■第23回東京国際映画祭コンペティション出品作品
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日時:2010年10月23日(土)〜10月31日(日)
場所:六本木ヒルズほかにて



『そして、地に平和を』"And Peace on Earth"
2010年/イタリア/89分/イタリア語
監督:マッテオ・ボトルーニョ、ダニエレ・コルッチーニ 出演:マウリツィオ・テセイ、ウゲッタ・ドノラシェンツォ
退屈と暴力が支配する町。売人のマルコは川沿いのベンチに座り、じっと人々を観察し続ける。まるで天使のように……。断ち切れない負の連鎖に呑まれる人々の悲惨な運命を、崇高な次元に昇華させる監督の演出力に唸らされる1本。


 



『ビューティフル・ボーイ』"Beautiful Boy"
2010年/アメリカ/100分/英語
監督:ショーン・クー  出演:マイケル・シーン、マリア・ベロ、ムーン・ブラッドグッド
大学構内で銃乱射事件が発生。我が子の無事を案じる両親に届いた報せは想像を絶するものだった……。苦しみに対峙する両親の姿を通じ、家族のあり方を問い直す感動作。『クイーン』『フロスト×ニクソン』のマイケル・シーン主演。


 



『ブライトン・ロック』"Brighton Rock"
2010年/イギリス/111分/英語
監督:ローワン・ジョフィ 出演:サム・ライリー、ヘレン・ミレン、アンドレア・ライズボロー
文豪グレアム・グリーンの名作の映画化。英国南部の行楽地ブライトンを舞台に、不良少年と純情少女の偽りの関係を軸に語られる、愛と裏切りの物語。『コントロール』で鮮烈な印象を残した主演のサム・ライリーに注目!


 



『フラミンゴ No.13』"Flamingo No.13"
2010年/イラン/80分/ペルシャ語
監督:ハミド・レザ・アリゴリアン 出演:バラン・ザマニ、ラスール・ユーナン、モハマド・タギ・シャムス・ランガルディ
イラン山間部の小さな村。雄大な自然の中で、人々がひっそりと暮らしている。禁じられたフラミンゴ猟にとりつかれた男。彼が愛する女。そして、ふたりの仲をねたむ男。寓話のような三角関係を、幻想的な映像美で描いた新人監督の第1作。


 



『一粒の麦』"If the Seed Doesn't Die"
2010年/ルーマニア、セルビア、オーストリア/113分/ルーマニア語、セルビア語、ドイツ語、英語
監督:シニツァ・ドラギン 出演:ムスタファ・ナダレヴィッチ、ダン・コンドゥラケ、フランツ・ブーフライザー
ルーマニア、セルビア、コソボ。混沌たる東欧地域で交差する、ふたりの父親の物語。息子と娘を捜す旅に出るふたりの道程を繋ぐように現れる、200年前の教会の伝説……。旅路の果て、映像のみが表現できる至高のラストシーンに息が止まる。


 



『僕の心の奥の文法』"Intimate Grammar"
2010年/イスラエル/107分/ヘブライ語
監督:ニル・ベルグマン 出演:ロイ・エルスベルグ、オルリ・ジルベルシャッツ、イェフダ・アルマゴール
1963年イスラエル。束の間の平和な時期を背景に、数年前から成長することをやめた少年アーロンの物語。バラバラな家族に反抗するため? それとも時代に抵抗するため? コミカルな要素も加えながら、思春期の心の揺れを寓話的に描く。


 



『隠れた瞳』"The Invisible Eye"
2010年/アルゼンチン、フランス、スペイン/95分/スペイン語
監督:ディエゴ・レルマン 出演:フリエタ・シルベルベルク、オスマル・ヌニェス、マルタ・ルボス
1982年、軍事独裁政権末期のアルゼンチン。厳格なエリート養成学校の女教師が、規律と欲望の間に挟まれていく様を描く。ヒロインの心境に社会情勢が巧みに重なり、広がりのある映像と細やかな心理描写を並立させる演出力は必見。


 



『鋼のピアノ』"The Piano in a Factory"
2010年/中国/100分/北京語
監督:チャン・メン 出演:ワン・チエンユエン、チン・ハイルー、チャン・シニョン
妻とは離婚寸前、今の恋人も気になるけれど、一番大切なのは愛する娘のためにピアノを確保すること! 過渡期の中国社会に暮らす市井の人々への温かい視線を注ぎながら、モダンで自由なセンスが楽しい新感覚の中国映画。


 



『わたしを離さないで』"Never Let Me Go"
2010年/イギリス、アメリカ/105分/英語
監督:マーク・ロマネク 出演:キャリー・マリガン、アンドリュー・ガーフィールド、キーラ・ナイトレイ
映画史上かつて描かれたことのない<秘密>。謎めいた寄宿施設で育てられた3人の若者たち。複雑に絡み合う絆で結ばれた彼らがたどる、あらゆる衝撃をも超越した痛切な運命とは? 儚くもエモーショナルなラブ・ストーリー。


 



『一枚のハガキ』"Post Card"
2011年/日本/114分/日本語/配給:東京テアトル
監督:新藤兼人 出演:豊川悦司、大竹しのぶ、六平直政
98歳の新藤兼人監督自身、映画人生の最後の作品と語る最新作。戦後の惨禍は一兵士の戦士に止まらない。大黒柱を失った家族は破壊される。庶民一人ひとりから見た戦争被害を最後の作品のテーマにした。


 



『小学校!』"Primary!"
2010年/スペイン/99分/スペイン語
監督:イバン・ノエル 出演:フランシスコ・アルフォンシン、ホセ・ホアキン・メナ=ベルナル・ルエダ
絵画に気持ちを開放していく小学生の姿を、新任の美術教師の目を通して描いたハッピーな作品。ドキュメンタリー的な描写も瑞々しく、授業風景や職員会議もとてもリアル。そして子供たちの表情の素晴らしさといったら!


 



『サラの鍵』"Sarah's Key"
2010年/フランス/111分/フランス語、英語
監督:ジル・パケ=ブランネール 出演:クリスティン・スコット・トーマス、メリュシーヌ・マイヤンス、ニエル・アレストラップ
ユダヤ人迫害の動きが過激化する1942年のパリ。幼い弟を何度に隠したサラは、その鍵を手にしたまま収容所に送られてしまう……。過去と現代が交差し、歴史が封印していた悲痛な記憶が掘り起こされる感動のベストセラーの映画化。


 



『海炭市叙景』"Sketches of Kaitan City"
2010年/日本/152分/日本語/配給:スローラーナー
監督:熊切和嘉 出演:谷村美月、加瀬 亮、小林 薫、南 果歩、竹原ピストル
村上春樹らと並び評されながら不遇だった小説家・佐藤泰志の幻の小説の映画化。海炭市とそこで人生に苦い想いを抱えて生きる人々の姿を、函館市民の協力を得て、優しく包み込むように描き出した熊切和嘉監督の傑作。


 



『ゼフィール』"Zephyr"
2010年/トルコ/93分/トルコ語
監督:ベルマ・バシュ 出演:シェイマ・ウズンラル、ヴァヒーデ・ギョルドゥム、セヴィンチ・バシュ
母さんは自分を愛していないかもしれない……。自然の寛大さや残酷さに接しながら、山の中で寂しさを紛らわす少女の繊細な心境を描く。近年好調のトルコ映画界から現れた、斬新な映像センスを持つ期待の女性新人監督の長編デビュー作。


 



『ブッダ・マウンテン』"Buddha Mountain"
2010年/中国/105分/中国語
監督:リー・ユー 出演:シルヴィア・チャン、ファン・ビンビン、チェン・ボーリン、フェイ・ロン、ジン・ジン、ファン・リー、パオ・ジェンジャン
ベテランの女性歌手と、彼女と共同生活を始めることになる若者たちとの交流を通じて、愛とは何かを描いていく作品。自由奔放に暮らしながらも、それぞれが問題を抱える若者たちの成長を描く青春映画の要素と、悲劇に見舞われた女性歌手の魂の救済を巡る人間ドラマの要素とを美しく融合させた演出が光る。青春スターのチェン・ボーリンとファン・ビンビンの輝きに加え、しっとりとした奥行きのある演技を見せるシルヴィア・チャンの存在感が必見である。