『記憶のはばたき』/"TILL HUMAN VOICES WAKE US"
mainpicture 2002年9月14日より日比谷スカラ座2にてロードショー

2001/オーストラリア/1時間41分/シネマスコープ/ドルビーSRD/提供:ギャガ・コミュニケーションズ(アジア・オセアニア映画グループ)/協力:株式会社ナド・エンタテイメント/宣伝:LIBERO/配給:ギャガ・コミュニケーションズ

◇監督・脚本:マイケル・ペトローニ ◇製作:シャーナ・レヴァイン、ディーン・マーフィ、ナイジェル・オデル、デビッド・レッドマン ◇プロデューサー:トーマス・オーグスバーガー、マサイアス・エムッケ ◇エグゼクティブ・プロデューサー:ボー・フリン、ヨーラム・ペルマン、ステファン・ジムコビッツ ◇共同プロデューサー:アンドリュー・ディーン、ギャレス・ウィレー ◇撮影監督:ロジャー・ランサー、ACS ◇編集:ビル・マーフィ ◇プロダクション・デザイナー:ラルフ・モーザー ◇衣装デザイン:ジャンニ・キャメロン ◇サウンド・デザイン:マイケル・スレイター、スコット・フィンドレイ ◇録音:ジョン・ウィルキンソン 作曲:デイル・コーネリアス ◇キャスティング:モーラ・フェイ&アソシエイツ、スチュアート・ファイクニー

◇キャスト:ガイ・ピアース、ヘレナ・ボナム・カーター、フランク・ギャラチャー、リンドレイ・ジョイナー、ブルック・ハーマン、ピーター・カーティン、マーゴット・ナイト、アンソニー・マーティン、ドーン・クリングバーグ、デビッド・レイベンスウッド、スチュアート・ファイクニー、ダイアナ・グリーンツリー



| 解説 | プロダクション・ノート | ストーリー |
| キャスト&スタッフ | WERDE OFFICE | CINEMA WERDE |




【解説】

幼い頃の眩しい思い出、そして突然の悲劇……。きらめく緑と蒼い闇を背景に描かれる鎮魂と再生、そして過去からの解放。神秘的なストーリーを美しい映像と一節の詩のような繊細な言葉で綴る、奇跡の物語。

幼なじみの少女に起こった事故のせいで、自分を責め、彼女との記憶そのものも心の奥底に閉じ込めてしまった精神分析医、サム・フランクス。幸せの絶頂を襲った悲劇は、当時15歳だった少年にとって人生の終焉そのものだった。

20年ぶりに故郷に戻った彼の前に現われた謎の女性ルビーは、行方不明になった幼なじみシルヴィを思わせるような言動を繰り返す。ルビーはいったい何者なのだろうか……? サムの内部から湧き上がる、彼自身を目覚めさせる声。それは、封印されていたサムの"記憶"の断片を探り出し、解き放とうとしていた。

オーストラリアの美しい風景、言葉の花束のような「T.S.エリオットの詩集」、互いの心を探り合う「言葉あそび」、そして神秘的な「ペットのお墓」……。心理学に詳しいマイケル・ペトローニ監督は、人間の心を"象徴"する事柄を、さりげなくストーリーに絡ませ、作品に生命を宿らせる。ペトローニは、すでに脚本家として高い評価を受けているが、本作では初監督作品とは思えない、見事な演出手腕を見せている。

主人公サムを演じるのは、オーストラリア出身のガイ・ピアース。1997年、『L.A.コンフィデンシャル』で、ケビン・スペイシー、ラッセル・クロウと三人のタフな刑事の一人を演じて注目された。『メメント』(00)では、10分間しか記憶が続かないという特異なキャラクターをクールに演じ、マスコミに大絶賛される。ルビー役には、『ハムレット』(90)、『ハワーズ・エンド』(92)他、『鳩の翼』(97)ではアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたヘレナ・ボナム・カーター。この作品の神秘的なムードに一役買っている。15歳のサムとシルヴィを演じるのは、オーストラリアの新星、リンドレイ・ジョイナーとブルック・ハーマン。ジョイナーは、聡明で、しかしどこか寂しげな表情が買われ、サム役に抜擢。また、ハーマンの思春期の少女特有の無邪気な色気は印象的。二人が演じた作品の重要なパートである前半部分は、二人の胸の鼓動が聞こえてきそうなほど淡く切ないシーンに仕上がっており、後半のミステリアスな雰囲気との対比をより効果的にしている。



 


【プロダクション・ノート】

■ハリウッドが注目した脚本『記憶のはばたき』

マイケル・ペトローニのオリジナル脚本『記憶のはばたき』が注目されたのは1996年のこと。当時LAにある映画学校AFI(アメリカン・フィルム・インスティテュート)の学生だったペトローニが書き上げたこの脚本が、AFI年間脚本賞と、WGA(全米脚本家協会)/シナリオ・マガジン賞の最優秀新人脚本賞を受賞したのだ。評判は瞬く間にハリウッド中に知れ渡り、有名プロデューサーや大スターたちが、映画化を申し出た。なかにはウィノナ・ライダーの名もあったという。しかし、ペトローニはあくまでも故郷オーストラリアで仕事をすることにこだわり、ビッグプロジェクトの申し出を断りつづけた。『記憶のはばたき』のプロデューサーのひとりで、学生時代からペトローニを知るアンドリュー・ディーンは「無名の新人脚本家が、大スターからのオファーを断るなんて信じられなかった」と驚きを隠せない。

が、もちろん才能を高く評価されたペトローニの元には、ジョディ・フォスター主演の『イノセント・ボーイズ』、『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』の続編『クイーン・オブ・ザ・ヴァンパイア』の共同脚本、ラッセル・クロウの初監督作品など、次々と脚本依頼が舞い込み、今後の活躍がますます期待されている。



■心理学、文学、ファンタジー……『記憶のはばたき』が描きだす不思議な世界

『記憶のはばたき』には、ドラマを構成する要素として自然界や日常生活の中にある事柄が、ある種の象徴として描かれている。心の奥底を写し出す"言葉"、エリオットの詩集、動物や昆虫、墓や小舟……。心理学を学び、宗教や文学にも詳しいペトローニ監督は、精神世界の象徴をさりげなく作品に投影させ、シンプルなストーリーに魂を吹き込み、より奥行きのあるものにしている。


■T.S.エリオット(トマス・スターンズ・エリオット)

シルヴィが愛読していた「T.S.エリオットの詩集」は、ルビーの謎を解く鍵として重要な役割を果たしている。

アメリカの詩人、批評家、劇作家で、ミュージカル「キャッツ」の原作者としても知られるエリオットは、1888年ミズーリ州セントルイスの実業家の家庭に生まれた。ハーバード大学で英文学の学位を取得したのち渡欧。パリ生活を経て、1914年にイギリスオックスフォード大学で、哲学を研究。詩作、評論活動を通して、特に現代詩に大きな影響を与え、1947年にはノーベル文学賞を受賞している。

私生活では、オックスフォードで知り合ったヴィヴィアンと結婚。『記憶のはばたき』でシルヴィが暗唱している詩、「アルフレッド・プルーフロックの恋歌」が発表されたのは、エリオットがヴィヴィアンと結婚したのと同じ1915年6月のことであった。だが、劇中のサムとシルヴィに悲しい別れが訪れるように、エリオットとヴィヴィアンの結婚が決して幸せなものではなかったことは、よく知られた事実である。

神経症に苦しんでいた妻ヴィヴィアンとの謎に包まれた結婚生活は、映画『愛しすぎて 詩人の妻』(94/ブライアン・ギルバート監督)でも描かれ、エリオット役を個性派俳優のウォレム・デフォーが演じ、話題になった。



■『記憶のはばたき』を読み解くキーワード

【言葉あそび】

少年時代のサムとシルヴィ、そして精神分析医となったサムが記憶を失ったルビーとやり取りをする《言葉あそび》。

「歩く」「飛ぶ」「綿毛」「羽根」「鳥打帽」……、「ほこり」「ゴミ」「死」「祈る」「幸福」……と、ひとつの言葉から連想する言葉をつないでいく。なにげなく口をついで出てきた言葉には、選んだ過程のその人の無意識が投影されるという。フロイトの自由連想法、つまりある単語を投げかけ、連想したもの、声のトーン、要した時間などに注目する方法の遊びバージョンともいえる。物語の中では、サムとシルヴィ、サムとルビーが、遊び感覚で行い、互いの心の中を覗き、距離を縮めていく効果を担っている。



【ペットのお墓】

シルヴィが見つけたペットのお墓。墓石の下に眠る鳥……。鳥は自由の象徴、墓は愛する人の思い出を埋葬する場所。シルヴィを失った時、サムは彼女の肉体の一部であり、彼女の自由を奪っていた義装具をペットのお墓に埋葬する。それは、シルヴィとの思い出=記憶を葬るための儀式であり、同時に彼女の魂を自由にするという意味も持っていた。



【感情と記憶】

シルヴィの父モーリスが、少年から大人になろうとするサムに言う。「感情を隠すと、魂の成長の妨げになる」と。シルヴィの事件の後、サムはこらえきれず、父親の胸に飛び込んだ。だが、普段から彼に冷たかった父親は、そんなサムを抱きしめるどころか拒絶する。泣くという感情表現を奪われた彼の心は行き場を失い、シルヴィとの記憶まで自我によって押さえ込んでしまうのだった。魂の成長を止めて…。 サムが、シルヴィが消えた川でひとり漂う姿は、象徴的なシーン。絶望と孤独を背負った彼を優しく包むのは、冷たい川の水。その姿は、母親の胎内で眠る赤ん坊のようである。



【スクラブルゲーム】

小さな文字タイルを使って、ルビーがなにげなく綴った"ruby me"(ルビー、私)の言葉が、彼女の謎を解く鍵になる。

このゲームは、《言葉あそび》と同じく自由連想法のひとつで、バラバラな文字の中からあるパターンを見出す過程に、心の奥底に潜んでいる無意識の領域が引き出されるというものである。



【催眠療法】

強烈なショックを受けると、自我が記憶を押さえ込んでしまうことがある。治療の種類はいろいろあり、サムがルビーに行っていた催眠治療もそのひとつ。記憶を押さえ込んでいた自我が、催眠によって弱まった状態で、潜在意識にアクセスし、無意識の領域を引き出していく方法。



 


【ストーリー】


15歳のサム・フランクスは、夏休みを利用して寄宿学校からヴィクトリア州の静かな川辺の町ジェノアへ帰郷し、幼なじみのシルヴィと久々の再会を果たす。幼い頃から兄弟のように一緒に育ってきた二人の間には、お互いこれまでとは違った感情が芽生え始めていた。さりげなく交わす言葉に、笑顔に、胸の高鳴りと、切ない想いが入り混じる。夏の日差しを受けてキラキラと輝く川辺の桟橋に腰かけ、たわいのないお喋りをしたり、シルヴィの愛読している詩集を読みながら、そっと相手の表情を見つめる……。

「いいものを見せてあげる」シルヴィがサムを案内したのは、彼女が見つけたペットのお墓だった。墓石代わりの石を持ち上げると、埋葬されて間もないの鳥の亡骸が横たえられている。愛するペットへの想いが秘められたその墓を、シルヴィは「ロマンチック」だと言う。  二人は毎日一緒に過ごした。サムは、脚の不自由なシルヴィを自転車の後ろに乗せ、久しぶりの故郷の町を散策した。《言葉あそび》は、そんな二人のお気に入りの遊びのひとつ。「飛ぶ」「綿毛」「羽」…「赤」「血」…「静止」「水」「びん」…互いの胸の内をつづっているかのように連想する言葉を交互につなぐうち、不思議と二人の距離が縮まっていくように感じられるのだった。

ある月明かりの夜、サムとシルヴィは、ダンスパーティーの会場を抜け出し人気のない町を自転車で駈けぬけた。いつもの川の桟橋を訪れると、真っ暗な水面に映る月がゆらゆらと揺れている。「月が踊っているわ」シルヴィがそっとささやく。サムは静かに水の中に入り、彼女を誘った。「一緒に踊ろう」

不自由な脚のせいで躊躇する彼女だったが、サムに支えられておずおずと水面に身体を浮かせ、ゆっくりと手を伸ばし、サムの胸に抱かれる。ひんやりとした水の感触と、静寂のなかにこだまする水音だけが、二人を包み込み、サムは優しくシルヴィにキスをした。

水面に身体を浮かせて、満天の星空を見上げていると、ふとシルヴィの言葉が途切れた。「シルヴィ?」つないでいたはずの手の感触が消えている。「シルヴィ!」サムは必死で水に潜りシルヴィを探したが、冷たい水中に彼女の姿を見つけることはできなかった。

町中の人々の懸命の捜索にも関わらず、シルヴィは発見されなかった。彼女の父親は、娘を失ったことに深いショックを受け、ひとり小舟を作り始めた。彼にとって小舟作りは、遺体の発見されないシルヴィを旅立たせる為の手段だった。サムは、シルヴィが脚につけていた義装具を彼女に見せられたペットのお墓に埋める。そして彼女との思い出も墓石の下に閉じ込めるのだった。

20年後。精神分析医となったサムはメルボルン大学で記憶心理学を教えている。彼はシルヴィの事件によって、感情−記憶そのもの−を押さえ込み、完全に自己を制御して生きていた。かつて希望に輝いていたその表情は消え去り、いつしか暗い影を落とすようになっていた。

父親が亡くなり、あの事件以来遠ざかっていた故郷へ戻ることになったサムは、途中の列車の中で、ルビーと名乗る謎めいた女性と出会う。

サムの父の家も、故郷の町も静寂に包まれ、古ぼけてぼんやりとしたムードが漂っていた。

ある激しい嵐の夜、サムは増水した川に落ちた女性を助け出した。それは、列車の中で出会ったルビーだった。サムは、瀕死の状態だった彼女を自宅に連れかえり看病したが、果たして意識を取り戻した彼女は、記憶を失っていた。

彼らは、サムがかつてシルヴィとそうしたように、《言葉あそび》をしながらルビーの記憶を取り戻そうとした。二人が交わす言葉は、シルヴィの死に結びつき、シルヴィがかつて《言葉あそび》の時に答えた、"グリーンスリーヴス"という単語に行き当たる。「なぜ…?」。

サムの胸に、シルヴィとの思い出が甦る。まさかとは思いながら、ルビーとシルヴィを重ね合わせずにはいられないサム。と、ルビーは突然、ある詩の一節を暗唱しだす。彼女自身も、なぜそれを覚えているのか分からない。それは、シルヴィが大好きだったT.S.エリオットの詩だったのだ……。

サムはルビーに催眠療法を行った。彼女の口からは、まるでシルヴィが語っているかのような、暗示めいた記憶の断片が飛びだす。「彼が呼んでるわ」「消えていく」「愛していたのに……」催眠から覚めたルビーとサムは引き寄せられるように抱き合う。捕らわれていた苦しみから逃れ、癒し合うように……。

翌朝目覚めるとルビーの姿はなかった。彼女がつづったスクラブルタイルには、"ruby me"……ルビー、私……と並んでいたが、サムは、本能的につづりを直す。"bury me"……私を葬って……。

そしてサムは、ルビーを探して川の桟橋へ向かう……。





 


【キャスト&スタッフ】

■サム/ガイ・ピアース

初恋の少女シルヴィを目の前で失ったショックと罪悪感から、過去の記憶を封印し、心を閉ざして生きる精神科医サムを演じる。1967年10月5日、イギリス・ケンブリッジ生まれ。3歳のときに、英軍パイロットだった父親の赴任先だったオーストラリアに移住。11歳で、地元の劇団に入団し、『不思議な国のアリス』や『オズの魔法使い』に出演、この頃からジム通いで身体を鍛えはじめ、16歳の時にはボディビルコンテストのジュニア部門、"Mr.Junior Victoria"でチャンピオンに輝いた。高校卒業後、TVシリーズ"ネイバーズ"に出演しティーンアイドルに。が、なんといっても強烈なインパクトを与えたのは、1994年カンヌ映画祭で話題になった『プリシラ』でのゲイ役。その後、ハリウッド進出一作目となった『L.A.コンフィデンシャル』(97)では、正義を追求するクールでタフな刑事役を、スタイリッシュな映像で注目された『メメント』(00)では、"記憶が10分しか続かない男"役を、金髪&全身イレズミ姿で演じ、出演する作品ごとに全く異なる印象を与える俳優と評される。他の映画出演作に、『ラビナス』(99)『英雄の条件』(00)など。主演映画最新作『タイムマシン』は、2002年夏、公開。


■ルビー/ヘレナ・ボナム・カーター

サムの前に突然現れた記憶を失った美女、ルビー役を演じる。

1966年5月26日イギリス・ロンドン生まれ。曾祖父は英元首相アスキス卿、父親は銀行の頭取、母親は精神科医という名門家庭で育つ。学生時代から演劇に夢中になり、サウス・ハムステッド校で演技を学ぶ。82年TV"A Pattern of Roses"でデビュー。1986年『眺めのいい部屋』で、二人の男性の間で戸惑う貴族の子女役を好演し注目された。

『ハムレット』(90)『天使も許さぬ恋ゆえに』(91)『ハワーズ・エンド』(92)『フランケンシュタイン』(94)など比較的クラシカルな作品が多かったが、ウッディ・アレン監督の『誘惑のアフロディーテ』(95)では、アレンの妻役をコミカルに演じて新たな一面を見せた。1997年、『鳩の翼』のヒロインを熱演し、ロサンゼルス映画批評家協会賞主演女優賞をはじめ各賞を独占。アカデミー賞にもノミネートされた。その他、『ファイト・クラブ』(99)『猿の惑星』(01)など、アート系の名作からハリウッド超大作にいたるまで、さまざまなジャンルの作品で活躍する女優。

今回のルビー役には、アメリカ人女優にはない雰囲気と、ミステリアスな容姿を買われて起用された。



■モーリス・ルイス/フランク・ギャラチャー

シルヴィの父モーリスを演じる。実の父親との関係がうまくいっていないサムにとっても、親代わりのような存在。

1943年4月7日、スコットランド・グラスゴー生まれ。70年代からテレビシリーズを中心に、脇を固める個性派俳優として活躍。代表作は『エイミー』(98)『ダークシティー』(98)など。 



■サム(少年時代)/リンドレイ・ジョイナー

主人公サムの少年時代を演じる。幼なじみのシルヴィに淡い思いを抱き、彼女を優しくいたわるイノセントな少年を好演。傷つきやすそうでいて、強い意思を感じさせる表情に、大物誕生との評判も。

1984年7月11日生まれ。TVシリーズ"All Saints"のダニエル役で注目され、短編映画"Mixed Reactions"や"Breathe"に出演。"Breathe"では、2001年カレイドスコープ賞最優秀男優賞を受賞。



■シルヴィ/ブルック・ハーマン

サムの幼なじみで、エリオットの詩を愛する物静かな少女シルヴィを演じる。思春期の少女特有の無垢な純粋さのなかに、ときおりドキリとするような色香を漂わせ、後々サムの心に大きな傷跡を残すという重要な役柄を演じる。

1985年8月18日生まれ。ヤングアクトレスとしてのキャリアは意外に長く、"The Wayne Manifesto""Roar""Misery Guts""Home&Away Beastmaster""All Saints"などのTVドラマで活躍。『記憶のはばたき』が映画デビュー作となる。



■監督&脚本/マイケル・ペトローニ

オーストラリア生まれ。ロサンゼルスのアメリカン・フィルム・インスティテュート(通称AFI)在学中の1996年、自身の心理学を学んだ経験を元に脚本『記憶のはばたき』を書き上げ、AFI年間脚本賞とWGA(全米脚本家協会)/シナリオ・マガジン賞の最優秀新人脚本賞を受賞した。この脚本の質の高さが買われて、映画化が決定。ペトローニにとって長編映画監督デビュー作となった。

卒業後の1998年、サンドラ・ブロックがプロデュースした、短編映画"TRESSPASSES"を監督。

『記憶のはばたき』の脚本賞受賞で、才能が高く評価されるようになり、『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』の続編『クイーン・オブ・ザ・ヴァンパイア』や、ジョディ・フォスター主演作品『イノセント・ボーイズ』にも共同脚本として参加。また、ラッセル・クロウの初監督作品となるドリームワークス製作の"A Course in Miracles"、ダニー・デビート監督、ジョージ・クルーニー主演のヴァチカン内部の陰謀をめぐるオリジナルストーリー"REVELATION"の脚本を完成させ、ジュリア・ロバーツ主演予定のサスペンス作品を執筆するなど、ハリウッドのビッグスター&プロダクションが注目する、期待の若手フィルムメーカー。



■製作/デビッド・レッドマン

もともとメルボルンの会計事務所出身のレッドマンは、1988年、イギリス大手エンタテインメント企業傘下の映画配給会社で財務顧問となる。『ベルリン・天使の詩』(87)『建築家の腹』(87)などの配給に携わった後、1994年ヴェネチア映画祭で金獅子賞を受賞し、翌年アカデミー賞候補にもなった『ビフォア・ザ・レイン』、エディンバラ映画祭で批評家賞を受賞した"Young Poisoner's Handbook"(95)『スウィート・エンジェル・マイン』(96)にアソシエイトプロデューサーとして参加。その後、故郷オーストラリアに戻り本格的に製作を手がける。主な作品は、本作のほか"Muggers"(00)"Take away"(02)などがある。


■撮影監督/ロジャー・ランサー

8カ国にも及ぶ国々で20年以上撮影監督として活躍。ケネス・ブラナー監督作品の常連で、『ピーターズ・フレンズ』(92) "Swan Song"(92)『から騒ぎ』(93)『世にも憂鬱なハリウッドたち』(95)などを手掛ける。製作のデビッド・レッドマンとは"Muggers"(00)に続くコラボレーション。近作には、コメディアンのベン・エルトンの監督デビュー作、"Maybe Baby"(00)等がある。