『スラムドッグ$ミリオネア』/"SLUMDOG MILLIONAIRE"


2009年4月18日よりTOHOシネマズシャンテほか順次公開

2008年/120分/イギリス映画/カラー/シネスコ/ドルビーデジタル/字幕翻訳:松浦美奈/原題:SLUMDOG MILLIONAIRE/提供:ユーズフィルム×メディアファクトリー/配給:ギャガ・コミュニケーションズ/宣伝:ギャガGシネマ/後援:ブリティッシュ・カウンシル/原作:「ぼくと1ルピーの神様」(ランダムハウス講談社)

◇監督:ダニー・ボイル ◇製作:クリスチャン・コルソン ◇脚本:サイモン・ビューフォイ ◇撮影 :アンソニー・ドッド・マントル ◇編集:クリス・ディケンズ ◇美術:マーク・ディグビー ◇衣装:スティラット・アン・ラーラーブ ◇インド キャスティングディレクター:ラブリーン・タンダン ◇イギリス キャスティングディレクター :ゲイル・スティーヴンス ◇作曲 :A・R・ラフマーン

◇キャスト:デーヴ・パテル、アニル・カプール、イルファーン・カーン、マドゥル・ミッタル、フリーダ・ピント



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【解説】

全ての答えの裏側に、インドを疾走する彼の人生があった ― 。
世界最大のゲームショー「クイズ$ミリオネア」で
一夜にして億万長者のチャンスを掴んだスラムの少年。
全てを賭けた〈ファイナル・アンサー=最後の答え〉を探して
彼の過酷な人生を駆け抜ける、
パワフルなエンタテインメント感動作!




◆世界が絶賛した“ある少年”の物語。
全ては、2008年トロント国際映画祭から始まった。


18歳の少年ジャマールは、警察に逮捕された。理由は、インドで大人気を誇る世界最大のクイズショー「クイズ$ミリオネア」に出演し、あと1問正解を出せば番組史上最高の賞金を獲得できるところまで勝ち抜いたからだ。いまだかつて医者も弁護士も、ここまで勝ち残ったことはない。しかもジャマールは、学校にも行ったことがないスラム出身の孤児なのだ。果たして彼はどんなズルをしているのか?  いや、それとも彼は生まれながらの天才なのか?

2008年9月トロント国際映画祭で世界初上映となった本作『スラムドッグ$ミリオネア』は、翌朝には批評家や業界関係者の間で「傑作」と絶賛の評や口コミが出始め、同映画祭において最高峰となる〈最優秀観客賞〉を受賞。勢いはその後も増すばかりで、11月に全米で公開されると、ブログなどで絶賛の声が相次ぎ大ヒットとなり、10館からスタートした公開が年内には600館規模へと拡大。その頃から“アカデミー賞〈作品賞〉最有力”とささやかれ、12月に発表されたナショナル・ボード・オブ・レビューでは2008年の最優秀映画賞に輝いたばかりか、監督賞、有力新人賞も獲得。更には、ゴールデン・グローブ賞では見事〈最優秀作品賞〉〈最優秀監督賞〉〈最優秀脚本賞〉〈最優秀作曲賞〉の最多4部門を受賞し、現在も日々世界中の映画賞を受賞し続けている(第81回アカデミー賞では〈最優秀作品賞〉〈監督賞〉〈脚色賞〉〈撮影賞〉〈編集賞〉〈録音賞〉〈作曲賞〉〈主題歌賞「Jai Ho」〉の最多8部門受賞)。



◆『トレインスポッティング』監督 ×『フル・モンティ』脚本家の鬼才コンビが贈る
万華鏡のように表情を変えるパワフルな構成と、
涙と感動に溢れるストーリー。


インド生まれの作家ヴィカス・スワラップによる小説「ぼくと1ルピーの神様」を元に、スリルと愛、残酷さとユーモア、そして涙と感動にあふれる『スラムドッグ$ミリオネア』の脚本を手掛けたのは、『フル・モンティ』でオスカー候補に挙がったサイモン・ビューフォイ。執筆前にリサーチのため3度インドを訪れた彼は、スラムの人々の持つポジティブさ、コミュニティの意識に感銘し、そのエッセンスをたっぷりと脚本に盛り込んだ。

監督は『トレインスポッティング』『ザ・ビーチ』『28日後...』など毎回まったく違ったジャンルの作品を贈り出してきた個性派のダニー・ボイル。インドの持つエネルギーをスクリーンに反映させたいと願ったボイルは、出演者の多くを現地のスラムでスカウト。リアリティを重視して、言語も全体の3分の1をヒンディー語で撮影した。また、作曲には、インドの映画音楽を100曲以上作曲し、「ボリウッドのジョン・ウィリアムズ」とも呼ばれるA・R・ラフマーンを起用。その結果、まさに「今」のインドの躍動感と独特のエッジに満ちあふれる、エキゾチックかつパワフルな映像が誕生することになった。

クイズ番組、警察での尋問、ジャマールの回想シーンの3つを巧みに織り交ぜながら展開するスマートな構成。しかし、物語のコアとなるのは、ピュアすぎるほど美しいラブストーリー。ボストン・グローブ紙の映画批評家も「今晩、どんな予定があっても中止しなさい。そして『スラムドッグ$ミリオネア』を観に行きなさい」と言うとおり、何はさておいても今すぐ観に行きたい、感動の一作がここに誕生した!!



 


【プロダクションノート】

◆アメリカのメジャースタジオが公開を見送った作品が、
今やハリウッドの頂点に立とうとしている理由。


『スラムドッグ$ミリオネア』は、条件面だけで考えるとアカデミー作品賞候補としてはありえない作品だ。無名な役者達を集めて、極小の製作費で、しかもインドで撮影された作品である。しかし、ゴールデン・グローブ賞ではノミネートされていた4部門全てを受賞して最多の4冠を達成、さらに全世界中の映画賞で66以上の受賞をし、いまやオスカー作品賞最有力(最終的に〈最優秀作品賞〉〈監督賞〉〈脚色賞〉〈撮影賞〉〈編集賞〉〈録音賞〉〈作曲賞〉〈主題歌賞「Jai Ho」〉の最多8部門受賞)とされているのだ。ストレートDVDタイトルになってもおかしくなかったこの作品が、批評家や観客からなぜこんなにも絶賛され、大ヒットしたのか?

1.世界80ヶ国で放映されている人気番組「クイズ$ミリオネア」

全世界のテレビ業界が苦戦を強いられ、経済状況も歴史的な不況を迎えているこのご時世で、一体だれが億万長者(ミリオネア)になりたくないというのだろうか?  米国や日本の国民が不景気でひどい状況にあると思っているのであれば、それはこの映画の中で描かれているムンバイのスラム街の過酷さには比べるにも足りない。想像しうる最も貧困な生活を送っていた主人公のジャマールが、「クイズ$ミリオネア」の最終ラウンドにまで勝ち残り、一夜にして番組史上最高額の賞金を手に入れるチャンスを掴む。多くの人たちが苦しい状況を強いられている時代だけに、この映画は、全ての人に大きなインスピレーションと勇気を与えてくれるのだ。

2.今、この時代に希望を与えてくれる物語

『スラムドッグ$ミリオネア』は、単にスラムの少年が億万長者になるという夢物語ではない。そこには、貧困や犯罪、宗教問題など深刻な社会状況が織り交ぜられながらも、誰もが感動し突き動かされる、究極にピュアなラブストーリーが大きな軸となっているのだ。主人公ジャマールが生き抜いてきた過激で過酷な人生と、そこから這い上がっていく負け犬の力強さ、そしてどんな境遇にあってもまっすぐな心を見失わず、「運命の人」を追いかけ続けるジャマールの姿に、観客は大きな感動を覚え、心から彼を応援してしまう。それは、国籍や社会的地位など関係なく、観るもの全てにとってスリリングで、共鳴できる物語なのだ。

3.爆発しそうなインドのエネルギー

インド・ムンバイは、勢いに満ちた街だ。その街を舞台に展開するこの物語も、ムンバイ自体が持つスピード感と生命力、そしてまた過激な側面をしっかりと反映している。「このインドでの撮影のおかげで、僕は精神的に大きな変革を体験した」と語るボイル監督は、本作をありきたりなインドの紀行映画にはしたくなかった。だからこそ、自らがインドの混沌のど真ん中に立ち、フィルム撮影ではなく小回りのきくデジタル撮影を用いて、スラム街を駆け抜けながら撮影に挑んだ。結果観客たちは、実際にインドのストリートを走り抜けるような臨場感で、アジア最大のスラム街と、その対極にある巨大なテクノロジーが集結したビル街を、景色や音までをもリアルに感じながら観ることができる。インドという国を体験したことがない人にとっては、単に「映画」を観ているのではなく、まるで自分が実際に訪れたかのようにインドのエネルギーを吸収できる、“開眼”体験となるのだ。

4.ハリウッドに変わる、ボリウッドのパワー

1990年代初頭、香港映画界でしか活躍していなかったジョン・ウーやチョウ・ユン・ファ、そしてユエン・ウーピンが、今ではハリウッドの映画製作に欠かせない重要人物達となっている。まさに同じようなことが、この映画をきっかけにボリウッド業界にも起こるかもしれない。ハリウッドで、脚本家や俳優たちのストライキにより映画製作が難行している中、イギリス人の監督がインドを舞台に、ボリウッド映画の要素を組み込んで撮った新企画の映画が、今世界で最も求められる作品として、話題の渦中となっているのだ。映画業界の今までの常識を突破して、新しい映画の形が生まれるきっかけとなっているのかもしれない。



◆『トレインスポッティング』監督×『フル・モンティ』脚本家。
英国の鬼才コンビの夢のコラボが実現


最初に『スラムドッグ$ミリオネア』を監督しないかと話を持ちかけられた時、まったく心惹かれなかったとダニー・ボイルは告白する。「クイズ番組の映画なんか作りたくないと思った」というのが、その理由だ。しかし、脚本を書いたのがサイモン・ビューフォイだと聞いて、突然興味を覚えた。「彼のことは評価していたからね。そして10ページほど読んだ頃には、もうこれをやろうと決めていたよ」。ビューフォイにとっても、ボイルとのコラボレーションは理想的だった。ボイルは独自のセンスとスタイルをもつフィルムメーカーでありながら、脚本家に敬意を払い、自分勝手に脚本をあちこち変えることを決してしないからだ。「彼は、脚本にあるリズムを理解してくれる。それをなるべく維持しつつ、自分なりのビジョンを盛り込もうとする。その結果、完成した映画は間違えようのないダニー・ボイル作品なのに、聞こえてくるセリフは、僕が書いた言葉なんだ」とビューフォイは話す。映画製作の世界では、途中で脚本家が変わったり、加わったり、現場で何度となく書き替えがなされることは日常茶飯事。ボイルとビューフォイも、インド入りしてから現地の状況を見て、一緒に話し合いながら多少の変更を加えたが、プロとしてお互いを尊敬するふたりの作業はトラブルなく進み、驚くようなスピードでスムーズに撮影へと至った。ボイルとビューフォイの初コラボレーションは、もちろん映画通にとってエキサイティングなニュースだ。ボイルはこれまでに『トレインスポティング』『28日後...』など、斬新な映像と作風で映画界に新風を吹き込んできた鬼才。ドキュメンタリー映画の監督から脚本家に転向したビューフォイは、『フル・モンティ』でオスカーの脚本賞部門にノミネートされている。




◆万華鏡のように表情を変える、パワフルな構成

『スラムドッグ$ミリオネア』は、「クイズ$ミリオネア」の収録スタジオ、ジャマールが尋問を受ける警察の中、そしてジャマールの回想シーンの3つから構成されている。それら3つの場面が見事に織りなされるうちに、少しずついろいろなことが明らかになっていくのだ。原作「ぼくと1ルピーの神様」の脚色にあたり、サイモン・ビューフォイは、その流れをよりシンプルにした。「原作は、まるで短編小説が12個あるような感じ。中には、他とあまりつながらないようなストーリーや、主人公にはあまり関係のないエピソードが交じっていたりする。小説を脚色するのは、受け取ったスーツケースの中身を整理するようなもの。それは僕のスーツケースではなく誰かのものだが、なんとかして自分のものになるようにしなければならない」とビューフォイは語る。幼少時代(7歳)、少年時代(13歳)、青年時代(18歳)までが描かれる為、回想部分では幼いジャマールとしてふたりの子役が登場する。彼らの登場シーンはすべてスラムだが、大人になってからのジャマール、つまりデーヴ・パテルが登場する場面の多くはクイズ番組の収録スタジオ。イギリス生まれのパテルは、「インドの体験がすばらしかっただけに、もっと僕もスラムの街中でのロケの場面があったら嬉しかったのになぁ」と少し残念そうに話す。


◆素晴らしい演技で観る人を魅了する、新星デーヴ・パテル

ボイルの頭を悩ませたのは、主役ジャマールのキャスティングだった。リアリティを追求するため、インドに住むインド人俳優をキャスティングしたいと考えていたボイルは、ムンバイ、コルカタ、デリーなどで幅広くオーディションを行った。しかし、ボリウッドで活躍する俳優たちは皆、ハンサムで筋肉がしっかりついたアクションヒーロータイプ。ボイルがジャマールに求めるルックスとはまるで違っていた。そこへ、17歳のボイルの娘が、イギリスのティーン向けテレビ番組「Skins」に出ている俳優はどうか、と提案。それが、イギリス生まれのデーヴ・パテルだった。5回ほどのオーディションを経て、パテルは見事主役の座を獲得。演劇学校にも通ったことがない彼だが、この映画デビュー作で、既に新人賞を多数獲得している。出演者の中で唯一インド生まれではないパテルが自然なローカルの雰囲気をつかめるよう、ボイルは、撮影開始より早めにパテルをムンバイに呼び、ロケハンに同行させて、地元の人々の様子を観察させた。「実際のスラムを見られたことは、キャラクター作りに大きく役立ったよ。僕は肌の色は地元の人と同じだし、ナイキのTシャツさえ脱げば目立たないだろうと思っていたんだが、実際に外を歩くと視線が集中して、やはりどこか違うんだと自覚させられた。だから自由時間があるたびに外に出て人を観察し、地元の人らしく見えるような工夫と努力をし続けたんだ。」


 


【ストーリー】

世界最大のクイズショーで、残り一問まで辿り着いたスラムの少年。
間違えれば、一文無し。正解すれば、番組史上最高額の賞金を手に入れる。
〈スラムの負け犬 ― スラムドック〉が全てを賭けて出した、
人生の“ファイナル・アンサー”とは ― ?



■はじまり:1,000ルピー

インド中の人々が、今、テレビに釘付けになっている。大人気番組「クイズ$ミリオネア」が、番組の歴史上最高にエキサイティングな瞬間を迎えているのだ。挑戦者はムンバイのスラム出身の18歳、ジャマール・マリク。学校に行ったこともない彼は次々に難解な質問に正解を出し続け、あと1問で2000万ルピーを手にするところまで来ているのだ。いまだかつて医者も弁護士も、ここまで勝ち残ったことはない。もちろん、番組のホスト、プレーム・クマールにとって、このなりゆきはおもしろくない。クマールはこっそりと警察に連絡し、1日目の収録が終了したところでジャマールを逮捕させてしまった。

■警察での尋問:20,000ルピー

どんなずるい手段を使ったのかと尋問され、拷問を受けるジャマール。単に本当に答えを知っていただけだと主張する彼は、これまでに出された質問ひとつひとつについて、その答えを知ることになった過酷な過去を話し始めた ― 。

ジャマールと兄のサリームは、幼い頃目の前で母を亡くし孤児になった。ある日、ふたりは、ひとりぽつんと立っている女の子を発見する。放っておけという兄の言葉に逆らって、ラティカという名のその孤児の女の子を自分たちの仲間に招き入れてあげるジャマール。友人になったラティカ、ジャマール、サリームの3人は、自分たちを“三銃士”と見立てて、想像を絶する究極に残酷な少年時代を手を取り合って生き抜く。しかし、孤児たちを搾取する恐ろしい大人たちの元から逃げ出す途中で、ラティカと兄弟は生き別れとなってしまう。

■過酷な過去:640,000ルピー

兄弟2人となったジャマールとサリームは、電車の中で乗客から盗みを働いたり、タージ・マハルで焼き付けの知識を得て観光ガイドのフリをし、金を稼いだりして生き延びていた。どんな苦労にさらされながらも、決して金銭への欲望にとらわれることなく、まっすぐな心と誠実さを失わないジャマールと対象的に、サリームは金とパワーに貪欲になっていき、兄弟の溝は深まっていった。そんなジャマールの心の支えとなってくれたのは、今はどこに住むのかもわからない、幼なじみのラティカだった。彼女をどうしても見つけたい。その一心からジャマールは、「クイズ$ミリオネア」に参加することを決意する。インドのどこかで、彼女が見ていて自分を見付けてくれるかもしれないという希望に賭けるためだった。

■運命の瞬間:10,000,000ルピー

警察の尋問を受けるジャマールが、自らの過去を語るうちに、彼がなぜ質問の答えを知っていたのかが少しずつ明らかになっていく。ジャマールの話を聞くうちに、最初は敵意に満ちていた警部も、次第に心を動かされていく。このスラムの負け犬は、もしかしたら真実を語っているのかもしれない。さらに会話を続けるうちに、そもそもジャマールがなぜクイズ番組に出演しようと思ったのか、その動機が明らかにされ、警部はジャマールに「スタジオに戻って、最後の質問に答えなさい」と言う。そしてジャマールは、全てを賭けた“ファイナル・アンサー”を出すために、スタジオへと戻ることになる。

■最後の答え<ファイナル・アンサー>:20,000,000ルピー

果たして最後の質問には、何が用意されているのか? ここで正解が出せなければ、彼は元の生活に戻ることになる。一方で、正解すれば、2000万ルピーという夢のような大金を手にすることができるのだ。そして何よりも、この〈スラムの負け犬〉ジャマールは、本当の目的を達成することができるのだろうか。インド中が息を飲んで見守る中、彼に出された最後の質問は、ジャマールの人生を試すような驚くべきものだった―。