(2003)、『サウンド・オブ・サンダー』(2004)等に出演している。


■ルーファス・シーウェル(ジャスパー)

1967年10月29日、英・イングランド、ミドルセックス生まれ。ロンドンのセントラル・スクール・オブ・ドラマで演技を学ぶ。スクリーン・デビュー作は1991年の『21/Twenty-One』であるが、注目されたのは1994年のTVシリーズ「Middlemarch」からであった。その後は映画界にも本格的に進出。『ハムレット』(1996)、『天井桟敷のみだらな人々』(1998)、『ROCK YOU!/ロック・ユー!』(2001)等に出演している。最近では『レジェンド・オブ・ゾロ』(2005)、『トリスタンとイゾルデ』(2006)での印象深い演技が記憶に新しい。


■ナンシー・メイヤーズ(監督・脚本・製作)

1949年12月8日、米・ペンシルバニア州生まれ。監督作品は本作品を含めて4本と数少ないが、脚本家として女性に支持されるロマンチック・コメディを多く手がけている。初めて脚本・製作を担当したのはゴールディ・ホーン主演の『プライベート・ベンジャミン』(1980)であり、同作品は脚本家協会賞を受賞し、主演女優賞・助演女優賞も含めて脚本賞でもアカデミー賞にノミネートされる。その後も『ペーパー・ファミリー』(1984)、『赤ちゃんはトップレディがお好き』(1987)、『花嫁のパパ』シリーズ(1991・1995)、『モンテカルロ殺人事件』(1993/脚本のみ)、『アイ・ラブ・トラブル』(1994)で脚本と製作を兼務。そして本作の劇中劇でも顔を出しているリンジー・ローハンのデビュー作となった『ファミリー・ゲーム/双子の天使』(1998)が彼女の初監督作品となった。続く2000年のメル・ギブソン、ヘレン・ハント共演作『ハート・オブ・ウーマン』では監督業に専念。興行的にも大ヒットを記録したことで、演出家としてもヒットメーカーの仲間入りを果たす。2003年にはジャック・ニコルソン、ダイアン・キートン、キアヌ・リーブスの3人を主人公にした大人のラブ・ストーリー『恋愛適齢期』を発表。洗練されたストーリー・テラーとしてだけでなく、繊細な男女の機微を見事に表現する演出方法にも高い評価が寄せられている。次回作は音楽界を舞台にしたロマンス作品を準備中である。


■ブルース・A・ブロック(製作)

1981年にナンシー・メイヤーズと、彼女の元パートナーであるチャールズ・シャイア監督と出会う。その後はメイヤーズ脚本、シャイア監督の作品、『赤ちゃんはトップレディがお好き』(1987)、『花嫁のパパ』シリーズ(1991・1995)、『アイ・ラブ・トラブル』(1994)でプロデュースを担当。メイヤーズが監督業に進出してからもその関係は続いている。その他にも、『恋愛小説家』(1997)、『アルフィー』(2004)等でコンサルタントを務めている。


■スザンヌ・ファーウェル(製作総指揮)

大学卒業後、映画の契約に関するエージェントでショウビズ界でのキャリアをスタートさせる。1998年の『ファミリー・ゲーム/双子の天使』で初めてナンシー・メイヤーズのアシスタントを務め、その後2001年から2004年までの間、メイヤーズが設立したウェイバリー・フィルムズの経営を任されている。『恋愛適齢期』(2003)では共同製作者として名を連ね、製作総指揮を担当した本作品が2本目のプロデュース作品となった。


■ディーン・カンディ(撮影)

1970年代前半から数多くの話題作を手がけ、特に革新的な映像技術が必要とされる作品での手腕に、一流監督からの評価が集まっている。主な作品には『バック・トゥ・ザ・フューチャー 』3部作(1985・1989・1990)、『フック』(1991)、『永遠に美しく……』(1992)、『ジュラシック・パーク』(1993)、『フリントストーン/モダン石器時代』(1994)、『キャスパー』『アポロ13』(1995)等があり、1988年の『ロジャー・ラビット』では米・英のアカデミー賞にノミネートされている。


■ジョン・ハットマン(プロダクション・デザイン)

『L.A.大捜査線/狼たちの街』(1985)の美術アシスタントとして映画界に入り、ナンシー・メイヤーズ監督とは『ハート・オブ・ウーマン』(2000)、『恋愛適齢期』(2003)でも組んだ経験を持つ。その他の作品にはロバート・レッドフォード監督の3作品『リバー・ランズ・スルー・イット』(1992)、『クイズ・ショウ』(1994)、『モンタナの風に抱かれて』(1998)や、『ザ・インタープリター』(2005)等がある。


■ジョー・ハッシング(編集)

オリバー・ストーン監督の『7月4日に生まれて』(1989)、『JFK』(1991)で2度のアカデミー賞を受賞。同監督作品では『トーク・レディオ』(1988)、『ドアーズ』(1991)も担当している。またキャメロン・クロウ監督とのコンビも多く、アカデミー賞にノミネートされた『ザ・エージェント』(1996)、『あの頃ペニー・レインと』(2000)や、『バニラ・スカイ』(2001)も手がけている。ナンシー・メイヤーズ監督作品では『恋愛適齢期』(2003)がある。


■マーレーン・スチュアート(衣装デザイン)

マドンナのミュージック・ビデオやツアーの衣装を手がけたことで有名となり、その他のアーチストとも数多くコラボレーション。アメリカン・ミュージック・アワードの第1回最優秀衣装デザイン賞に輝いている。映画界では『ターミネーター2』『ドアーズ』『JFK』(1991)、『トゥルーライズ』(1994)、『60セカンズ』(2000)、『ALI/アリ』(2001)、『21グラム』『ティアーズ・オブ・ザ・サン』(2003)等の衣装を担当している。


■ハンス・ジマー(音楽)

これまで100本以上の映画音楽を作り出し、映画界で最も尊敬を集める作曲家のひとりである。あらゆるジャンルで手がけてきた作品は枚挙に暇がないが、中でもアカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞を受賞した『ライオン・キング』(1994)が特に有名。近年の『グラディエーター』(2000)、『ラスト サムライ』(2003)、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ(2003・2006)、『ダ・ヴィンチ・コード』(2006)でも印象深いスコアを聞かせている。