【キャスト&スタッフ】
■クリント・イーストウッド(監督・音楽/フランキー・ダン)
半世紀におよぶキャリアを通じて、俳優、監督、プロデューサーとして成功をおさめてきたイーストウッドは、ハリウッドで最も尊敬を集める映画作家のひとりだ。
1930年5月31日、米カリフォルニア州サンフランシスコに生まれ、オークランドで育つ。陸軍を除隊後、ロサンゼルス・シティ・カレッジで演技を学び、1955年にユニヴァーサルと契約。TVシリーズの「ローハイド」で人気を得たのち、セルジオ・レオーネ監督の『荒野の用心棒』(1964)に主演し、一躍マカロニ・ウェスタンのスターとなる。さらに、ドン・シーゲル監督と組んだ『ダーティハリー』(1971)で、ハリウッドのドル箱スターの座を不動のものにした。同年には、『恐怖のメロディ』で監督デビュー。以降、『荒野のストレンジャー』(1972)、『アイガー・サンクション』(1975)、『アウトロー』(1976)、『ガントレット』(1977)、『ブロンコ・ビリー』(1980)、『ファイヤーフォックス』(1982)、『センチメンタル・アドベンチャー』(1982)、『ダーティハリー4』(1983)、『ペイルライダー』(1985)といった監督作を通じて、アクション映画の名手の地位を確立。1986年から2年間、カーメル市長として活躍したのち、1988年にチャーリー・パーカーの伝記映画『バード』をカンヌ映画祭で発表し、ゴールデン・グローブ賞の監督賞に輝いた。その後、『ハートブレイクリッジ/勝利の戦場』(1986)、『ホワイトハンター ブラックハート』(1990)、『ルーキー』(1990)の3作を監督。1992年には、恩師レオーネとシーゲルに捧げた西部劇『許されざる者』で、アカデミー賞の作品賞と監督賞、ゴールデン・グローブ賞の監督賞、アメリカ監督組合賞、全米批評家協会賞の作品賞と監督賞などを受賞。ハリウッドを代表する巨匠の仲間入りを果たした。以降は、『マディソン郡の橋』(1995)、『真夜中のサバナ』(1997)、『目撃』(1997)、『トゥルー・クライム』(1999)、『ブラッド・ワーク』(2002)など、ベストセラー小説の映画化に熟練の腕を発揮。2003年には、デニス・ルヘインの原作を映画化した『ミスティック・リバー』で、再びアカデミー賞の作品賞と監督賞、アメリカ監督組合賞、ゴールデン・グローブ賞にノミネートされ、全米映画批評家協会賞の監督賞、ロンドン批評家協会賞の監督賞、セザール賞の外国語映画賞など多数の賞を受賞した。他の監督作は、『愛のそよ風』(1973)、『パーフェクト・ワールド』(1993)、『スペース カウボーイ』(2000)など。俳優としては、2003年に映画俳優組合賞の栄えあるライフアチーブメント賞を受賞している。
本作で、イーストウッドは、ゴールデン・グローブ賞、NY映画批評家協会賞、シカゴ映画批評家協会賞、サンディエゴ映画批評家協会賞、シアトル映画批評家賞の監督賞を受賞。アカデミー賞では、監督賞と主演男優賞の2部門にノミネートされ、2度目の監督賞を受賞した。
■ヒラリー・スワンク(マギー・フィッツジェラルド)
1974年7月30日、米ネブラスカ州リンカーンに生まれ、ワシントン州のベリンガムで育つ。幼い頃から女優を志し、9歳で「ジャングル・ブック」の舞台に主演。以降、ベリンガムのローカル・シアターや学校演劇で活躍した。同時にスポーツにも万能ぶりを発揮し、水泳のジュニア・オリンピックの選考会に参加。体育全般では、州内で5位の成績を記録した。1990年には、本格的に女優をめざし、母と共にLAに移住。『バッフィ/ザ・バンパイア・キラー』(1992)で映画デビューを飾ったのち、何100人もの候補者の中から選ばれて『ベスト・キッド4』(1994)のヒロインの座を獲得。1997年からは、TVシリーズ「ビバリーヒルズ青春白書」にカーリー・レイノルズ役で出演し、人気を集めた。その後、キンバリー・ピアース監督の『ボーイズ・ドント・クライ』(1999)で、性同一性障害を持つヒロインを熱演。アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞をはじめ、合計20の映画賞の主演女優賞を総なめにし、2000年のショー・ウェスト・コンベンションで明日のスターに選出された。以降、若手でトップクラスの演技派女優として、『ギフト』(2000)、『マリー・アントワネットの首飾り』(2001)、『インソムニア』(2002)、『ザ・コア』(2003)などに出演。本作でも、ゴールデン・グローブ賞、全米映画批評家協会賞をはじめ、数々の主演女優賞を受賞し、アカデミー賞で2度目の主演女優賞を獲得。新作は、キウェテル・イジョフォー共演の"Red Dust"。
私生活では、1997年9月28日に俳優のチャド・ロウと結婚。仲むつまじいおしどりカップルとして知られている。
■モーガン・フリーマン(スクラップ)
1937年6月1日、米テネシー州メンフィス生まれ。ニューヨークの演劇界で名声を築いたのち、子供向けのTVシリーズ"The Elecrtic Compay"(1971)で幅広い人気を獲得。同時期、映画にも進出し、1987年の『NYストリート・スマート』でLA映画批評家協会賞、NY映画批評家協会賞の助演男優賞を受賞、アカデミー賞とゴールデン・グローブ賞の候補にもなった。ハリウッドでの名声を決定づけたのは、オビー賞を受賞した舞台の当たり役を演じた『ドライビング Miss デイジー』(1989)。この作品でアカデミー主演男優賞の候補となり、ゴールデン・グローブ賞とナショナル・ボード・オブ・レビューの主演男優賞を受賞。以降、現在まで30本近い映画に出演し、得難い名優ぶりを発揮している。その中の1本『ショーシャンクの空に』(1994)では、三度アカデミー賞にノミネート。また、イーストウッド監督とは、1992年の『許されざる者』でコンビを組んだ。その他の主な出演作は、『ブルベイカー』(1980)、『目撃者』(1981)、『りんご白書』(1984)、『ワイルド・チェンジ』(1989)、『グローリー』(1989)、『ロビン・フッド』(1991)、『パワー・オブ・ワン』(1992)、『セブン』(1995)、『アウト・ブレイク』(1995)、『モル・フランダース』(1996)、『チェーン・リアクション』(1996)、『コレクター』(1997)、『アミスタッド』(1997)、『ディープ・インパクト』(1998)、『ベティ・サイズモア』(2000)、『スパイダー』(2001)、『トータル・フィアーズ』(2002)、『ハイ・クライムズ』(2002)、『チェンジング・レーン』(2002)『ブルース・オールマイティ』(2003)など。1993年には『ボッパ!』で監督に初挑戦し、批評家から高い評価を得た。新作に、ジェット・リー共演の"Unleashed"(2005)、ラッセ・ハルストレム監督の"An Unfinished Life"(2005)がある。
本作で、フリーマンは、アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞、俳優組合賞、放送映画批評家協会賞の助演男優賞候補になり、念願のオスカーを手にした。
■アルバート・S・ラディ(製作)
アルバート・S・ラディは、『ゴッドファーザー』(1972)のプロデューサーとしてアカデミー作品賞を受賞したが、そのときプレゼンターとしてオスカー像を渡したのが、クリント・イーストウッドだった。以降30年以上に渡り、ハリウッドの第一線で活躍し続けているラディが製作を手がけた作品には、原案も兼ねた『ロンゲスト・ヤード』(1974)、『キャノンボール』(1980)、『バッド・ガールズ』(1994)、『ヘブンズ・プリズナー』(1996)などがある。
■トム・ローゼンバーグ(製作)
ビーコン・コミュニケーションズの共同創立者として、『ザ・コミットメンツ』(1991)、『ケロッグ博士』(1994)などの製作総指揮を担当。レイクショア・エンターテインメントを創立してからは、『プリティ・ブライド』(1999)、『ギフト』(2000)、『オータム・イン・ニューヨーク』(2000)、『プロフェシー』(2002)、『アンダーワールド』(2003)、『白いカラス』(2003)、『サスペクト・ゼロ』(2003)、『ホワイト・ライズ』(2004)などの製作を手がけた。
■ポール・ハギス(製作・脚本)
人気TVシリーズ"thirtysomething"の脚本家として、1988年にエミー賞2部門とヒューマニタス賞を受賞。また、TVシリーズ"Due South"(1994)では、1995、1996年のジェミニ賞を受賞し、批評家に絶賛されたTVシリーズ"Ez Streets"(1996)では、ヴュワーズ・フォー・クオリティ・テレヴィジョン賞のファウンダーズ賞を受賞している。その他、脚本に参加したTVシリーズは、"City"(1990)、"Michael Hayes"(1997)、"Family Law"(1999)、"Mister Sterling"(2003)など。TVムービーの「帰ってきたむく犬」(1987)の脚本と、「炎のテキサス・レンジャー」(1993)の企画も手がけている。次回作は、サンドラ・ブロック、ドン・チードルらを主演に迎えた"Crash"(2004/2005年全米公開予定)で、監督としてもデビューを飾っている。
本作で、ハギスは、アカデミー賞、アメリカ脚本家組合賞の脚本賞にノミネートされ、USCスクリプター賞とゴールデン・サテライト賞を受賞した。
■ロバート・ロレンツ(製作総指揮)
『マディソン郡の橋』(1995)で第2助監督をつとめたのち、『目撃』(1997)で助監督に昇格。『真夜中のサバナ』(1997)、『トゥルー・クライム』(1999)、『スペースカウボーイ』(2000)『ブラッド・ワーク』(2002)と『ミスティック・リバー』(2003)でも助監督をつとめると同時に、マルパソ・プロダクションの製作部門の責任者として、『ブラッド・ワーク』(2002)の製作総指揮と、『ミスティック・リバー』(2003)の製作を手がけた。
■ゲイリー・ルチェッシ(製作総指揮)
ブルース・ロビンソン監督の『ジェニファー8』(1992)からプロデューサーのキャリアをスタート。これまで製作を手がけた作品に、『バーチュオシティ』(1995)、『真実の行方』(1996)、『オータム・イン・ニューヨーク』(2000)、『プロフェシー』(2002)、『白いカラス』(2003)、『アンダーワールド』(2003)、『サスペクト・ゼロ』(2004)、『ホワイト・ライズ』(2004)などがある。
■ボビー・モレスコ(共同製作)
ポール・ハギス脚本のTVシリーズ"EZ Streets"(1996)の共同製作、自らライターも兼ねたTVシリーズ"Millennium"(1996)の共同プロデュースと、"Falcone"(2000)の製作総指揮を担当。ポール・ハギス監督の"Crash"(2004)の製作も手がけている。また、デニス・ホッパー、ジェームズ・マースデンらが出演する"10th & Wolf"(2006)では、監督と脚本もつとめている。
■トム・スターン(撮影監督)
照明の技術スタッフとして、『センチメンタル・アドベンチャー』(1982)、『タイトロープ』(1984)、『ダーティハリー4』(1984)、『ペイルライダー』(1985)、『ハートブレイクリッジ/勝利の戦場』(1986)などのイーストウッド作品に参加。『バード』(1988)で照明コンサルタントをつとめたのち、『ルーキー』(1990)、『許されざる者』(1992)、『パーフェクト・ワールド』(1993)、『スペースカウボーイ』(2000)で主任照明技師をつとめた。撮影監督デビューは、『ブラッド・ワーク』(2002)。前作の『ミスティック・リバー』(2003)では、ゴールデン・サテライト賞にノミネートされた。イーストウッド作品以外では、ローディ・ヘリントン監督の"Bobby Jones, Stroke of Genius"(2004)と、ジョン・タトゥーロ監督の"Romance & Cigarettes"(2005)の撮影を手がけている。
■ヘンリー・バムステッド(プロダクション・デザイン)
アルフレッド・ヒッチコック監督の『めまい』(1958)で初のアカデミー賞候補となり、『アラバマ物語』(1962)と『スティング』(1973)で同賞を受賞。その後、イーストウッド監督の『許されざる者』(1992)でもオスカーにノミネートされた。以降、『パーフェクト・ワールド』(1994)、『目撃』(1997)、『真夜中のサバナ』(1997)、『トゥルー・クライム』(1999)、『スペースカウボーイ』(2000)、『ブラッド・ワーク』(2002)、『ミスティック・リバー』(2003)のプロダクション・デザインを担当している。イーストウッドとのコンビ以外の代表作に、『トパーズ』(1969)、『ファミリー・プロット』(1976)、『リトル・ロマンス』(1979)、『ガープの世界』(1982)、『リトル・ドラマー・ガール』(1984)、『ゴースト・パパ』(1990)、『ケープ・フィアー』(1991)などがある。
本作で、バムステッドは、美術監督組合賞にノミネートされた。
■ジョエル・コックス(編集)
フェリス・ウェブスターのアシスタントとして『アウトロー』(1975)の編集を手がけて以来、イーストウッドの主演作、監督作の編集を、20作以上手がけてきた。ウェブスターとの共同編集作品は、『ダーティハリー3』(1976)、『ガントレット』(1977)、『ダーティファイター』(1978)、『アルカトラズからの脱出』(1979)、『ブロンコ・ビリー』(1980)、『センチメンタル・アドベンチャー』(1982)など。『ダーティハリー4』(1983)以降は、単独で、『タイトロープ』(1984)、『ペイルライダー』(1985)、『ハートブレイクリッジ/勝利の戦場』(1986)、『ダーティハリー5』(1988)、『ピンク・キャデラック』(1989)、『ホワイトハンター ブラックハート』(1990)、『ルーキー』(1990)の編集を担当。『許されざる者』(1992)でアカデミー賞の編集部門を受賞したのちも、『パーフェクト・ワールド』(1993)、『マディソン郡の橋』(1995)、『目撃』(1997)、『真夜中のサバナ』(1997)、『トゥルー・クライム』(1999)、『スペースカウボーイ』(2000)、『ブラッド・ワーク』(2002)、『ミスティック・リバー』(2003)のイーストウッド作品を手がけている。トム・スターン、ヘンリー・バムステッドと並ぶ主要なイーストウッド組のメンバーだ。
本作で、コックスは、アカデミー賞とアメリカ映画編集者賞にノミネートされた。
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