(c)Sepideh Farsi Reves d’Eau Productions |
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『手に魂を込め、歩いてみれば』"Put Your Soul on your Hand and Walk" |
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2025年/フランス、イラン/113分/監督:セピデ・ファルシ( Sepideh FARSI ) /配給:ユナイテッドピープル
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イラン人映画監督セピデ・ファルシが、封鎖されたガザの惨状を伝えるため、現地のパレスチナ人フォトジャーナリスト、ファトマ・ハッスーナとの約1年間に渡るビデオ通話で紡いだドキュメンタリー。爆撃や飢餓に晒されながらも力強く生きる人々の姿を、彼女の目を通して記録する。
本作はパレスチナのガザ在住の若きフォトジャーナリスト、ファトマ・ハッスーナと映画監督であるセピデ・ファルシとの1年に渡るスマートフォンを介したビデオ通話の記録である。通信環境のため時には途切れ途切れになってしまう通話を通じて、ファトマは写真や詩を語り、爆撃によって瓦礫となった街、市井の人々の行動、夕暮れの空、スカーフの揺らぎ、共に暮らす家族、そしてすでに命を落としてしまった家族や親族への言葉を重ねていく。最悪の事態を見据えつつも、笑顔や日常性を決して見失わないその語り口は、観る者に忘れ難い印象を残すだろう。なお、本作はカンヌ映画祭の並行部門であるACIDにて世界初上映されたが、本作の同部門選出が発表された翌日の4月16日、ファトマは自宅がイスラエル軍の空爆を受け、家族数名と共に死去した。悲しく、そして皮肉なことに、彼女の死によって、この作品は彼女の生きた証と戦争の現実を伝える追悼作品としてより大きな意味を持つことになった。
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