『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』/"NOWHERE BOY"



2010年11月5日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国にて公開

2009年/イギリス映画/98分/シネマスコープ/ドルビーSR・ドルビーデジタル/主題歌:ジョン・レノン「マザー」(『ジョン・レノン アンソロジー』収録:EMI ミュージック・ジャパン)/オリジナル・サウンドトラック:ソニー・ミュージック ジャパン インターナショナル/字幕:石田泰子/提供・配給:ギャガ powered by ヒューマックスシネマ/後援:ブリティッシュ・カウンシル

◇監督:サム・テイラー=ウッド ◇脚本:マット・グリーンハルシュ ◇撮影:シーマス・マッガーヴェイ ◇プロデューサー:ダグラス・レイ、ロバート・バーンスタイン、ケヴィン・ローダー ◇ミュージック・スーパーバイザー:イアン・ニール ◇音楽:アリソン・ゴールドフラップ、ウィル・グレゴリー ◇編集:リサ・ガニング

◇キャスト:アーロン・ジョンソン、アンヌ=マリー・ダフ、クリスティン・スコット・トーマス、デヴィッド・モリッシー、デヴィッド・スレルフォール、トーマス・ブローディ・サングスター、ジョシュ・ボルト、サム・ベル、オフィリア・ラヴィボンド



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【解説】

歌ってなんかいなかった。愛を叫んでいたんだ。


◆世界がまだ見ぬ、誰もまだ知らなかった
青年ジョン・レノンと二人の"母"の真実の物語


母。いつもそばにあるその存在に、人は時に癒され、時に翻弄され、言葉にならないさまざまな感情を与えられながら大人になる。若き日のジョン・レノンには母が二人いた ― 。生き方を教えてくれた母、そして音楽の可能性を解放してくれた母。これは、二人の"母"と大人になる前のジョンをめぐる愛の葛藤と赦しの物語である。

1950年代のリバプール。ジョン・レノンは伯母ミミに育てられている反抗期真っ最中の問題児。彼はある日、近所に実の母ジュリアが住んでいることを知る。ジョンに音楽の素晴らしさを教えてくれる自由奔放なジュリアに対し、厳格な伯母ミミはジョンに向上心を持った大人になることを望む。母と伯母、それぞれの愛し方 ― 。彼はその愛の違いに心が引き裂かれると共に、普通とは違う自分の境遇を受け入れることもできない。行き場のない孤独に心がはち切れそうになっていた中で迎えた17歳の誕生日、彼は母たちと自分をめぐる哀しみの過去を知ることになる ― 。辛い気持ちを振り切るように音楽に没頭していくジョン。バンドの結成、そしてポール・マッカートニーとの出会いを通じて、孤独と母への切ない想いは音楽への原動力へと変わっていった。やがてジョン・レノンは未曾有の伝説に向かって走り出す ― 。

伝説として語り継がれ、没後、30年経つ今でも知らない人はいない音楽会の英雄、ジョン・レノン。2010年はジョンの生誕70周年のメモリアルイヤーであり、彼やビートルズに再び注目が集まっている。しかしこの物語は、私たちが知っている彼の才能と栄光の軌跡をたどるものではなく、誰もが経験をする青春の葛藤を鮮やかに切り取った作品だ。ただ違うのは、青年が後にビートルズのジョン・レノンとなること、そして、そのジョンには二人の"母"がいたということ ― 。私たちは今まで語られることのなかった若きジョンの内面に触れると同時に、彼がその時期に体験した特別な物語に大きく心揺さぶられるだろう。

監督は、イギリスの現代アート界で注目を集める女性芸術家のサム・テイラー=ウッド。『イングリッシュ・ペイシェント』などを手掛けた巨匠監督アンソニー・ミンゲラにその才能を見出された彼女は、本作が長編デビュー作となる。彼女は芸術家としての感性で映像に豊かな表現を与え、一人の青年の成長の軌跡を瑞々しく描くことに成功した。ジョン・レノンを演じるのは、「純粋さとセクシーさを併せ持つ貴公子」アーロン・ジョンソン。若手俳優の中で群を抜いた魅力を放つ新星である。彼は、孤独と好奇心が同居する繊細なジョン・レノンを、その確かな才能で見事に演じきった。対照的な二人の"母"には、伯母ミミ役にクリスティン・スコット・トーマス(『イングリッシュ・ペイシェント』)、実母ジュリアをアンヌ=マリー・ダフ(『マグダレンの祈り』)という実力派女優が抜擢されている。また、若き日のポール・マッカートニーにトーマス・ブローディ・サングスター(『ラブ・アクチュアリー』)、ジョージ・ハリスンには新人のサム・ベルが扮し、その後のビートルズの活躍を彷彿とさせる見事な演奏シーンを披露している。

そしてもうひとつ、この作品に花を添えているのは、ジョンが当時衝撃を受けたエルヴィス・プレスリー、バディ・ホリーなどのアメリカンロックや、ビートルズの前身クオリーメンなどの今なお輝き続ける名曲の数々。ジョンが愛した音楽たちは母への切ない想いとひとつになり、この愛の物語に一層の深みを与えている。






 


【プロダクションノート】

◆未知のジョン・レノン像を形作るプロジェクト

エコッセ・フィルムズとプロデューサーのロバート・バーンスタインは、ジョン・レノンに焦点を当てたプロジェクトを以前から温めていた。それは誰もが知っているビートルズ結成以降のジョン・レノンを描くのではなく、彼のリバプールでの10代の日々、そして後にロックの象徴となるジョンを形作ることになったパワフルで影響力の大きい二人の“母”との関係をテーマにしたものである。

まずは脚本家を誰にするかが課題であった。ジョンが口にする台詞を書くという、とてつもなく重要で、少し恐ろしくすらある仕事を任せる人物だったからだ。白羽の矢が立ったのは、近年注目を集めている脚本家マット・グリーンハルシュ。ジョイ・ディヴィジョンの伝記映画『コントロール』(07)で英国アカデミー賞を取った彼は、音楽に関わる人物の描写に抜きん出た才能を持つ一人だ。このプロジェクトに快諾をしたグリーンハルシュはリバプールを訪ね、街の雰囲気をを吸収し、その時代の人々がどんなふうに話していたのか、具体的なインスピレーションを元に脚本を書いていった。

次に監督を誰にするかエコッセ・フィルムズが探し始めた矢先、すでに“自分がこの映画の監督をするのだ”と強く決めていた人物がいた。偶然、脚本を読み夢中になったサム・テイラー=ウッドだ。現代アーティストとして映像作品にも才能を発揮していた彼女は、レノンの生い立ちやクリエイティブな精神が彼女自身の人生と重なることに運命的な出会いを感じていたのだ。プロデューサー陣は、彼女の熱意に圧倒されたが、それ以上に、彼女の才能を感じ取り、すぐさま監督を任せることを決意する。

演出するにあたって彼女は、有名人ジョン・レノンについての映画だということを極力、意識しないようにしたという。「私はジョン・レノンの音楽のファンで、ビートルズの曲に親しんで育ったの。もちろん曲も全部知っている。でも私が作っている映画は、大人になろうとしている青年の映画で、彼はまさに通過地点にあって感情の揺れる旅の途中。これは成長物語だということを決して忘れたくなかった。」



◆現代のジョンを探して

この作品の最も困難なステップは若き日のジョン・レノンを演じることのできる俳優を見つけることだった。オーディションをしていく中で、際立った魅力を放ったのはアーロン・ジョンソン。ルックス、自信ありげな態度、カリスマ性はまさにジョンそのもの。その場にいた全員が瞬間的に彼がベストだと確信したという。

しかしアーロンにとっては大きなチャレンジだった。方言、歌、ギターの練習。すべてが初めてだった彼は、無理に自分をジョン・レノンに似せようとしたのではなく、ジョン・レノンの生き方を模索したのである。それはジョンが愛した音楽を聴くことであり、クオリーメンのバンド仲間たちとの演奏を心から楽しむことだった ― 。出来上がった映画を見てオノ・ヨーコが彼の演技をとても気に入ったという素晴らしいお墨付きをもらった時、彼の努力は大きな自信へとつながったのである。

母ジュリア役を熱望していたのはアンヌ=マリー・ダフ。舞台や映画で幅広く活躍する彼女はオーディションでこの役を勝ち取った。彼女は言う。「危なっかしい人生を送り、危険なくらいに魅力的な女性。それはあの時代には困難な生き方であり、周りからは誤解されやすいものだった。この繊細さと複雑さを併せ持った女性を演じてみたかったの。」

伯母ミミ役を演じたクリスティン・スコット・トーマスは、脚本に強く惹かれこの役を快諾した。クリスティンにとってミミ役はティーンエージャーの親代わりということも含めて、今までにない新しい役柄への挑戦だった。彼女はジョンにとって偉大な存在だったこの女性を、厳格かつチャーミングに演じることに成功している。

“ザ・クオリーメン”のメンバーのキャスティングの観点は、単なるそっくりさん探しではなく、メンバーとバンドのスピリットを体現できる人物を探すことだった。

マッカートニーを演じたのは子役時代から幅広い活躍をするトーマス・ブローディ・サングスター。「この役は好き勝手に役を演じることではなく、言葉もギターの弾き方も何もかもポールのようにしなければいけない。。そんな演技は初めてだったけど、僕にとっては今までと違う大きなチャンスだった。最初は怖気づいたけれど最高の経験だったよ」と語っている。

映画の中に登場する未来のビートルズを完成させるジョージ・ハリスンを演じるのは新人のサム・ベル。彼はジョージがどんな風にギターを弾いた、どんな癖があったなどを体に叩き込むために、マニアのように夢中で参考映像を観尽くしたという。ビートルズの中でジョージが一番好きだった彼にとって、それは夢のような体験であり、決して苦しいプロセスではなかった。



◆刺激的でセクシーなリバプールを

監督のサム・テイラー=ウッドと撮影のシーマス・マッガーヴェイは、1950年代の戦後の不況下にあるリバプールを描いた映画だからといって、埃っぽい灰色の記録映画風のスタイルにはしたくないという考えを持っていた。ジョン・レノンのエネルギーを表現できるような、そして世の中に飛び出していく彼にふさわしい刺激的でセクシーな映像で、彼らは色鮮やかに当時のリバプールとジョンを取り巻く風景を映像で切りとっている。

また彼らは、ジョンと家族そして仲間たちが生きたリバプールの実際の“その場所”で撮影することに徹底的にこだわった。しかし、そこには難しい問題が立ちはだかっていた。過去50年余りの間に町がすっかり変貌していたからだ。当時からのリバプールのランドマークであったロイヤル・ライヴァー・ビルディングを撮ろうとしても、周辺をぴかぴかの新しい建物が囲んでいたり、工事中だったりーー。とはいえジョンが育ったウールトン地区は今でも緑の茂る住宅地で、基本的には変わっていなかったことは幸運だった。こうして多くのシーンをその場所で撮影することに恵まれ、その結果、物語にリアルな情景を加えることができたのである。



◆NOWHERE どこにもない場所 で人々は何を着ているか

ジュリアン・デイによる衣装もまた、時代物の映画で見るようなぼんやりとした、古くさいものではなく、50年代のリバプールの楽しさや活気に溢れた雰囲気を作り出すことが企図された。

まずミミとジュリアがどんな服を着るべきか、対照的な2人の性格をどのように服装で表すか。ミミの色は青、緑、茶色、グレー。デザイン的には40年代から50年代的なもの。そしてジュリアは50年代から60年代のファッションでカラフルに。ジュリアの衣装には、色々な種類の赤が取り入れられた。また主人公ジョンの衣装は、作品の中での彼自身の成長を感じさせる効果のひとつ。物語の最初ではジョンはミミの影響で多少保守的で地味な格好をしており、青や緑やグレーを着ている。その後、母ジュリアと出会い、彼の心が解放されていくにつれて、音楽の趣味だけでなく服のセンスにも影響を受け、服の色やトーンが徐々に変わっていくのである。



 


【ストーリー】

◆二人の“母”に愛され、その愛に傷つき、
青春を疾走した青年。
やがて彼は“ジョン・レノン”になる ― 。


1950年代半ばのリバプール。青年ジョン・レノンは幼い頃から伯父と伯母に育てられていた。生意気で問題児のジョンを厳しくしつける伯母のミミ。一方温かい人柄の伯父ジョージは、音楽と楽しいことが大好きでジョンに対して友だちのように接していた。しかし、ジョージが心臓発作で急死、ジョンはミミにその悲しみをぶつけようとするも、彼女は「しっかりしなさい。これからは2人なのよ」と冷静に言い放つ。

伯父の葬儀の後、淋しさを抱えているジョンに、いとこが本当の母親に会いたくないかと尋ねてくる。意外なことに、ジョンの母は伯母の家から歩いていける距離に住んでいるというのだ。恐る恐る実の母ジュリアの家を訪ねたジョンを、ジュリアはまるで恋人のように強く抱きしめる。厳格な伯母とは対照的に、アメリカの新しい音楽ロックンロールを聞き、歌って踊って人生を楽しむジュリアと過ごす時間は、彼にとって新鮮で楽しくて仕方ない。

ミミには内緒で、ジョンとジュリアの逢瀬は続く。ジュリアから、エルヴィス・プレスリーやバンジョーの弾き方を教わるうちに、ジョンの中には音楽への憧れが芽生え、それを与えてくれた母に彼は夢中になる。しかし、ジュリアには内縁の夫ボビーと幼い娘たちという新しい家族があり、その家庭にジョンの居場所はどこにもなかった。次第に彼の心の中には言い様のない孤独感が積もっていく ― 。


「ただ普通に愛されたいだけなのに ― 。」二人の“母”のどちらにも自分の悲しみや孤独をぶつけられず、行き場のない苦しみを抱えるジョン。彼は次第に音楽へと没頭していく。やがてジョンは学校の男子トイレに仲間を集め、スキッフル・バンド“ザ・クオリーメン”を結成。最初のライブをしたセント・ピーターズ教会で、ポール・マッカートニーと出会う。ジョンとポールはすぐにお互いの才能を認め合い、共に音楽をつくりはじめる。ライブを重ねていく中で、ジョージ・ハリスンもバンドに加わった。

そんな中、ジョンの17歳の誕生日の夜、衝撃的な出来事が起こる。自分の生い立ち、母を巡るたくさんの秘密に爆発したジョンが、ジュリアとミミに激しく詰め寄ったのだ。「親父はどこにいる? 何故僕は伯母さんに育てられているんだ? 母さんは僕を捨てたのか!?」取り乱すジュリアと悲痛な表情のミミ。ジョンはこの日、自分を巡る辛い事実を知ることとなる。その答えを聞いた彼はその場から逃げだすしかなかった ― 。

しかし、二人の母の告白に傷つきながらも、ジョンは今の自分がこの二人を愛していることに気づく。三人が経験してきたつらい事実を前にしても、彼はミミの心の中に流れる静かな愛のおかげで成長し、母のおかげで音楽の可能性を見出したのだ ― 。彼の内面は深い葛藤から赦しという新しいスタートに向かっていった。

だが、その矢先、決して逃れることのできない運命が彼を待ち受けていた ― 。





 


【キャスト&スタッフ】

■アーロン・ジョンソン(ジョン・レノン)

1990年6月13日 イギリス、バッキンガムシャー生まれ。

1996年〜2008年までイギリス・ハイウィコムにあるジャッキー・パルマー・ステージ・スクールで演技・ダンス・歌を学び、舞台・TV・映画など様々なジャンルで活躍する注目の若手俳優。

6歳の時、シェイクスピア「マクベス」でマクダフの息子役で初舞台を踏み、続いてアーサー・ミラーの「みんな我が子」に出演。11歳でTVシリーズ「Armadillo」(2001)の主人公の子供時代の役で初テレビ出演をし、14歳でBBCのTVシリーズ「Feather Boy」(2004)にレギュラー出演を果たす。

映画初出演作は、エスメ・ラマーズ監督の『トムとトーマス』(2002)。12歳でトムとトーマスの一人二役を演じ、その可愛らしい演技で高い評価を得る。その他の主な映画出演作には、チャーリー・チャップリン役を演じた、ジャッキー・チェン主演の『シャンハイ・ナイト』(2003)、主演を務めたリチャード・クラウス監督の『The Thief Lord』(2006)、エドワード・ノートン演じるアイゼンハイムの子供時代を演じた『幻影師アイゼンハイム』(2006)、グリンダ・チャーダ監督の『ジョージアの日記/ゆーうつでキラキラな毎日』(2008)、キャリー・マリガンとの共演作『The Greatest』(2009)などがある。また、マーク・ミラーの大人気アメコミをマシュー・ヴォーン監督が映画化した『Kick-Ass』(2010)でも、主演のデイブ(Kick-Ass)役を務めており、すでに『Kick-Ass 2: Balls to the Wall』への主演も発表されている。また今後の待機作には、中田秀夫監督の『チャットルーム』(原題)などがある。

プライベートでは、2009年に本作のサム・テイラー=ウッドと婚約。本年には第一子が誕生している。



■アンヌ=マリー・ダフ(ジュリア・レノン)

1970年10月8日 イギリス、ロンドン生まれ。

ロンドン芸術大学を卒業後、舞台や映画などで幅広く活躍している女優。

1990年代から数多くの舞台に立ち、代表作には「酒とバラの日々」、「戦争と平和」、イアン・カールソン賞にノミネートされた「リア王」のコーデリア役などがある。また2007年にはロンドンのナショナル・シアターで再演された「Saint Joan」で主演を務め、ローレンス・オリヴィエ賞にノミネート、イブニング・スタンダード・シアター賞、サウス・バンク賞、批評家協会賞を受賞している。

また彼女はTVでも広く活躍しており、その代表作には2002年のモンテカルロ映画祭、上海映画祭で最優秀女優賞を受賞した「Sinners」(2002)、英国アカデミー賞にノミネートされ、アイリッシュ・フィルム・アンド・テレビジョン賞の最優秀女優賞を受賞したTVシリーズ「Shameless」(2004-2005)、エリザベス1世を演じ英国アカデミー賞最優秀女優賞にノミネートされたTVシリーズ「The Virgin Queen」(2006)などがあり、最近は現代最高のダンサーの一人“マーゴット・フォンティーン”を描いたTV映画「Margot」(2009)でマーゴットを演じている。

彼女の最近の主な映画出演作には、マイケル・アプテッド監督の『エニグマ』(2001)、2002年のヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を、トロント映画祭では批評家賞を受賞したピーター・ミュラン監督の『マグダレンの祈り』(2002)、ジュディ・デンチ、ケイト・ブランシェット出演の『あるスキャンダルの覚え書き』(2006)、レナド・エイブラハムソン監督の『ジョジーの修理工場』(2007)、マイケル・ケインと共演した『Is Anybody There?』(2008) 、日本では本年秋に公開となるクリストファー・プラマー、ヘレン・ミレン出演作『終着駅 トルストイ最後の旅』(2009)などがある。



■クリスティン・スコット・トーマス(ミミ・スミス)

1960年5月24日 イギリス、コーンウォール生まれ。

ロンドン大学のセントラル・スクール・オブ・スピーチ&ドラマを経て、19歳でパリの国立舞台芸術高等学校に移り、在学中から多くの舞台に立つ。

映画初出演はプリンスの監督・主演作『プリンス/アンダー・ザ・チェリー・ムーン』(1986)。その後、マイク・ニューウェル監督作、ヒュー・グラント主演の『フォー・ウェディング』(1994)の演技で絶賛され、英国アカデミー賞にて最優秀助演女優賞を受賞。アカデミー賞主演女優賞にノミネートされたアンソニー・ミンゲラ監督の『イングリッシュ・ペイシェント』(1996)で、世界中の観客と批評家を虜にし、ゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞、スクリーン・アクターズ・ギルド賞にもノミネートされ、ナショナル・ボード・オブ・レビューの最優秀助演女優賞を受賞。その他の主な出演作には、ロマン・ポランスキー監督の『赤い航路』(1992)、ブライアン・デ・パルマ監督の『ミッション:インポッシブル』(1996)、ロバート・レッドフォード監督の『モンタナの風に抱かれて』(1998)、シドニー・ポラック監督の『ランダム・ハーツ』(1999)、アカデミー最優秀脚本賞他、数多くの賞に輝いたロバート・アルトマン監督の『ゴスフォード・パーク』(2001)、アーウィン・ウィンクラー監督の『海辺の家』(2001) 、ジャスティン・チャドウィック監督の『ブーリン家の姉妹』(2008)、ヨーロッパ映画賞最優秀女優賞他多くの賞を受賞したフィリップ・クローデル監督のフランス映画『ずっとあなたを愛してる』(2008)などがある。

今後の待機作には、パヴェル・パヴリコフスキー監督作、イーサン・ホークと共演する『The Woman in the Fifth』、ロバート・パティンソン、クリスティーナ・リッチ、ユマ・サーマンらと共演する『Bel Ami』、ラッセ・ハルストレム監督の最新作『Salmon Fishing in the Yemen』などがあり、その才能、エレガントな美しさ、演技への打ち込み方で世界中から高い評価を得ている女優である。



■デヴィッド・モリッシー(ボビー・ディキンズ)

1964年6月21日 イギリス、リバプール生まれ。

ロンドンの王立演劇学校で学び、卒業後は英国アカデミー賞にノミネートされたBBCのドラマ「ステート・オブ・プレイ〜陰謀の構図〜」(2003)、王立テレビ協会賞を受賞した「The Deal」(2003)、アリーナ賞で最優秀テレビ男優賞を受賞した「Viva Blackpool」(2004)など、数々の評価の高いTVドラマに出演。

また映画出演作にはジョン・アーヴィン監督の『ロビン・フッド』(1991)、アナンド・タッカー監督の『ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ』(1998)、ジョン・マッデン監督の『コレリ大尉のマンドリン』(2001)、ジェイ・ラッセル監督の『ウォーター・ホース』(2007)、スティーブン・ホプキンス監督の『リーピング』(2007)、ジャスティン・チャドウィック監督の『ブーリン家の姉妹』(2008)などがあり、今後の待機作にはエリオット・レスター監督の『Blitz』、スティーヴン・ホプキンス監督の『Thorne:Sleepyhead』などがある。また自身の製作会社チューブデール・フィルムズではパトリス・ルコント監督作、ジャン・ロシュフォールとジョニー・アリディ主演の『列車に乗った男』(2002)を共同製作した。



■デヴィッド・スレルフォール(ジョージ伯父さん)

1953年10月12日 イギリス、マンチェスター生まれ。

チャンネル4で長年放映されている人気コメディ「Shameless」(2004〜)でのフランク・ギャラガー役で有名なイギリスの人気俳優。この「Shameless」での演技で2006年の最優秀コメディ・パフォーマンス賞、王立テレビ協会テレビジョン賞の最優秀男優賞を受賞している。他のテレビ出演作には、彼がブレイクするきっかけとなった「The Life and Adventures of Nicholas Nickleby」(1989)や、BBCの「MI-5」(2005)などがある。

彼の主な映画出演作には、ピーター・ウィアー監督の『マスター・アンド・コマンダー』(2003)、グレゴリー・J・リード監督の『ザ・デンジャラス・マインド』(2006)、エドガー・ライト監督の『ホット・ファズ ー俺たちスーパーポリスメン!ー』(2007)、シェカール・カプール監督の『エリザベス:ゴールデン・エイジ』(2007)などがある。



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■トーマス・ブローディ・サングスター(ポール・マッカートニー)

1990年5月16日 イギリス、ロンドン生まれ。 2001年に子役としてそのキャリアをスタート。マーク・グリフィス監督の『奇跡のメッセージ』(2001)やジェレミー・ケーガン監督の『ぼくの家族はママとママ』(2002)、そしてロバート・カーライル務めるアドルフ・ヒトラーの子供時代を演じた、クリスチャン・デュゲイ監督の『ヒットラー 第1章:覚醒/第2章:台頭』(2003)などへの出演を経て、2003年に出演したリチャード・カーティス監督の『ラブ・アクチュアリー』でブレイク。その他の代表作には、カーク・ジョーンズ監督の『ナニー・マクフィーの魔法のステッキ』(2005)、ケヴィン・レイノルズ監督の『トリスタンとイゾルデ』(2006)、ジェーン・カンピオン監督の『ブライト・スター 〜いちばん美しい恋の詩〜』(2009)などがある。


■ジョシュ・ボルト(ピート・ショットン)

イギリス、リバプール生まれ。

13歳の時に手違いでリバプール・プレイハウスでの「から騒ぎ」のオーディションを受けることになり、それがきっかけで演技を始めたが、その後も順調に役者の道を進んでいる。長編映画デビュー作はブルース・ウェブ監督の『The Be All And End All』(2009)で、本作でのピート・ショットン役は長編出演2作目となる。



■サム・ベル(ジョージ・ハリスン)

1991年 イギリス、クルー生まれ。

学校での芝居を別にすれば、本作でのジョージ・ハリスン役が初めての演技となる。彼は才能あるミュージシャンでもあり、12歳の時からバンドを初め、ビートルズやキンクスの曲をカバーしていた。現在のバンドは“ザ・ターゲッツ”。将来は、よりいっそう音楽のスキルと演技を組み合わせた仕事をしていきたいと考えている。



■サム・テイラー=ウッド(監督)

1967年3月4日 イギリス、ロンドン生まれ。

ゴールドスミス・カレッジ卒業。イギリスの現代アートを代表するヤング・ブリティッシュ・アーティストの一人とされるフォトグラファー/アーティストであり、これまで世界中で数多くの個展、グループ展を開いている。1997年の現代美術の祭典ベニス・ビエンナーレでは奨励賞を受賞、1998年にも顕著な活躍をしたイギリスの美術家に贈られるターナー賞にノミネートされている。これまでの個展は1997年に‘クンストハレ・チューリッヒ’および‘ルイジアナ現代美術館’、1999年にワシントンDCの‘ハーシュホーン博物館と彫刻ガーデン’、2000年にマドリッドの‘国立ソフィア王妃芸術センター’、2002年にロンドンの‘ヘイワード・ギャラリー’、および日本の‘資生堂ギャラリー銀座’、2004年に‘国立ロシア美術館’、およびモスクワの‘MCA’、2006年にイギリスの‘BALTIC現代美術センター’、および‘シドニー現代美術館’、2007年に‘クリーブランド現代美術館’、および‘ヒューストン現代美術館’などで開催されている。

2008年に初の短編映画『Love You More』を監督。脚本はパトリック・マーバー、製作はアンソニー・ミンゲラ。カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で上映され、2009年の英国アカデミー賞にもノミネートされた。また、本作はテイラー=ウッドの長編監督デビュー作である。

プライベートでは、前述の通り2009年に本作主演のアーロン・ジョンソンと婚約、第一子を出産した。



■マット・グリーンハルシュ(脚本)

イギリス、マンチェスター生まれ。

彼のライターとしてのキャリアは、生まれ故郷のマンチェスターで雑誌や新聞に記事を書くことから始まり、その後脚本家への道を進むようになる。TV向けに手掛けた「Clocking Off」(2002)、「Cold Feet」(2003)の脚本が、それぞれ英国アカデミー賞最優秀新人脚本賞にノミネートされる。初の長編映画はジョイ・ディヴィジョンのヴォーカル、イアン・カーティスを描いた、アントン・コービン監督の『コントロール』(2007)である。この作品は2007年カンヌ国際映画祭で監督週間のオープニング作品に選ばれており、彼自身もシカゴ国際映画祭最優秀脚本賞や英国アカデミー賞カール・フォアマン賞を受賞。ブリティッシュ・インディペンデント・フィルム賞の最優秀脚本賞にもノミネートされた。

現在は、彼自身が脚本も手掛けた短編で、スーパーモデルのアギネス・ディーンとマシュー・ビアードが出演する初監督作品『Acid Burn』の製作を終えたところである。



■ダグラス・レイ(プロデューサー)

1947年6月22日、スコットランド生まれ。

1988年にドキュメンタリーやアート番組製作のためにエコッセ・フィルムズを設立。1997年には初の長編映画、ジョン・マッデン監督作、ジュディ・デンチ主演の『Queen Victoria 至上の恋』の製作総指揮にあたる。この映画は12の国際映画賞を受賞、英国アカデミー賞のプロデューサー・オブ・ザ・イヤーにノミネートされ、アカデミー賞でも2部門にノミネートされた。

その他の製作作品には、ケイト・ブランシェット主演の『シャーロット・グレイ』(2001)、アン・ハサウェイ、ジェームズ・マカヴォイ主演の『ジェイン・オースティン 秘められた恋』(2007)、ジェイ・ラッセル監督の『ウォーター・ホース』(2007)などがある。



■ロバート・バーンスタイン(プロデューサー)

1994年にドラマ部門の立ち上げのためにダグラス・レイが立ち上げたエコッセ・フィルムズに参加。後に取締役、共同経営者となる。ジョン・マッデン監督の『Queen Victoria 至上の恋』(1997)年の脚本制作に携わり、この映画は後に12の国際映画賞とオスカー2部門でのノミネートという素晴らしい結果を残す。その後ケイト・ブランシェット主演作『シャーロット・グレイ』(2001)の製作総指揮にあたる。他の製作作品には、アン・ハサウェイ、ジェームズ・マカヴォイ主演の『ジェイン・オースティン 秘められた恋』(2007)、ジェイ・ラッセル監督の『ウォーター・ホース』(2007)などがある。


■ケヴィン・ローダー(プロデューサー)

1956年 イギリス、ドーセット生まれ。

イギリスで最も著名なプロデューサーの1人である。1982年にBBCに入社、ドキュメンタリー、アート番組、TVドラマの製作や監督を手掛けてきた。彼は映画監督のロジャー・ミッシェルとともに、製作会社フリー・レンジ・フィルムズを経営しており、その代表作に、ダニエル・クレイグとサマンサ・モートン出演の『Jの悲劇』(2004)、ピーター・オトゥールがアカデミー賞とゴールデン・グローブ賞の最優秀男優賞にノミネートされた『ヴィーナス』(2006)などがある。その他、最近の製作作品はジョン・マッデン監督、ニコラス・ケイジ、ペネロペ・クルス主演の『コレリ大尉のマンドリン』(2001)、リチャード・グリフィス主演の『ヒストリーボーイズ』(2006)、アレックス・デ・ラ・イグレシア監督の『オックスフォード連続殺人』(2008)などがある。



■イアン・ニール(ミュージック・スーパーバイザー)

彼の膨大な音楽の知識は伝説的とも言われ、彼の選曲と権利処理の知識、そして数多のレコード会社との関係値から、ほぼすべての映画監督や製作者が最初に彼に頼るほどである。

彼はポリグラム・レコードの映画部門/TV部門のトップ、そしてワーナー/チャペルミュージックの映画部門/TV部門/広告部門などのトップを務め、カーディガンズやスマッシュ・マウスなどのトップアーティストたちを巨大な広告展開やTV、映画に起用したことで、その評判を確固たるものにした。また彼の初の大型映画のひとつである『ロック・ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(1998)で、監督のガイ・リッチーと初めてタッグを組み、以来『スナッチ』(2000)など多くの作品を共にしている。2005年、イアンは個人のミュージック・スーパーバイザーとして独立し、以降も多くの映画で大成功を収めている。彼の主な代表作には、ガイ・リッチー監督の『スウェプト・アウェイ』(2002)、『リボルバー』(2005)、キース・フルトン監督の『ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド』(2005)、ピーター・ウェーバー監督の『ハンニバル・ライジング』(2007)、アントン・コービン監督の『コントロール』(2007)、マイケル・ホフマン監督の『終着駅 トルストイ最後の旅』(2009)、マシュー・ヴォーン監督の『Kick-Ass』(2010)などがある。