『めぐみ ─ 引き裂かれた家族の30年』
"ABDUCTION : THE MEGUMI YOKOTA STORY"


2006年11月25日より渋谷シネマGAGA!ほか全国にて順次公開

2006年/アメリカ/90分/提供:『めぐみ ─ 引き裂かれた家族の30年』上映委員会/配給:ギャガ・コミュニケーションズ

◇監督:クリス・シェリダン&パティ・キム ◇製作:ジェーン・カンピオン

◇キャスト:横田滋、横田早紀江、増元照昭



| 解説 | ストーリー | キャスト&スタッフ |
| オフィシャルサイト | WERDE OFFICE TOP | CINEMA WERDE |



【解説】

◆"拉致"という国家的陰謀に巻き込まれてしまった普通の家族。
それから30年 ─ 。
娘を取り戻したい強い思いが、人を、国を、世界を動かしていく。


1977年11月15日朝、いつものように学校へ出かけた当時13歳の横田めぐみさんが忽然と姿を消した。その時から平和だった日々が一変する。横田さん一家は帰ってこない娘を探し続け、あらゆる事態を想像しながら、彼女の無事を祈り続けた。その実態が<北朝鮮拉致事件>という途方もないものとは思いもしないで……。

それから30年 ─ 。怒りや悲しみに包まれながらも娘の生存を信じ続け、娘を取り戻すための果てしない闘いの日々が続く。その家族の凛々しくも懸命な姿は強い力で人々を巻き込み、やがて国家までも動かしていく……。

新潟県で起きた「横田めぐみさん失踪事件」は、いまでこそ「北朝鮮拉致事件」という誰もが知る事件だが、その真相は、長い年月をかけた家族の孤独な闘いによって明らかになった。大がかりな捜索にも関らず手がかりが何もつかめない、まるで"神隠し"にあったような事件として扱われた。生きているかどうかもわからないままの長い年月、横田さん夫妻は、ありとあらゆる方法でめぐみさんを捜し続けた。そして、1997年、日本中で起きていた奇異な失踪事件の数々が線となって繋がり、失踪事件の全貌が明らかになった。その真相は、「めぐみさんは北朝鮮工作員によって拉致された」という驚愕の事実。家族にとっては、更なる悲劇の始まりだった……。

それでも、めぐみさんの生存を心から喜び、そして娘を取り戻すため、ほんの些細な手がかりでも希望としてつないでいく横田さん夫妻。他の拉致被害者の家族と一緒に、拉致問題解決に向けた運動を本格化していく。しかし、その個人的な悲劇は、真相に近づけば近づくほど、個人ではどうにもできない場所へと押し流されてしまう。拉致事件の存在すら認めようとしない政治家たち、無関心な大衆、個人の存在を無視して駆け引きを続ける国家、さらに、偽装やウソの情報しか提供しない北朝鮮という国。そのすべてに翻弄され、数々の妥協を強いられる家族たち……。

失踪から約30年の月日が流れ、70歳をともに越えた横田さん夫妻は、小柄で穏やかで、見た目には弱々しくさえ映る。しかし、娘との再会を信じるその気持ちは、時に国家という巨大な存在に行く手を阻まれながらも、決して折れることはない。その小さくても強い家族の切なる思いに人々が共鳴し、さらにそれは大きな力となって国を、そして世界を動かしていく。だからこそ、『めぐみ ─ 引き裂かれた家族の30年』は、この事件が日本に住むどの家庭にも起こりえたという戦慄を与えるのと同時に、そこに描かれている"時に風化されない親の愛"が家族を持つすべての観客の胸に迫りくるのだ。



◆全米が騒然! アメリカ人ジャーナリストが描いた、
ニュースでは届かない感動のドキュメンタリー。


アカデミー賞受賞監督であるジェーン・カンピオン(『ピアノ・レッスン』)を製作総指揮に迎え、この衝撃的で感動的なドキュメンタリーを撮ったのは、クリス・シェリダンとパティ・キム監督夫妻。それぞれが新聞記者とキャスターというジャーナリストの顔を持つこの二人は、2002年の小泉総理の初訪朝の記事の中で北朝鮮による拉致問題と、それによって奪われた娘を捜し続ける横田さん夫妻の存在を知り、「この事件、そして横田さん夫妻の愛と勇気をフィルムに収めたいという衝動に駆られた」と語っている。

映画は、拉致問題解決に奔走する横田さん夫妻に密着するとともに、報道や記録資料、関係者の証言によって、その30年という歳月を映像によって紡いでゆく。ひとつの失踪事件が、やがて点と点をつなぐように別の失踪事件とつながっていき、得体の知れない陰謀のアウトラインが見え始める……そのサスペンスは、いたずらにドラマティックな演出を加えられることなく、拉致問題を知る観客には迫り来るような悲しみを、拉致問題を知らない観客にはフィクションのような事実の衝撃を際立たせてゆく。

中でも脱北した北朝鮮の元工作員、アン・ミョンジンの証言は、多くの感情を掻き立てるショッキングなものだ。拉致実行犯から聞いたという、めぐみさんの拉致の理由、生々しい輸送船内での状況、そして自身の平壌でのめぐみさんの目撃証言、そして彼女の現在。めぐみさんはなぜ拉致されたのか、なぜ死んでいないのか、なぜ帰国することができないのか ─ 拉致問題にある恐怖と絶望を世界に知らしめることで、この作品自体が問題へのわずかな希望になりえることをも示している。

世界各国の映画祭では、観客から最も支持を得た作品に贈られる「観客賞」を多く受賞。ハリウッド公開時には、「親子の愛の物語に涙が流れた。そして世界の人が知るべき事件」と多くの観客から声が寄せられ、本年度アカデミー賞ドキュメンタリー部門最有力候補として各紙で報じられている。



 


【ストーリー】

◆なぜ拉致されたのか、なぜ帰国できないのか ─
家族たちの絶望、そして残されたかすかな希望。


1977年11月15日、新潟に住む13歳の中学生・横田めぐみさんが、下校途中に忽然と姿を消した。誘拐や家出の可能性を含めた警察の捜査が始まり、めぐみさんの両親である横田滋さん、早紀江さんも、テレビ番組などの公開捜索に参加するなど、ありとあらゆる手段でめぐみさんを捜し続けるが、その行方はようとして知れなかった。

事件から2年が過ぎた頃、日本海側で頻発したアベック失踪事件の新聞記事が早紀江さんの目に留まる。北朝鮮が関与した拉致事件 ─ その疑いは、さらに20年後の1997年、北朝鮮から脱北した元工作員の証言によって、ようやく立証されることになる。めぐみさんは北朝鮮によって拉致されたのだ。

横田さん夫妻を中心に「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(通称:家族会)」が発足され、その活動が始まる。だが、政府の対応は冷たい。拉致問題解決への動きは遅々として進まず、その間に被害者家族たちの高齢化ばかりが進んでゆく。鹿児島で拉致された増元るみ子さんの父、増元正一さんや、福井で拉致された地村保志さんの母親など、再会を果たせぬまま亡くなる家族たちに、横田さん夫妻の心は揺れる。そんな中、実現した小泉純一郎総理の初訪朝に、新たな希望を見出す横田さん夫妻ら家族会の人々。そこで北朝鮮は初めて拉致の事実を認め、拉致被害者13名のうち、5名生存、8名死亡という、家族会の明暗をわける結果を発表した。

死亡の明確な証拠は示されないことに一縷の望みを託し、横田さん夫妻の救出活動は続いていく。依然として続く政府の経済援助、心ない人々の中傷、ニセ遺骨問題や孫娘キム・ヘギョンさんを使った北朝鮮による揺さぶり……そんな中で「もう一度、娘を抱きしめたい」という気持ちだけが、ともに70歳を越えた夫婦を支えている。

そのたゆみない活動は、今年で30回目の秋を迎えようとしている。





 


【キャスト&スタッフ】

■横田滋/横田早紀江

横田滋、1932年、徳島県生まれ。横田早紀江、1936年、京都府生まれ。北朝鮮による拉致被害者、横田めぐみさんの両親。滋さんは「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」(通称「家族会」)の代表もつとめる。

滋さんが日本銀行広島支店から新潟支店に転勤となり、一年余り経った1977年11月15日、長女めぐみさんが北朝鮮による拉致被害を受ける。当初は誘拐や家出ではないかと思われた事件だったが、同時期に、新潟や福井など日本海側で頻発していたアベックの蒸発と北朝鮮との関わりをスクープした1980年1月の産経新聞の記事をきっかけに、横田夫妻は北朝鮮による拉致への疑いを持ちはじめる。そして1997年、脱北した北朝鮮の工作員の証言により、その事実がようやく確認される。実に失踪から20年後のことである。同年2月3日、実名を公表して救出活動を行うことを決断した横田夫妻は、同年3月「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」を発足、以来その活動の中心的な役割を果たしている。

2002年の小泉首相の初訪朝を経て、拉致被害者の一部帰国を実現するなど、その活動は本格化。日本のみならず世界各国の拉致被害者との連携を図り、横田夫妻は、北朝鮮でのめぐみさんの夫とされる韓国人拉致被害者、キム・ヨンナム氏の家族とも面会。また、今年4月にはアメリカ下院公聴会での早紀江さんの訴えをきっかけに、ホワイトハウスにてブッシュ米大統領との異例の面会を果たしたほか、イギリス国防副長官、アナン国連事務総長など、拉致問題解決のための国際的な協力を呼びかけている。

2004年11月の第3回日朝実務者協議において、北朝鮮側は1994年4月にめぐみさんが死亡したとし、その「遺骨」を提出するも、日本でのDNA鑑定の結果、別人のものであることがわかった。横田さん夫妻はめぐみさんの生存を信じ、彼女の娘であるキム・ヘギョンさんとともに日本への帰国を果たせるよう、たゆまぬ活動を続け、多忙な毎日を過ごしている。

著書に、『めぐみ』(横田 滋・横田早紀江 著/双葉社)、『めぐみ、お母さんがきっと助けてあげる』(横田早紀江 著/草思社)、『ブルーリボンの祈り』(横田早紀江 共著/フォレストブックス)。



■増元照明

1955年、鹿児島県生まれ。拉致被害者、増元るみ子さんの弟。「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」事務局長。

姉・るみ子さんは、1978年8月12日、鹿児島県で、交際中の市川修一さんとともに失踪。同年7月7日には、福井で地村保志さんと浜本富貴惠さんが、7月31日には、新潟で蓮池薫さんと奥土祐木子さんが、それぞれ失踪。このことが1年半後に、北朝鮮による拉致事件の可能性を初めて示した産経新聞の記事となる。1997年、北朝鮮の元工作員アン・ミョンジン氏が、ピョンヤンで市川さんを目撃したと証言。それをきっかけに、横田さん夫妻たちとともに「北朝鮮による拉致被害者家族会」を発足、事務局次長に就任。2003年1月には特定失踪者問題調査会の常務理事に就任、4月の参院選では東京選挙区から無所属で出馬。惜しくも落選するも、その後も精力的な活動を続け、2005年4月には家族会事務局長に就任した。

北朝鮮によれば、るみ子さんは1979年に市川修一さんと結婚。1981年に心臓麻痺で死亡したとしているが、これを裏付ける資料は一切明らかにされていない。娘の日本への帰国だけを願い続けた父・増元正一さんは第一回目の小泉訪朝直後に肺ガンで死亡。その遺志をつぎ、活動を続けている。



■ジェーン・カンピオン(製作)

1954年、ニュージーランド生まれ。シドニーで育ち、オーストラリア・フィルム・アンド・テレビ・スクールで学ぶ。在学中に作った短編映画で高い評価を得て、長編『エンジェル・アット・マイ・テーブル』(1990)で国際的な注目を集める。1993年の『ピアノ・レッスン』では、ニュージーランドの監督では初のカンヌ映画祭パルムドールを受賞したほか、アカデミー賞でもノミネート8部門中3部門を受賞するなどの快挙を成し遂げ、その名声を確固たるものとした。その後も『ある貴婦人の肖像』(1996)、『イン・ザ・カット』(2003)などの話題作を発表するなど、世界で最も知られた女性監督の一人である。彼女は自らも認めるドキュメンタリー映画の大ファンでもあり、『めぐみ ─ 裂かれた家族の30年』は彼女が製作する初のドキュメンタリー映画である。


■クリス・シェリダン&パティ・キム(監督)

クリス・シェリダン、1969年6月11日アメリカ生まれ、パティ・キム、1969年12月9日カナダ生まれ。新聞編集者を経て、プロデューサー、ディレクターとして数本のドキュメンタリーなどを手がけたクリスと、CBCの看板キャスターの一人であるパティは、2000年5月に結婚。ワシントンDCを拠点に、夫婦の監督チームとして活動している。モンゴルを「心の故郷」と考える二人は、過去の作品では、北アフリカ、アジア、南米をはじめ、深さ1.5マイルの海図にない太平洋にまで及ぶ撮影を敢行し、ナショナル・ジオグラフィックからの受賞経験を持つ。またPBS(Public Broadcasting System/アメリカの公共放送サービス)、CBC(カナダ放送協会)、NBC(アメリカ)、CBS(アメリカ)などのテレビ局でも作品を残している。

その名を世に知らしめたのは、ソマリアで暴徒に殺された若きフォトジャーナリストの数奇な人生と、その後を描いた"Deadly Destiny"で、2004年のニューヨーク国際インディペンデント映画祭において最優秀作品賞を受賞している。

『めぐみ ─ 裂かれた家族の30年』は、二人にとって最初の長編ドキュメンタリー作品である。