『人生に乾杯!』/"KONYEC"


2009年6月20日よりシネスイッチ銀座ほか全国にて公開

2007年/ハンガリー/107分/ハンガリー語/35mm/カラー/アメリカンヴィスタ/ドルビーSRD/翻訳:株式会社フェルヴァント/原題:KONYEC/後援:駐日ハンガリー共和国大使館、ハンガリー政府観光局、日本ハンガリー友好協会/提供:博報堂DYメディアパートナーズ、J-dream/配給・宣伝:アルシネテラン/(c) M&M Films Ltd.

◇監督:ガーボル・ロホニ ◇制作:モーニカ・メーチュ、エルネー・メシュテルハーズィ ◇撮影:ペーテル・サトマーリ ◇共同製作者:ポーシュ・アンドラーシ、ショーン・C・ポールュ ◇製作総指揮:カーロイ・フェヘール ◇脚本:バラージュ・ロヴァシュ ◇原作:ポジュガイ・ジョルト ◇編集:イシュトヴァーン・キラーイ ◇音楽:ガーボル・マダラース ◇タイトル音楽:キシュ・ディボル ◇台詞作者:ヤーゲル・バルナ ◇音響:ガーボル・バラージュ ◇プロダクション・デザイナー:フイベール・バラージュ ◇衣装:ヤーノシュ・ブレツクル

◇キャスト:エミル・ケレシュ、テリ・フェルディ、ユディト・シェル、ゾルターン・シュミエド、ロシック・ジョコ



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【解説】

第38回ハンガリー映画週間 観客賞・部門賞受賞作品


年金にはもう頼れない?
幸せになるために立ち上がった老夫婦が
ヨーロッパの小さな国のヒーローになった!
ふたりなら、きっと明日を変えられる ―


◆いくつになっても、しあわせへの道は続いているはず

運命的な出会いを機に結婚したエミルとヘディも、今では81歳と70歳。互いに恋に落ちていた頃のことなど、すっかり忘れていた。社会も時代も変わって、年金だけでは暮らしていけない世の中。つつましやかな生活をしているのに借金取りに追われる毎日が続き、ついに二人の出会いのきっかけだったダイヤのイヤリングまでも、借金のカタに取られてしまう。

あまりに高齢者に冷たい世の中に怒りを覚えた夫のエミルは、大切なイヤリングを取り戻すため、持病のギックリ腰をおして20年ぶりに愛車のチャイカを飛ばし、なんと郵便局を紳士的に強盗! それを皮切りに次々と紳士的な強盗を重ねていく。一度は警察に協力した妻のヘディも、奮闘する夫の姿にかつての愛しい気持ちを思い出し、手を取り合って逃げる決心をする。やがて、二人の逃避行は、多くの民衆を巻き込んで、思いもかけない展開に ― 。

年齢などものともせず、"自分の正義"のために一歩を踏み出した、二人の粋で勇気ある行動。譲れない幸せへの思いが生み出した奇跡は、今の時代を生きる私たちに忘れかけていた"大切な何か"を思い起こさせてくれる。日本だけではなく、遠く離れたヨーロッパの小さな国でも問題となっている高齢化社会の問題を、ユーモアたっぷりにコミカルに描いている点も実に痛快。いくつになっても、人生は明日を素敵に変えられる可能性に満ちている。そう信じて前に進む、エミルとヘディ夫婦に、乾杯!



◆「行こう、プリンセス」「いつも守ってくれた」
二人の固い絆を描いた、誰もが憧れる理想の夫婦像


おじいちゃん、おばあちゃんになっても、手をつないで歩きたい!というのは、きっと誰もが憧れる夫婦像。エミルとヘディ夫婦は夫のある行動をきっかけに、まるで出会った頃の二人のようにお互いを大切に思うようになる。妻の誕生日をお祝いするためにエミルが用意した、とっておきのサプライズパーティー、妻のために素敵なドレスをプレゼント、自分がいない間に親友と妻が二人きりでいると知った途端、たちまち大やきもち! 夫エミルのストレートな愛情表現や愛の言葉は、観ているこちらがドキドキしてしまうほど。お互いを尊敬し思いやる気持ちを忘れずに、何があっても信じ続けることが、この逃避行には欠かすことのできない要素なのだ。


◆ヨーロッパの小さな国から生まれた
かわいらしくて愛すべき映画


この映画の舞台はハンガリー。ヨーロッパのへそといわれるこの国は、古くからヨーロッパとアジアの文化が融合した独特な文化を作り上げてきた。中でも、ちょっとレトロでアンティーク調な雰囲気が特徴の小物たちは、見ているだけで癒されて心がほっこりしてしまう。1950年代の車・チャイカ、ヘディの着る小花柄のふんわりしたチュニック風ワンピース、アンティーク調のシェルフなど、どこか懐かしくてレトロポップを思わせるファッションやアイテムは、物語のかわいらしさを存分に引き立ててくれる。


 


【ストーリー】

1950年代後半 ― 。労働者階級出身のエミル・キシュと伯爵令嬢のヘディ・フェレギは、運命的な出会いを果たす。秘密諜報機関が摘発のために乗り込んだ城館で、エミルの前に突如屋根裏の天井に身を潜めていたヘディが落ちてきたのだ。突然の出来事に戸惑うエミルだが、ヘディは伯爵令嬢としての誇りである"ダイヤのイヤリング"と引き換えに、その場を助けてもらう。そして二人は、身分の差も越えてたちまち恋に落ちてしまった……。


それから約半世紀後 ― 。コンクリートで出来た集合住宅の中で、年金受給もままならず、電気さえ止められてしまい、変化や希望とは無縁の貧しい生活を送る中、二人は出会った頃の気持ちなどすっかり忘れていた。そんなある日、エミルが頑なに守ってきた愛車と本のコレクションの代わりに、二人の思い出の"ダイヤのイヤリング"を借金のカタに取られてしまう。高齢者に冷たい世の中への怒りと、自らの亭主関白さへの反省から、エミルはある行動に出ることを決意する ― 。