「第27回東京フィルメックス」特別招待作品

●2026年11月20日(金)〜11月29日(日)
●有楽町朝日ホール、丸の内ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町にて

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(c)映画「無用の人」製作委員会
◎オープニング作品
『無用の人』"In My Father’s Room"
2026年/日本/109分/監督:原田マハ( HARADA Maha )/配給:ビターズ・エンド
美術館の監視員として働く聡美(蒼井優)のもとに見覚えのない鍵が届く。送り主は父・唯一(イッセー尾形)。母(渡辺えり)と熟年離婚し、誰にも看取られずにひと月前に亡くなったばかりだった。鍵に導かれるように父の足跡をたどり始めた聡美は、骨董商のタク(永山瑛太)を通じて晩年の父の意外な側面と出会う。

作家の原田マハが、2014年に刊行された自身の短編小説集『あなたは、誰かの大切な人』に収録された1編を自らの監督・脚本で映画化した長編デビュー作。キュレーターの経歴を持つ原田の絵画や古美術への豊かな造詣や、人物を描く際の成熟した視点と深い洞察が遺憾なく発揮されていることに加え、光と影の巧みな対比や色彩設計の細部までこだわり抜かれた端正で静謐な画面設計も相まって、本作を見事な映画芸術へと昇華させている。サンセバスチャン国際映画祭のコンペティション部門で上映され、国際批評家連盟賞とアテネオ・ギプスコアノ賞をダブル受賞した。

●監督プロフィール:原田マハ( HARADA Maha ) 1962年生まれ。関西学院大学文学部日本文学科、早稲田大学第二文学部美術史科卒業。森ビル森美術館設立準備室などに勤務後、2002年フリーのキュレーター、カルチャーライターに。2006年『カフーを待ちわびて』で作家デビュー。2012年『楽園のカンヴァス』で山本周五郎賞、2017年『リーチ先生』で新田次郎文学賞、2024年『板上に咲く』で泉鏡花文学賞。主著に『キネマの神様』『本日は、お日柄もよく』『暗幕のゲルニカ』『常設展示室』など。自作短編を自ら脚色した本作で映画監督デビュー。


 


◎クロージング作品
『みんな他人じゃない』"We Are All Strangers"
2026年/シンガポール/157分/監督:アンソニー・チェン( Anthony CHEN )
現代のシンガポール。屋台食堂を営む父と兵役明けの21歳の息子が、相次いで意中の女性と結婚する。父のお相手は苦労人の移民、息子の妻はお嬢様育ちの高校生。狭い公営住宅で同居を始めた二世代のカップルは、本当の家族になれるのか ― 。アンソニー・チェン監督がデビューから13年間取り組んできた≪成長3部作≫の完結編。

シンシア・エリヴォ主演の英語長編『Drift』(2023)や中国で製作された『国境ナイトクルージング』(2023)等、近年は広く国際的に活躍してきたチェン監督が、地元シンガポールを舞台に家族ドラマのスタイルへと回帰した作品。『イロイロ ぬくもりの記憶』(2013)、『熱帯雨』(2019)に続く「成長三部作」の最終章でもある。三部作の過去2作でタッグを組んできた俳優陣が再集結しているのも見どころの一つで、格差や経済成長の歪みが個人の生活に落とす影を冷徹に見つめつつも、登場人物たちへの眼差しはあくまでも温かく、市井の人々の感情の機微が洗練された語り口で丁寧に紡がれている。シンガポール映画として初めてベルリン国際映画祭コンペティション部門に選出された。

●監督プロフィール:アンソニー・チェン 1984年生まれ。短編『AH MA』(2007)がカンヌ映画祭短編コンペティションでスペシャル・メンション。2013年の『イロイロ ぬくもりの記憶』はカンヌの新人監督賞や金馬奨4部門など40以上の賞に輝く。続く『熱帯雨』(2019)はトロント映画祭に選出。2023年には初の英語作品『Drift』、初めて中国で撮った『国境ナイトクルージング』を発表。最新作の本作はベルリン映画祭コンペティション部門で世界初上映、米アカデミー賞国際長編映画部門のシンガポール代表にも選ばれた。