「最初にこの脚本を読んだ時、ブルース夫人は何の理由もなく子供を怒鳴っているだけの母親になってしまわないかと心配した。しかし、それだけではないことが分かった。本当に子供を愛している母親だった。息子が人生のすべてで教会より大事な存在であった。息子が彼女の人生で大切な部分を占めていた。KISSは彼女が絶対に勝てない存在として登場しており、そこが笑いを誘い、コメディの要素が生まれた。「母親が持つせつない感情と彼女のもつ狂信的なおかしさを組み合わせようとしたの」とシェイは説明する。
シェイはブルース夫人には母親であれば誰でも経験する瞬間が感じられるという。子供と別れる時、つまり子供が自分から離れ自分の人生を送ろうとする時である。「哀しい瞬間ではあるが、それが家族というものであり、人生というものである。しかし、この母親は子供が自分の人生を送ろうとしているのにその心構えができていなかった。多くの母親がそうした経験をしていると思う。ブルース夫人はそれを滑稽なまでに表現している。彼女はKISSに反対する母親という意味のMATMOK(MOTHER AGAINST THE MUSIC OF KISS)という表現を作り、息子の友達を全員よくないと決めつけ、KISSの4枚のコンサート・チケットを地獄への片道切符と考えている」。
衣装デやザインを担当したロザンナ・ノートンは『愉快なブレディ一家、我が家がイチバン』や『A Very Brady Sequel』などの作品の衣装デザインで定評があり、70年代の衣装に関しては第一人者である。そのノートンが今回の衣装を担当した。「70年代は大きな変化が見られた時代である。ヒッピーの時代のなごりが感じられ、皆が大げさなヘアースタイルで汚れた服装をまとい、厚底シューズをはいていた。そこにKISSのファンが登場する。ロック野郎はみんな、エドワード・ファーロングのようにTシャツにジーンズ、スニーカーをはき、アーミージャケットをはおっている」と、ノートンは語る。