『ラッシュアワー』記者会見レポート
1999年1月18日(月) パークハイアット東京・ボールルームにて
1月18日(月)、パークハイアット東京・ボールルームにて、全米興行成績2週連続
第1位を記録した『ラッシュアワー』(1月23日(土)、全国東急、松竹洋画系劇場に
て公開)の記者会見が行われた。会場には、主演のクリス・タッカー、ジャッキー・
チェンを迎え(当初、来日が予定されていたブレット・ラトナー監督は体調を崩し欠
席)、後半ではスペシャル・ゲストとして、ジャッキー・チェンの大ファンである巨
人軍の桑田真澄投手も激励に駆けつけて会場を盛り上げた。
駆けつけた桑田真澄・巨人軍投手と共に
司会者
「ミスター、クリス・タッカー&ジャッキー・チェン!」
2人登場、場内拍手。クリス・タッカーは、グレイのスーツ、ジャッキー・チェン
は黒のスーツと2人ともバッチリ決めている。
司会者
「ようこそいらっしゃいました。日本はもう何度も何度もおみえです。まず、ジャッ
キーさんからご挨拶願えますか」
ジャッキー
「みなさんこんばんは、え〜、こんにちは(日本語)。新しい友達のみなさん、古い
友達のみなさんこんにちは。もう、日本はかなり知っております。しょっちゅう来て
おりますから。今回嬉しいのはハリウッド映画で成功したということ。今回は、その
キャンペーンで来たわけですけど、今まで同様、皆さんの応援をお願いいたします。
今回は僕の新しい友達、クリス・タッカーと来日したわけですけど、多分、クリスは
日本は今回が初めてだと思います。で、クリスの方にワサビをたくさん紹介したいと
思います」
司会者
「それでは、クリス・タッカーさん、日本が初めてでいらっしゃいます。では、コメ
ントをお願いいたします」
クリス
「日本は初めてです。とっても素敵な所ですね」
会場、笑い。
司会者
「それでは、みなさまからのご質問をどうぞ」
質問者
「ジャッキー・チェンさんに質問なんですけど、ハリウッドで映画をお撮りになりま
して、今までの香港での映画製作とどこが違うか、これこそハリウッドだという感想
がありましたら、お聞きしたいんですけど」
ジャッキー
「僕が一番慣れなかったのは、みんなが僕を大スターだという扱いをしたことです。
アメリカだと、車だとか家だとか全部手配されていて、他のスターの方はそれでいい
のかもしれませんが、僕は慣れなかったです。今までの映画ですと、僕自身が監督で
なくても監督のようなことをしていました。アメリカだとそういうわけにもいきませ
ん。スタントをやる時にも安全設備というのがかなり厳しかった。香港の場合と違っ
て、「やろうぜ」とすぐに始めるわけにはいかなかったです。それがかなり大きな違
いです。まあ、そういうことがありましたけれど、結果的に映画は凄いヒットを飛ば
しました」
司会者
「次の質問の方」
質問者
「お2人に質問なんですけど、白人社会であるアメリカで、マイノリティーであるお
2人の映画が頂点を極めたということについて、お2人がどのように感じていらっしゃ
るかお伺いしたいんですけど」
クリス
「私はこの映画に出て、全く違う2人がぶつかって、衝突し合いながら、それでもう
まくやっていくというキャラクター設定は良かったと思います。映画がヒットしたと
いうのはやはりですね、肌の色とか人種とかそういうことは全く関係なく、イイ映画
を作れば人は観に来てくれるなという実感がありました」
ジャッキー
「嬉しいのは、アメリカのみならず、最近聞いた知らせではオーストラリアでもナン
バー1になっていますし、ヨーロッパの方でもロンドンの方でもナンバー1になってい
る。人種、肌の色に関係なく、イイ映画であればみなさんに気に入ってもらえると思
います」
司会者
「ありがとうございました。それでは次の質問をどうぞ」
質問者(水野晴郎氏)
「ジャッキーさん久しぶりですね。何度も何度もインタビューさせてもらってね。本
当にアメリカで世界成功おめでとうございます。あの、心の底からお喜び申し上げま
すけどね、この前アメリカで、アカデミー賞の時にプレゼンターをなさいましたね。
あの時のご感想はどうでしたか。それから、クリス・タッカーさん。あの〜、大変お
もしろかった。『フィフス・エレメント』でも大変おもしろかったけれど、今回特に
あのセリフ回しのおもしろさ。あのセリフ回しっていうのは、僕は初めて聞いたんだ
けれども、普通の方々が喋る喋りのアクセントと、ちょっと違うでしょう。独特のも
のがあるんでしょうか。それを教えていただきたいと思います」
クリス
「これは、自分の自然なものだと思うんですけど、ただ、独特なものを狙っている部
分もあるんですが、やはり、エネルギーをかなり上げていって、つまりジャッキーっ
ていうのは、カンフーとかアクションがありますからね。それに対抗するには私は口
でいかないといけませんからね。そういった意味でも、かなりハイテンションをキー
プしながら、どんどんどんどんエネルギーを出していくように努力しました」
質問者(水野氏)
「あの、しょっちゅうセリフをアドリブなさったそうですけど」
クリス
「かなりアドリブを毎回追加していきました。これはジャッキーにとってはやりにく
かったと思うんですね。ジャッキーは台本を隅々までキッチリと覚えていらっしゃる
んですけど、私がどんどん言葉を変えますんで、2人共、何を言ってるかわからない、
お互い何を言ってるかわからない、実はそういう所からおもしろい部分が生まれたと
思います」
ジャッキー
「もう、毎回、クリスの言うことが違ったんで凄く頭が痛かったです。アクションの
場合は、毎回やることが違ったりすると、鼻を折ったり、腕を折ったりするんで絶対
駄目なんです」
質問者(水野氏)
「ジャッキーさんね、今回はご自分でアクションされました?」
ジャッキー
「やりましたけれど凄く面倒でした。現場では保険会社の人間がずっと見てました。
スタントやるごとにミーティングがあって、ロケハンの時に火を飛んだりと準備をし
ていたんですけれど、実際に本番の時には飛んじゃ駄目だと。下の方に段ボールを敷
き詰めたりして、いろんなセキュリティーをしてからじゃないと。ハリウッドで映画
の撮影をするとなると俳優のことを凄く考えます。僕の場合、自分の映画を撮る時っ
ていうのは、スタントは大体一回きりです。カメラを5台ぐらい据えて1回きりでやっ
て、それでケガする時はする。アメリカの場合はセキュリティーがしっかりしてます
から、NGでも2回3回とやります。とにかく、セキュリティーの面にしっかりとお金を
かけてます。我々のやり方っていうのはお金の節約にはなるけれど、命賭けです」
質問者(水野氏)
「最初の質問は?」
司会者
「アカデミー賞の時の気持ち」
ジャッキー
「それは、凄く嬉しかったです。アメリカの映画業界の方も僕の事を知ってくれまし
たし、ワーナー・ブラザースや、20世紀フォックスの上の方も、僕の映画のビデオを
コレクションしててくれましたし。ただ、彼らの方も僕をどのようにアメリカに紹介
していったらいいのかわからなかっただけだと。それで今回はよい脚本、よい相手役
に恵まれたということです」
司会者
「ありがとうございました。それでは、次の方」
質問者
「今回の役は渋めで素敵だったんですけど、今回はクリス・タッカーさんに影響され
てか、ダンスを踊るシーンがあったんですね。どのように練習されたか、苦労された
点などありましたらお願いします」
ジャッキー
「このストーリーでは、もともと凄く楽天家の人間だったんですけど、娘が誘拐され
たということで、気分的に沈んだ役だったんですけど、大変だったのは英語を喋るの
が大変だったということ。あと、クリスとやってると、全然脚本通り喋ってくれない
ということ。最終的には、クリスはセリフの面でのコメディー、僕はアクションの面
でのコメディーと分けてやりました」
司会者
「ダンスの振り付け等はお得意ですよね」
ジャッキー
「英語の歌も教えてもらいましたし、ダンスも教えてもらいました。汚い言葉も色々
学びました」
場内笑い。
司会者
「それでは、続いての質問を」
質問者
「音楽に関してなんですけど、この映画、一杯音楽が出てくるんですけど、それから
映画の中で2人で歌を歌う場面もあって、サウンドトラックで、ジャッキーさんはレ
コーディングもしてるんですけど、そういったことで、音楽に関してどういった感想
をもたれていますか? それと、クリスさんは今回、サウンドトラックには参加され
ていませんが、そういうチャンスがなかったのか、歌いたかったのかどうか」
クリス
「実は私にはチャンスが回ってこなかったんですけど、ジャッキーは映画の中で歌を
歌ったらとってもいい声で。とっても歌がうまかったので、ぜひ、サウンドトラック
で歌ってほしいと。これは、かなり強制的に歌ってもらいました」
ジャッキー
「歌を歌うっていうのは副業みたいなものです。今までの映画のエンディングの歌は
ほとんど全部僕が歌っています。アジアのマーケットでは、いろんなサウンドトラッ
クで僕自身歌っています。将来的には、アメリカでも自分の歌が出せればなぁと思っ
ていますけれど。その時は僕が歌って、クリスが踊ると」
会場笑い。
クリス
「カラオケでデュエットでもいたします」
会場笑い。
司会者
「それでは、次の方」
質問者
「やや月並なんですけど、共演する前にお互いの存在の認識が実際にあったのかどう
か。それと、もしも認識があったとしたら、それぞれどんな印象を持ったかを伺いた
いんですけど。それから、今回、実際に共演されてみて、コイツのこんなところには
参ったなといったところがあったならぜひとも正直に教えていただきたいなと思うん
ですけど」
クリス
「もちろんジャッキーさんとは面識がなかったんですけど、ずっと大ファンでした。
本当に彼の映画は初期の頃から全部観ています。アクションというのはジャッキーさ
んが第1人者だと、私の年代のアメリカ人はみんなそう思っていると思います。私は
彼と共演するのが夢でした。私のバックグラウンドであるコメディーと彼のアクショ
ンをなんとか融合して、映画を作るのが前からの夢でした。第2の質問に関しては、
ジャッキーさんっていう人はあまりにも規律正しくて、時間に正確なんですね。だか
ら、私が遅れると私が格好悪く見えてしまうというのが欠点です」
ジャッキー
「『フィフス・エレメント』等は観たことがありました。彼とアメリカで会った時、
15分間休みなく喋られて、そのうち1言もわからなかったです。凄いエキサイティン
グに僕に喋りかけてくれたんだけれども、1言も聞き取れなかったです。どうしよう
かと思いました。1言もわからないヤツとやるなんてって。で、他の人から聞くと、
今アメリカで1番売れてるコメディー俳優だということで。それで撮影が終わって、
彼が今アメリカでウケてることがわかりました。彼の長所というのは、絶えずセリフ
を変えていくということでしょうし、また、僕が1番嫌いな点でもあります」
司会者
「どうもありがとうございました。それではもう1ついきましょう」
質問者
「NG集を観て、2人はとっても息が合ってると思うんですけれど、撮影中お互いに息
が合ってるなと思ったことがありましたらお聞かせください」
クリス
「私は彼の大ファンだったので、彼と共演できるってことがまず光栄だったんです。
それで、彼は世界で有名なアクション・スターにも関わらず、誠意があって、とても
低姿勢なんです。で、だから、私が彼の前でなんでも言って許されるし、そして、現
場に来る時にはかなりいいエネルギーを持ち込んでくれる。とっても楽しい人。そし
て14歳の少年のような人なんで、それで私とウマが合う」
司会者
「最後の場面ありますよね。階段のところ。あそこ息が合ってないと危ないですよね」
クリス
「私が一番好きだったシーンは、中華レストランでケンカするところです。あそこの
アクション、キックしたり、パンチしたりは全部ジャッキーさんが付けてくれたんで
す。そのために私は肉体的にちゃんと出来るように、撮影前からバイク乗ったり、バ
スケットボールをしたり泳いだりして、ジャッキーさんと向かえ合えるように日々励
みました」
ジャッキー
「アクションでのパンチだとかキックだとかの武術指導は、ほとんど毎日やってます。
僕自身がこの映画の中で1番好きなのは、僕が彼のお父さんのことを話題にして、彼
が僕のお父さんのことを話題にするシーン。男性の感情を表わしてるシーンというこ
とで僕はそこが好きです。この映画の監督は、僕の今までの映画を観てくれてて、NG
集を作ろうと言ってくれて、今までの僕の映画では必ずそれがあって、今回もそうい
う風にしてもらいました。今アメリカでは、多くの映画、アニメでもそういう風にNG
集で終わるものも出てきていると監督と話してたんですけど」
司会者
「そうですね、某アニメでも確か最後にNG集を。ジャッキーさんのアイディアを持っ
てきてるのかなって、ちょっと嬉しくなってしまいますね。ということで時間となり
ましたので、これで、質疑応答を終らせていただきます」
この後、スペシャルゲストとしてジャッキー・チェンの大ファンという巨人軍の桑
田真澄投手が応援に駆けつけた。ジャッキー・チェンとクリス・タッカーには、桑田
投手から、花束とオーダーメイドのユニホーム(両氏の名前と、桑田投手の背番号18
がプリントされたもの)が贈られた。
余談ではあるが、会見終了後、会場に集まったカメラマンと記者へ、ジャッキーか
らちょっとした贈り物が(先着200名ではあったが)。2月1日から、九州を除く全国
で発売予定のジャッキーズ・キッチンのシューマイ。実業家としての顔もチラリとの
ぞかせたジャッキーであった。
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