| 『BROTHER』製作発表記者会見 |
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●出席者(敬称略):北野武、森昌行・ジェレミー・トーマス、久石譲、山本耀司、オマー・エプス、真木蔵人、加藤雅也、大杉漣、寺島進、石橋凌 |
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■森昌行: 「まず、『BROTHER』というタイトルをご説明させていただきます。本来の意味での実の兄弟という意味もあります。それから、日本の仁侠世界で杯を交す兄弟、それから、アフリカ・アメリカンの方々の間で仲間を意味する“BROTHER”と、3つの意味があります。この『BROTHER』という企画は、このタイトルも含めて1994年の時点で、監督は、日頃から7本の企画が常にあると言っているんですが、この企画もその中にありました。そして私たちは、隣にいます英国のプロデューサー、ジェレミー・トーマスと共に、1997年のロンドンの国際映画祭の場で、9作目の北野監督作品として、この『BROTHER』という映画を日本と英国のコラボレーションという形で製作することになりました。 私どもは、'98年4月には、皆様もご存だと思いますが、『菊次郎の夏』という映画の製作準備にかかったんですが、それと平行して、この『BROTHER』のストーリーに取りかかりまして、それをもとにして、ジェレミー・トーマス氏と共同作業を開始しました。ちょうど、『菊次郎の夏』のクランクイン1ケ月前だったと思います。その後、お互いに東京国際映画祭、ロンドン国際映画祭といったタイミングで、東京とロンドンと場を変えながら製作の準備をしていったという次第です。そして、今年の'99年2月に、脚本の第1稿を完成させました。それに基づいてさらにミーティングを重ねて、5月、『菊次郎の夏』で参加しました第52回カンヌ国際映画祭において、このプロジェクトについて、世界に向けてアナウンスメントするに至りました。 その時、日本のマスコミでは「たけし、ハリウッド進出」と報じたところもありましたけれども、あらためて申し上げておきます。このプロジェクトは、ハリウッド映画を製作するということではなくて、アメリカ、ロサンゼルスを舞台にした100パーセント、オリジナルな北野監督作品を世に送り出すという趣旨のものです。そういう意味で、ハリウッドのお膝元であるロサンゼルスのユニオンと調整をはかりまして、現場のメイン・スタッフとして、私どもが世界一と自負いたします北野組をロサンゼルスに上陸させ、アメリカの現地スタッフと共同作業で映画作りを行うという、ご存じの方もいらっしゃると思いますが、この作業、日本のスタッフを上陸させるというのは、大変な困難を極めました。しかしながら今回、この画期的なチーム作りを実現させることができました。 このチームは、今年の8月から9月にかけてのロサンゼルスでのロケハン、それから200名以上に及ぶオーディション。それから、具体的な作業のミーティングを重ねました。そして、本日、ここにご紹介する、素晴しい共演者としてオマー・エプス氏をこの作品に登場していただくことに成功しました。オマー氏は、日本でも成功をおさめましたアメリカのTVシリーズ『ER』でご存じの方もいらっしゃると思いますが、その多彩な才能で類希なサクセスをされております。それから今回、日本の俳優として、今日は残念ながら仕事の都合で出席されておりませんけれども、渡哲也さんに出演していただきます。それから、『あの夏、いちばん静かな海』以来、久々にご登場となります真木蔵人さん。今やロサンゼルスを本拠地とされ、ハリウッド映画にも出演されております加藤雅也さん。同じくハリウッド映画にも積極的に参加されております、『キッズ・リターン』にも出演なさりました石橋凌さん。北野作品ではすかっり常連となりました大杉漣さん、寺島進さん。そして、この方です、本年度、スペインのバルドリッド国際映画祭におきまして、『菊次郎の夏』で主演男優賞に輝き、役者としても本格的な世界進出を狙っております主演のビートたけしさん。といった豪華な顔触れで2001年、21世紀の幕開けにふさわしい第9作目、北野監督作品として製作を開始いたします。 音楽を担当していただきますのは、今や北野作品には欠くことができない存在であり、多くの作品において名作を生み出しております久石譲さん。それから、メインキャストのコスチューム・デザイナーとして、すでに国際的デザイナーとしての地位を築かれております山本耀司さんにもご参加いただけることになりました。そして、これは付け加える形になりますが、今回のこの『BROTHER』の撮影のドキュメンタリーを、国際的に評価の高いイギリスのチャンネル4のスタッフが制作して、世界に紹介することが決定しております。すでにこの会場にも入っており撮影をしております。この国際的なプロジェクトの成功は、必ずや、21世紀の映画作りの可能性を広げるものと確信しております。ありがとうございました」 ■北野武: 「みなさんありがとうございました。あの、ジェレミーさんとは、昔からの知り合いなんですけれども、何年か前に外国行った時に、“お前、外国で映画撮らないか”っていう話があって、いずれ、そういう依頼がくるだろうという勝手な予感のもとに脚本を作って準備していたんですが、自分の頭の中では、引っかかったという感じがありまして、非常に嬉しかったです。アメリカのユニオンとかそういう関係の基に仕事をするんですが、役者のオーデションに対してもカルチャー・ショックで、オマーさんを決めるまでに何人会ったんだろうってくらい、笑ってしまうくらい会って、結局、一杯会うことによってベストの役者を選べて、やはり外国の作り方は凄いという。それに、感化されたわけではないけれど、日本の役者陣も自分なりにかなり厳選して選んだつもりで、これから撮影に入るわけですけれども、まあ、スタッフも行けるし、編集権は俺にあるし、こんな条件をよく、ジェレミーと森さんは通したなぁって、これは大事件だと思います。まあ、これからイイ映画を撮ってみようと思っております」 ■オマー・エプス: 「今回、このプロジェクトに参加することができて、非常に名誉に感じておりますし、非常に喜んでおります。またプロデューサーのジェレミーや北野監督の独特の作り方に、非常に感心しております。今回の出演において、映画を作るというだけでなく、歴史を作っていこうと思います」 ■真木蔵人: 「今回で、僕は北野組に参加するのは2回目なんですけれども、声をかけていただけるというのは光栄なことで、全身全霊で映画にぶつかっていきたいと共に、僕のジェネレーションでも出せるサムライ・スピリットをしっかり映画に焼き付けて、イイ日本の大先輩たちや技術スタッフたちと共に、日本の映画をガッチリ作ってきたいと思います。ありがとうございます」 ■加藤雅也: 「座って失礼いたします。僕もロスに移って5年になるんですけれども、ここ最近、香港、中国人のクルーが、ハリウッドの方へ入ってきました。彼らが、同じ中国人同士助け合って、映画を作っていく姿を見て、羨ましく思っていたんですけれども、今回、そういうチャンスにめぐり会えたということは、興奮するというか、嬉しい気持ちで一杯です。この作品に、むこうで勉強したことすべてをかけて、ハリウッドと日本の間に橋を架けたいと思っております」 ■大杉漣: 「大杉です。僕は、武さんの映画は、『ソナチネ』から2本出させていただいておりまして、その2本が、それぞれ僕にとっては大事な作品だし、財産になっていると思います。今回、この『BROTHER』に出していただき、また大事な1本の財産が増えると心から喜んでおります。僕の周りにもたくさん北野作品に出たい役者さんが一杯います。それから世界にも沢山いらっしゃると思います。その現場に立てることを、僕は心から光栄に思っております。よろしくお願いします」 ■寺島進: 「寺島です。こんにちは。あの、世の中には、不自由な思いをしている人たちが沢山いるんですけれども、自分なんかは、北野監督をはじめ、様々な人たちと出会って、好きな映画の仕事をやれるってことに、とても今、気が引き締まる思いです。それと同時に、北野組に参加したい役者は、日本、そして海外にもゴマンといるわけで、その中で、こうやってキャスティングされるということに関して、とても光栄ですし、感謝してますし、ありがたいことだなぁと思っております。ですから、頑張ります。以上」 ■石橋凌:「こんにちは石橋です。監督の作品は『キッズ・リターン』以来なんですけれども、あの時も非常に興奮しまして、イイ現場を体験したと思っておりました。そして、この今回のプロジェクト、僕ら日本人の映画人にとっても、非常に、いろんな夢が一杯詰まっているプロジェクトだと思っております。その中に入れて非常に嬉しく、幸せに思っております。ベストを尽くしたいと思っております。ありがとうございました」 ■久石譲: 「北野監督の映画は、何本かやらしてもらってるんですけれども、毎回初めてやるという新鮮な気持ちで望んでいるつもりですが、今回は、特に、国際的なプロジェクトに参加させていただいて監督に心から感謝しています。ベストを尽くします。よろしくお願いいたします」 ■山本耀司: 「こんにちは。長いこと北野映画のファンです。ですから、今回呼んでいただいて、今までは、武さんと呼んでいたんですけれども、今回は、監督と呼べるのが凄く嬉しいです。ありがとうございます」 【質疑応答】 ◆質問: 「北野監督にお伺いしたいのですが、今、制作発表を聞いておりましたならば、男の役者さんばかりなんですが、女優さんは、お1人もお出にならないんでしょうか?」 ■解答(北野武): 「よく、海外の取材でヤクザの話を聞かされるんですが、実際のリアルなヤクザのことはあまり知らないけれども、過去に語られたトラディショナルなヤクザのやり方というのを、じゃ、我々が作って見せる。でもこれは、現代のヤクザには、考え方としてはないんですけれど、そういうことを見せたいっていうのと、まあ、自分の映画は当たらないというのが定説なんで、これ以上、落ちないだろうというのもあるし、海外で撮るといってもスタッフは日本人ですし、まあ、スタッフが一番、向こうのスタッフとどうコミュニケーションをとるかというのが一番の問題でしょうね。プレッシャーはほとんどない。後は、役者さんたちが、真木も加藤さんも海外で生活している人だし、石橋さんもみんな英語はそれなりに出来るし、ストーリーからいっても完璧な英語ではないというストーリーですから、一番問題は、自分の演技だと思いますけれどね。あと、加藤さんに出てもらったのは、藤原紀香を紹介してもらうためで。こういうことを言っているとワイドショーになってしまうね」 ◆質問: 「配収はどのくらいを見込まれてますか?」 ■解答(北野武): 「それは、プロデューサーに聞いてもらわないと。俺は、配収を考えるととっくにディレクターはクビだと思いますんで」 ■解答(森昌行): 「いつも言っているのは、次の映画を撮れるような成功はしたいねということは言ってきました。ただ、今回のプロジェクトの場合、バジェットも過去最高のものでもありますし、今回のスケールを考えますと、謙虚に言っても、20億以上を目指さないとならないと思います」 ◆質問: 「監督にお聞きしたいのですが、今回、渡哲也さんの出演の経緯とですね、映画にどんな彩りを加えてほしいのかという期待の言葉をいただけますでしょうか」 ■解答(北野武): 「たまに、番組などで渡さんとお会いするんですが、今回、日本の部分で、親分というのが出てくるんですが、出てきた瞬間に、あっ親分だという人はいないかなぁと思って、渡さんを思いついて、渡さんを正式に頼むとお金もかかるんで、裏からそっと、遊びにきませんか?って、で、和服で遊びに来ませんか?って、それで、来たところを盗み撮りしちゃおうと。この会見を見られたらちょっとヤバイかなぁって。とにかく、頼み込んでワン・シーン出てもらおうということです。それは、これから、自分の映画に渡さんも関わってもらおうかなぁというきっかけの部分ですね。とりあえず、今回は、ワン・シーン出てもらいます」 ◆質問: 「北野監督にお聞きしたいのですが。オマーさんを選ばれた理由、魅力をお伺いしたいのですが」 ■解答(北野武): 「オマーさんの場合は、むこうの配役のプロデューサーが、まず、自分の持ってるベストな人を10人位厳選してもらって、それぞれ1人1人、個別にオーデションをしたんですが、映画の中のワン・シーンを演じてもらって、それを見せてもらって、ランク付けをしまして、1番から10番まで、その中の1番の人で、もしも、オマーさんが駄目だったら、2番3番という保険は打っていたんですが、嬉しいことに1番目の人がOKしてくれたということで、非常にツイていると思いました」 この後、フォト・セッションと、2000年のオフィス北野の海外戦略の発表(後述)が行われ、会見は終了した。 『BROTHER』オフィシャルサイト |