はじめに
今年で4回目を迎えた「しんゆり映画祭」が10月7日(水)から10月11日(日)まで開催され、好評のうちに閉幕した。期間中は、後半は雨の日もあったが、ほぼ晴天に恵まれ、会場となったワーナー・マイカル・シネマズ新百合ケ丘、新百合21ホールのある新百合ケ丘駅周辺は、映画祭ならではの賑わいをみせた。
市民プロデューサーとボランティアによる運営で行われたこの映画祭は、ワーナ−・マイカル・シネマズ新百合ケ丘の入口近くに貼られた、手書きの日程表が物語るように、手作り感覚で人の温もりを感じさせる、「芸術のまち構想」を進めるコミュニティーならではのもの。その温もりは企画にも繁栄され、市民プロデューサー達の並々ならぬ思いを感じる企画として最も見逃せなかったのが、『バリアフリー・シアター』だ。そもそも、この企画を考えるきっかけとなったのは、市民である身体障害者団体からの電話だった。「映画を見たい」という彼らのひとことが、市民プロデューサー達を突き動かしたのだ。しかし、彼らが鑑賞出来るような設備をもつ劇場はない。それでも、何とか実現できないものかという一念で、去年実験的に行った試みを、今年は『バリアフリー・シアター』として10/8(木)、10/9(金)の2日間、新百合21ホールで本格的に始動させた。 始めは前売状況も悪く、「バリアフリー」というネーミングが健常者を遠ざけてしまったかと心配もされたが、ふたを開ければ160人余りを動員。結果は好評だった。
『バリアフリー・シアター』は来年も予定されており、しかも、今度はワーナー・マイカル・シネマズ新百合ケ丘が会場になるという(ワーナ−・マイカル・シネマズでは、今年の暮れに全国の劇場にイヤホン設備設置を予定している)。
その他も「日本・アジアの熱い風」をテーマにした『ヤングシネマ』(2001年に「かわさき国際映画祭」として独立)、今年からの新企画『しんゆり名画座』と、どちらも様々な趣向を凝らしており、多彩なゲストを招いての座談会やトークも行われた。
今回は、数多くの企画メニューの中から座談会を中心に、文字どおり物凄い盛り上がりをみせた「華麗なる印度マサラムービー・ナイト」の模様を含めたレポートと、しんゆり映画祭実行委員長、武重邦夫氏のインタビューをお送りしたい。いくつか行われた座談会の中からは、《三池崇史の世界》より「日本からアジア、そして世界へ」、《伝説の名画座3》より「名画座へ行こう」、クロージング特別企画《ツァイ・ミンリャンを迎えて》より「ツァイ・ミンリャン映画の魅力」を紹介しておきたい。
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