死を想い波止場で淋しげにたたずむ青年サムエルに、老水夫エロイが声をかける。実は自分も人生に飽きている。最後に街に繰り出し存分に遊び、それから死ぬことにしようじゃないか......。ふたりはネオン煌めく夜のリ スボンに繰り出す。歌と踊り、酒と官能の宴。老水夫は、自分の娘エスペランサをサムエルに引き合わせる...... 。ポルトガルの4人の監督がテレビ局のために作った「四元素」のうち水を主題にした一篇。撮影期間は8日間と極めて短く、モンテイロは絵コンテも台本もなく、最小限の照明で、ひとつひとつのシーンを俳優たちとともに、即興で作り上げていったのだという。結果、リスボンの街の喧騒と俳優たちのドラマが完全に一体化した驚嘆すべきフィルムができた。絶望と引き替えに許された、底抜けに大らかな人生賛歌。
|