『レスラー』/"THE WRESTLER"


2009年6月13日よりシネマライズ、TOHOシネマズシャンテ、シネ・リーブル池袋ほかにて公開

2008年/アメリカ・フランス/109分/原題:THE WRESTLER/カラー/35mm/シネマスコープ/ドルビーデジタル/R-15/提供・配給:日活/字幕:太田直子/(c)Niko Tavernise for all Wrestler photos

◇監督:ダーレン・アロノフスキー ◇プロデューサー:スコット・フランクリン ◇共同プロデューサー:マーク・ヘイマン ◇エグゼクティブプロデューサー:ヴァンサン・マラヴァル、アニエス・メントル、ジェニファー・ロス ◇脚本:ロバート・シーゲル ◇美術:ティム・グライムス ◇撮影:マリス・アルベルチ ◇スチールフォトグラファー:ニコ・タヴァーニース ◇キャスティングディレクター:メアリー・ヴァーニュー、スザンヌ・スミス=クローリー ◇衣装:エイミー・ウェスコット ◇編集:アンディ・ワイスブラム ◇音楽:クリント・マンセル ◇音楽監修:ジム・ブラック ◇美術:テオ・セナ ◇音響:ケン・イシイ ◇特殊メイク:マイク・マリノ ◇スタントコーディネーター:ダグラス・クロスビー ◇アソシエイトプロデューサー:アリ・ハンデル、エヴァン・ギンズブルグ

◇キャスト:ミッキー・ローク、マリサ・トメイ、エヴァン・レイチェル・ウッド、マーク・マーゴリス、トッド・バリー、ワス・スティーブンス、ジェダ・フリードランダー、アーネスト・ミラー、ディラン・サマーズ



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【解説】

稀にみる役者とキャラクターの素晴らしい調和
ミッキー・ロークの復活を目撃する ― Newsweek

刺激的で、ユーモラスで、深く感動的な演技 ― Variety

「胸をゆさぶる素晴らしい演技だった」
第65回ヴェネチア国際映画祭審査委員長ヴィム・ヴェンダース



◆本年度、アカデミー賞ノミネート!
主演男優賞<ミッキー・ローク>、助演女優賞<マリサ・トメイ>
世界が泣いた、賞レースに嵐を呼んだミッキー・ローク完全復活の感動作!


アメリカ本国で配給さえ決まっていなかった無名の低予算映画が、2008年のヴェネチア国際映画祭で大旋風を巻き起こした。タイトルは「レスラー」。自分の最後の「生き場所」をリングの上に求める中年プロレスラーを、人生のどん底をなめた男ミッキー・ロークが全身全霊をこめて演じたヒューマンドラマである。審査委員長を務めたヴィム・ヴェンダースが、「映画祭の規則を曲げ、グランプリと主演男優賞の両方を贈るべきだ」と主張したこの作品は、最終的に最高賞である金獅子賞を受賞。一躍世界の映画ファンの注目を集めた。

その話題性とクオリティの高さを証明するように、2008年12月17日、わずか4館でスタートしたアメリカの先行上映では、週末のスクリーン・アベレージで「ノーカントリー」を上回る驚異の5万ドル超えを記録。また、賞レースの目玉として、英国アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞、トロント映画批評家協会賞などの名だたる映画賞の主演男優賞を総なめにし、また、アカデミー賞では、主演男優賞と助演女優賞の2部門にノミネート、全世界で54個の映画賞を受賞するという快挙を達成した。それは、製作段階で関係者の誰もが予想しえなかった"奇跡"だった(2009年2月現在)。



◆ミッキー・ロークを支えた監督と、ブルース・スプリングスティーンとの絆

監督は、『レクイエム・フォー・ドリーム』で脚光を浴びたダーレン・アロノフスキー。3年前、「ミッキー・ローク主演でレスラーの映画を作る」と心に決めた彼は、有名スターの起用を求めるスタジオと戦い、予算を大幅に削ってまでロークの主演を死守。そんな監督の熱い志に応え、「自分のすべてをこの映画に捧げる」と誓ったロークは、3カ月の猛特訓を重ねてプロレスの技を習得。"肉体の限界"という悲哀を背負った主人公に自身の波瀾万丈な人生を投影させ、観客の心を荒々しく揺さぶる魂のパフォーマンスを見せる。

そのロークを脇で支えるのは、『いとこのビニー』のオスカー女優マリサ・トメイ。不器用な主人公を不器用に愛することしかできなストリッパーを好演し、アカデミー賞とゴールデン・グローブ賞にノミネートされたほか、サンフランシスコ映画批評家協会賞など9つの助演女優賞を受賞した。また、共演陣では、主人公に愛情を抱く娘の役に『サーティーン あの頃欲しかった愛のこと』のエヴァン・レイチェル・ウッドが扮し、若手No.1と称される繊細な心理演技で魅了する。

主題歌を手がけたのは、ロークと親交のあったブルース・スプリングスティーン。ロークの手紙に応じてノーギャラで曲を提供した彼が、ゴールデン・グローブ賞の主題歌賞に輝いたことも、本作をめぐる大きな話題のひとつだ。



◆自分が最も輝ける舞台へ
ギリギリの生きざまが今、熱く胸を打つ!


主人公のランディは、栄光の頂点から20年かけてジワジワと凋落の道を歩んできた男。金も家族も名声も失った彼にとっては、プロレスの仲間だけがファミリーと呼べる存在であり、リングの上だけがホームと呼べる場所だ。しかし、そんな彼も肉体の衰えには勝てず、引退を余儀なくされる時がやってくる。新しい仕事に就き、疎遠にしていた娘との絆を修復し、人生の再出発をはかろうとするランディ。だが、まもなく彼は気付く。自分が、リング外では生きられない人間であることに ― 。

誰も避けることのできない老いと孤独。迫り来る死の影。その足音を間近に感じながらも、トレードマークのブロンド・ヘアを老ライオンのたてがみのようになびかせて、自分が最も輝ける舞台に舞い戻っていくランディ。「生き場所」と「死に場所」の交差点へダイブしていく彼のギリギリの生きざまは、哀しく、美しい。そう痛烈に感じさせるランディの勇姿には、誰もがリアルな感動を覚え、涙せずにはいられないだろう。



 


【ストーリー】

ランディ(ミッキー・ローク)は、ザ・ラムのニックネームで知られるプロレスラー。全盛期にはマディソン・スクエア・ガーデンを満杯にし、雑誌の表紙を飾るほどの栄華を極めた彼だが、20年を経た今は、ニュージャージー周辺のどさ周りの興行に出場し、糊口をしのぐ日々を送っている。住まいは、侘しいトレーラーハウス。その家賃さえも近所のスーパーでアルバイトをしなければ支払えない状態だったが、ランディには、いまさら別の生き方をする気概もゆとりさえも残されていなかった。

しかし、その考えを改めざるを得ない時がやってくる。試合の後で心臓発作を起こしたランディは、「もう一度リングに上がったら命の保証はない」と、医者から引退を勧告されたのだ。退院後、トレーラーハウスに戻った彼は、今の自分には行く場所もなければ頼る人もいないことに気付く。

その孤独を紛らわそうと場末のクラブを訪れたランディは、なじみのストリッパーのキャシディ(マリサ・トメイ)に発作で倒れたことを打ち明ける。「独りはつらくて、君と話したくなった」。すがりつくようなまなざしでそう訴えるランディに、キャシディは、「家族に連絡を」とすすめた。

ランディには一人娘のステファニーがいた。ずっと親らしいことをしてこなかったせいで心はとっくに通わなくなっているが、唯一の身内であることに変わりはない。迷ったあげく、彼は、キャシディのアドバイスに従って、娘に会いにいくことにした。

案の定、ステファニー(エヴァン・レイチェル・ウッド)は、突然訪ねてきた父にあからさまな嫌悪を示した。心臓発作の話も、彼女のさらなる怒りを誘発するだけ。「私の知ったことじゃないわ」と、憎しみを露にして去っていく娘の背中を、ランディはただ黙って見送るしかなかった。


その顛末を聞き、ランディを不憫に思ったキャシディは、ステファニーへのプレゼントを買いにいくというランディに、自分もつきあうと申し出る。

待ち合わせの土曜日、素顔のキャシディを見て、ときめくランディ。古着屋でプレゼントを買った後に、パブでビールを飲んだふたりは、はずみでキスを交わす。

その日から、ランディは不器用な足取りで第二の人生を歩み始めた。フルタイムの仕事はスーパーの総菜売り場。接客は得意ではなかったが、割り切ればどうにかこなせた。さらに、プレゼントを携えて再訪したステファニーはランディに心を開き、彼の謝罪を受け入れてくれた。すべては順調に滑り出したかに見えたが、ちょっとしたボタンの掛け違いで、再びランディの人生は平穏な軌道から外れていく。

きっかけは、お互いに好意を持ち合っていると思っていたキャシディに、個人的な交際を断られたこと。彼女と口論になったあげく、行きずりの女と一夜を過ごしたランディは、ステファニーとのディナーの約束をすっぽかしてしまう。再び裏切られたことに傷つき激怒したステファニーは、父に絶縁を宣言。そのショックに追い打ちをかけるように、スーパーの客に嘲笑を浴びせられたランディは、キレて仕事を放り出してしまう。

怒りと情けなさが腹の底から突き上げてくるなかで、ランディは悟る。たとえ命を危険にさらすことになっても、自分はプロレスラーのザ・ラムとしてしか生きることができない男なのだ、と。

カムバックを決めたランディは、早速プロモーターに連絡。引退を撤回し、全盛期の宿敵アヤットラーとの20年ぶりの再試合を組み直してくれと申し出る。

かくして迎えた再試合の日、髪を染め直し、意気揚々とウィルミントンの試合場に出かけていくランディ。そんな彼を愛していることに気付いたキャシディは、ウィルミントンまで車を飛ばし、試合直前のランディを引き止めようとする。

だが、時すでに遅し。ファンの声援と喝采を耳にしたランディに、キャシディの言葉は届かなかった。

「あそこが俺の居場所だ」

そう言い放ち、ランディは躍り出ていく。自分が最も輝き、最も誇り高くいられるリングの上に ― 。