■梅雨明けかと思いきや、連日の雨模様。時々顔をのぞかせる太陽に、
お手柔らかにとつぶやきながらも元気をもらう毎日が続いています。
いらしてくださっているみなさんは、体調など崩すことなく
お元気でいらっしゃるでしょうか。

今日は、長い間考えていたことをお伝えするべく、
久しぶりにこのコーナーを更新してみることにしました。
今回は、映画作品にまつわるスモールトークではありません。
少し長くなるかもしれないのですが、最後までお付き合いいただければ
幸いです。



私が、いわゆるインターネットを使い始めたのは、もう十数年ほど
前のことになるでしょうか。当時は、主に理系の研究者や技術者の間で
使用されていて、ずっと後になってその延長線上で商用利用が開始されるまでは
提供される情報は無料であることがあたりまえの時代がありました。

有益な情報が、無料で迅速に手に入る時代。もちろん、現在のように
多岐にわたる細々とした情報までが広く提供されていたわけではありませんが、
研究や調査を目的とした利用においては、精度の高い本格的な情報に
(環境さえ整えば)自由にアクセスすることが可能でした。

そんな時代を経て、一般向けのブラウザーやメールソフトの開発が進み、
国内でも、ビジネスベースの情報サービスが大きな規模で展開されるように
なり……いつしか私も、エンターテインメント系の情報提供サービスを
手がけるようになりました。

前例となるようなものがほとんどなかった時代に、まさに手探りで
新しいものを作り上げていくという経験は非常に貴重でわくわくする
ものでしたが、現在のように、誰もが当たり前に使用できるような
環境が整っていなかった頃のことですから、エディターとブラウザーを
駆使してタグを打ち込み、テキストデータを作成し、フィルムスキャナーで
画像を取り込んで加工したものも含め、全てのデータをあちこちに転送する
……毎日のように繰り返されるその一連の作業は非常に過酷なものでした。
また、その前に、取材や編集、ディレクションもこなさなければなりません
でしたから、激務といったほうがいいかもしれません。

以前、私が外部で手がけていた媒体の大本のシリーズの責任者は、
おそらくは過労が原因でお身体を壊し、戦列を離れ、その後、他界。
まさかとは思いつつも、1秒を争うプレッシャーのもとで募る疲労を
無視できなくなっていた私自身も、気をつけなければならなくなって
いました。

そして……独自媒体の運営も含めた何足ものわらじを、同じようなペースで
数年間履き続けた私は、やはり過労のため休養を余儀なくされてしまいました。

人間って、数年間の過労で倒れると、回復までにその何倍もかかるもの
なのですね。頑健ではないけれど、どんな時も柳のようにしなって
大過なく過ごしてきた私にとっては、とても貴重な教訓になりました。
そしてその間、多くの方々から、励ましやさりげないお気遣いや、
そして何より! たくさんの勇気をいただくことができました。
この場を借りて、心からお礼を申し上げたいと思います。
ありがとうございました。

現在、私はまた、このサイトとそれに伴う媒体を新たに動かし始めようと
考えています。もちろん、限界知らずの徹夜や激務の日々に戻ってしまおうと
いうわけではありません。自戒の意味をこめて、そのようなペースに陥るような
可能性は排除していかなければと思っています。

そこでクローズアップされてくるのが、資金面の問題です。
ペースを落として続けてきた仕事の分を運営費に回すというようなことも
考えてみましたが、それではあまり意味がないような気がしました。
また、本格的なビジネスとして有料のコンテンツを展開するとか、ともすれば
閉鎖的な会員制を導入するとか、さまざまな可能性についても検討してみましたが、
それでは、先に書かせていただいたような、インターネットの古き良き時代(若干
語弊があるかもしれませんが、敢えて、良質なコンテンツが無料で惜しげもなく
提供されていた時代を指してこう呼ばせていただきます)の志を無にするような
気がしました。

「できることなら、無料でより良いコンテンツを
 映画を愛する多くの方々にずっとずっと提供し続けていきたい!」

それが、今も昔も変わらない私と仲間たちの思いです。

それでは、どうするのか。

そこで、実験的に採用してみようと思った方法があります。
いわゆる、「ドネーション(寄付)システム」です。

今も変わらず訪れてくださる多くの志の高い方々に、
私たちへの応援の気持ちを形に代えて届けていただけたら、
何て幸せで素敵なことだろうと思ったのです。

金額は問いません。
篤志家の方々からの大きなお話がいただけたなら幸甚の極みです。
そして、応援はしたいけれど、余裕がない。
そんな方からなら、たとえわずかであっても、そのお気持ちが最高に嬉しい。

結果的に、温かい心と心が繋がり続けて、大きなプロジェクトとして
展開していけたなら、それほど素晴らしいことはありません。

今までも、そしてこれからも。
みなさんからの真心のこもった声援が、私たちの支えです。

みなさんのご協力を、私たちも真心をこめて邁進しつつ
心よりお待ちしております!

2009年7月22日 冴



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