『幸せはシャンソニア劇場から』/"FAUBOURG 36"


2009年9月5日よりシネスイッチ銀座、シネ・リーブル池袋、恵比寿ガーデンシネマほか全国にて公開

2008年/フランス・チェコ・ドイツ/120分/シネマスコープ/ドルビーデジタル/カラー/35mm/原題:FAUBOURG 36/字幕翻訳:丸山垂穂/提供・配給:日活/後援:フランス大使館文化部/協力:ユニ・フランス、フランス政府観光局/宣伝協力:アルシネテラン

◇監督・脚本:クリストフ・パラティエ ◇製作:ジャック・ペラン、ニコラ・モヴェルネ ◇脚色:クリストフ・バラティエ、ジュリアン・ラプノー ◇原案:フランク・トマ、ジャン・ミシェル・ドレンヌ、ラインハルト・ワーグナー ◇音楽:ラインハルト・ワーグナー ◇作詞:フランク・トマ ◇撮影:トム・スターン ◇美術:ジャン・ラバス ◇衣装:カリーヌ・サルファティ

◇キャスト:ジェラール・ジュニョ、クロヴィス・コルビアック、カド・メラッド、ノラ・アルネゼデール、ピエール・リシャール、ベルナール・ピエール・ドナデュー、マクサンス・ペラン



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【解説】

息子と一緒に暮らしたい
だからこそ劇場を建て直す!
幸せを求めて奔走する父親と仲間たちの笑顔を涙を
音楽で綴る極上エンターテインメント


◆不況も失業も乗り越えて…
現在から1936年のパリを描く時代へのオマージュ


舞台は、1936年パリ郊外。不況で借金の形に取り上げられ閉館してしまったミュージックホール・シャンソニア劇場。長年裏方を務めたピゴワル(ジェラール・ジュニョ)は、失業して泣く泣く息子と離れることに。しかし、仲間と力を合わせて劇場を占拠! 別離、裏切り、ヤクザの脅しなど、さまざまな困難に遭いながらも、再び息子と暮らしたい一心で、懸命に劇場の再建に身を投じる姿が涙を誘います。ニューヨークで株価が暴落したのが1929年。世界恐慌となったその波が、1936年のフランスにも届いていました。1933年にはドイツでヒトラーが首相に就任。フランスも右派の台頭と左派"人民戦線"の攻防、労働者のゼネストや蜂起が起こり、人々は第二次世界大戦が忍び寄る足音を聞いていました。そんな時代背景は、現在の我々を取り巻く世情にもつながり、大きな不安の中でも、音楽や娯楽を求めるさまが共感を呼びます。実際に、1936年当時フランスに生きた人々も楽しんでいたこの頃のハリウッド映画は、バズビー・バークレーが振り付けをする華やかなミュージカル映画が一世を風靡していました。本作には、このバークレーの振り付けや、名作『天井桟敷の人々』(1945)にオマージュを捧げるシーンが盛り込まれており、作り手が時代と先人に敬意を表し、また映画を愛して止まないことを大きく謳っているのです。


◆製作者ジャック・ペラン×監督クリストフ・バラティエ×音楽
ゴールデントリオ再び


ジャック・ペラン ― 名製作者(『WATARIDORI』(2001)、『コーラス』(2004))にして名優(『ニュー・シネマ・パラダイス』(1989))と、彼の甥であるクリストフ・バラティエ監督(『コーラス』)の最新作である本作は、フランスで8人に1人が観た『コーラス』のスタッフ・キャストを再結集させ、2008年にフランスで動員130万人の大ヒットをした新作です。フランスの国民的俳優ジェラール・ジュニョ、カド・メラッドも再び参加、さらに新たに迎えられたスタッフには、クリント・イーストウッド監督の『ミスティッック・リバー』(2003)以降の作品をすべて手がける撮影監督トム・スターンが素晴らしい撮影とキャメラワークで、時代の陰影を再現しています。本作の原案は、ジルベール・ベコーやジュリエット・グレコなどフランスの国民的歌手に詞を提供している大御所作詞家フランク・トマと、映画や舞台音楽で活躍するラインハルト・ワーグナー。二人は、かねてから1930年代を舞台にした音楽劇を作りたいと、ジャック・ペランとバラティエ監督に相談をしていました。そして、企画を気に入ったバラティエ監督が自ら脚本を手がけ、"フォブール"というパリ郊外の架空の街を見事なパノラマに作り上げ、一度聞いたら忘れられない美しいメロディーの数々と、素晴らしいスタッフ、キャストで宝箱のような本作を作り上げたのです。


◆華麗に歌い踊る芸達者な俳優陣
― これがフレンチ・エンターテインメント!


シャンソニア劇場の支配人を演じ、自らも歌声を披露するのは『コーラス』の先生役、『バティニョールおじさん』(2002)でお馴染みの名優ジェラール・ジュニョです。同じく『コーラス』で学校の門前で親を待ち続ける愛らしさで話題となったマクサンス・ペランが大きくなって、ジュニョ演じる父親を助けるしっかり者の息子を演じています。また、お馴染みのコメディアンで『コーラス』の体育教師カド・メラッドは、軽々と歌って踊りエンターテイナーの本領を発揮。数々のクールな役柄をこなすクロヴィス・コルニアックもまた、歌声を聞かせてくれます。そして、本作で新たにスターとして発掘された"歌う"新人女優ノラ・アルネゼデールが、その美貌と確かな歌唱力で大輪を咲かせます。この芸達者な役者たちが、人情たっぷりに芝居を重ね、歌い、踊るさまは、まさにパリの粋。心あたたまる感動がいっぱい詰まった真のフレンチ・エンターテインメントなのです。


 


【ストーリー】

1936年、労働者のストライキや反ファシズム運動の気運が高まる第二次世界大戦の直前。"フォブール"と親しみをこめて呼ばれるパリ北部下町の一角。人々から愛されるミュージックホール・シャンソニア劇場は、不況のあおりで借金を抱えた劇場支配人が自殺、不動産屋ギャラピア(ベルナール・ピエール・ドナデュー)に取り上げられ、閉鎖されてしまう。劇場に長年裏方として魂を注いできたピゴワル(ジェラール・ジュニョ)は、妻にも逃げられ職も失くして落ち込んでしまう。

ピゴワルの一人息子ジョジョ(マクサンス・ペラン)は、ラジオばかり聞いて家から一歩も出てこない"ラジオ男"(ピエール・リシャール)からアコーディオンを習うことを楽しみにしている。お金のない父親を気遣い、パリの街角でアコーディオン弾きを始め、稼ぎを近所の食料品店に支払っている。そうとは知らないピゴワルは、つけで買い物ができることを不思議に思っていた。しかし、街角での演奏を"未成年者の物乞い"と警察がジョジョを補導し、ピゴワルには扶養資格がないとジョジョは遠い街で再婚した母親の元に引き取られてしまう。ますます落ち込むピゴワル……。

ある日、仲間のジャッキー(カド・メラッド)が、劇場をこじ開けて、近所の人々に勝手にモノマネを披露していた。そこへ、ギャラビアの手下が止めさせるために飛んでくる。洗濯工場のストを先導して派手な立ち回りをやってのける、血の気の多いミルー(クロヴィス・コルニアック)と一触即発の状態になると、ピゴワルは咄嗟に「劇場を占拠する!」と宣言。それから自分たちの手で劇場を蘇らせようとギャラピアに交渉し、一カ月の猶予を与えられてピゴワルと仲間たちは必死の思いで再建に立ち上がった。

劇場を辞めた仲間たちも戻り、出演者のオーディションを開くと、ギャラピアの紹介で美しいドゥース(ノラ・アルネゼデール)がやってきた。あまりの美しさと歌の素晴らしさに、ピゴワル、ミルー、ジャッキーは、ギャラピアへの嫌悪がありながらも彼女を採用する。ミルーとドゥースはひと目で惹かれ合うが、ギャラピアを敵視するミルーはドゥースに素直になることができない。

いよいよ新装"シャンソニア劇場"公演初日。緊張する面々。ドゥースのアナウンス嬢としての登場は上々だったが、ジャッキーのモノマネが始まると、あまりのつまらなさに場内は静まり返ってしまう。再びドゥースが演目紹介で舞台に上がると、観客から「歌え! 歌え!」とリクエストが飛ぶ。戸惑う彼女に、ピゴワルは歌ってみろと背中を押す。緊張の中、彼女が歌い始めると、誰もが聞き入る素晴らしい歌声。それから、彼女の歌声を頼りに公演が続くが、彼女の歌以外は人気がなく、有名な音楽プロデューサーから目をかけられたドゥースは、より大きな舞台を求めてシャンソニアを辞めてしまう。何もかもうまくいかず、再び失意に沈むピゴワル。

ある夜、ピゴワルの家のそばで、突然アコーディオンが奏でられ、男たちが歌いだした。ピゴワルが窓の外を見ると、ジャッキーとミルーが歌っている。そこへ、ジョジョがアコーディオンを弾きながら現れた。彼を励ますために、ミルーとジャッキーがジョジョの母親を説得し、連れてきたのだった。再会した親子。涙ぐみながら、一緒に歌い始めるピゴワル……。

一方、昔愛した女性の娘がドゥースと知った"ラジオ男"は、彼女に会いたい一心で家の外に出る。彼のおかげで母親がシャンソニア劇場で活躍していた歌手だと知って、成功したドゥースが劇場を助けるために戻ってくる。実は"ラジオ男"は、その昔、シャンソニア劇場のオーケストラ指揮者で作曲家だった。彼の音楽指導で、ジャッキーが歌いだし、ピゴワル、ジョジョ、ミルー、そしてドゥースが出演する新しい演目"フォブール36"の公演が始まった。公演は大成功。パリ中の人々が劇場に押し寄せた。その中で、ミルーとドゥースの恋は花開き、親子は幸せを噛みしめるのだった。

しかし、一方的にドゥースに思いを寄せ、ミルーに嫉妬するギャラピアは面白くない。フランス革命記念日の前夜、ギャラピアの手下が、毎晩徹夜で金庫番をしているミルーを襲う。しかし、そこにいたのはジャッキーだった。ジャッキーは乱暴な手下に殺されてしまう。怒ってギャラピアに仕返しに行くミルーを追ったピゴワルは、ギャラピアに銃を突きつけられたミルーが絶体絶命と思い込み、咄嗟に落ちていた銃を拾い、銃口をギャラピアに向けた。

1946年、刑期を終えて出所したピゴワルがシャンソニア劇場に向かうと、その一角は何も変わらず、劇場の名前は"フォブール36"に変わっていた。雪の降る夜、満員御礼で沸き立つ劇場のざわめきが扉から漏れ聞こえてくる。劇場の看板には「ジョー・ピゴワルとその楽団」と静かに、誇らしげに掲げられていた。





 


【キャスト&スタッフ】

■ジェラール・ジュニョ(ピゴワル)

1951年パリ生まれ。俳優ミシェル・ブランらと高校で出会い、一緒に映画クラブや演劇部で活躍。1974年に同メンバーで劇団「スプランディド」を結成。主に脚本を担当しながら、『パリの灯は遠く』(1976)など映画作品にも俳優として多数出演。「スプランディド」の舞台が映画化された、パトリス・ルコント監督『レ・ブロンゼ』シリーズが大ヒット。その後も、同監督の『タンデム』(1987)でセザール賞主演男優賞にノミネートされ、2002年には自身で監督・主演を務めた『バティニョールおじさん』で成功を収めた。『コーラス』(2004)の音楽教師に引き続き、人情味溢れる男を熱演。フランス映画界になくてはならない名優の一人。


■クロヴィス・コルニアック(ミルー)

1967年フランス生まれ。15歳より俳優として活躍。確かな演技力に定評がある。主な出演作に『ロング・エンゲージメント』(2004)『ナイト・オブ・ザ・スカイ』(2005)があり、最新作クロード・シャブロル監督『BELLAMY』(2009)ではジェラール・ドパルデューと競演している。


■カド・メラッド(ジャッキー)

1964年アルジェリア生まれ。ジュニョ同様に『コーラス』の体育教師に引き続きの出演。コメディ俳優として名高いが、2007年セザール賞助演男優賞を獲得した『マイ・ファミリー/遠い絆』(2006)では重厚な演技を見せている。本作では、コメディアンの本領を如何なく発揮している。


■ノラ・アルネゼデール(ドゥース)

1989年パリ生まれ。オーストリア人の父とエジプト人の母の間に生まれ、幼い頃からジャズに親しむ生活を送る。歌、ダンス、演劇をパリのダンススクールで学んだ後、TVドラマ出演を経て、『LES DEUX MONDES』(2007)で映画デビュー。映画出演2作目の本作で、2009年の"ルミエール賞"と"金の星賞"で新人賞2冠を獲得。華々しくキャリアをスタートさせたばかりのフランスの次世代スター。


■ピエール・リシャール(ラジオ男)

1934年フランス生まれ。フランスコメディ界の重鎮。1970年代から、多くのコメディ映画の出演、監督、脚本を手がけ、2006年にはその功績が讃えられ、セザール栄誉賞を受賞。主な出演作に『おかしなおかしな高校教師』(1974)『冒険喜劇 大出世』(1975)などがある。


■ベルナール・ピエール・ドナデュー(ギャラピア)

1949年パリ生まれ。ロマン・ポランスキー『テナント/恐怖を借りた男』(1976)、クロード・ルルーシュ『愛よもう一度』(1976)やジャン・ジャック・アノー監督作に小さな役で出演し、キャリアをスタートさせる。個性的な顔立ちで悪役も多く、TVドラマでも活躍している。


■マクサンス・ペラン(ジョジョ)

1995年生まれ。父は本作のプロデューサーであるジャック・ペラン。『コーラス』で、学校の門前で親を待ちわびる愛らしいペピノ役を演じて話題となった。本作が『コーラス』後、初の長編劇映画出演となる。


■監督・脚本:クリストフ・パラティエ

1963年フランス生まれ。両親共に舞台俳優で、母方の叔父がジャック・ペランという芸能一家に育つ。パリ・エコール・ノルマル音楽院でクラシック・ギターを学び、数々の国際コンクールで受賞したミュージシャンでもある。1991年にジャック・ペランの製作会社ガラテ・フィルムに入り、『リュミエールの子供たち』(1995)『ミクロコスモス』(1996)『キャラバン』(1999)『WATARIDORI』(2001)などを製作補として手がけ、2001年に短編初監督作品『LES TOMBALES』で注目を集める。2004年の長編デビュー作『コーラス』は、フランスはもとより、世界的に大ヒットを記録した。


■製作:ジャック・ペラン

1941年パリ生まれ。祖父は舞台演出家、父は舞台装置家、母は女優の芸能一家に生まれ、コンセルヴァトワールで演劇を学ぶ。10代から映画出演を重ね、1966年に『UN UOMO A META』でベネチア映画祭主演男優賞を獲得し、27歳で設立した製作会社でコスタ・ガブラス監督『Z』を製作、1969年米アカデミー外国語映画賞を獲得した。『ロシュフォールの恋人たち』(1967)『うたかたの日々』(1968)『ロバと王女』(1970)などで美青年スターとしても人気を博し、20代から俳優兼プロデューサーとして国際的に輝かしい成功を収める。さらに、1989年の世界的大ヒット『ニュー・シネマ・パラダイス』で主人公トト少年が成長した映画監督を演じ、俳優としての名声は不動に。また、製作者としても、渡り鳥の生態を追ったドキュメンタリー『WATARIDORI 』(2001)、9.11を題材に今村昌平監督をはじめ世界の監督たちが参加した短編集『11'09''01セプテンバー11』(2002)、そして、甥のクリストフ・バラティエの監督デビュー作『コーラス』が大ヒットするなど、ネイチャードキュメンタリーや、社会派作品からエンターテインメントまで幅広く手がけ、確実にヒットさせることで世界で最も注目される映画人の一人である。最新プロデュース作として、海洋ドキュメンタリー『OCEANS』(2009)が控えている。


■音楽:ラインハルト・ワーグナー

1956年フランス生まれ。コンセルヴァトワールで作曲を学び、演劇音楽からキャリアをスタートさせ、映画、TVで活躍している。主な映画作品に『ゼロ時間の謎』(2007)『アガサ・クリスティーの奥さまは名探偵』(2005)『ロザリンとライオン』(1989)などがある。


■作詞:フランク・トマ

1936年フランス生まれ。「サヨナラ」「ルイーズ」のヒット曲で知られる大御所作詞家、音楽プロデューサー。ジルベール・ベコー、フランス・ギャル、ブリジット・バルドー、ジュリエット・グレコなど、多くのフランスの国民的歌手に詞を提供している。


■撮影:トム・スターン

1946年アメリカ生まれ。『ミスティック・リバー』(2003)からクリント・イーストウッド監督の全作を最新作『グラン・トリノ』(2008)まで担当する同監督の盟友。『チェンジリング』(2008)では、米アカデミー撮影監督賞にノミネートされている。主な作品に『硫黄島からの手紙』(2006)『父親たちの星条旗』(2006)『エミリー・ローズ』(2005)『ミリオン・ダラー・ベイビー』(2004)などがある。


■美術:ジャン・ラバス

1961年アルジェリア生まれ。フィリップ・ドゥクフレ率いるダンスカンパニーDCAで長く美術を務めた後、1990年代から映画美術に携わり、個性的なセット美術を得意として評価を得る。主な作品に『ドリーマーズ』(2003)『ヴィドック』(2001)『宮廷料理人ヴァテール』(2000)『ロスト・チルドレン』(1995)などがある。