映画『ホリデイ』来日記者会見
●2007年3月14日新宿パークタワーホールにて
●出席者:キャメロン・ディアス ジュード・ロウ ナンシー・メイヤーズ(監督)
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【挨拶】

■ナンシー・メイヤーズ:みなさん、本日はお越しいただいてありがとうございます。この映画、楽しんでいただけましたでしょうか。本日は、キャメロンとジュードが質問に全部お答えいたします。2人だけ笑ったジョークでした(笑)。


■キャメロン・ディアス:みなさん、こんにちは。日本に戻ってこられて大変嬉しく思っています。今日はお越しいただいてありがとうございます。この映画は、私たち、本当に楽しんで作りましたし、いろいろと裏話もありますので、是非、この後、質問をしてください。ありがとうございます。


■ジュード・ロウ:今日はお越しくださいましてありがとうございます。また東京に戻ってくることができて嬉しく思っております。この映画を、是非楽しんでいただきたいと思います。私たちは、この映画を大変誇りに思っております。たくさん質問していただいて、お答えしようと思っております。ありがとうございます。



【質疑応答】

◆質問:キャメロン・ディアスさんに質問します。実際にご自身で環境を変化させたことにより、抱えていた問題が解決したエピソードがあったら教えてください。

■(キャメロン・ディアス):私にも経験はあります。やはり環境というのは重要だと思うんですね。たとえば、自分のまわりの色を変えたり、街を出たり、そのように環境を変えることで、自分自身がどのような状況にあるかを知る、自分が誰であるかを知ることができますので、環境を変えるということは大切なことだと思います。

◆質問:ナンシー・メイヤーズ監督に質問させていただきたいと思います。この映画は、人と人との、微妙で繊細な心の交流を見事に描いていて素晴らしいと思ったのですが、日本では、人と人との交流が希薄になったと叫ばれているんですけれども、人とコミュニケーションする中で、一番大事なものは何だと監督は考えていらっしゃいますでしょうか。あと、この作品を製作されるにあたって、気になった世の中の動きですとか、世界のニュースなどがありましたら教えていただきたいと思います。

■(ナンシー・メイヤーズ監督):実は、脚本家をやっていますと、いろいろなキャラクターを通して、自分が実生活ではコントロールできないような、そういう人間関係を私が作り上げて、コントロールできるわけですね。ある意味で、彼らの運命を私がコントロールできるということで、もちろん、実生活では、友達とか家族との関係というのはあるわけですが、やはり、現実ではうまくいかなかったりするところを、脚本ではうまくいくようにコントロールできるということなんです。人間関係で一番大事なのは、自分自身の中に平和があるということで、それがあれば、他の人との関係もうまくいくと思うんです。これは、映画の中の5人のキャラクターも全部そうです。自分の中にある問題を解決して、はじめて人間関係が作れるということがあります。

◆質問:3人の方にそれぞれお伺いしたいのですが、まず、監督なんですけれども、まさに恋愛の指南所のような、数々の素敵なセリフとかシーンが満載だったんですが、これは、日頃からリサーチされているんでしょうか。それともご自身の経験とかも入っていらっしゃるのでしょうか。あと、出演されたお2人の方には、演じるにあたって特に注意された点、アドリブなどを入れたところがあったら教えてください。

■(ナンシー・メイヤーズ監督):やはり、私も年齢を重ね、年をとるということは、それだけ長く生きているということで、まわりのことを注意深く観察してきました。やはり、自分は、心の問題というものに一番興味があるんですね。人生、どうしたらより良いものになるか……そして、私には娘が2人おりますので、彼女たちの行動もいろいろと観察しております。今回、こういう記者会見に出ますと、みなさん、ここにいる多くの女性たちというのは、文化も違うし、言葉も違うし、世代も違いますが、私が言うと、そうだね、そうだね、と肯定してくれているのを感じて、すごく普遍性を感じます。同じ曲が好きだとか、そういう次元で結ばれている、そういう気がします。

■(キャメロン・ディアス):まず、アマンダは現代的な女性にしたかったのです。私も知っているような、こういう女性いるなというような、共感できる女性にしたかった。彼女の強さと弱さ、全部を……。それから、人々に好かれるような女性像にしたかった。みなさんに共感を抱いていただけるような女性にしたかったんですね。15年間、泣いていないということには、みなさん、あまり共感できないかもしれませんが……。いろいろな心の葛藤があるということに気づいてほしかったし、やはり、彼女は旅をするのだと思いますし……。そういう意味で、自分が探しているものを見つけて、はじめてオープンになれるというふうにとらえました。アドリブに関しては、脚本が本当にうまくできていまして、とても素晴らしい文章だったんですね。それに、今回、私が心惹かれるような、本当に、こういう言葉を口にしたいという言葉がそこここにありますし、とても、口にして楽しいセリフだったんですね。ですから、ほとんどアドリブの必要がないというふうに感じましたし、やはり、台本上の言葉が、リズムとかトーンというものをきちんと表わしていたと思うんです。

■(ジュード・ロウ):キャメロンもおっしゃいましたけれども、私がこのプロジェクトに惹かれましたのは、まず、シナリオです。良く書かれていました。シナリオが良く書かれているということは、もう50%から60%到達したのと同じことなんですね。そういう意味で、まずシナリオが良かった。それから、監督の他の作品を拝見いたしまして、本当に素晴らしい監督で、作家である。自分の中でそのような評価をしておりましたので、本当に喜んで、この企画に参加しました。それが一番の理由です。それから、このキャラクターに関しましては、僕にとって、非常に複雑な男を演じる機会を得ることにつながったんです。彼は、自分と重なる部分もあるのですが、このグラハムという男にはとても軽いところがあるし、非常に前向きです。そこが、僕にはないところなので、監督には、いつも、ポジティブにポジティブに、と言われたりしました。そのような役で、非常に楽しく演じました。

◆質問:キャメロンさん、現実にホームエクスチェンジをしてみたいと思いますか。もしも僕とするのならば、僕の家で楽しめると思いますか。それと、あなたの家で僕は楽しめますか。

■(キャメロン・ディアス):すごくわがままで自分勝手かもしれませんけれども、人の家を借りるのはやってみたいんですが、自分の家は貸したくないと思います。でも、もし仮に、私の家にあなたが来て交換したら、とても楽しいと思います。本当に良い環境を作っています。ポジティブな環境です。

◆質問:この映画は、新しい出会いを発見するという映画ですが、新しい出会いがほしいと思っている方も多いと思います。映画を通していろいろ考えたと思うのですが、新しい出会いのためのアドバイスをいただけたらと思うのですが。

■(キャメロン・ディアス):やはり、外に出ないと何も起こりませんので、外に出てほしいと思います。人生というのはジェットコースターのようなもので、冒険ですから、参加しないと何も起こりません。とにかく自分が参加して、自分らしさというものを出して楽しみなさいというアドバイスです。

■(ジュード・ロウ):この映画の中で、監督が立派なアドバイスをちゃんと書いていらっしゃると思います。つまり、人と出会うためには、自分の環境を変えることです。そして、自分自身を見て、自分に恋をする。そうすると、相手も恋をする人が出てくる。そういうことだと思います。

■(ナンシー・メイヤーズ監督):私は、この作品を書いた張本人として、私が考えていることは、映画を観ていただければ全部伝わると思うんです。私の仕事というのは、朝起きたら着替えて、仕事部屋に行き、いろいろなことを考えるわけですね。もし、私が1人で仕事をしている時に、美しい男性がドアをノックしたらどうなるだろうというように考えて、私が時差ぼけで酔っぱらっていたらどんな気分だろう、そして、その人が、僕とセックスしてくれって迫ってきたらどうだろうっていう具合に、いろいろと想像を働かせるわけです。ですから、私は、仕事部屋でそのような冒険ができるわけです。現実ではなかなか起きないことも、想像の世界では起こりますし、冒険ができるのです。と同時に、ジュード・ロウさんの役にもなりきって、僕がノックしたら、そこに全然知らない人がいるという驚き、そのような部分も自分で感じながら書いていくわけです。それは、見ていただくと本当におもしろい作業です。キャメロンさんは、実生活で本当に冒険家なのですが、私は、仕事を通して冒険をしています。

◆質問:ジュード・ロウさん、キャメロン・ディアスさんに。もし、このPRの仕事が終わって2週間休みをいただいた時には、映画のようにできる機会があれば、誰も自分のことを知らないところで、新しい出会いを探してみたいと思いますか。それとも、2週間あるなら、今ある環境を楽しみたいですか。もうひとつ、もし、いらっしゃる場所がロンドンではなく日本だったらどうでしょう。

■(キャメロン・ディアス):この6カ月間は旅に出ていました。ですから、2週間のお休みがとれるとしたら、もう自分の家で過ごしたいと思います。特に最近は、2週間続けて自分の家で過ごした経験がないんですね。このプロモーションが終わると、やっとそれができそうな気配です。もし、イギリスではなく、日本に来ていたとしたら、何が起こったかはわかりません(笑)。

■(ジュード・ロウ):子供とでしょうか? それとも1人ででしょうか? 1人でということでしたら、今の気分としては、休みがあればアウトドアに行きたいと思います。しかも、何か登りたいんですね。子供は小さいので、山登りには連れていけませんから、私は、1人なら山登りをしたいと思います。

◆質問:お2人が、特に気に入っているシーンがあれば教えてください。あと、映画のキャラクターがご本人に似ているところがあれば教えてください。

■(ジュード・ロウ):僕が好きなシーンは、おそらく、3人とも同感だと思いますが、イギリスの田舎家のシーンですね。2人のデートで、モンタージュのように流れるシーンがあります。あれを撮影した日が本当に素晴らしい日で、セットの周囲の景色も素晴らしい。でも、雨が降ったんですね。ずっと止まずに降っている。それでも、雨がムードを壊すことなく、素晴らしい撮影ができました。巨大な樫の木がありまして、そこで撮ったあの日の撮影は本当に忘れられません。もちろん、それはちゃんと画面に出ております。あの場面が一番好きでした。

■(キャメロン・ディアス):一番好きなシーンについては、答えをジュードさんにとられてしまいました。ですから、同じ答えです。似ているところという質問は、アマンダも自分の仕事をとても愛していて、恵まれていると思うのです。好きなことができていて、現代的な女性であり、自分自身を探そうとする旅に出ているという意味でも似ていると思いますが、似ていない点は、私は泣きます。結構、しょっちゅう泣いています。楽しんで泣いています……今のはジョークです。

●司会者:ジュードさん、先ほどおっしゃった、役の彼は前向きだけれど、自分は前向きではないということなどを、もう少し詳しく知りたいんですが。

■(ジュード・ロウ):僕が今までやってきた役が、どちらかというとシニカルでダークなものが多かったんですね。そういう僕に、監督は、軽めの役をふった。監督としては、とても勇気のあるキャスティングだったと思うのです。彼女に恋を告白する場面だと思うのですが、どうしても今までの癖で、声がしゃがれてしまうんですね。深刻になってしまうんです。もっと軽くやれと監督に言われまして、そのあたりが新しい挑戦だったと思います。

◆質問:ジュードさん、キャメロンさんにお伺いしたいのですが、映画と同じようなシチュエーションで、本当に辛い失恋をして、今、仮に、交換できるとしたら、具体的にどんな場所で、どんなことをしたいですか。もう1つは、お2人とも非常にモテる方だと思うのですが、そんな場所で出会いたいなと思う異性について、具体的なことをお伺いしたいのですが。

■(ナンシー・メイヤーズ監督):みなさん、メモのご用意を(笑)!

■(ジュード・ロウ):いろいろなところで、この映画のグレアムに似ているのですが……難しいな。これを言ってしまうと観る方にストーリーをばらすことになり、言いにくいのですが、失恋したからといって、全部放っておいて行くことはできないんです。そこは私も同じで、失恋したからといって家を捨てることはできません。ですから、家にいて、責任をとりながら、自分の中で消化していくことになると思います。男は、そういう場面では逃げることが多いのですが……。相手については、まず、第一に、父親としての僕を見てくれる人です。そして、近頃は物事を深刻に受け止める人が多いから、笑ってくれる人 一 あとは……考えていないので、なかなか言えないのですが……僕の俳優という仕事は大変です。ストレスが多いので、そのあたりを理解してくれる方でしょうか。

■(キャメロン・ディアス):私は、どこかへ行くとしたら、大自然の中で馬に乗って、乗馬しながら山を登りたい。小川があったり、広い原っぱがあったり、食べ物がおいしくて、綺麗なところに行きたいです。そして、どういう男性に出会いたいかというと、私はオープンですから、どういう自分をもっているかをしっかりと私に示してほしいと思います。

◆質問:是非、裏話をお聞かせ願いたいと思います。

■(キャメロン・ディアス):ナンシー監督のセットは、ずっと音楽が流れている現場なんです。1日12時間、ずっとDJのように音楽をかけて……とにかく素晴らしい曲をずっとかけてくれるんです。本当に、そのシーンに必要なムードを作り上げるために音楽をかけているので、すごく楽しくて……音楽がとても素敵でした。

■(ジュード・ロウ):あまりバラすことができないので言いにくいのですが……この映画には、2人のある若い俳優が出てきます。その人たちを指導するのが大変で、2人に関わるおもしろい話がいっぱいあるんです。撮影の合間が大変なんです。お相手をするのが……。キャメロンは、天使の翼を付けて、モンキーを首に巻き付けて、それから僕は、バビーウォームを鼻や耳にくっ付けて、彼らの気分を盛りたてるわけです。ですから、カメラが回り出すとホっとしたというくらいに大変でした(笑)。でも、それだけサービスしても、2人のうちの1人はムッツリとして、何も反応してくれないので大変でした。

■(ナンシー・メイヤーズ監督):みなさん覚えていらっしゃると思うのですが、テントの中のシーンで、そこには、枕とかブランケットとかが一杯あって、やはり、こうやって若い俳優さんと仕事をすると、すべてが彼ら中心になるんですね。いつ寝るか、いつお昼寝か、いつ食べるか……すべてそうなんです。テントのシーンが結構長くなっていた時に、ちょっと疲れるんじゃないかとか、俳優さんの方を心配して、イヤホンを付けてテレビモニターを見ていたら、音で、誰かが寝ているというのがわかったんです。そこで、子供たちはどうかなと思って見にいったら、大人の2人がぐっすりと寝ていました。

■(キャメロン・ディアス):それは、その時の1回だけです(会場笑)。

■(ジュード・ロウ):僕はいつもでした(笑)。

(通訳者の表現をもとに採録。細部の言い回しなどには若干の修正あり)


『ホリデイ』は2007年3月24日より日劇3ほか全国にて公開。