2005年7月14日、都内ホテルでSFアクション大作『アイランド』の記者会見が行われた。当日は、会場にマイケル・ベイ監督を迎え、主演のユアン・マクレガーはロンドンから生中継での出席という形での会見となった。この作品は、「生命のオーダーメイド(人クローン)」が可能となった近未来をハリウッド・アクション大作のフィルムメーカー、マイケル・ベイ監督が盟友ジェリー・ブラッカイマーの元を離れ、スティーブン・スピルバーグのドリームワークスと初めて手を組んで製作した意欲作だ。題材はシリアスな向きもある「人クローン」を扱っている作品だが、会見は、時に会場から笑いも起こり、終始和やかな雰囲気で進んだ。ステージ後方に大きく映し出されるユアン・マクレガーの生映像は、こういった中継に見られがちなタイムラグもさして気にならないほど記者や監督との言葉のキャッチボールもスムーズに行われ、数年前から考えれば、まるで近未来そのものの会見となった。
会見後半には、マイケル・ベイ監督の大ファンという釈由美子が花束を持って登場。釈が監督の人柄についてユアン・マクレガーに質問した場面では、「彼は本当に稀にみるすばらしいフィルムメーカーであり、テクニシャンでもあるが、僕が会った人の中で最も忍耐力のない気の短い人です。 一 気が短い、忍耐力がないと言ったのは、彼は本当に撮影が好きで、撮影をしたい、したいという気持ちから気が短くなってしまうんです」と尊敬と親しみを込めてコメントしていた。
以下、質疑応答を抜粋し要約した形で掲載。
【質疑応答】
◆質問:もし、実際に自分のクローンをオーダーできるとしたらオーダーしますか?
■(マイケル・ベイ):オーダーしません。つまり、人の命を奪うこと、たとえ人が作ったものであっても、その命を奪うことは許されることではないからオーダーはしません。
●司会者:(ユアンへ)あなたは?
■(ユアン・マクレガー):僕もいらない!
◆質問:マイケル・ベイ監督作ということになると、どうしてもそこにはイメージというものができあがっておりますし、人々の期待もあります。そういったことで、マイケル・ベイ監督作に出演する際の心構えといったものはどのようなものがありましたでしょうか。
■(ユアン・マクレガー):僕は、マイケル・ベイ監督作に出るというよりも、アクション映画に出るということを意識していました。特に、この映画に対してどうしてこれだけ僕がエキサイトしたかといえば、この作品の中心に、すごく強い物語性があったからです。残念ながら、往々にしてアクション映画ということになると、強い物語性がなくてアクションを見せるためのみの映画が多いですけれど、今回の場合はそうではありませんでした。
◆質問:ユアン・マクレガーさんを起用されて、他の俳優さんとどういうところが違ったか教えてください。
■(マイケル・ベイ):(ユアンに)これを聞いて威張るなよ(笑)。とにかく、彼は究極のプロの俳優、大変格がある俳優です。監督としていろいろな注文をつけても応えてくれますし、非常にタフで運動神経があるんです。彼はこの作品で一人二役を演っているのですが、この二つの役を、全く継ぎ目がないくらいになりきって、どちらも違う役として演じていました。この才能は並み大抵ではないと感じました。
●司会者:ユアンさんは、今の監督のお話を伺っていかがでしたか。
■(ユアン・マクレガー):実は、僕もこの映画を2日前に観たばかりなんですけれども、僕自身も本当にビックリして感動しました。アクションの部分とストーリーの部分とが、本当に境目なく上手く描かれていたということに大変驚きを感じました。それとともに、ペース配分もすごく上手く出来ていたと思います。実際、僕もマイケル・ベイ監督との仕事はすごく楽しかったですし、僕のことをいろいろと誉めてくださって、本当にありがとうございました。彼の現場で、アクション映画というものがどのように作られていくのかということも学べて、僕も本当に勉強になりました。
■(マイケル・ベイ):とにかく彼にはいろいろな要求をしまして、時速60マイルでトラックを運転させて、僕がカメラを回して“(スピードを)もっと出せ! もっと出せ!”と言ったり、ヘリなども、10フィートくらいスレスレの位置で飛んでいるわけですが、“いいから行け!”などと叱咤激励しながらあのアクションシーンを撮っていたんです。
●司会者:撮影時のエピソードを、ユアンさんと監督にお願いします。
■(マイケル・ベイ):私が思い起こすシーンはですね、クローンが袋に入っていて、それを切り裂く場面があります。あたかもトラックドライバー(が無造作に荷をほどくか)のように乱暴に切り裂くんですね。もちろん映画なんですけれども、観ている人たち(の脳裏に)は、人間に対してああいうことをしてもいいの? という考えが過ぎってしまう。あのシーンを非常によく覚えています。
■(ユアン・マクレガー):裏話というよりも、この撮影で非常に印象深かったことはですね、僕は、(『スター・ウォーズ』などで)ブルー・スクリーンの前で演技をするということを非常に多くこなしてきました。本当に、やりすぎるくらいしてきたんです。でも、彼(監督)の撮影の場合は、全部がカメラの前で行われるわけです。それを目の当たりにして僕も勉強になったのですが、マイケル・ベイ監督をはじめ、彼のすばらしいスタッフ、特に、特撮のスタッフ、彼らが実際に現場でやるわけですね。それは本当にすばらしいと思いました。その手法は、今となっては少し時代遅れと言われがちですけれども、実際にカメラの前で行われるということが、僕にとっては大変おもしろい体験でした。
◆質問:ユアン・マクレガーさんに質問です。『スター・ウォーズ』、そしてこの作品とサイエンス・フィクションものが続いていますが、あなたはSFが好きなのでしょうか?
■(ユアン・マクレガー):僕自身、『スター・ウォーズ』を観て育った世代です。1作目ができた時、僕は6歳だったわけですから、それからずっと、4、5、6、1、2、3と観ていって、すごく影響を受けました。けれど、僕は『スター・ウォーズ』とこの『アイランド』とを同じジャンルとしてはまったく考えていないのです。なぜなら、みなさんご存知のように、『スター・ウォーズ』といえば、遠い、遠いギャラクシーの物語です。それに対して『アイランド』は、本当に(我々の住むこの地球の)近未来を描いています。そして、人間をクローン化するというのは、我々にとっても大変身近な問題です。より近い問題と考えておりますから、このふたつを同じジャンルとしては考えておりません。
●司会者:クローンの2人の愛は、どのように成長していくのでしょうか。
■(マイケル・ベイ):たくさん子供が生まれると思います。あのキスの熱烈さを見てください。私、監督としてはですね、スカーレットとユアンが果たして気が合うかどうか心配だったのです。2人でトレーラーに行って数時間過ごしなさいと言ったりして(笑)。そういった提案をしました。
■(ユアン・マクレガー):クローンの子供はクローンのクローンになるんですかね(笑)。
●司会者:監督が言われたトレーラーの話は?
■(ユアン・マクレガー):トレーラー(笑)? 彼女はとても美人ですし、素晴らしい女優だと思います。現役の女優の中でも、最も才能豊かな女優のひとりだと考えています。ですから、彼女と息が合っても驚くことではありません。この映画の中の2人のキャラクターの人間関係は、とても強いものであったと考えています。2人の間にある感情はすごく強いものだったと思います。
◆質問:マイケル・ベイ監督には、初めてジェリー・ブラッカイマー以外の製作者と組んでの印象を。ユアン・マクレガーさんには、以前、バイクで大陸を横断されたと聞きましたが、あのバイクについてのセリフだとか、自分のプライベートが反映されているようですが、自分で肉付けをしたのでしょうか。
■(マイケル・ベイ):私はもちろん、今でもジェリー・ブラッカイマーを愛していますし、彼が私に長編映画を撮るチャンスを与えてくれたことにすごく感謝しています。とても良いパートナーです。しかしながら、私は15歳の時に、ルーカスフィルムでコンテの整理をするアルバイトをしていました。ですから、スティーブン・スピルバーグから今回こういう仕事の依頼がきたことに運命的なものを感じています。今回、スピルバーグと仕事をして、ブラッカイマーはちょっと気分を害しているかもしれませんが、彼は大変良い友人でパートナーです。そしてまた、スピルバーグは私のヒーローですから、ヒーローと仕事をするというのはとてもクールな経験でした。
■(ユアン・マクレガー):あのバイクについてのセリフですけれど、あれは僕のものだと考えたいと思っているわけですが、実際、僕はバイクが好きですし、バイクは僕にとってひとつのファッションだと思っていますから。実際、自分の趣味を仕事の中に反映させるのは楽しいことです。もうひとつ、もっと強いセルフオマージュといっても過言ではないところがこの映画には含まれてまして、それは施設の中のバーのシーンです。リンカーンとジョーダンがお酒を飲んでいる場面で、他の仲間たちが最近の流行り言葉で“Dood(ドゥードゥ)”というのがあるらしいよという話が持ち上がる。これは実際、マイケル・ベイ監督へのオマージュなんです。彼は誰に対しても“Dude! Dude!”と言うんです。ですからあのセリフは、本来はマイケル・ベイ監督の話なんです。
◆質問:ユアンさんに聞きたいのですが、地元ロンドンで爆発がありましたが、今舞台「GUYS AND DOLLS」を演出していると思うのですが、あの日のことを。
■(ユアン・マクレガー):現在、僕は舞台の演出をしているわけではなくて、出演しています。実際、同時多発テロの日は大変な日でした。僕自身、大変ショックを受けたわけですが、実際、自分の国に住んでいながら不安を感じるというのは不思議な感覚です。実感があまりないというのが正直なところです。あの日、僕は『アイランド』の試写に行く途中だったんです。それで、あの二階建てバスが爆破された場所はちょうど僕が向かおうとしていた試写室から近いところだったんです。本当に、すぐそこにあるというほど近い場所だったので、引き返さざるを得なかったんです。 一 質問してくださった方は大変美しい方ですね。
■(マイケル・ベイ):僕はもうパーソナルなインタビューをしたからね(笑)。
■(ユアン・マクレガー):半分冗談だろうけれど、僕は本当だと思っているよ(笑)。
■(マイケル・ベイ):(質問者のとなりに座り)これから僕らはデートですよ。ガールフレンドです。
■(ユアン・マクレガー):本当にこれは不公平だよ。僕は何百マイルも離れているというのに。
会場笑い。
(通訳者の表現をもとに採録。細部の言い回しなどには若干の修正あり)
『アイランド』は2005年7月23日より丸の内ルーブルほか全国松竹・東急系にて公開。
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