『モナリザ・スマイル』/"MONA LISA SMILE"


2004年8月7日よりみゆき座ほか全国にて公開

2003年度作品/120分/レボリューション・スタジオ提供/UIP配給/ビスタビジョン/DTS,SRD,SDDS;SR/翻訳:戸田奈津子

◇監督:マイク・ニューウェル ◇製作:エレイン・ゴールドスミス=トーマス、デボラ・シンドラー、ポール・シフ ◇製作総指揮:ジョー・ロス ◇脚本:ローレンス・コナー&マーク・ローゼンタール ◇撮影:アナスタス・ミコス ◇プロダクション・デザイナー:ジェーン・マスキー ◇編集:ミック・オーズリー ◇美術:パトリシア・ウッドブリッジ ◇衣裳デザイン:マイケル・デニソン ◇音楽:レイチェル・ポートマン ◇音楽監修:ランドール・ポスター

◇キャスト:ジュリア・ロバーツ、キルスティン・ダンスト、ジュリア・スタイルズ、マギー・ギレンホール、ジニファー・グッドウィン、ドミニク・ウェスト、ジュリエット・スティーヴンソン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ジョン・スラッテリー



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【解説】

◆全女性待望の愛と感動のドラマ

2000年、スティーヴン・ソダーバーグ監督の『エリン・ブロコビッチ』で、見事アカデミー賞最優秀女優賞に輝いたジュリア・ロバーツ。『プリティ・ウーマン』『ノッティング・ヒルの恋人』などいわずと知れたラブ・ストーリーの女王の待望の主演作が、この『モナリザ・スマイル』だ。スター女優、ジュリアの輝くようなオーラと素晴らしい演技は公開前からハリウッド中の話題を呼び、全米公開当時は初登場で、『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』に次ぐ第2位を獲得。キルスティン・ダンストや、ジュリア・スタイルズ、マギー・ギレンホールをはじめ、この作品のためにハリウッド中から集結した若手女優たちの素晴らしいアンサンブル演技は、自分の生き方を模索している世界中の女性たちから圧倒的な支持を集めた。

『モナリザ・スマイル』は、女性なら誰もが共感を覚え、見終わった後は心から拍手を贈りたくなる愛と感動の人間ドラマなのだ。

時は1953年、戦争の狭間でアメリカがしばしの平穏をかこっていた時代。ニュー・イングランドにある名門女子大学、ウェルズリー大学のキャンパスに、自由な精神を備えた若い女性教師がやってきた。その名は、キャサリン・ワトソン。美術史の助教授としてカリフォルニアからやってきた彼女の夢は、全米でもっとも優秀な女子学生たちに、自立する力と進歩的な教育を与えること。だが到着してまもなく、名門校の予想以上に保守的な側面を知ることになる。威厳に満ちたマナーの教師、ナンシーによれば、女子学生にとって栄誉なのはキャリア・ウーマンとしての肩書きではなく、エリート男子学生から贈られる婚約指輪というのだ。アカデミックな教育を受け、素晴らしい知性を備えていても、"女性の理想は良き妻になること"という現実。厳しい伝統にこだわる人々に愕然とし、またキャサリンは自らも恋愛の悩みに揺れながらも、そのポリシーを変えようとはしない。美しく知的で、授業では常に"ものごとを自分で考えること"の大切さを教え続けるキャサリン。そんな彼女の姿に、はじめは反発を覚えていた女子学生たちも、徐々に心を開き始めるが……。



◆"モナリザ"は幸せだったのか?

実在の名門大学、ウェルズリー大学を舞台にした本作は、人気脚本家コンビのローレンス・コナーとマーク・ローゼンタール『PLANET OF THE APES/猿の惑星』が、数年前、この大学の卒業生であるヒラリー・クリントンの手記を読んだことから生まれた。「ヒラリーが学生時代をすごした60年代、ウェルズリーの生徒達は、女性にも選択肢があることを当然に思っていました。でも、その1世代前の状況は、まるで違っていたのです。午前中はフランス文学と物理学の勉強をし、午後には、夫の上司へのお茶の出し方を学んでいたのですから」と、コナーは語る。

良き妻になるという現実と、自立への憧れ。二つの夢の狭間で悩む女子学生と、彼女たちの前に現れた自由な精神を備えた女性教師の物語は、二人の脚本家にとって、最高の素材だった。彼らによれば、題名の『モナリザ・スマイル』は、キャサリンが美術史を教えていること、ダ・ヴィンチの傑作が持つミステリアスな魅力からとられた。劇中にも、女生徒の一人が、"モナリザ"が浮かべる微笑について「彼女は本当に幸せだったの?」と問いかける場面がある。「その問いかけこそ、この映画の中心のテーマです」と、コナーは言う。「この作品は女性の表面上に見えるものと、心の中にある真実を描いているのです」と。





◆現代最高の女性オールスター・キャスト

カリスマ性があり、聡明だがデリケートな一面も持つキャサリン役には、関係者一同、ジュリア・ロバーツ以外考えられない、という意見で一致した。女優になる前は教師になりたいと思っていたジュリアにとっても、キャサリンは挑戦したい役だった。「50年代には、キャサリンの考えは時代に先行しすぎていたと思います。でも彼女は教師として、最高の精神力をもって生徒たちを指導したのです。彼女たちの個性を許容し、生徒達それぞれの力を発揮させる手助けをしたのですから」とジュリアは語る。

また、キャサリンを慕う生徒を演じる若手女優たちの生き生きした演技は、この作品の最大の発見のひとつだ。優等生役のベティを演じたのは、『スパイダーマン』でブレイクしたキルスティン・ダンスト。この役を演じたときは、彼女はベティと同じ20歳だった。「いやな人を演じるのは面白い経験でした。ベティは堅苦しくて、狭量な人です。特にキャサリンに対してそうですが、彼女は人に対し意地が悪くて、それは、彼女が不幸なためです。彼女は愛されたくて必死になっているのです」。イェール大学に願書を出すジョーン役を演じたのは『セイブ・ザ・ラストダンス』の新星ジュリア・スタイルズ。奔放なジゼル役には、2002年の『セクレタリー』で絶賛されたマギー・ギレンホールが抜擢され、強い存在感を披露している。

さらに、『ポロック 2人だけのアトリエ』でアカデミー賞助演女優賞を獲得したマーシャ・ゲイ・ハーデン、TVで幅広く活躍しているジニファー・グッドウィンらをはじめとする錚々たる女性キャストが揃った。

撮影前、ジュリアをはじめとする女優陣とスタッフは、1950年代初期のエチケットや朗読、ダンス・スタイルを数週間かけて一緒に学ぶことになった。そのレッスンを通して、女優達の間に強い仲間意識が生まれたのだ。ジュリアを含めた女優たちの、互いを信頼しあうムードがこの作品に素晴らしい影響を与えているのは言うまでもない。

監督は、イギリスの実力派マイク・ニューウェル。精緻な人間ドラマ『フェイク』から、ロマンティックでユーモア溢れる『フォー・ウェディング』まで、手際のよさと幅広い範囲にわたるテーマで多才ぶりを披露し、本作の後は『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』の監督にも決定した。

撮影監督は『マン・オン・ザ・ムーン』のアナスタス・ミコス、プロダクション・デザイナーは『メイド・イン・マンハッタン』のジェーン・マスキー、さらに50年代のムードを醸し出すレイチェル・ポートマンの音楽も注目である。

マイケル・デニソンの手によるジュリアや生徒たちが着こなす700着にもおよぶクラシックな50年代ファッションは見どころのひとつ。今回、撮影を許可された名門ウェルズリー大学の趣のある伝統的なキャンパス風景も、この作品に美しい彩りを与え、感動を盛り上げている。



 


【プロダクションノート】

◆製作について

本作は、これまで『PLANET OF THE APES/猿の惑星』などの作品で大ヒットを飛ばしてきた人気脚本家コンビ、ローレンス・コナーとマーク・ローゼンタールが、ヒラリー・ロダム・クリントンの自伝"リビング・ヒストリー"を読んだことから始まった。ヒラリーは自著の中で母校である名門女子大への思いを語り、当時ウェルズリー大はまさに変換期を迎えている最中だったことを回想している。入学当時は、"夫のよき妻になることこそ理想の女性"という大学の教えが、卒業時には"女性も自立し、社会で活躍することこそ素晴らしい"に変わっていたのだ。その事実に興味を持った脚本家たちは、さらに第二次大戦後のウェルズリー女子大についてリサーチを行った。その結果、進歩的な大学さえ、当時全米を巻き込んだ保守的な波からは逃れられなかったことが分かった。戦争で、男たちが国を守るために家を留守にしている間、女性たちは仕事を放棄して家へ戻り、子供を育てることを求められた。せっかくの知性を持ちながら、その可能性を開花できないでいた当時の女生徒と、"時代の先端をいく女性"キャサリン・ワトソンの物語はこうしてスタートした。関係者たちはキャサリン役を、大スターのジュリア・ロバーツにオファー。ロバーツが快諾した後プロデューサーは、監督に『フォー・ウェディング』で大ヒットをとばし、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』で監督をすることも決まっている実力派マイク・ニューウェルを選んだ。ニューウェルは脚本を読んで、ただちにこの作品が描こうとしている時代設定のおもしろさに夢中になったという。「これはまさに時代の変化を描いた作品です。映画の中でキャサリンと生徒たちは、女性が人生でするべきこととしてはいけないことについて何度も議論しますが、その前の時代はそんな議論ですら許されなかった。でも、そんな彼女たちの話し合いが、やがて社会の変化へとつながっていく。私はその変化がスタートした瞬間を見るために、この映画を作りたいと思ったのです」。


◆最高のアンサンブルを魅せたジュリアと若手女優達

この映画の最大の魅力は、ジュリア・ロバーツと現在のハリウッドでこれ以上は考えられない才能ある若手女優たちが披露する最高のアンサンブル演技にある。現代的で自立した女性教師キャサリン・ワトソンを演じるのは、『プリティ・ウーマン』でアメリカのトップ女優になって以来、世界中のファンを魅了し続け、『エリン・ブロコビッチ』では見事アカデミー主演女優賞を受賞したジュリア・ロバーツ。今回、知的な美しさに輝くキャサリン役で、久しぶりにスター女優のオーラを存分に発揮している。母親が決めた結婚のために学校をやめるベティ役のキルスティン・ダンストは、『チアーズ!』や『スパイダーマン』の大ヒットにより、現在ハリウッドで大人気の若手女優のひとり。ベティのルームメイトで卒業生総代のジョーンを演じるジュリア・スタイルズは、『セイブ・ザ・ラストダンス』で頭角を現した注目株だ。奔放なジゼル・レヴィを生き生きと演じたのは、実生活では俳優のジェイク・ギレンホールの姉としても知られるマギー・ギレンホール。『セクレタリー』でも披露した演劇で鍛えた存在感溢れる演技を、ジゼル役でも披露している。知的で美しいジュリアと、生き生きとしたフレッシュな存在感ではジュリアにもひけをとらない若手女優たち。そう、本作は現在のハリウッドのトップスター、ジュリア・ロバーツの魅力を堪能しながら、近い将来ハリウッドを担うであろう次世代女優を一挙に見ることができるという楽しみもあるのだ。


◆人生への不安やコンプレックスそして"愛"
女性なら誰もが共感できるストーリー


彼女たちが演じる教師や生徒たちは、皆、女性なら誰もが直面するであろう人生の岐路に立たされている。観客はそんな彼女たちの誰かに、自分を重ね合わせずにはいられない。厳しい母親のいうとおりに生きてきたものの、結婚は破綻。それまで信じてきた生き方が、本当に正しかったのかと苦悩する優等生のベティ。女性の社会進出に憧れ、努力してその夢のパスポートを手に入れたものの、愛する男性が目の前に現れて心が揺れてしまう知性派ジョーン。男性との自由な恋愛を楽しみ、奔放な女性像を演じながらも、実は知的で、自分の生き方にとまどいを感じているセクシーなジゼル。優秀な他の女生徒へのコンプレックスから、いつも優等生ベティのいいなりになってしまい、本当の自分の気持ちをなかなか表現することができない内気なコニー。そして、教師のキャサリンもまた人生の岐路に立たされた女性だ。長年憧れを抱き続けてきた職場が、理想とはまったく違う場所であったことに気がついたとき、キャサリンはうちのめされる。目の前の現実を受け入れるべきか、それともあくまで自分の理想を貫くのか。キャサリンは恋愛面でも、思いもかけない男性との愛の選択をせまられることになる。今回登場するキャサリンや女生徒たちが数々の試練を踏み越えて、勇気ある一歩を踏み出していく瞬間は、さわやかな涙と大きな感動を呼ぶ。なお今回、出演者たちは撮影のリハーサルのために、1950年代初期のエチケット、朗読、ダンス、スタイルを数週間かけて学ぶことになった。これらのレッスンを受けたことは、女優たちの絆を深めることにもなったという。なかでもロバーツは、映画の撮影課程を通して、キャストやクルーの仲間意識を高めることに専念した。才能ある女優たちの感動を呼ぶ見事なアンサンブル演技は、そんな出演者たちの努力によって生まれたのだ。


◆物語のもう一つの主役
ヒラリーも通った名門ウェルズリー大学


アメリカ初の女性大統領候補として、大いに期待されるヒラリー・クリントン。そのヒラリーが卒業したウェルズリー大学は、本作のもうひとつの主役と言えるだろう。"セブン・シスターズ"と呼ばれるアメリカの女子大の中でも、もっとも厳格で名声のある大学の一つであり、卒業生はヒラリー・ロダム・クリントンをはじめ、マデレーン・オルブライト(外交官)、アリ・マックグロー(『ある愛の詩』)、マダム・チャン(蒋介石夫人)らがいる。今回の撮影で、大学サイドは『モナリザ・スマイル』のキャストやクルーを大歓迎した。「彼らは脚本を気に入ってくれたんです」と、あるスタッフは語る。「また、彼らは、この映画が特定の時代や場所を描いていることを認め、『モナリザ・スマイル』のウェルズリーが現代のウェルズリーではないこともきちんと理解してくれたのです」。キャンパス自体は1950年代から変わっていないとはいえ、学生自体はだいぶ変化したという。「ウェルズリーは50年代には、白人ばかりでしたからね」というのは脚本家のローゼンタール。映画制作者たちは、ウェルズリーのアーカイブに自由なアクセスを許され、美しいマサチューセッツのキャンパスでの撮影を許可された。そこは、ニューヨークのセントラル・パークの設計を手がけた景観建築家のフレデリック・ロー・オムステッドのデザインによるものだった。「このキャンパスを歩いていると、まるで完璧な大学の広告を見ているような気になるんです」と、語るのはジュリア・ロバーツだ。「本当にすばらしい環境だわ!」。本作は初秋に、ウェルズリーで本撮影を開始したが、キャンパス・ライフを混乱させないために、6日間に限定された。なお、今回のキャストの名かで、ウェルズリーの伝統に詳しかったのは、ベティの親友、スーザン・デラコートを演じたローラ・アレンだった。彼女は最近、ウェルズリー大を卒業したばかりなのだ。


◆クラシックな美しさが魅力
優雅な50年代スクール・ファッション


この映画のみどころのひとつに、教師役のジュリア・ロバーツや女生徒役の若手女優たちが劇中で着こなす伝統的でレディライクな50年代スクール・ファッションがある。「この映画の衣装は、この作品のストーリーやシンボルともいえる重要な役割を果たしています。今回登場する女優たちが身につけた体型を整えるためのファンデーションやコルセットは、まさに1950年代の女性の理想のボディを作るためのものですから」と、プロデューサーのエレイン・ゴールドスミス=トーマスは語る。今回の作品のために衣裳デザイナーのマイケル・デニソンは当時の衣裳について、徹底的なリサーチを行った。デニソンは主要なキャストが着る350着ほどの衣裳に加えて、7,000人を超えるエキストラの衣裳も担当しなければならなかった。「40年代、50年代の映画は、下着のデザインまで徹底してやる必要があるんです。当時使われた本物のファンデーションをつけなければ、女優達も映画の中でレディらしくは見えないのですから」。当時若い女性は腰のくびれたスタイルに見せるために、洋服の下にガードルやウエスト・ベルトを締めていた。撮影前デニソンは主役の女優たちにこう語ったという。「撮影が始まったら、君たちは僕を憎むことになるだろう。すごく窮屈な思いをさせてしまうからね。でも、この衣裳のおかげで、自分がいつの時代に生きる女性なのかを思い出すことができるんだ」。今回、デニソンが手がけた素晴らしいデザインの一つに、ベティ役のキルスティン・ダンストが着る花嫁衣装がある。これは、ジャクリーン・ケネディやグレース・ケリーの結婚式のドレスを参考に作られたものだ。また、さまざまな季節の中で女子学生たちが着る伝統的な白のブレザーとそれぞれのクラスのベレー帽の清楚な美しさ、それらは、当時の女性たちのクラシックな美しさをよりいっそう輝かせている。


◆マンディ・ムーアやメイシー・グレイ。
現代の歌姫が蘇らせた50年代の音楽


この映画の時代のムードを盛り上げているのは、なんといっても劇中に流れる50年代のポップ・ミュージックだ。サントラ・プロデューサーのトレヴァー・ホーンは、『モナリザ・スマイル』の音楽が、この映画のテーマと見事に調和していると語る。映画の舞台となった50年代初期の音楽は、30年代、40年代のポップ音楽の伝統を保ちつつ、ポピュラー音楽がロックンロールに席巻される直前の"現代"の萌芽があった。それはまさに本作に登場する女子学生たち──恋愛や職業で、自由を手に入れたいけれど、まだまだ保守的な時代に束縛されている──の気持ちにぴったりと重なるのだ。「たとえば、"魅せられて"という曲がそうです。この曲は男性との恋に肉体的に反応したに混乱する女性の歌です。彼女はそれまでセックスのことを考えたこともなかったけれど、今では彼を受け入れることが出来ると語っているのです」と、ホーンは語る。同じことが、"アイム・ビギニング・シー・ザ・ライト"にもあてはまる。この曲も性の目覚めを歌ったものだとホーンは言う。今回、この映画の製作者たちは、これらの名曲を当時のレコードを使用するのではなく、現代の人気アーティストに歌ってもらうことに決めた。彼らが選んだアーティストは、メイシー・グレイ、マンディ・ムーア、セリーヌ・ディオンをはじめ、そうそうたるスター・ミュージシャンばかり。「今の時代の歌手を使うことで、オリジナルを使ったことでは生まれないような活気をもたらすことができました」と、ホーンは誇らしげに語る。「また、これらの名曲を歌うことは、アーティストである彼らにとてもチャレンジングでしたよ。彼らは、普通の曲を歌うより、ずっと楽しみながら歌ってくれましたね」。


 


【ストーリー】

1953年の秋。カリフォルニアに住む若く美しい女性教師、キャサリン・ワトソン(ジュリア・ロバーツ)は、新しいキャンパスへと向かう列車の中で、夢の実現に胸を高鳴らせていた。今度の学校はニューイングランドにある名門ウェルズリー大学。イギリスのオックスフォード大学に負けないほどの名門である。その一方で、"米国一保守的"という評判の持つ女性だけの大学に、キャサリンは自分なりの変化をもたらしたいと考えていた。その夢のために、たとえ恋人のポール(ジョン・スラッテリー)と離れて暮らすことになっても……。

ウェルズリー大学に美術史の助教授として就任したキャサリンは、到着してまもなくこの名門校の予想以上に厳しい伝統にとらわれた環境を知る。先輩の教師で女生徒にスピーチと正しい言葉遣いを教えている威厳に満ちた教師ナンシー・アビー(マーシャ・ゲイ・ハーデン)によれば、この大学の学生にとってもっとも価値があるのは、充実した教育ではなく、エリートのボーイフレンドからプレゼントされる婚約指輪だというのだ。

一方キャサリンは、初日の授業から生徒たちの手強さを思い知らされることになる。学生のリーダー的な存在でプライドの高い優等生ベティ(キルスティン・ダンスト)を中心に、女生徒たちは授業内容を完璧に予習して、新米教師に教える隙を与えない。キャサリンの呆然とした表情を見ながら、生徒の一人は勝ち誇ったように言った。「先生のお話がこれ以上ないようでしたら、自習をしたいのですが」。反抗的な生徒たちの態度に傷つくキャサリン。そんな彼女に校医をしている同僚のアマンダ・アームストロング(ジュリエット・スティーヴンソン)は「教師は学生達に足元を見透かされたら最後よ」と、アドバイスをくれる。そんなアマンダ自身も、30年つきあった女性の同僚教師を亡くし、深く傷ついている女性だった。

キャサリンの敵は、生徒たちばかりではなかった。保守的な教師たちや卒業生、そして学生の親たちもそうだ。周囲の冷ややかな反発を感じながらも、彼女は毅然として学生たちに"自分の頭で考えることの大切さ"を教える。古典的な絵画ではなく、ポロックをはじめとする現代美術作品をとりあげ、とまどう学生たちに"芸術とは何? 誰が芸術の良し悪しを決めるの?"と、問いかけるキャサリン。

そんなキャサリンの生き方を認める生徒たちも現れる。ジョーン・ブランドウィン(ジュリア・スタイルズ)は、ベティと並ぶ優秀な生徒だが、イェール大学へ進み法律家になりたいという夢を持つ一方で、恋人からのプロポーズを待つ身でもある。そんなジョーンにとってキャサリンは今まで出会ったことのない"師"だった。そして、奔放な恋愛を繰り返し、挑発的だが聡明なジゼル・レヴィ(マギー・ギレンホール)は、進歩的なキャサリンの考え方に自分の理想の女性像を見ていた。また、内気なコニー・ベイカー(ジニファー・グッドウィン)にとっても、キャサリンは不安な自分に勇気をくれる憧れの女性であった。

生徒たちに新しい時代の女性の生き方を指導する一方で、キャサリン自身も人生の岐路にたたされる。よき同僚だった校医のアマンダが、生徒たちに避妊用のピルを渡していたことが発覚し、学内のスキャンダルとなり、ウェルズリーを追われた。激しく落ち込む彼女の前に、恋人のポールが結婚指輪を持ってカリフォルニアからやってくるが、自分中心の彼の態度に傷つき、ポールとの別れを決意する。

教育への一途な熱意とは裏腹に、キャサリンの内面の葛藤は激しさを増していった。彼女の講義がウェルズリーの伝統にそぐわないと、学長以下から厳しく叱責を受けたのだ。傷ついたキャサリンは、プレイボーイと評判だが、いつも自分を見守ってくれたイタリア語講師、ビル・ダンバー(ドミニク・ウェスト)との間に育ち始めている"愛"に気付かされるのだった…。

生徒たちにもまた、選択の時が迫っていた。上流階級出身で厳格な母のすすめで学生結婚したベティは、ハーバード大生の夫の愛が自分にないことに気付く。プライドや世間体と本当の幸福感の間で彼女は揺れる。ジョーンは、願書を出したイェール大学に見事合格するが、一方で心から愛する恋人との結婚話が煮詰まってくる。妻子ある男性とのうたかたの恋を楽しむジゼルも、人生の進路を決めなくてはならない時期が近づいてきた。そして、自分への自信を失くしているコニーは、勇気を振り絞って恋する心をボーイフレンドに告白する……。

そしてキャサリンに最後通告が言い渡される。大学に残りたいなら自由な講義をいっさい放棄し、カリキュラム通りの授業をせよとキャサリンは命令される。そしてビルもまたキャサリンに告げる。「君は"生徒の道"と"自分の道"どちらを選ぶの?」と……。



 


【キャスト&スタッフ】

■ジュリア・ロバーツ(キャサリン・ワトソン)

1967年10月28日、アメリカ・ジョージア州スミルナ生まれ。1988年、『ブラッドレッド・復讐の銃弾』(V)で映画デビュー。観客の注目を初めて浴びたのは批評家から絶賛を受けた『ミスティック・ピザ』(1988)で、続く『マグノリアの花たち』(1989)では、アカデミー賞にノミネート。ジュリアの名前を世界中にとどろかせたのは、翌年のリチャード・ギアと共演したロマンティック・コメディ『プリティ・ウーマン』(1990)。この作品でジュリアは2度目のアカデミー賞候補となった。その後もハリウッドのトップ女優として、『フラットライナーズ』『愛がこわれる時』(1990)、『愛の選択』(1991)、『ペリカン文書』(1993)、『愛に迷った時』(1995)などの作品で主役を演じ、『マイケル・コリンズ』(1996)ではニール・ジョーダン、『世界中がアイ・ラブ・ユー』(1996)ではウディ・アレンの作品にも出演。『ベスト・フレンズ・ウェディング』『陰謀のセオリー』(1997)、『グッドナイト・ムーン』(1998)などの作品を経て、さらに99年からは、2本の作品を大ヒットさせ、再びロマンティック・コメディの女王の座を確立する。ヒュー・グラントと共演した『ノッティング・ヒルの恋人』(1999)とリチャード・ギアと再び組んだ『プリティ・ブライド』(1999)である。2000年にはスティーヴン・ソダーバーグの『エリン・ブロコビッチ』(2000)のヒロイン役で、見事アカデミー賞主演女優賞とゴールデン・グローブ賞を受賞。その後も『ザ・メキシカン』(2001)では人気絶頂のブラッド・ピットと、『アメリカン・スウィートハート』(2001)ではビリー・クリスタル、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、ジョン・キューザックらと共演。ジョージ・クルーニーの監督デビュー作、『コンフェッション』(2002)にも出演した。今後公開される作品としては、パトリック・マーバーの絶賛を博した舞台の映画化『Closer』がある。共演はジュード・ロウ、ナタリー・ポートマンで、監督はマイク・ニコルズ。『オーシャンズ11』(2001)のスティーヴン・ソダーバーグとは、続編の『オーシャンズ12』で再びタッグを組む。


■キルスティン・ダンスト(ベティ)

1982年4月30日、アメリカ・ニュージャージー生まれ。3歳の時テレビ・コマーシャルでデビューし、ショービジネス界でのキャリアをスタートさせた。100本以上のコマーシャルに出演したあと、1989年に、ウディ・アレンの『ニューヨーク・ストーリー』で映画デビュー。『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(1994)の演技でゴールデン・グローブ賞にノミネートされてからは、『若草物語』(1994)、『ジュマンジ』(1995)、『スモール・ソルジャーズ』(1998)、『わたしが美しくなった100の秘密』(1999)などの作品に出演。ハリウッドで興行成績ナンバーワンで封切られた『チアーズ!』(2000)と、ソフィア・コッポラ監督の『ヴァージン・スーサイズ』(1999)の演技で、子役から期待の若手女優へと見事な転身をとげ、この2作の成功により、批評家と映画ファンの両方からフレッシュな演技派女優として注目を浴びることに成功。さらに、コロンビア映画の新記録を打ち立てた大ヒット作『スパイダーマン』では、スパイダーマンの相手役に選ばれ、ハリウッドで最も注目される若手女優となった。次回作は、ミシェル・ゴンドリー監督、脚本チャーリー・カウフマンの『Eternal Sunshine of the Spotless Mind』。この夏公開予定の『スパイダーマン2』、ポール・ベタニーと共演するラブ・ストーリー『Wimbledon』、アシュトン・カッチャーと共演の『Elizabethtown』にも出演が決まっている。


■ジュリア・スタイルズ(ジョーン)

1981年3月28日、アメリカ・ニューヨーク市生まれ。学生時代から女優をめざし、11歳で自らラ・マール劇団に手紙を書いて、舞台のキャリアをスタートさせた女優根性の持ち主。映画デビューは、1996年の『プラトニック・ゲーム』(V)で、翌年の『デビル』(1997)では、ハリソン・フォードの娘役で出演。NBCのテレビ・シリーズ「ザ・シックスティーズ」の演技も大きな注目を集め、ABC/ハーポ・フィルムスの「明日があるなら」(1997)では、名女優エレン・バーキンと共演、CBSドラマの「シカゴ・ホープ」では若い未婚の母親役で、批評家から絶賛を浴びた。1999年からは、3本のシェイクスピア劇に基づいた映画のプロジェクトに参加。"オセロ"の現代的な解釈である『O(オー)』(2001)、イーサン・ホークと共演した『ハムレット』(2000)、そして現代版"じゃじゃ馬ならし"といえる『恋のから騒ぎ』(1999・V)だ。特に『恋の…』の生き生きとした演技は、ハリウッドにおけるジュリアの人気をブレイクさせることに。また同作品でジュリアは、MTVムービー・アワードの新人女優賞とシカゴ映画批評家賞の新人賞を受賞している。他に出演作として『セイブ・ザ・ラストダンス』(2001)、『ボーン・アイデンティティ』(2002)など。自ら脚本も書き、洗練された舞台女優としても注目を集める彼女の次回作は、マーサ・クーリッジ監督作品と、ジョン・タトゥーロ監督、スーザン・サランドンらと共演する『Romance and Cigarettes』がある。


■マギー・ギレンホール(ジゼル)

1977年11月16日、アメリカ・カリフォルニア州生まれ。コロンビア大学では文学と宗教を専攻。舞台出身で、"九ローサー"のアリス役は、パトリック・マーバー賞を受賞し、絶賛を浴びる。1992年、ジェレミー・アイアンズ、イーサン・ホークと共演した『秘密』(1992・V)で映画デビュー。ジョン・ウォーターズの『セシルB/ザ・シネマ・ウォーズ』(2000)で悪魔を崇拝するメーキャップ・アーティスト役を演じ、この作品の成功で、弟で俳優のジェイク・ギレンホールが主演する『ドニー・ダーコ』(2001)への出演が決まった。映画界でマギーが一躍注目を浴びた作品は、スティーブン・シャンバーグ監督、ジェームズ・スペイダーと共演した『セクレタリー』(2002)。同作ではゴールデン・グローブ賞の最優秀女優賞にノミネートされたほか、全米批評家賞の"ブレイクスルー・パフォーマンス・アワード"を受賞している。他の出演作として、ドリュー・バリモアと共演した『サンキュー・ボーイズ』(2001)、スパイク・ジョーンズ監督のニコラス・ケイジと共演した『アダプテーション』(2002)がある。次回作はジョン・C・ライリー、ディエゴ・ルナと共演する『Criminal』。


■ジニファー・グッドウィン(コニー)

アメリカ・テネシー州生まれ。ミッドウェスタン・リベラル・アーツ・カレッジのシアター学部で演技を学んだ後、ストラットフォード・アポン・エイヴォンにあるシェイクスピア・インスティテュートの演技プログラムに入学するチャンスを与えられる。その後、ボストン大学の演技学校に進み、ロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・ミュージック・アンド・ドラマティック・アーツとシェイクスピア・インスティテュートでジャンヌ・ダルク役やハムレットのオフェーリア役を演じ、存在感溢れる抜群の演技力が注目を集めた。卒業後はニューヨークに渡り、NBCテレビの「エド」にレギュラー出演。コメディ・セントラルがトライベッカ・フィルムズと共同で作った初の長編映画『Porn'n Chicken』で映画デビュー。次回作は、ケイト・ボスワースが主演するロマンティック・コメディ『Win a Date with Tad Hamilton!』。


■ジュリエット・スティーヴンソン(アマンダ)

1956年10月30日、イギリス・ヨークシャー州生まれ。舞台と映画で活躍を続けるスティーヴンソンは、彼女の世代のもっとも尊敬を集める役者のひとりである。ロイヤル・アカデミー・オブ・ドラマティック・アーツで学び、ゴールド・バンク・ロフト賞を受けて卒業。ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーで、1980年代初めから舞台出演を始めた。「死と乙女」の演技では、ローレンス・オリヴィエ最優秀女優賞を受賞。代表作として、『数に溺れて』(1985)、『愛しい人が眠るまで』(1991)、『Emma エマ』(1996)、『ベッカムに恋して』(2002)など。次回作は、アネット・ベニングと共演する『Being Julia』。1999年には、大英帝国の名誉ある上級勳爵士を受賞している。


■マーシャ・ゲイ・ハーデン(ナンシー)

1959年8月14日、アメリカ・テキサス州生まれ。ノース・テキサス大学の演劇学士過程を修了し、ニューヨーク大学の大学院でシアター・プログラムでMFAを取得。ワシントンDCの演劇会で女優としてスタートする。90年、コーエン兄弟の『ミラーズ・クロッシング』で映画デビューして以来、ハリウッドで最も個性的な演技派の一人として注目を集め、映画、舞台、テレビなどで幅広く活躍。俳優のエド・ハリスが初めてメガホンをとった映画『ポロック 2人だけのアトリエ』(2000)では抽象的表現主義の画家ジャクソン・ポロックの妻を熱演し、アカデミー賞助演女優賞を獲得。去年はクリント・イーストウッド監督の話題作、『ミスティック・リバー』(2003)にも出演した。他に代表作として『レイト・フォー・ディナー』(1991)、『迷子の大人たち』『クラッシュ』(1992)、『この森で、天使はバスを降りた』『ファースト・ワイフ・クラブ』(1996)、『フラバー』(1997)、『ジョー・ブラックをよろしく』(1998)、『スペース・カウボーイ』(2000)、『ガウディアフタヌーン』(2001)など。"エンジェルズ・イン・アメリカ"ではブロードウェーにも出演。トニー賞にノミネートされた。


■ドミニク・ウェスト(ビル)

1969年、イギリス・ヨークシャー州生まれ。イアン・マッケランと共演した『リチャード三世』(1995)で映画デビュー。『サバイビング・ピカソ』(1996)ではアンソニー・ホプキンス、『真夏の夜の夢』(1999)ではミシェル・ファイファー、ケヴィン・クラインらと共演した。最近の作品は、サンドラ・ブロック主演の『28 DAYS(デイズ)』(2000・V)、マーク・ウォルバーグ、ジェニファー・アニストンと共演した『ロック・スター』(2001)があり、オスカー受賞作『シカゴ』(2002)にも出演。テレビでも活躍するウェストは、絶賛されたHBOシリーズの「ザ・ワイヤー」で刑事ジミー・マクルティ役を演じている。次回作は、ジュリアン・ムーアと共演するスリラー『The Forgotten』。


■マイク・ニューウェル(監督)

1942年3月28日、イギリス・ハートフォードシュワー生まれ。ケンブリッジ大で英語を専攻した後、プロダクション見習い生として、グラナダ・テレビジョンに入社。テレビ・ドラマ監督としてのキャリアを積み、チャールトン・ヘストン主演の『ピラミッド』(1980)で映画監督デビュー。1984年に発表した『ダンス・ウィズ・ア・ストレンジャー』の成功で国際的な評価を得た。その後も『サイレント・ヴォイス/愛を虹に乗せて』(1987)、『サワースウィート』(1988)『恋する予感』(1994・V)などの作品を発表。1994年には、ヒュー・グラント主演のロマンティック・コメディ『フォー・ウェディング』で世界的な大ヒットを飛ばし、同作はアカデミー賞にもノミネートされた。その後、アル・パチーノとジョニー・デップが共演した『フェイク』(1997)、ジョン・キューザックの『狂っちゃいないぜ』(1999)などの話題作を発表し、『魅せられて四月』(1999)では再び3部門のアカデミー賞にノミネート。監督の他に製作も手がけ、ベン・アフレック主演の『200本のたばこ』(1998)、ジョン・キューザック主演の『ハイ・フェディリティ』(2000)を、スティーヴン・ソダーバーグ監督がアカデミー賞監督賞を受賞した『トラフィック』(2000)では製作総指揮も手がけている。そんなニューウェルの監督としての次回作は、話題のファンタジー大作シリーズ4作目の『ハリー・ポッターの炎のゴブレット』がある。


■ローレンス・コナー&マーク・ローゼンタール(脚本)

人気脚本家コンビとして活躍する2人は、これまでマイケル・ダグラスとキャスリーン・ターナー主演の『ナイルの宝石』(1985)をはじめ、『スター・トレック4 未知の世界』(1991)、『バラ色の選択』(1993)、『マイティ・ジョー』『マーキュリー・ライジング』(1998)、『PLANET OF THE APES/猿の惑星』(2001)などの脚本を手がけてきた。テレビ・シリーズの「大草原の小さな家」と「ファミリー」でヘッドライターだったコナーは、1995年、『One Thing I Know』で製作と監督も手がけ、この作品はカンヌ映画祭、サンダンス映画祭ほか、アメリカ国内と海外の多数の映画祭で上映されている。またコナーはHBOの人気テレビ・シリーズ、「ザ・ソプラノズ」のエピソードも執筆、2000年のエミー賞ではベスト・ドラマティック・ライティングにノミネートされている。現在2人は、映画脚色版の『AS YOU LIKE IT』『MY FRIEND FLICKA』『THE PRISONER』の脚本を執筆中。


■エレイン・ゴールドスミス=トーマス(プロデューサー)

レボリューション・スタジオにおけるジョー・ロスのパートナーであり、デボラ・シンドラーが社長を務める「レッド・オム・フィルムス」の業務指揮も担当。手がけた作品は本作の他に、ジェニファー・ロペス主演の『メイド・イン・マンハッタン』(2002)など。新作の『Little Black Book』は最近、撮影を終了し、2004年に公開予定。もとはウィリアム・モリス・エージェンシーの秘書としてキャリアをスタートさせたトーマスは、ジュリア・ロバーツのほかに、ジェニファー・ロペス、ティム・ロビンス、スーザン・サランドン、ルパート・エヴェレット、マット_ディロン、スパイク・リーといったスターたちのエージェントも務めた経験がある。


■デボラ・シンドラー(プロデューサー)

マーティン・スコセッシのアシスタントとしてキャリアを始め、『レイジング・ブル』(1980)、『キング・オブ・コメディ』(1983)、『ハスラー2』(1986)、『最後の誘惑』(1988)などを手がけた。現在はレボリューション・スタジオ・イースト内にある「レッド・オム・フィルムス」の責任者で、ジュリア・ロバーツの製作上のパートナー。プロデューサーとしてのデビュー作は、ジェニファー・ロペス主演のロマンティック・コメディ『メイド・イン・マンハッタン』(2002)。この作品は、2002年12月にコロンビア映画が配給し、全世界で2億ドル以上を稼ぎだした。最近の仕事は、ブリタニー・マーフィーとホリー・ハンターが出演する『Little Black Book』(2004年公開予定)


■ポール・シフ(プロデューサー)

ニューヨーク市のドキュメンタリー・カメラマンとしてキャリアをスタートしたシフは、MTVの監督を手がけた後、長編映画に移り、『Streets of Gold』ではアソシエイト・プロデューサーをつとめた。この作品の監督であり、現在はレボリューション・スタジオの責任者であるジョー・ロスとの長年にわたるコラボレーションは、このときからスタートしている。手がけた作品として、『ヤングガン』『ヤングガン2』(1988)、『いとこのビニー』(1992)、『失踪』(1993)、『メイド・イン・マンハッタン』(2002)など、批評家に絶賛されたウェス・アンダーソンの『天才マックスの世界』(1998)もプロデュースし、プロバガンダ・フィルムス製作部の責任者も務めた。


■ジョー・ロス(製作総指揮)

去年のハリウッド・パワーリストでは堂々6位にランクされたプロデューサーであり監督のロス。1948年6月13日、アメリカ・ニューヨーク市生まれ。1970年、ボストン大学を卒業後、製作、監督として活躍。『ヤングガン』『戦場の絆』(1988)、『メジャー・リーグ』(1989)などの作品をヒットに導いた後は20世紀フォックスの会長を務め、『三銃士』(1993)、『あなたが寝てる間に…』(1995)などの話題作を世に送り出した。さらにウォルト・ディズニー・スタジオを指揮することになったロスは、5年間で同社が世界市場を独占する立場に導き、なかでも『アルマゲドン』(1998)、『シックス・センス』『トイ・ストーリー2』(1999)の3本は、アメリカ国内だけで2億ドル以上を稼ぐ大ヒットに。2000年にはレボリューション・スタジオを設立し、『アメリカン・スウィートハート』『ブラックホーク・ダウン』(2001)、『トリプルX』(2002)などの大ヒット作を手がけている。


■アナスタス・ミコス(撮影)

カメラ・オペレーターとしてキャリアを開始。アカデミー賞受賞のフィリップ・ルースロと『ジャック・サマースビー』(1993)『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(1994)、『ジギル&ハイド』『ラリー・フリント』(1996)『ハーモニーベイの夜明け』(1999)などで組んだ経験を持つ。プロデューサーのジェイク・エバーツから『リトル・リー』(1997・V)で初のカメラマンとしての仕事をもらい、ミロス・フォアマン監督、ジム・キャリー主演作『マン・オン・ザ・ムーン』(1999)を手がける。その後、ケヴィン・スペイシー、ダニー・デヴィート主演のインディーズの『ビッグ・チャンス』(1999)、そして、エドワード・ノートンが監督デビューを果たした『僕たちのアナ・バナナ』(2000)も手がけた。他に代表作として、マーティン・ローレンス、ダニー・デヴィート共演の『ビッグ・マネー』(2001)、ロビン・ウィリアムズ、エドワード・ノートン共演、デヴィートが監督した『デス・トゥ・スイーチー』(2002)がある。次回作は、ペン・スティラーとドリュー・バリモアが共演する話題作『Duplex』。


■ジェーン・マスキー(プロダクション・デザイナー)

ウェイン・ワン監督、ジェニファー・ロペスとレイフ・ファインズ主演のロマンティック・コメディ『メイド・イン・マンハッタン』(2002)のデザインを手がけた。彼女はまた、ロバート・デ・ニーロの『容疑者』(2002)と、ショーン・コネリー主演、ガス・ヴァン・サント監督の『小説家を見つけたら』(2000)のデザインも手がけた。イーサンとジョエル・コーエンともコンビを組み、彼らの初監督作品『ブラッド・シンプル』(1984)と『赤ちゃん泥棒』(1987)も手がけている。代表作として、『ヤングガン』(1987)、『恋人たちの予感』(1989)、『ゴースト』(1990)、『ブーメラン』『摩天楼を夢みて』(1992)、『天国の約束』(1995)、『決別の街』(1996)、アラン・J・パクラの『デビル』(1997)、『私の愛情の対象』(1998)などがある。


■マイケル・デニソン(衣裳デザイナー)

ヒューストン大学で美術を専攻した後、ニューヨークへ移り、ブルックス・ヴァン・ホーン・コスチューム・カンパニーに入社。そこで衣裳の小道具をデザインする仕事を始め、1980年代の初めに映画界入り。代表作に『クルージング』(1979)、『華麗なる陰謀』(1981)、『グリース2』『ガープの世界』『ソフィーの選択』(1982)『コードネームはファルコン』、『白と黒のナイフ』(1985)、『心みだれて』『モーニング・アフター』(1986)『フォーエバー・フレンズ』(1988)、『ジェイコブス・ラダー』(1990)、『ヒマラヤ杉に降る雪』(1999)、『ハート・オブ・ウーマン』(2000)、『運命の女』(2002)など。次回作は、ヴィン・ディーゼル主演の『リディック』(2004)がある。


■レイチェル・ポートマン(音楽)

13歳でピアノによる作曲を始め、オックスフォード大学で音楽の正式な教育を受ける。ラッセ・ハルストレム監督とコンビを組んだ『サイダーハウス・ルール』(1999)と『ショコラ』(2000)では2度、オスカーのノミネートを受けている。他に、『迷子の大人たち』(1992)、『妹の恋人』『ジョイ・ラック・クラブ』(1993)、『ケロッグ博士』(1994)、『スモーク』『3人のエンジェル』(1995)、『マイ・ルーム』『バルカーヴィル』『ピノキオ』(1996)、『恋におぼれて』(1997)、『愛されし者』(1998)、『クローサー・ユー・ゲット』『僕と空と麦畑』『カーラの結婚宣言』(1999)、『バガー・ヴァンスの伝説』(2000)、『白いカラス』(2003)などがある。