ノック・オフ
 KNOCK OFF



1998年11月下旬 公開

東劇ほか全国松竹・東急洋画系 にて上映
配給: ギャガ・ヒューマックス共同配給
(c)1998 KNOCK FILMS. AVV ALL RIGHTS RESERVED.

  • 監督
ツイ・ハーク
  • 製作
ナンサン・シー
  • 出演
ジャン=クロード・ヴァン・ダム
ロブ・シュナイダー
マイケル・ウォン
レラ・ローコン
カルメン・リー
ポール・ソルヴィノ



返還直前の香港、無差別テロを企むテロ集団にヴァン・ダムが挑む!

 中国への返還を前に、香港は激動の真っ只中にあった。その喧噪に紛れて、テロ集団が世界を相手に同時無差別テロを企む。ヴァン・ダム演じるレイは香港を、そして世界を救えるのか…!!
 人形に仕込まれた爆弾が大爆発を起こすオープニング・シーンから、怒涛のノンストップアクションが展開。香港の街をフルスピードで走るトラック上での死闘、武器を手に襲いかかる敵100人との死闘、さらにクライマックスは制御不能に陥ったタンカー上での銃撃戦と、観る者の度肝を抜くスーパーアクションが次々に炸裂。アクション映画の歴史に新たな1ページがここに記された!


頼るは己の肉体のみ。ヴァン・ダムがジャッキー・チェン流香港アクションに挑戦!

 ハリウッドを代表するアクションスターであるヴァン・ダムが今回選んだ舞台は、何とアクションの聖地・香港だった。『ダブル・チーム』でハリウッド進出を果たし、さらにスケールアップしたツイ・ハーク監督と再度タッグを結成。スタントを使わずに自らすべてのアクションにチャレンジするなど、香港流ともいうべき生身のアクションに徹底してこだわって作られたのがこの『ノック・オフ』である。
 ヴァン・ダムは無名時代に訪れた香港のアクションに、非常に強い衝撃を受けていた。現在のハリウッドで失われつつある肉体を駆使するアクションを香港に見た彼は、「アクションの真髄は香港映画にある」と言い切る。その彼がジョン・ウー、リンゴ・ラムら香港出身監督作の主演を経て、ついにその真髄に触れる時が到来したのである。
 『ノック・オフ』で危険なスタントや小道具を使って敵を倒すジャッキー・チェン張りの香港アクションを堂々と演じるヴァン・ダムからは、その喜びが伝わってくる。
 アクション監督は、おなじみのサモ・ハン・キンポー。ヴァン・ダムの力を見事に引き出している功績は大きい。古くはブルース・リーの『燃えよドラゴン』『死亡遊戯』などで出演とアクション監督を経験し、ジャッキー・チェンとは数多く共演するほか、『スパルタンX』『ナイスガイ』を監督。香港流の危険かつ観客を楽しませる生身のスタント・アクションを最も熟知している人間である。今回『ノック・オフ』でも肉体の限界に挑戦するスタント・アクションの数々を作り上げており、彼の高い要求にヴァン・ダムの肉体が応えることで、限界を超える今までに見たことのないアクションを、ここに完成させたのである。



香港のパワーとハリウッドの才能が合体、アクション映画史上に新たな1ページ!

 監督はツイ・ハーク。かつて『男たちの挽歌』『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』を製作、香港映画界に数多くの革命を起こし、「香港のスピルバーグ」と呼ばれた彼が、前作『ダブルチーム』で待望のハリウッド進出。この『ノック・オフ』では本場の映画製作で得た経験をフルに活かし、製作費3500万ドルをかけ、香港返還という一大イベントを背景に、アクション大作を撮り上げることに成功した。製作はツイ・ハーク夫人のナンサン・シー、脚本はハリウッドから『ダイ・ハード』『ダイ・ハード2』のスティーブン・E・デ・スーザ、撮影は『不夜城』で評価を上げたアーサー・ウォン、プロダクション・デザイナーはジョン・ウー監督『ハード・ボイルド/新・男たちの挽歌』のブルース・リャンという強力布陣である。
 共演は「サタデー・ナイト・ライブ」出身のコメディアン、ロブ・シュナイダー、『ザ・ファーム/法律事務所』のポール・ソルヴィノ、1996年の「ピープル」誌で"50 Most Beautiful People"に選ばれた『ため息つかせて』のレラ・ローコン、香港からは『パラダイス!』のカルメン・リーと『デッドヒート』『世界の涯てに』のマイケル・ウォンが共演を果たしている。




ストーリー

 中国返還を数日後に控え、香港は喧噪の真っ只中にあった。レイ(ジャン=クロード・ヴァン・ダム)とトミー(ロブ・シュナイダー)は慈善イベントの人力車レースに参加する。ところが、レース中、他の参加者がロシア人の車に拉致されるのを目撃したレイは車と格闘、警察まで巻き込んでの銃撃戦に発展する。
 この際、死んだ犯人が元KGBだったことからレイとトミーは警察の取り調べを受ける。そんな折り、レイの勤めるジーンズメーカーの本社からカレン(レラ・ローコン)が来港。香港から輸出されている模造品ジーンズの調査が目的で、疑いはレイの親友エディーの所有する倉庫に向けられていた。協力を拒むレイだったが、突入寸前に倉庫が大爆発。現場から、強力な破壊力をもった旧ソ連製造小型爆弾が発見される。レイとトミーは、エディーの居場所を突き止めるが、彼は目の前で壮絶な爆死を遂げる。死の直前のエディーから、模造品には香港マフィアとロシア人組織が関係していると聞いたレイは犯人が写ったビデオテープを入手するが、そこには何とカレンの姿が…。
 カレンと2人きりになったトミーの命に危険を感じたレイは救出に急ぐが、意外にもカレンの正体は、組織内部に潜むスパイを探る任務のCIAであり、その任務から周囲を欺いていたことが判明する。ところがそこへ押し入ったロシア人組織の手でトミーとカレンは連れ去られ、かろうじて逃げたレイは輸出されるジーンズに超小型爆弾が仕掛けられていることを知る。
 囚われの身となったトミー、カレン、そして大量の超小型爆弾を載せた巨大なタンカーが待つ埠頭に急ぐレイ。彼は果たしてこの最大の危機を乗り越えられるのだろうか…。



『ノック・オフ』の楽しみ方

<ノック・オフは香港活劇なんです>

 この映画について語ったり、本当の意味で楽しむ為には、香港アクション映画について少し語っておく必要があるだろう。映画製作の過程で、(1)主演のジャン=クロード・ヴァン・ダムが「アクションの真髄は香港にある」と言及し、(2)ハリウッドでもすでにメガフォンを取った香港映画の代表格、ツイ・ハーク監督と『ダブルチーム』以来のタッグを組んで、(3)ハリウッド映画でありながら、香港という土地を熟知した現地のスタッフを中心に製作された作品、とくれば、自ずから理由は明らかだろう。つまり、この作品はまぎれもない香港アクション映画なのだ。  それでは香港アクション映画とは一体…? ということになるのだが、極論を承知で言い切れば、重要なのはセリフや物語ではなく、アクションシーンのみなのである。その最大の魅力であるアクションを、過激に、過剰に、美しく、カッコ良く、そして劇的に見せてくれるのが香港アクション映画なのだ。この際、それ以外はどうでもいい。万に一つ物語や人物背景などを見失っても大丈夫。十分楽しめる偉大なジャンルだ。アクション(運動)によって語っていく映画の原点がそこにあるとも言えるだろう。物語を楽しむな! セリフを楽しむな! アクションを楽しめ! その点、この映画は香港アクション映画の血が盛大に脈打つ、まぎれもない香港活劇となっている。完璧に計算し尽くされたアクションシーンには正にくぎづけ状態。もっとも、「やはり映画は物語とセリフ」と考える方々にはあまりオススメしない。敢えてハッキリと言えば見ないほうがいいだろう。この作品は、ジャン=クロードのカンフー映画から始まった香港活劇への限りない敬愛から生まれた作品だから。その辺がピンとこない方には少々ツライかも。私自身は、冒頭、香港の町を満面の笑顔で車を走らすジャン=クロードの姿だけで満足したのだが。



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