『誰も知らない』/"NOBODY KNOWS"




第57回カンヌ国際映画祭最優秀男優賞受賞
2004年8月7日よりシネカノン有楽町ほか
順次全国にて公開

2004年/141分/カラー/1:1.66/ドルビーSR/配給:シネカノン/(C)『誰も知らない』製作委員会

◇監督・脚本・編集・プロデュース:是枝裕和 ◇音楽:ゴンチチ/挿入歌「宝石」タテタカコ ◇スチール:川内倫子 ◇撮影:山崎裕 ◇録音:弦巻裕 ◇美術:磯見俊裕、三ツ松けいこ ◇広告美術:葛西薫

◇キャスト:柳楽優弥、北浦愛、木村飛影、清水萌々子、韓英恵、YOU、串田和美、岡元夕紀子、平泉成、加瀬亮、タテタカコ、木村祐一、遠藤憲一、寺島進



| 解説 | ストーリー | キャスト&スタッフ |
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【解説】

都内の2DKのアパートで大好きな母親と幸せに暮らす4人の兄妹。
しかし彼らの父親はみな別々で、学校にも通ったことがなく、
3人の妹弟の存在は大家にも知らされていなかった。
ある日、母親はわずかな現金と短いメモを残し、兄に妹弟の世話を託して家を出る。
この日から、誰にも知られることのない4人の子供たちだけの「漂流生活」が始まる ─ 。


◆子供たちの心の叫びが胸に突き刺さる

『ワンダフルライフ』(1999)、『ディスタンス』(2001)に続く是枝裕和(監督/脚本/編集)の最新作は、1988年に実際に起こった事件をモチーフに、東京という街で暮らす子供たちに起こる出来事を、彼らの目線に寄り添いながら精緻に描写している。初めて脚本が書かれたのはまだ劇映画デビュー以前の1989年。その後何度も手が加えられ、着想から15年の歳月を経て遂に完成した作品だ。その間に世の中では少年に関わるさまざまな事件が起こり、幼児虐待の問題も毎日のように取り沙汰されるようになってきた。『誰も知らない』はそのような現代的なテーマを持ちながらも、いつの時代にも共通する普遍的な子供たちの内面世界を描いている。

母親に捨てられるという過酷な運命に巻き込まれながら、それでも4人の子供は自分たちだけの小さな世界で、自分たちだけのルールに従ってたくましく生きていく。しかし、かろうじてバランスを保っていた彼らの世界は、外の世界との接触によって、だんだんと崩れてゆく。母を想う無垢な心、外の世界に対する憧れと葛藤、そして次第に苦しくなってゆく生活に対する焦燥感。子供たちの言葉にできない心の叫びは、観る者の胸に突き刺さり、知恵と勇気を振り絞って助け合いながら精一杯毎日を生きる彼らの姿は、深い感動を呼び起こすだろう。



◆是枝作品の集大成にして最高傑作

撮影は2002年の秋から2003年の夏まで四季を通して行われ、季節毎に編集し、そのたびに次の季節の構想を練るという作業が繰り返された。オーディションによって集められた演技経験のない子供たちとコミュニケーションを重ねながら、独特の演出によって彼らの姿をフィルムに焼き付けてゆく。そこには物語とともに、演技を超越したリアルな子供たちの成長が確かに刻まれている。過去の作品でもドキュメンタリー的手法を劇映画に取り入れてきた是枝だが、これほどまでに2つの境界線を軽々と行き来して、何の違和感もなく見事に融合させた作品はなかっただろう。

子供たちの感情は彼らの手の表情やマニキュア、ピアノ、キュッキュサンダル、カップラーメン、アポロチョコといったディテールの積み重ねによって表現され、2DKのアパートで繰り広げられる密室劇をある時は情感豊かに、ある時はスリリングに描き出す。それは、このような特殊な環境に生きる子供だけでなく、幼い頃誰しもが経験したであろう楽しくて甘い記憶や、切ない感情を観る者の心にも呼び起こす。そしてカメラは子供たちに寄り添うように存在し、温かいまなざしを向けながらもそれと同時に子供たちを取り囲み呑み込んでゆく社会にも厳しい視線を投げかける。これは監督自ら「この作品を撮らないことには、先に進めない」と語る、是枝作品の集大成にしてひとつの到達点=最高傑作と言えるだろう。

キャストは5人のフレッシュな子供たちのほかに、母親役でバラエティ番組などで活躍中のYOUが本格的に映画初出演、その独特の存在感で強い印象を残すほか、加瀬亮、寺島進、遠藤憲一、平泉成など実力派の俳優陣がしっかりと脇を固めている。

また、『無能の人』で日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞した人気デュオのゴンチチが、ギターとウクレレだけのシンプルだが心に残るスコアを映画のために書き下ろし、新人タテタカコ(コンビニの店員として出演もしている)の「宝石」が挿入歌として、まるで主人公の心情を映し出すかのように歌われているのにも注目である。



 


【ストーリー】



◆秋

トラックからアパートに荷物が運び込まれてゆく。引っ越してきたのは母の福島けい子と明、京子、茂、ゆきの4人の子供たち。しかし、茂とゆきはトランクの中に隠れたままアパートの階段を昇った。大家には父親が海外赴任中のため母と長男の明だけの二人暮らしだと嘘をついていたからだ。母子家庭で子供が4人もいることが知れると、この家もまた追い出されかねない。その夜の食卓で母は子供たちに「大きな声で騒がない」「ベランダや外に出ない」という新しい家でのルールを言い聞かせた。

子供たちの父親はみな別々で、学校に通ったこともない。それでも母がデパートで働き、12歳の明が母親代わりに家事をすることで、家族5人は彼らなりに幸せな毎日を過ごしていた。そんなある日、母は明に「今、好きな人がいるの」と告げる。今度こそ結婚することになれば、もっと大きな家にみんな一緒に住んで、学校にも行けるようになるから、と。明は母のその言葉を複雑な表情で聞く。

ある晩遅くに酔って帰ってきた母は「明のお父さんは羽田の空港で働いていたんだよ。京子のお父さんは……」と、それぞれの父親の話を始める。寝ているところを起こされた子供たちも、楽しそうな母親の様子に自然と顔がほころんでゆく。しかし、翌朝明が目覚めると母の姿は消えていて、かわりに20万円の現金と「お母さんはしばらく留守にします。京子、茂、ゆきをよろしくね」と記されたメモが残されていた。

この日から、誰にも知られることのない4人の子供たちだけの"漂流生活"が始まった……。



◆冬

母と連絡がつかないままひと月が経ったが、子供たちはこの家のルールを守って4人で生活を続けている。残された金もいよいよ少なくなってきて不安になった明は、タクシー会社で働いているゆきの父親や、引っ越す前から親しくしていたパチンコ屋の店員を訪ねては、お金を借りようとする。そんなある日、母が子供たちへの土産を持ってふいに帰ってくる。嬉しそうな茂とゆきに対し、素直に喜ぶことができない京子と明。1カ月もどこへ行っていたのかと問い詰める京子を、母は「大阪行ってたの、仕事が長引いたから」と軽くあしらう。そして日が暮れると母はかばんに冬服を詰めはじめ、クリスマスには絶対帰ってくると言い残して再び出ていく。送っていった明は、駅前のドーナツ屋で母の自分勝手な行動をなじるが、「あんたのお父さんのほうがよっぽど勝手じゃない、ひとりでいなくなって!」と言い返され、黙るしかなかった。

クリスマスにけい子は帰ってこなかった。大晦日にも姿を見せない母に、明は現金書留の封筒にあった住所から番号を調べて電話をかけてみるが、「山本です」と別の名字を名乗る母の声にショックを受け、何も言うことができないままに受話器を置く。母に捨てられたことに気づいた明は、そのことを妹たちに悟られまいと、仲良くなったコンビニの店員のお姉さんに頼んでお年玉袋のあて名を書いてもらい、母からだと言って3人に手渡した。

ある日、ゆきがお母さんを駅まで迎えにいくと言い出した。今日は帰ってこないと京子がなだめすかしても「絶対帰ってくる!」と言って聞かない。その日はゆきの誕生日だったのだ。明に手を引かれていった駅で大好きなアポロチョコを食べながら、現れるはずのない母を待ち続けるゆき。その帰り道、羽田空港行きのモノレールが走っていくのを見上げながら、明はゆきに「いつかモノレールに乗って飛行機を見にいこうね」と約束する。



◆春

明に友だちができた。初めて足を踏み入れたゲームセンターで出会った少年たちだ。彼らはやがて明の家に遊びにくるようになり、そこがたまり場になる。ゲームやおやつに金を費やして光熱費の支払いが滞っても、明は友だちができたことに夢中なあまり彼らの言いなりになってしまう。しかしある日、いつものように出かけたコンビニで明がひとりだけ万引きをできないでいると、それっきり友だちは姿を見せなくなった。

母からの送金もないままで、光熱費の取り立てが家にやってくるようになった。京子はピアノを買うんだと言ってためていたおこずかいを明に差し出す。正月にもらったお年玉の文字が母のものではないとわかり、京子も母はもう帰ってこないのだと気づいたのだ。4人が一緒にいることの大切さをあらためて思い知った明はもう一度妹弟たちと向き合おうと決意する。

雨も上がった翌日。4人はそろって外に出かける。本当に久しぶりのことでみな嬉しそうだ。コンビニではそれぞれが好きな物を買い、公園で遊び、帰り道にはビルの谷間の空き地で花の種を摘む。ただの雑草も、久々に植物を目にした彼らには美しく映った。家に帰るとさっそくベランダに種を植え、その日から4人は花の成長を毎日楽しみに見守った。



◆夏

今では4人で公園に出かけるのが日課になった。水道も電気も止められたためそこで水を汲み、洗濯をしているのだ。公園のベンチには、いつも制服姿の少女がひとりで座っていた。いじめが原因で学校には行っていないらしい紗希というその少女は、やがて4人の家に遊びにくるようになる。そして次第に笑顔を見せるようになった彼女は明とも心を通わせていった。ある日4人の窮状を知った紗希は、携帯電話の出会い系サイトで知り合ったサラリーマンとのデートで1万円を得て、店の外で待っていた明に渡そうとする。しかし紗希のその姿に母を重ねて見てしまった明は金を受け取ることを断固として拒み、紗希を残してひとり走り去る ─ 。

これまで弟や妹を守ろうと必死に頑張ってきた明もやりきれなさから彼らにつらく当たるようになる。ある暑い日。明は、京子が大切にしていた母のスカートを押し入れから引っぱり出し、売りにいくんだと言って京子と大ゲンカをしてしまう。いたたまれなくなって家を飛び出した明は、ぼんやり佇んでいた学校のグラウンドで声をかけられ、少年野球の試合に参加することになる。欲しかったグローブを手に、ユニフォームを着て球を追う明。久しぶりに子供らしい時間を過ごした明だったが、家に戻った彼の目に飛び込んできたのは、兄の帰りを待ちわびて上がったイスから落ち、動かなくなったゆきの姿だった。

明は薬局で万引きし、一晩必死で看病するが、疲れからいつしか眠りに落ちてしまう。翌朝、目を醒ました彼の前には冷たくなったゆきが横たわっていた。明はひとり街をさまよったあと、母でも警察でもなく紗希のもとを訪ね、一度は受け取るのを拒んだ金をやはり貸してほしいと頼む。「約束した飛行機をゆきに見せてやりたいんだ」と。ゆきの好きだったアポロチョコを大量に買い込み、紗希とともに家に帰るとテーブルには母からの現金書留が届いていて、封を開けると中には「みんなをヨロシクネ! 頼りにしてるわよ」というメモが同封されていた。

日が暮れるのを待ってロウソクに灯をともし、すっかり冷たくなったゆきの体とお気に入りだったサンダルやぬいぐるみを、引っ越してきた時と同じようにトランクに納める。ひとつだけ、ゆきの背が伸びていて、茂を運んだ大きいほうのトランクを使わなければならなかったことが、その時と違っていた。京子と茂がベランダから見守るなか明と紗希はトランクを運び出し、街を抜け、あの日ゆきと見上げたモノレールに乗って羽田の空港を見渡す人気のない空き地までやってくる。瞬く光と飛行機のたてる轟音のなか2人は拾った棒きれでひたすら穴を掘り、そこにトランクを横たえると、震える手で土をかぶせた。夜が明け、オレンジ色の朝陽を浴びながら、泥だらけのふたりはモノレールに乗って家路についた。

ある日。今日もまたコンビニで残った食べ物をもらい、明、京子、茂、そして紗希の4人は家に向かって歩き始める。形を変えた4人の暮らしは、またひとつ季節を越えて、それでも誰にも知られることなく続いていくのだった ─ 。



 


【キャスト&スタッフ】

■柳楽優弥(やぎらゆうや/明役)

生年月日 平成2年3月26日(14歳)
血液型 不明
好きな食べ物 肉
嫌いな食べ物 特にありません
宝物 是枝監督からもらったアルバム
将来の夢 サッカー選手か俳優

主な出演作品
●TV
フジテレビ「クニミツの政」(2003)坂上晋作役
テレビ朝日「電池が切れるまで」(2004年4月〜)高野大地役
●CM
本田技研工業「モーターサイクル」



■北浦愛(きたうらあゆ/京子役)

生年月日 平成4年11月26日(11歳)
血液型 AB型
好きな食べ物 いちご
嫌いな食べ物 ピーマン、辛いもの
宝物 家族、3年前にアメリカに行った時に買った人形で愛の子供として愛子(あゆこ)と名づけた人形
将来の夢 人の役に立つ人になりたい



■木村飛影(きむらひえい/茂役)

生年月日 平成7年4月12日(9歳)
血液型 AB型
好きな食べ物 ポテト、サイコロステーキ、にこごり、もち、いなりずし、どん兵衛
嫌いな食べ物 野菜、くだもの
宝物 ゲーム、ねり消しゴム、カード
将来の夢 なんでもできる人



■清水萌々子(しみずももこ/ゆき役)

生年月日 平成9年10月9日(6歳)
血液型 不明
好きな食べ物 納豆ごはん、アイス
嫌いな食べ物 なす、ねぎ
宝物 モカ(犬のぬいぐるみ)、ダーリーとその姉妹ラーリー(うさぎのぬいぐるみ)
将来の夢 ケーキ屋さん



■韓英恵(かんはなえ/紗希役)

生年月日 平成2年11月7日(13歳)
血液型 A型
好きな食べ物 フルーツ&チョコ
嫌いな食べ物 おさしみ
宝物 友だち、家族
将来の夢 小説家

主な出演作品
●映画
『ピストルオペラ』(2001年/鈴木清順監督)
『ハーケンクロイツの翼』(2004年/片嶋一貴監督)
『Jam Films 2・クリーンルーム』(2004年/高橋栄樹監督)
『チープ・トリップ』(2003年/蜷川実花監督)
●本
幻冬舎刊「ミラクル」桜井亜美 表紙モデル



■YOU(福島けい子役)

東京都出身。乙女座、O型。1988年、音楽グループFAIRCHILDでデビュー。鋭い観察眼と本音のトークで数多くのバラエティ番組で活躍中。また、「YOUのこれからこれから」(spring/宝島社)、「三代先までの恥」(TV LIFE/学研)などでもユニークなコラムを連載している。映画への本格的出演は今作が初めてとなる。


■串田和美(くしだかずよし/大家・吉永忠志役)

1942年生まれ。東京都出身。舞台演出家。主な舞台に「ゴドーを待ちながら」演出・美術・出演(2000〜2004年)、「コクーン歌舞伎」シリーズの演出(1996〜2003年)、「セツアンの善人」脚本・演出・美術・出演(2001年)がある。また舞台以外にも映画『突入せよ! あさま山荘事件』(2002年/原田眞人監督)、『1980』(2003年/ケラリーノ・サンドロヴィッチ監督)など俳優としても活躍している。


■岡元夕紀子(おかもとゆきこ/大家の妻・吉永江理子役)

1979年生まれ。神奈川県出身。映画『バウンスkoGALS』(1997年/原田眞人監督)でデビュー。1997年ヨコハマ映画祭・おおさか映画祭で新人賞を受賞。ほか、代表作に『アナザヘブン』(2000年/飯田譲治監督)、『こぼれる月』(2003年/坂牧良太監督)、『Seventh Anniversary』(2003年/行定勲監督)などがある。今年公開の最新作『ユダ』(2004年/瀬々敬久監督)では主役を熱演している。


■平泉成(ひらいずみせい/コンビニの店長・中延司役)

1944年生まれ。愛知県出身。『酔いどれ博士』(1966年/三隅研次監督)、『書を捨てよ町へ出よう』(1972年/寺山修司監督)、『その男、凶暴につき』(1989年/北野武監督)、『失楽園』(1997年/森田芳光監督)ほか、映画・テレビなど出演作品多数。最近の主な作品では『蛇イチゴ』(2003年/西川美和監督)、『花とアリス』(2004年/岩井俊二監督)、『恋の門』(2004年/松尾スズキ監督)などがあり幅広い演技を見せている。


■加瀬亮(かせりょう/コンビニの店員・広山潤役)

1974年生まれ。神奈川県出身。映画『五条霊戦記』(2000年/石井聡互監督)でデビュー。その後、『ロックンロールミシン』(2002年/行定勲監督)、『アカルイミライ』(2003年/黒沢清監督)、『カクト』(2003年/伊勢谷友介監督)、『アンテナ』(2004年/熊切和嘉監督)などに出演。もっとも期待される若手男優の一人。


■タテタカコ(たてたかこ/コンビニの店員・宮嶋さなえ役)

1978年生まれ、長野県飯田市在住。国立音楽大学・音楽教育学科卒。教育実習生として訪れた母校で、生徒たちに薦められて録音した弾き語りがきっかけとなり、地元・飯田市でライブ活動を開始。以来、長野と東京を中心に本格的な音楽活動を続けている。最初期からの楽曲「宝石」を是枝裕和監督たっての希望により映画『誰も知らない』に提供し、同時に出演も果たす。2004年初夏、タテタカコ名義のミニアルバムが発売予定。


■木村祐一(きむらゆういち/タクシーの運転手・杉原役)

1963年生まれ。京都府出身。お笑い芸人として数多くのバラエティ番組、舞台「ルミネ the よしもと」などに出演する一方、「ダウンタウンDX」(YTV)で放送作家としても活躍し、独特な存在感を見せている。最近、自身初の料理本「木村料理道」(実業之日本社)を発売した。


■遠藤憲一(えんどうけんいち/パチンコ屋の店員・京橋役)

1961年生まれ。東京都出身。ドラマ『壬生の恋歌』(NHK)でデビュー後、数々のテレビドラマ・映画に出演。最近では『金融腐蝕列島/呪縛』(1999年/原田眞人監督)、『ディスタンス』(2001年/是枝裕和監督/第16回高崎映画祭最優秀助演男優賞受賞)、『あずみ』(2003年/北村龍平監督)、『花と蛇』(2004年/石井隆監督)などで強烈な個性を発揮している。また、『マトリックス』三部作の映画予告をはじめ、パナソニック・ルミックスやスバル・レガシーB4など、ナレーションの仕事も多数。


■寺島進(てらじますすむ/少年野球の監督役)

1963年生まれ。東京都出身。『ア・ホーマンス』(1986年/松田優作監督)でデビュー後、『ソナチネ』(1993年)をはじめとする多くの北野武監督作品に出演。また、数多くの若手映画監督作品にも参加し、是枝裕和監督作品では『ワンダフルライフ』(第14回高崎映画祭最優秀助演男優賞受賞)、『ディスタンス』に続き3本目の出演となる。最近の代表作『空の穴』(2001年/熊切和嘉監督)、『みすヾ』(2001年/五十嵐匠監督)などでも主役を演じ、演技の幅をさらに広げている。今年の主な公開作品に『HAZAN』(2004年/五十嵐匠監督)、『HEAT』(2004年/横山建司監督)がある。


■是枝裕和(これえだひろかず/監督)

1962年、東京生まれ。1987年に早稲田大学第一文学部文芸学科卒業後、テレビマンユニオンに参加。主にドキュメンタリー番組を演出、現在に至る。

主なテレビ作品に、水俣病担当者だった環境庁の高級官僚の自殺を追った「しかし……」(1991年/フジテレビ/ギャラクシー賞優秀作品賞)、一頭の仔牛と子供たちの3年間の成長をみつめた「もう一つの教育〜伊那小学校春組の記録〜」(1991年/フジテレビ/ATP賞優秀賞)、エイズに感染した平田豊さんを2年に渡り取材した「彼のいない八月が」(1994年/フジテレビ/ギャラクシー選奨)、新しい記憶を積み重ねることができない前向性健忘症の男性と、その家族の記録「記憶が失われた時……」(1996年/NHK/放送文化基金賞)などがある。

1995年、初監督した映画『幻の光』(原作:宮本輝、主演:江角マキコ、浅野忠信、内藤剛志)が第52回ヴェネチア国際映画祭で金のオゼッラ賞等を受賞。2作目の『ワンダフルライフ』(1999)は、各国で高い評価を受け、世界30カ国、全米200館での公開と、日本のインディペンデント映画としては異例のヒットとなった。現在、20世紀フォックスによってリメイク版が制作進行中である。3作目の『ディスタンス』は、2001年カンヌ映画祭コンペティション部門に出品された。

映画プロデュース作品に、伊勢谷友介監督デビュー作『カクト』(2003年、配給:ザナドゥー)と、西川美和脚本・監督による『蛇イチゴ』(2003年、配給:ザナドゥー)がある。

現在は次回作『花よりもなほ』(2004年秋クランクイン予定)を準備中。仇討ちをテーマにした初の時代劇に挑戦する。

<映画作品>

●『幻の光』(1995年/110分)監督
出演:江角マキコ、浅野忠信、内藤剛志ほか
第52回ヴェネチア国際映画祭金のオゼッラ賞・国際カトリック協会賞
バンクーバー映画祭グランプリ
シカゴ映画祭グランプリ

●『ワンダフルライフ』(1999年/118分)監督・脚本・編集
出演:ARATA、小田エリカ、寺島進、内藤剛志、谷啓、伊勢谷友介ほか
ナント三大陸映画祭グランプリ
トリノ映画祭最優秀脚本賞
ブエノスアイレス映画祭グランプリ・最優秀脚本賞
サンセバスチャン映画祭国際批評家連盟賞

●『ディスタンス』(2001年/132分)監督・脚本・編集
出演:ARATA、伊勢谷友介、寺島進、夏川結衣、浅野忠信、りょうほか
カンヌ国際映画祭コンペティション部門招待

<著書>

「官僚はなぜ死を選んだのか」(日経ビジネス文庫)
「小説ワンダフルライフ」(ハヤカワ文庫)
「DISTANCE〜映画が作られるまで〜」(スイッチパブリッシング)



■山崎裕(やまざきゆたか/撮影)

1940年生まれ。東京都出身。1965年、長編記録映画『肉筆浮世絵の発見』でデビュー後、CM、PR映画、テレビ番組「遠くへ行きたい」「素晴らしき世界旅行」をはじめ多くの映像作品を手がける。最近の代表作には「20世紀黙示録 ものくう人々」(名古屋テレビ/ATP1997年グランプリ)、「なぜ隣人を殺したか〜ルワンダ虐殺と扇動ラジオ放送」(NHK/1998年イタリア賞、ATP優秀賞)、映画『沙羅双樹』(2003年/河瀬直美監督)がある。是枝裕和監督とは『ワンダフルライフ』(1999年)、『ディスランス』(2001年)、そして今作の撮影を担当。


■弦巻裕(つるまきゆたか/録音)

1950年生まれ。新潟県出身。法政大学映画研究会所属当時からプロの録音の仕事を始める。東京テレビセンター勤務後、フリーの録音技師になる。主な作品に『ロックよ、静かに流れよ』(1987年/長崎俊一監督)、『幕末純情伝』(1991年/薬師寺光幸監督)、『絵の中のぼくの村』(1996年/東陽一監督)などがある。1999年『鯨捕りの海』(梅川敏明監督)で映画技術協会録音賞受賞。


■磯見俊裕(いそみとしひろ/美術)

1957年生まれ。大阪府出身。大学卒業後、さまざまな職業を経て舞台美術・監督となる。その後、映画美術担当として多くの映画に参加。主な作品に『BERLiN』(1995年/利重剛監督)、『ユメノ銀河』(1997年/石井聡互監督)、『害虫』(2002年/塩田明彦監督)、『バトルロワイアル』(2003年/深作欣二・健太監督)があり、『2/デュオ』(1997年/諏訪敦彦監督)、『JUNKFOOD』(1998年/山本政志監督)などでは映画プロデュースも手がける。


■三ツ松けいこ(みつまつけいこ/美術)

1972年生まれ。千葉県出身。1994年から映画の仕事を始め、『Helpless』(1996年/青山真治監督)、『白痴』(1999年/手塚眞監督)、『豚の報い』(1999年/崔洋一監督)、『五条霊戦記』(2000年/石井聡互監督)、『美しい夏キリシマ』(2002年/黒木和雄監督)などの美術スタッフとして参加。是枝裕和監督作品には『ワンダフルライフ』以降の三作に、磯見氏とともに参加する。


■ゴンチチ(音楽)

ゴンザレス三上とチチ松村によるインストゥルメンタル・アコースティック・ギターデュオ。ゴンチチのサウンドは「地球一番快適音楽」などと評され、聴く人、聴く場所、聴く時間を選ばない音楽として年齢・性別を問わず幅広いファンに支持されている。1992年には竹中直人監督・主演『無能の人』のサウンドプロデュースを手がけ、日本アカデミー賞優秀音楽賞受賞。2003年、結成25周年を機に「Gontiti 25th Anniversary CD&DVD」をリリース。


■川内倫子(かわうちりんこ/スチール)

1972年生まれ。滋賀県出身。成安女子短大卒業後、1997年よりフリーランスとして活動を開始。2001年、写真集三部作「うたたね」「花火」「花子」をリトル・モアより上梓。2002年「うたたね」「花火」で第27回木村伊兵衛写真賞受賞。2003年「blue」(プチグラパブリッシング刊)を発表。2004年には写真集「AILA」(リトル・モア刊)を発表予定。4月にはリトル・モアギャラリーとCohan and Leslie(ニューヨーク)で個展を開催。また、水戸芸術館にて開催するグループ展「Lonely Planet」に参加予定。


■葛西薫(かさいかおる/広告美術)

1949年生まれ。北海道出身。サン・アドアートディレクター。サントリーウーロン茶、ユナイテッドアローズなどの広告制作のほか、近作に六本木ヒルズ TORAYA CAFEのグラフィックワーク、映画『さヾなみ』(2002年/長尾直樹監督)、演劇「ワニを素手でつかまえる方法」(2004年/岩松了演出)の宣伝美術、装丁「蛇にピアス」(金原ひとみ著)などがある。『幻の光』(1995年)以降、是枝裕和監督映画の広告美術を担当。