『華麗なる恋の舞台で』/"BEING JULIA"


2007年2月10日よりBunkamuraル・シネマにて公開

2004年/カナダ・アメリカ・ハンガリー・イギリス/英語/ 35mm/カラー/104分/アメリカンヴィスタ/ドルビーSRD/原題:Being Julia / 日本語字幕:石田泰子/ 資料翻訳:ワイズ・インフィニティ/後援:ブリティッシュ・カウンシル/提供:博報堂DYメディアパートナーズ、アルシネテラン/配給・宣伝:アルシネテラン

◇監督:イシュトヴァン・サボー ◇プロデューサー:ロバート・ラントス ◇脚本:ロナルド・ハーウッド ◇原作:サマセット・モーム「劇場」 ◇撮影監督:ラホス・コルタイ(A.S.C) ◇編集:スーザン・シプトン ◇美術監督:ルチアナ・アリギ ◇衣装:ジョン・ブルームフィールド ◇音楽:マイケル・ダナ

◇キャスト:アネット・ベニング、ジェレミー・アイアンズ、ブルース・グリーンウッド、ミリアム・マーゴリーズ、ショーン・エヴァンス、ジュリエット・スティーヴンソン、ルーシー・パンチ、モーリー・チェイキン、シーラ・マッカーシー、マイケル・ガンボン、リー・ローソン、ローズマリー・ハリス、リタ・トゥシンハム、トム・スターリッジ



| 解説 | プロダクションノート | ストーリー | キャスト&スタッフ |
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2005年 アカデミー賞主演女優賞ノミネート(アネット・ベニング)
2005年 ゴールデン グローブ賞【ミュージカル・コメディ部門】主演女優賞受賞(アネット・ベニング)
2005年 ゴールデンサテライト賞ミュージカル・コメディ部門 主演女優賞受賞(アネット・ベニング)
     ミュージカル・コメディ部門 助演男優賞ノミネート(ジェレミー・アイアンズ)
2005年 ナショナル・ボード・オブ・レヴュー 主演女優賞受賞(アネット・ベニング)
2005年 ゴヤ賞・ベストヨーロピアンフィルム賞 ノミネート(イシュトヴァン・サボー)
2005年 SFCAアワード 主演女優賞受賞(アネット・ベニング)
2005年 バンコク国際映画祭主演女優賞 受賞(アネット・ベニング)
2005年 BFCA AWARD 主演女優賞ノミネート(アネット・ベニング)
2005年 ヨーロッパ映画祭 監督賞ノミネート(イシュトヴァン・サボー) 
     撮影賞ノミネート(ラホス・コルタイ)
2005年 ジェニー・アワード 助演男優賞ノミネート(ブルース・グリーンウッド)
2005年 全米映画俳優組合賞 主演女優賞ノミネート(アネット・ベニング)




●素晴らしいの一言! こんな大満足できる作品は久し振りだ。
─ THE LOS ANGELES TIMES

●誰もがきっとこの作品を大好きになるだろう。アネット・ベニングの知的で、ニュアンスを効かせた、素晴らしい演技が光っている。
─ NBC

●アネット・ベニングがスクリーンを輝かせた ─ 。最高の演技!
─ CHICAGO TRIBUNE

●ベニングはセンセーショナルだ! 彼女の機敏で威勢のよさが、明るく晴れやかな演技となってスクリーンに溢れ出す。
─ NEW YORK TIMES

●『華麗なる恋の舞台で』は最も素晴らしい女優の一人、アネット・ベニングの才能を最大限に生かした傑作だ。
−HOLLYWOOD REPORTER

●アネット・ベニングの途方もなくエンターテイニングな演技は、彼女の銀幕での素晴らしい存在感を私たちに知らしめた。
─ SCREEN DAILY

●ベニングの最高の演技! はじめから終わりまで輝きを放ち続ける。驚きのフィナーレで、彼女の非凡な輝かしい女優の才能が花開く。
─ ACCESS HOLLYWOOD

●ベニングは魅惑的だ。舞台でのクライマックスは最高に爽快だ!
─ THE WALL STREET JOURNAL

●素晴らしい脚本と強力な俳優陣のアンサンブルを証明するスマートで、ウィットに富んだ最高傑作!
─ METRO TODAY

●アネット・ベニングは、女性のずるくて、美しく、そして真面目で滑稽な部分を見事に演じきった。
─ NEWSWEEK

●ベニングが素晴らしい。『華麗なる恋の舞台で』は今年一番の映画。
─ Vue Weekly

●なんてショーなんだ、なんて女性なんだ! ベニングの演じるジュリアは見ていて爽快だ!
─ Winnipeg Free Press




【解説】

◆女であること。恋をすること。私であること。
思わず拍手喝采を贈りたくなる彼女の恋。人生は華やかな舞台のように。


イギリスの文豪サマセット・モーム円熟期の傑作「劇場」を原作に、大人の女性の魅力溢れるチャーミングな作品が誕生した。

1938年ロンドン。満たされながらも変化のない生活にうんざりしていた人気女優ジュリアは、親子ほども年の違う米国人青年トムと出逢い、恋に落ちる。だが、それもつかの間、トムは若い女優と恋仲になり、ジュリアは傷心。それでもジュリアは、その女優を彼女の舞台に抜擢してほしいと言うトムの勝手な願いを聞き入れ、余裕の素振りを見せるのだった。現実を受け入れ、すべて譲ってしまうかに見えたジュリアだが、傷ついただけでは終わらないのが、大人の恋。彼女の人生の第2幕は、まるで華麗な舞台のように、ドラマティックな結末を用意して、今、幕をあけようとしていた ─ 。

軽やかで大胆、そしてちょっと意地悪な大人の駆け引き ─ 本作は、ジュリアが恋に破れた後、人生の第2幕を自らの手で開くまでの物語を、洗練されたユーモアとペーソスを効かせて小気味よく魅せていく。

女優として、女として、自らの転換期をしなやかに乗り越え受け入れていくジュリアの姿と、彼女が仕掛けた爽快なクライマックスに、誰もが拍手喝采を贈りたくなるだろう。



◆2004年ゴールデン・グローブ賞主演女優賞受賞アネット・ベニングと、
豪華イギリス人俳優陣


女優という才能に恵まれておりカリスマ的存在感を持ちながら、だれもが持っている、葛藤、悩み、打算や自尊心との闘いをチャーミングに表現したのは、アネット・ベニング。本作の演技が認められ、2004年ゴールデングローブ賞主演女優賞受賞、同年アカデミー主演女優賞ノミネート他、世界中の映画祭で賞賛を浴びた。また、劇場の興行主で元俳優のハンサムな夫マイケルを演じるのは、『ヴェニスの商人』など数々の作品に出演、舞台でも活躍しているジェレミー・アイアンズ。『ハリー・ポッター』シリーズなどに出演する、イギリスが誇る実力派俳優マイケル・ガンボンなど、イギリスの俳優陣が脇を固める。


◆アカデミー賞受賞監督、スタッフが描き上げる、
サマセット・モーム「劇場」の世界


監督は『メフィスト』でアカデミー外国語映画賞を受賞、『太陽の雫』が世界中から賞賛を浴びた、ハンガリーの巨匠イシュトヴァン・サボー。脚本は『戦場のピアニスト』でアカデミー賞脚本賞に輝き、文芸作の脚色に定評のある、ロナルド・ハーウッド。撮影は『海の上のピアニスト』『マレーナ』などで数々の賞に輝くラホス・コルタイが、美術監督は『ハワーズエンド』『日の名残り』『ある晴れた日に』などのルチアナ・アリギ、衣装は『理想の女』のジョン・ブルームフィールドがつとめ、「月と6ペンス」などで知られるサマセット・モームの世界を、スクリーンに華麗に花咲かせた。


 


【プロダクションノート】

◆原作とその脚色について

『太陽の雫』、『スウィート ヒアアフター』、『ブラック・ローブ』など劇的な作品を手がけてきたプロデューサー、ロバート・ラントスは、本作の躍動感溢れる台本にすぐに魅了され、「洗練された面白さに満ちた映画が作れるだろうと思った」と語っている。「愛や欲望、成功、裏切り、復讐について、そして自己実現と自己発見に関する話だ。これは普遍的なテーマであり、良い映画を作るには大切な要素なんだ」。

本作の原作「劇場」は、1937年にサマセット・モームによって書かれた。そのときすでに作家として大成功していたモームは、都会的でシニカルな商業的演劇で世に知れ渡っており、いくつかの作品がロンドンのウエスト・エンドでいっせいに上演されていた。本作の、舞台を見る鋭い観察力や、生気に満ちた快活な登場人物たちは、彼の実生活からもたらされたものである。

このモーム円熟期の傑作と評される「劇場」の脚色を手がけたのが、アカデミー賞脚本賞を獲得した『戦場のピアニスト』など、文学作品の脚色に定評のある、ロナルド・ハーウッドである。彼はモームの小説の特に洗練されたユーモアの本質を捉えようと脚本に着手した。脚色とは「いくつかのシーンをカットしたり加えたりして、細部は変えることができる。しかし、重要なのは原作の核の部分だ」。彼はジュリアの若い恋人の設定をイギリス人からアメリカ人に変えたが、原作の見せ場となるセリフや現実と認識のあいまいな境目をそのまま取り入れている。

「ジュリアはとても美しい女性だ」とハーウッドは語る。「しかし、ジュリアは美貌を失いつつあり、そのことをとても恐れていて、捨て鉢になり始める。これは本当に普遍的な物語だ。40代半ばの多くの女性が年を取ったと感じ、恐れ、怯えるようになるのだから。彼女たちはジュリアのように有名人ではないので周囲が知らないだけで、日常いくらでも起こっていることなのだ」。



◆イシュトヴァン・サボーと俳優たち

イシュトヴァン・サボーは『メフィスト』、『ミーティング・ヴィーナス』、『連隊長レドル』など、自らの監督作と『華麗なる恋の舞台で』を関連づけて語っている。「政治的な陰謀や企み、歴史的な抑圧はないが、私の他の作品ととても似ている。社会や世界全体が要求するから仮面を被る必要がある、と思っている人々がテーマだ。役を演じるように要求され、役に満足していない者もいれば、どうしたらやめられるかわからない者もいる。実際、ジュリア・ランバートの物語は『メフィスト』と似ている点がいくつもある」。

本作は『メフィスト』と似ているが、ほぼ反対のトーンで演じられる。『華麗なる恋の舞台で』は楽しく、古典的なコメディーだ。ある年齢に達した女性について、感情豊かに洞察している。ラントスはサボー監督に脚本を打診したとき、監督がくつろいだ気持ちでとりかかれるよう願っていた。「イシュトヴァンの仕事は歴史的に重大なテーマばかりだ。戦争・革命・共産主義・ナチス・ファシスト。私は彼も楽しんで映画を撮る時期が来たのだと思った」とラントスは言う。「私は、彼に『かなり長い間、東欧の政治史の重荷を担っていたのだから、そろそろ楽しんで映画を撮ってみたらどうか』と言ったんだ」。

愛らしく、賢く、演技力があり、輝いていて、そして強くて傷つきやすい面を併せ持つジュリアは、物語の中心であり、観客の注目を最後まで引き付けなければならない。「私達は脚本に取り組んでいた間、キャストについていつも議論していた。この難度が高く楽しくて興味をそそる主役を、誰が演じるのだろうと」とラントスは振り返る。彼とサボーは『アメリカン・ビューティー』で大胆かつ忘れられない演技をしてアカデミー賞にノミネートされたアネット・ベニングが適役だという結論に至った。

ジュリアは、シリアスな演技からコメディーまで幅広い演技を必要とされる、難しい役である。ある場面はドタバタ劇や軽いタッチのものだが、次にはシリアスで内面をさらすような重厚なものになる。ベニングは優雅・芸術的・機知・知性、及び、すばらしいユーモアを持つ役柄を演じきった。

ベニングはすぐに役柄を把握して、ジュリアの背景にある心理を理解した。「これは、多くの女性が経験する、自分を見つめ直し再確認する時期にちょうどさしかかった女性の物語だと思う。それは仕事や人間関係の中によく表わされている」とベニングは語っている。

ベニングはサボー監督を、俳優に創造力と安心感を与えてくれると評価している。「イシュトヴァンはものすごく優しくて俳優を愛している。現代の映画制作において、たいていの監督はカメラが実際に撮影しているもモニターを別室で見ていて、俳優は現場に残される。でもイシュトヴァンはカメラの隣に一緒に座るから絆が生まれるの」。

  ジュリアの夫、マイケルを演じるジェレミー・アイアンズもサボーについて同様に称賛している。ベニングと同じく、共に仕事をしようとする監督の姿勢に感謝している。「セットはいつも居心地が良く、仕事がしやすい。俳優がくつろげるようにしてあり、想像力をふくらますことができるからだ。何かを提案すると‘いい考えだ、そうしよう’と言う。私の好きな仕事のやり方だ」。

アイアンズは観客が俳優たちの内面に引き込まれ、過去の時代を舞台にしたこの物語を見ることを楽しんでくれると信じている。「1930年代はすでに過去であり、人々は今と違う生き方をしていた。現代の生活と対照的だ。すべてがとても上品で美しい。そんな彼らの間にさまざまな出来事が起こるのだから、上品な映画を見ることは悪いことではない」。



◆撮影と美術について

撮影のラホス・コルタイは、『太陽の雫』でヨーロッパ映画賞を受賞し、『マレーナ』でアカデミー賞にノミネートされた。本作は国際的に有名なこの撮影監督とサボーが協力して制作した、12作目の作品となる。

本作の時代背景である、1930年代は『ハワーズ・エンド』でアカデミー賞美術賞を獲得し、『日の名残り』と『アンナと王様』でアカデミー賞にノミネートされた美術のルチアナ・アリギによって蘇った。「私は何度もこの時代を手がけてきた。1930年代は建築と芸術の両面で私の好きな時代だ」と彼女は言う。アリギは本作で興味深い問題に直面した。劇場の世界の魅惑と幻想と同時に、戦前のイギリスの現実を伝えなければならなかったのだ。「私たちは、1938年の世界を創らなければならなかった。それは実際には架空であり、魅力的なジュリアと彼女の友人や家族を通して、厳しくて退屈な現実の生活を忘れたいと思っている町の人々の心に訴えるような、一種の夢の世界だ」と彼女は説明する。「でも、私たちはその時代に本当に世界で起こっていたことを知らせるために、新聞をいつもあちこちに散らかしておいた」。

象徴的な道具が使われているのも、この映画では重要なことである。ロナルド・ハーウッドは、ジュリアがいつも鏡に囲まれているのは、常に外見を意識していて、美しくセクシーかどうかをチェックしているからだ、と指摘する。「ジュリアの寝室はサマセット・モームの妻であり、1930年代の有名なインテリア・デザイナーだったシリー・モームの作品をモデルにしたが、私たち美術にとっては悪夢だった」とアリギは振り返る。「一室に鏡が60枚もあった! これは極端なケースだが、ジュリアが自分自身に熱心なのと、容姿を気にしていたことを強調するために、至る所に鏡がある。そしてジュリアは通り過ぎるごとに鏡に映った姿を確認するの」。

  撮影は大部分がハンガリーで行われた。プロダクション・チームは板張りで大きい暖炉と窓、そして広い部屋があり、豪華なシャンデリアが飾られているような、古さが残っているロケ地を探した。これは典型的なロンドンとブダペストの様式だ。ホテル・アストリアやムーラン・ルージュのような建物は、アリギのセットに見事な背景を提供する。雰囲気を出すために、イギリスから持ってこなければならない小道具がいくつかあった。「ドアノブ・電気のスイッチ・ナイフ・フォーク・日用品など、本当に細かなものだ。しかしこういうものは目につくし、効果がある」とアリギは言う。例えばジュリア用のベッドシーツはハンガリーにはない寝具だったので、イギリスで購入しなければならなかった。



◆美しい衣装

ジュリアの衣装は、英国アカデミー賞を受賞したジョン・ブルームフィールドが「オートクチュールの時代」と説明するように1930年代の魅力を反映している。彼は収集家や衣装を扱う店からその時代の衣服を調達してデザインをした。アネット・ベニングはこの映画の中で、39着の衣装を着ている。そのうちの10着は仕立て直した当時のドレスだ。

衣装は『華麗なる恋の舞台で』の結末で大きな役割を果たす。新しい芝居のリハーサルの間、ジュリアは若い女優エイヴィスのために、自分を目立たなくするような質素な衣装を着ることで、地位と名声を放棄するかのように見せている。しかし、初演を迎えた夜、彼女は同じシーンに、彼女の重要性と優位性がひと目でわかるような豪華なショールをまとって登場。一着の衣装がすべてを変える。ジュリアは何カ月も自信を喪失した後で、ようやく自信を取り戻し、頂点に返り咲くのだ。



 


【ストーリー】

1938年ロンドン。美しく才能に溢れたジュリアは舞台女優として名実ともに頂点を極めている。興行主で元俳優の夫マイケルは才気溢れる舞台監督で、彼女の生活を影で支えている。聡明な息子ロジャーとの関係も良好。公私ともに満ち足りているかのように見える彼女の人生。しかし、全てが慢性化している生活に彼女はうんざりしていた。人生の転機に差し掛かっていることを自覚している彼女は、何か新鮮で、刺激的で、活力に満ちたものを待ち望んでいるのだった。

そんなとき、マイケルのもとで働く親子ほども年の違うトムという米国人青年がジュリアの前に現れる。彼女の大ファンだというトムは、ジュリアを理想の女性だと言い熱烈なラブコールを贈る。心によみがえる少女の頃のようなときめき。胸を高鳴らせ、やがて、二人は恋に落ちた ─ 。

大女優と若い青年とのゴシップはすぐに広まる。しかし、周囲の噂を気にすることもなくトムとの甘美な日々を堪能するジュリア。この恋は彼女の満たされない日々に再び活力を与え、消えかかっていた舞台への情熱をも取り戻すのだった。

しかし、時がたち、ジュリアは悲しい現実に直面する。トムに、若い女優の恋人エイヴィスができたことを知るのだ。彼女はトムに、ジュリアの新作“今日この頃”に自分のために役をつけてくれないかとせがみ、そしてマイケルをもたぶらかす。自尊心を砕かれ、傷心のジュリア。だが、大女優であり、プライドが高く、なによりも大人の女性である彼女は、トムの願いを聞きいれ、その野心的なエイヴィスを自らの舞台に抜擢までして、余裕の素振りを見せるのだった。ジュリアは周囲の戸惑いの目を気にもせず、エイヴィスを自分より舞台上で引き立たせようとマイケルにさまざまな提案をする。「どうも変だ。彼女はやさしすぎる」。訝しげにつぶやくマイケル。

舞台初日 ─ 劇場は満席の観客で溢れかえっている。現実を受け入れ、すべて譲ってしまうかに見えたジュリア。けれど、傷ついただけでは終わらないのが、大人の恋。開演まであと少し…… 彼女の人生の第2幕は、まるで華麗な舞台のように、ドラマティックな結末を用意して、今、幕をあけようとしていた。





 


【キャスト&スタッフ】

■アネット・ベニング(ジュリア・ランバート役)

1958年5月29日生まれ。カンザス州トピカ出身。カルフォルニア州サンディエゴで育つ。サンフランシスコ州立大学で演技を学び、卒業後、サンフランシスコのアメリカン・コンサヴァトリー劇団に入団。さまざまな舞台を経験する。すぐに『Coastal Disturbances』でトニー賞の候補になり、クラーレンス・ダーウェント新人賞を受賞した。

『大混乱』(1988)で映画デビュー。その後、ミロス・フォアマン監督『恋の掟』(1989)、マイク・ニコルズ監督『ハリウッドにくちづけ』(1990)に出演。『グリフターズ/詐欺師たち』(1990)で、アカデミー助演女優賞にノミネートの他、数々の賞を受賞する。また、『バグジー』(1991)でもゴールデングローブ賞ミュージカル・コメディ部門/主演女優賞にノミネート。『心の旅』(1991)ではハリソン・フォード共演。ロバート・デニーロと共演した『真実の瞬間(とき)』(1991)では心優しき妻を演じ、その演技力が高い評価を受ける。その後、『めぐり逢い』(1994)、『リチャード三世』(1995)、『アメリカンプレジデント』(1995)、『マーシャル・ロー』(1998)、『マーズ・アタック』(1996)などに出演、1999年、アカデミー賞で作品賞ほか5部門を受賞したファミリードラマ『アメリカン・ビューティー』で、見事2度目の同賞主演女優賞ノミネートを果たす。本作の前の出演作は、ケヴィン・コスナー、ロバート・デュヴァルと共演した西部劇『ワイルド・レンジ 最後の銃撃』(2003)。また、1999年にはロサンゼルスのゲッフェン・プレイハウスでヘンリック・イプセン原作の『ヘッダ・ガブラー』の主役を演じ、7つのソロ・フェスティバルに出演するなど、舞台でも活躍での活躍も知られている。

本作の成功後出演のオファーが殺到。オーガステン・バロウズの全米ベストセラー『ハサミを持って突っ走る』の映画化で、ブライアン・コックス、ジョセフ・ファインズなどと共演の『Running With Scissors』では主演を、また、アニメーション『Bee Movie』では、アメリカのTVドラマ「となりのサインフェルド」でおなじみのジェリー・サインフィルドとレニー・ゼルヴィガーと共に、声優にも挑戦している。



■ジェレミー・アイアンズ (マイケル・ゴセリン役)

1948年9月19日、イギリス・ワイト島で生まれる。イギリスの名門シャーボンを卒業後、ブリストルのオールド・ヴィク座で演技を学び、同劇団に所属。1971年にロンドンに移り、洗礼者ヨハネ役を得て『ゴッドスペル』で舞台デビュー。ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーに参加し『リチャード世』にも出演。ブロードウェイのデビュー作はトム・ストッパードの戯曲でグレン・クローズと共演した『リアル・シング』で、主演男優としてドラマ・リーグ賞とトニー賞を受賞した。

その後、多くのテレビ作品に出演していたが、テレビシリーズ『華麗なる貴族』の演技が世界中で絶賛され、エミー賞と英国アカデミー賞の主演男優賞を受賞する。

以後、映画と舞台の両方で活躍。『ニジンスキー』(1979)で映画デビュー。メリル・ストリープと共演した『フランス軍中尉の女』(1981)、『ミッション』(1986)、クローネンバーク監督『戦慄の絆』(1988)で数々の賞を受賞。1990年クラウス・フォン・ビューロー事件を基に映画化した『運命の逆転』で、アカデミー賞主演男優賞とゴールデン・グローブ賞ドラマ部門/主演男優賞を受賞している。

その他の出演作には、『KAFKA/迷宮の悪夢』(1991)、『ダメージ』(1992)、『エム・バタフライ』(1993)、『愛と精霊の家』(1993)、『ダイ・ハード3』(1995)、『魅せられて』(1996)、『ロリータ』(1997)、『仮面の男』(1998)、『永遠のマリア・カラス』(2002)等。

本作の出演後、シェイクスピア原作『ヴェニスの商人』(2004)、『カサノバ』(2005)、『キングダム・オブ・ヘブン』(2005)など精力的に活動を続けている。



■マイケル・ガンボン (ジミー・ラングトン役)

1940年10月19日、アイルランド・ダブリンで生まれる。舞台・TV・映画において、シリアスなものから非常にコミカルなものまで幅広い役をこなせる、とても多才な俳優として観客から愛されている。

『コックと泥棒・その妻と愛人』(1989)、『鳩の翼』(1997)、『スリーピー・ホロウ』(1999)、『シャーロット・グレイ』(2001)、『ゴスフォード・パーク』(2001)、『シルヴィア』(2003)、『ライフ・アクアティック』(2005)、『オーメン』(2006)など、多くの映画に出演。最近では、『ハリー・ポッター』シリーズのアルバス・ダンブルドア役で有名である。



■ブルース・グリーンウッド(チャールズ卿役)

1956年8月12日生まれ。数々の映画、TVシリーズで活躍後、アトム・エゴヤン監督『エキゾチカ』(1994)、『スウィート・ヒアアフター』(1997)、アシュレー・ジャド、トミー・リー・ジョーンズと共演した『ダブル・ジョパティ』(1999)等に出演し、着々とキャリアを積む。また、キューバ危機を描いた『13デイズ』(2000)で、ジョン・F・ケネディを見事に演じ絶賛された。その後、『コード』(2000)、エゴヤンとは3作目となる『アララトの聖母』(2002)、マドンナと共演した『スウェプト・アウェイ』(2002)、『ザ・コア』(2003)等に出演。メジャーとインディペンデント両方の仕事をこなす。本作の出演後『アイ・ロボット』(2004)、『カポーティ』(2005)、『南極物語』(2006)にも出演。


■ミリアム・マーゴリーズ(ドリー・デ・ヴリース役)

ミリアム・マーゴリーズは、2001年にはイギリス女王から大英帝国勲章を授与された、英国の国民的女優である。TV・演劇界でも活躍し、一方映画にも意欲的に取り組んでいる。主な映画の出演作は『エイジ・オブ・イノセンス』(1993)、『不滅の恋/ベートーヴェン』(1994)、『ロミオ&ジュリエット』(1996)、本作のイシュトヴァン・サボーによる『太陽の雫』(1999)、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』(2002)、『モディリアーニ 真実の愛』(2004)、『ラヴェンダーの咲く庭で』(2004)、『ライフ・イズ・コメデイ! ピーター・セラーズの愛し方』(2004)など。


■ジュリエット・スティーヴンソン(エヴィー役)

1958年生まれ。英国王立演劇学校を卒業する際、名誉あるバンクロフト・ゴールド・メダルを授与。現在、最も才能のある英国女優の一人として高く評価されている。舞台での活躍は目覚しく、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーでの主な代表作は『Beckett Shorts(ベケット・ショーツ)』、『危険な関係』のトゥーベル夫人役、『お気に召すまま』のロザリンダ役、『真夏の夜の夢』のティターニア役など。また、『死と乙女』ではローレンス・オリヴィエ最優秀女優賞を獲得した。

映画出演作は、『数に溺れて』(1988)、『愛しい人が眠るまで』(1991)、『Emma エマ』(1996)、『ベッカムに恋して』(2002)、『モナリザ・スマイル』(2003)など。



■ショーン・エヴァンス(トム・フェネル役)

1980年3月6日生まれ。イギリス・リバプール出身。ギルドホール音楽演劇学校を2001年に卒業、その2年後に出演した本作は、2本目の映画出演作である。初出演作は、ジョン・アーヴィン監督のミュージカル・コメディ『The Boys from Country Clare』(03/日本未公開)。


■ルーシー・パンチ(エイビス・クライトン)

1977年12月30日生まれ。本作の出演前は主にテレビシリーズを中心に活躍。映画出演作は、ミラマックスの『Ella Enchanted』(04/日本未公開)や、ヘレン・ミレン、クライヴ・オーウェンと共演した『グリーンフィンガース』(2000)のホリー役など。


■イシュトヴァン・サボー(監督)

1938年2月18日。ハンガリー・ブタペストに生まれる。ハンガリーの一流校アカデミー・オブ・ザ・アート・オブ・シアターで学んだあと、26歳の若さで最初の長編映画の監督を務めた『The Age of Daydreaming』(64/日本未公開)で、ロカルノ映画祭シルバー・セイル賞、ハンガリー映画祭では最優秀監督に贈られる審査員特別賞を受賞した。この受賞で、1960年代のハンガリーの映画制作を担う新しい世代の中で中心人物となった。そして、ハンガリーの映画産業では主要な一人として、40年間その地位を保っている。

その後、『コンフィデンス/信頼』(1979)でベルリン国際映画祭 銀熊賞受賞、アカデミー賞外国語映画賞にノミネート。続く『メフィスト』(1981)では、見事アカデミー賞外国語映画賞を受賞する。『連帯長ドレル』(85/日本未公開)ではカンヌ国際映画祭審査員賞などを受賞。本作のプロデューサーでもあるロバート・ラントスと初めて組んだ『太陽の雫』(1999)では、ハンガリーに住むユダヤ人家族三世代の目を通して革命に対し大胆に取り組み、ヨーロッパ映画賞3部門、カナダ・ジニー賞作品賞を受賞、またゴールデン・グローブ賞 作品賞・監督賞を含む3部門にノミネートされ、その他アメリカ・ポリティカル・フィルム・ソサエティ賞など数々の賞を受賞した。

最近では、ロナルド・ハーウッドが脚本を書いた『Taking Sides』(2001)を監督。この映画でフランスのインターナショナル・フェスティバル・オブ・アクション・アンド・アドヴェンチャー・フィルムで審査員賞と、アルゼンチンのマル・デル・プラタ映画祭でシルバー・オンブ賞と監督賞を受賞した。また世界の錚々たる監督が集結したオムニバス『10ミニッツ・オールダー イデアの森』(2002)にも参加している。また、ロンドン、ベルリン、ウィーンなどの映画学校の客員教授をし、映画史の講義をしている。



■ロナルド・ハーウッド(脚本)

1934年、南アフリカのケープ・タウンに生まれ、1951年に渡英。作家でもあり、最新作『Home(ホーム)』はこの小説で、1994年ジューイッシュ・クォータリー賞に輝いている。

映画では『小さな目撃者』(1970)、アカデミー脚色賞にノミネートされた『ドレッサー』(1983)、『輝きの大地』(1985)の脚本を経て、ロマン・ポランスキー監督『戦場のピアニスト』(2002)でアカデミー賞脚色賞に輝き、カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを獲得。『Taking Sides』(イシュトヴァン・サボー監督)では2002年にフライアーノ国際映画祭でフライアーノ脚本賞を受賞した。またポランスキー監督『オリバー・ツイスト』(2005)でも脚本を手がけた。



■ラホス・コルタイ(A.S.C)(撮影監督)

ラホス・コルタイ(A.S.C)はハンガリーで最も才能のある撮影監督の一人である。サボー監督とは『コンフィデンス/信頼』(1979)以来23年間一緒に仕事をしており、殆どの彼の作品の撮影監督をつとめる。

主な作品には『ぼくの美しい人だから』(1990)、『モブスターズ/青春の群像』(1991)、『男が女を愛する時』(1994)、『アドルフの画集』(2002)など。サボー監督の『太陽の雫』(1999)ではヨーロッパ映画賞撮影賞を受賞、『海の上のピアニスト』(1999)でデヴィッド・ディ・ドナテロ賞、ヨーロッパ映画賞、『マレーナ』(2000)ではアカデミー賞にノミネートされるなど数々の賞にノミネート・受賞されている。



■スーザン・シプトン(編集)

カナダアカデミー賞にあたる、ジニー賞受賞者。アトム・エゴヤン監督の5作品の編集に関わってきたことで有名。『エキゾチカ』(1994)ではジニー賞編集賞にノミネート。『スウィート ヒアアフター』(1997)、『フェリシアの旅』(1999)、そして『アララトの聖母』(2002)では、カナダ・ジニー賞最優秀編集賞を受賞した。


■ルチアナ・アリギ(美術監督)

BBCで経験を積んだ後、映画、舞台、オペラなどの衣装や舞台で活躍。ジェイムス・アイボリーとの仕事でも知られる。主な受賞&ノミネート作は、アイボリー監督『ハワーズ・エンド』(1992)アカデミー賞美術監督賞と英国アカデミー賞美術賞ノミネート、『日の名残り』(1993)アカデミー賞ノミネート、『いつか晴れた日に』(1995)の英国アカデミー賞ノミネート、『アンナと王様』(1999)のアカデミー賞美術賞にノミネートなど。その他の作品は、ケン・ラッセル監督の『恋する女たち』(1969)、『レインボウ』(1989)。ジョン・シュレシンジャー監督の『日曜日は別れの時』(1971)、『マダム・スザーツカ』(1988)、『愛の果てに』(1993)。そして『サバイビング・ピカソ』(1996)、『オスカーとルシンダ』(1997)など。


■ジョン・ブルームフィールド(衣装)

映画、TV、舞台で活躍。映画は『コナン・ザ・グレート』(1982)、『キング・オブ・デストロイヤー/コナンPART2』(1984)、『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』(1999)、『ハムナプトラ2/黄金のピラミッド』(2001)、『スコーピオン・キング』(2002)など。また、ケヴィン・コスナーとの仕事も多数。英国アカデミー賞の衣装デザイン賞にノミネートされた『ロビン・フッド』(1991)、『モアイの謎』(1994)、『ウォーターワールド』(1995)、『ポストマン』(1997)、アネット・ベニング、マイケル・ガンボンも出演した『ワイルド・レンジ 最後の銃撃』(2003)など。また最近では『理想の女』(2004)での豪華な衣装が記憶に新しい。


■マイケル・ダナ(音楽)

1987年にアトム・エゴヤン監督の長編デビュー作『ファミリー・ビューイング』(1987/日本未公開)から映画音楽に携わっている。映画音楽の世界では、オーケストラを使った非西洋の音源と最小限の電子音楽を組み合わせる草分けの一人として有名。代表作には、アトム・エゴヤン監督『スウィート ヒアアフター』(1997)、『楽園をください』(1999)、『17歳のカルテ』(1999)、『偶然の恋人』(2000)、『モンスーン・ウェディング』(2001)、『アトランティスのこころ』(2001)、『アララトの聖母』(2002)、『ニュースの天才』(2003)など。本作後にも多数の作品の音楽を担当しており『カポーティ』(2005)、『秘密のかけら』(2005)、『ローズ・イン・タイランド』(2005)などがある。