『ゲット・ア・チャンス』WHERE THE MONEY IS
mainpicture 1月20日よりスバル座ほかにてロードショー

2000年/アメリカ/1時間28分/ギャガ・ヒューマックス共同配給

◇監督:マレク・カニエフスカ ◇製作:リドリー・スコット ◇製作総指揮:トニー・スコット

◇キャスト:ポール・ニューマン、リンダ・フィオレンティーノ、ダーモット・マルロニー



| 解説 | ストーリー | キャスト&スタッフ |
| オフィシャルサイト | WERDE OFFICE | CINEMA WERDE |




【解説】

元・スゴ腕の銀行強盗ヘンリーと、元・ハイスクールのプロム・クイーン、キャロル。昔は栄光に包まれていたものの、今は落ちぶれてクサっている二人が出会ったとき、人生の新しい風が吹き渡る―。
「私の人生、これでいいの?」と思っている人たちに贈る、愉快で小粋な物語。演ずるは御歳75歳とは思えない茶目っ気とダンディズムと男の色気漂うポール・ニューマン。 人生まだまだ捨てたもんじゃない!!この映画を観ていると、そんな勇気がわいてくる。とびきりチャーミングで、愛おしくて、元気をくれる作品だ。
キャロルは老人ホームの看護婦。ハイスクール時代のプロム・キング、ウェインとの幸せな結婚も今は色あせ、平凡で退屈な毎日にうんざりしていた。そんなとき、痴呆性老人を装ってホームにやってきたのが百戦錬磨の銀行強盗ヘンリー。彼のペテンを見破ったキャロルは、その奔放で遊び心溢れる生き方に刺激され、忘れていた好奇心と冒険心を取り戻す。やがてウェインも巻き込んで、3人はアドレナリン大噴出の現金輸送車襲撃計画へと突き進んでいく。老人とアマチュア二人が挑戦する大冒険の顛末は…?

このままで人生終わるのはイヤ。何かをしたい。スリルが欲しい。そう思っていたキャロルの人生を変えたのは、人生の最終コーナーを回ったヘンリーだった。キャロルはもう一度夢に賭けようとするが、相手がヘンリーだったばかりにとんでもない夢となって実現する。それは冒険というにはいささかヤバい犯罪。けれど、こんなスリルは2度とない。これこそ人生の最高の一瞬。チャンスさえつかめば、75歳の老人だって、田舎町のしがない看護婦だって、新しい明日に向かって飛び込んでいけるのだ。

何よりこの作品を輝かせているのは、魅力的なキャラクターとひねりのきいたストーリー。知的だけれどときにシニカルでときにユーモラスなヘンリーを見ていると、『明日に向かって撃て!』でポール・ニューマンが演じたブッチ・キャシディを思い出す。とすれば、ヘンリーに銀行強盗を持ち掛ける無謀で一本気なキャロルはまさにサンダンス・キッドの役回り。二人の軽やかで洒落たやりとりは、バディ・ムービーの楽しさに溢れ、同時に、まだまだ魅力的な男ヘンリーと、埃を払えば十分にセクシーなキャロルのカラッとしたロマンスも漂わせる。





ポール・ニューマンは1925年生まれの75歳。『スペース・カウボーイ』のクリント・イーストウッドと『エントラップメント』のショーン・コネリーが70歳。『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』のイブラハム・フェレールは73歳。じい様パワー炸裂の昨今の映画界でも一歩上をいくお年ながら、艶やかな肌と茶目っ気たっぷりの笑顔と仕種は、若い女性が虜になるのも頷ける男っぷりだ。カーレーサーでもある彼は、今後レース・チームの監督業に専念するという噂も流れており、もしかするとこれが俳優としての見納めになるかもしれない。

これに対するキャロル役は『メン・イン・ブラック』『ドグマ』のリンダ・フィオレンティーノ。そのハンサムな夫ウェインには、『ベスト・フレンズ・ウェディング』でジュリア・ロバーツとキャメロン・ディアスから愛された男ダーモット・マルロニー。ヘンリーからエネルギーをもらって冒険へと踏み出す夫婦役で、ニューマンと拮抗する愉快な三角関係(!?)を形づくっている。

製作&製作総指揮に当たったのは、『グラディエーター』でその傑出した演出力を再認識させたリドリー・スコットと、『トップガン』から『エネミー・オブ・アメリカ』までヒット作が続くトニー・スコットの兄弟。二人で設立したスコット・フリー・プロダクションで製作され、これにジョン・ヒューストンの『火山のもとで』などで知られるモーリス・ポーマンが製作総指揮で加わった。監督に抜擢されたのは、イギリス美青年満載の『アナザー・カントリー』やジェネレーションXムービー『レス・ザン・ゼロ』で知られるマレク・カニエフスカ。ポール・ニューマンを演出することに感激した彼は、『ハスラー』を想起させるビリヤードのシーンも挿入して、“ハリウッド最後の大スター”への敬愛を表している。

また、撮影はハーベイ・カイテル主演の『バッドデイズ』で知られるトム・バースティン、音楽は『リバー・ランズ・スルー・イット』『モダーンズ』のマーク・アイシャム、編集は『ベスト・フレンズ・ウェディング』のガース・クレイヴンと、スタッフも一流どころが集結した。




 


【ストーリー】

キャロル(リンダ・フィオレンティーノ)は老人ホームで看護婦として働いている。夫のウェイン(ダーモット・マルロニー)は工場の夜勤勤務。二人は高校時代 にプロムのキングとクイーンに選ばれたゴールデン・カップルだった。けれどあのハッピーな日々は10数年も昔の思い出。今や、二人の生活は退屈で変わり映えのしない倦怠期を迎えていた。
そんなある日、老人ホームに一人の男が護送されてくる。身動きすらできない車椅子のボケ老人ヘンリー(ポール・ニューマン)。彼はかつてスゴ腕の銀行強盗としてならしたが、2年前、停電のために金庫が閉まって逮捕されたのだった。 ヘンリーは半植物状態だが、顔色もいいし、75歳とは思えぬイイ男。ホームの老女たちもキャロルも、彼の存在がちょっと気にかかる。それに、キャロルが隣の部屋でウェインとコトに及ぶのを覗いていたようなふしもある。一人の老女がのどにキャンディーを詰まらせたとき、スタンドを倒して“知らせた”のも偶然とは思えない。もしや、ヘンリーのボケは演技では?キャロルは自分の推測を確かめるために、ウェインとともにヘンリーをピクニックに連れ出すと、湖に車椅子ごと放り込んだ。あわてて助けに飛び込むウェイン。けれど案の定、ヘンリーは水から上がってくると、鋭い眼光でキャロルをにらみつけた。2年も騙し通してきたのに、一体 何が望みなんだ!





キャロルはただヘンリーのペテンを暴きたかっただけ。彼が心配するように脅迫する気などない。3人は近くのバーへ出かけた。本当のヘンリーは知性に溢れ、快活で、笑顔がとてもチャーミング。煙草の火を指でもみ消し、キャロルと踊るヘンリーを見て、ウェインは嫉妬の気持ちを抑えることができなかった。しかし、二人が目を離したスキに、ヘンリーは車を奪って逃走する。一緒に踊っているところを目撃されているから、警察に通報するわけにはいかない。ウェインに責められても キャロルには言い返す言葉もない。
しかし翌日、ヘンリーは何ごともなかったように老人ホームに戻っていた。老人たちの所持品をネコババしている看護人に気づきながら、半植物人間のフリをし続けた。ただしキャロルと二人だけのときを除いては。ヘンリーと会話をするうち、キャロルの中で何かが変わっていった。かつてのプロム・クイーンの人生は下り坂の一途。今の自分は死人も同然だ。自信を取り戻したい。何かをしないと!ヘンリーの刺激的な人生に触発されたキャロルは、彼をドライブに連れ出すと銀行強盗を持ちかける。

最初は取り合わなかったヘンリーだが、キャロルが銀行に入って景品のトースターを脅し取ってくるのを見てその気になる。やがて強盗指南を始めるヘンリー。キャロルは「夫婦のアマチュアは最悪だ」というヘンリーをなだめてウェインを仲間に引き入れ、現金強奪計画が出来上がる。現金輸送車を襲ってヘンリーとウェイン が警備員になりすまし、そのまま店から集金しようとの魂胆だった。
いよいよ決行の日。まず第一段階の輸送車襲撃に成功。キャロルが集金担当者の変更を各店に連絡し、ウェインが運転して、ヘンリーが金庫の金を集める。いつもと違う顔を不審がられたり、危うく輸送車内にいるキャロルがみつかりそうになりながらも、臨機応変の対応で次々と金を集めていくヘンリー。計画はまんまと成功し、3人のもとには200万ドルの現金が集まった。警察は彼らが空港に乗り捨てた車を手がかりに別の容疑者を追い、3人は元の生活に戻った。何もかもがうまくいったかのように見えた。しかし、ヘンリーが警察病院に戻される日がやってくる。
ヘンリーを救い出さなくては!と、焦るキャロル。ヘンリーに手を出せば犯行がバレてしまう!と、怒るウェイン。はたしてヘンリーの運命は?



 


【キャスト&スタッフ】

■ポール・ニューマン(ヘンリー)

1925年1月26日、オハイオ州クリーブランド生まれ。イェール大学で演劇を専攻し、アクターズ・スタジオで演技を学んだ後、舞台を経て『銀の盃』(1955)で映画デビュー。翌1956年の『傷だらけの栄光』でボクシング・チャンピオン、ロッキー・グラジアーノを演じて強烈な存在感を印象づけた。輝かしいキャリアの中でも『熱いトタン屋根の猫』(1958)、『ハスラー』(1961)、『ハッド』(1963)、『暴力脱獄』(1967)、『スクープ・悪意の不在』(1981)、『評決』(1982)でアカデミー賞にノミネート。7回目の正直で『ハスラー2』(1986)でようやくオスカーを手にした。1985年にはアカデミー特別賞を授与され、『ノーバディーズ・フール』(1994)でも主演男優賞にノミネートされている。ほかに『動く標的』(1966)、『引き裂かれたカーテン』(1966)『明日に向って撃て!』(1969)、『ロイ・ビーン』(1972)、『スティング』(1973)、『タワーリング・インフェルノ』(1974)、『ビッグ・アメリカン』(1976)、『スラップ・ショット』(1977)、『評決』(1982)など。老境に入ってからも、ロン・シェルトン監督の『ブレイズ』(1989)で若いストリッパーと燃える恋に落ちるルイジアナ州知事をチャーミングに演じ、ジェームズ・アイボリー監督との異色の組み合わせで夫人ジョアン・ウッドワードと共演した『ミスター&ミセス・ブリッジ』(1990)、彼を想定してロバート・ベントン監督が脚本を書いた『ノーバディーズ・フール』(1994)、コーエン兄弟の『未来は今』(1994)、再びロバート・ベントンの『トワイライト』(1998・V)、ケビン・コスナー主演の『メッセージ・イン・ア・ボトル』(1999)など、役の大小に関わらず充実した仕事ぶりだ。
また、1968年にはジョアン・ウッドワード主演の『レーチェル・レーチェル』で監督デビュー。これでニューヨーク映画批評家協会賞を受賞したほか、『わが緑の大地』(1971)、『ガラスの動物園』(1987)など、手堅い演出で監督としても評価されている。



■リンダ・フィオレンティーノ(キャロル)

1960年5月9日、ペンシルベニア州フィラデルフィア生まれ。ローズモント・カレッジ卒業後、ニューヨークに出てサークル・イン・ザ・スクエア・パフォーミング・ワークショップに参加。1985年にハロルド・ベッカー監督の『ビジョン・クエス ト/青春の賭け』のヒロインでスクリーン・デビューした。続いてスパイ映画『ガッチャ』(1985)でアンソニー・エドワーズの相手役を演じ、マーティン・スコセッシ監督の『アフター・アワーズ』(1985)では一転してソーホーの個性派彫刻家の役。アラン・ルドルフ監督が20年代のパリにオマージュを捧げた『モダーンズ』(1988)ではキース・キャラダインの死んだ恋人を演じた。『ネオン・エンパイア』(1989)、『クイーンズ・ロジック 女の言い分・男の言い訳』(1991・V)、『過ぎゆく夏』(1991)、『アンフォゲタブル』(1996)などを経て『メン・イン・ブラック』(1997)に出演。近作『ドグマ』(1999)ではマット・デイモン、ベン・アフレックと共演した。


■ダーモット・マルロニー(ウェイン)

1963年10月31日、バージニア州アレクサンドリア生まれ。ノースウエスタン大学で映画、演劇、音楽を専攻。その後、俳優を目指してロサンゼルスに出、3ヶ月後には『シン・オブ・イノセンス』(1986・未公開)に出演していた。『ヤングガン』(1988)に続いて出演した『ロングタイム・コンパニオン』(1990)の演技が批評家の注目を集め、以降、『恋の時給は4ドル44セント』(1991)、『ハートブレイク・タウン』(1992) 、『ニキータ』のアメリカ版リメイク作品『アサシン』(1993)、『ラスト・アウトロー』(1993)、『バッド・ガールズ』(1994)、『リビング・イン・オブリビオン』(1994)、 『キルトに綴る愛』(1995)、『コピーキャット』(1995)、『カンザス・シティ』(1996)と立て続けに出演。『ベスト・フレンズ・ウェディング』(1997)ではジュリア・ロバーツのベスト・フレンドにしてキャメロン・ディアスのフィアンセというおいしい役をゲットした。また『グッバイ・ラバー』(1998)ではパトリシア・アークェットと共演している。


■マレク・カニエフスカ(監督)

イギリスとアメリカの映画、テレビで活躍している。映画のデビュー作は、実際にイギリスで起こったスパイ事件をもとにジュリアン・ミッチェルが書いた舞台劇を映画化した『アナザー・カントリー』(1983)。1930年代のパブリック・スクール を舞台に美青年たちのホモセクシュアルな関係を耽美的に描いてルパート・エヴェレット、コリン・ファース、ケアリー・エルウェスらをスターにした。この作品は カンヌ映画祭で芸術貢献賞を受賞したほか、フィレンツェ映画祭でも受賞を果たしている。その後1987年には、ブレット・イーストン・エリスが“Xゼネレーション”の心情を綴ったベスト・セラー小説をもとに『レス・ザン・ゼロ』を発表。パーティとコカインとセックスに明け暮れる上流階級の若者たちをファッショナブルな映像でほろ苦く描き出した。ここでもアンドリュー・マッカーシー、ロバート・ダウニー・ジュニアら若手スターをアンニュイに輝かせ、俳優を魅力的に映す監督としての力量を見せた。
現在はイギリスの人気シリーズ『マック・アンド・ブラス』をはじめとしてテレビのドラマやドキュメンタリーを手がけている。リドリー&トニー・スコットが主宰する制作会社RSAを拠点にコマーシャルにも精力的に取り組んでおり、イギリスの広告賞ゴールデン・ライオン賞を何度も受賞している。



■製作:リドリー・スコット

1939年イギリス生まれ。ウエスト・ハートルプール大学でグラフィック・デザインや絵画を学んだ後、王立芸術大学に進み、舞台美術を専攻。卒業後、BBCでCM制作に携わったのを契機にCF制作会社を設立し、数々の賞を受賞した。映画のデビュー作は『デュエリスト/決闘者』(1977)。これでいきなりカンヌ映画祭の新人監督賞を受賞し、以降『エイリアン』(1979)、『ブレードランナー』(1982)、『レジェンド/光と闇の伝説』(1985)、『誰かに見られてる』(1987)、『ブラック・レイン』(1989)とヒット作、名作を送り出してその地位を確立した。1987年には映画製作会社パーシー・マイン・プロダクションを設立し、『テルマ&ルイーズ』(1991)と『1492コロンブス』(1992)を監督・製作。1995年には弟トニーとともにスコット・フリー・プロダクションを立ち上げて、自作『白い嵐』(1996)『G.I.ジェーン』(1997)のほか、ヴィンス・ヴォーン主演の『ムーンライト・ドライブ』(1998)の製作なども手がけていた。


■製作:トニー・スコット

1944年イギリス生まれ。サンダー・アート・スクール芸術科を卒業後、リーズ・ カレッジ・オブ・アート大学院に1年間在籍。兄リドリーのCF製作会社RSAで働き、この業界の賞を総なめにした。1983年にデヴィッド・ボウイ主演のスタイリッシュな 吸血鬼映画『ハンガー』で監督に進出。1986年には『トップガン』を全世界で大ヒットさせた。その後も『ビバリーヒルズ・コップ2』(1987)、『デイズ・オブ・サンダー』(1989)、『リベンジ』(1990)、『ラスト・ボーイスカウト』(1991)、『トゥルー・ロマンス』(1993)、『クリムゾン・タイド』(1995)、『ザ・ファン』(1996)と、エンターテインメント性豊かなヒット作を連発している。近作はジェリー・ブラッカイマーと組んだ『エネミー・オブ・アメリカ』(1998)。スコット・フリー・プロダクションが 手がけた『ムーンライト・ドライブ』(1998)やテレビ作品『ザ・ディレクター<市民ケーン>の真実』(1999)では兄とともに製作や製作総指揮に当たっている。