『トイ・ストーリー2』監督来日記者会見
 2月21日(月)帝国ホテルにて
●出席者:ジョン・ラセター監督

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【質疑応答】

◆質問: 2作目にあたるこの『トイ・ストーリー2』の複雑で面白いお話は、最初の1作目の段階から考えていらっしゃったのでしょうか。それと、もう1つは、最近観たビデオで、古くなった電気製品が主人を探しに行くという作品(『ブレイク・リトル・トースター』?)を拝見したのですが、これも今回の作品のヒントになっているのでしょうか?

■(ジョン・ラセター監督): まず、『トイ・ストーリー』の続編の話をいただいた時なんですが、ピクサー社としては、本当に良いストーリーと、夢、アクション、そういう要素がある作品ならば作りたいと思いました。映画の続編というと、1作目とあまり変わらないことをしているという印象を持つのですが、今回の『トイ・ストーリー2』では、そういった作品を作りたいとは思いませんでした。もともと、今回の『トイ・ストーリー2』のアイディアは、自分の経験、子供からヒントを得ました。北原さん(「横浜ブリキのおもちゃ博物館」館長。以前、監督は博物館を訪れ、今回の『トイ・ストーリー2』を制作するにあたって多くのインスピレーションを受けたという。今回の会見では、質疑応答前に北原氏から監督へのビデオレターも公開された)ほどではありませんが、自分の部屋にも多くのおもちゃのコレクションがあります。私には5人の子供がいるのですが、長男を除いて、他の4人の子供は私の持っているおもちゃで遊びたがるんです。みなさん、勘違いしてほしくないのですが、子供たちは大好きです。子供たちが私のおもちゃで遊ぶのが決してイヤだと思っているわけではないんです。けれども、ちょっと気になるんです(会場笑い)。

そこで私は考えたんです。おもちゃというものは、子供と一緒に遊ぶもの。子供ちに遊んでもらうために作られたものじゃないかと思い、ちょっと自分で笑ってしまったんです。実際におもちゃたちが生きていれば、心があれば、子供たちと遊びたいという気持ちを持っているはずです。ところが、レアもの、コレクターの方が集めているようなレアなおもちゃであれば、棚に飾られたりガラスケースの中に入れられ、一生、子供たちに遊んでもらえないし、触ってももらえないと思うんです。果たして、それはおもちゃにとってどういう人生なんだろうと思いました。そして、これは、自分で素晴らしいアイディアだと思いました。そして、ウッディが、もしもレアなおもちゃならば、話はどうなるんだろうと思ったんです。


みなさんはあまり、ウッディの歴史をあまり知ってはいただいてないと思いますし、たとえば、北原さんならばご存じだと思いますけれども、おもちゃの場合、全部の部品、パーツがなければ価値がない。つまり、ウッディの場合は帽子までちゃんと被ってますんで、価値があるとするなら面白い話が作れるんじゃないかと思いました。そして今回、この映画の中にはコレクター、マニアの方が出てきて、レアなウッディを盗んだらということも考えたんです。もうひとつ、この映画のテーマともなっていますが、おもちゃにとって一番最悪なことというのは、持ち主だった子供が大人になってしまって、おもちゃに関心がなくなって、「もう要らない」と思った瞬間なんだと思います。その感情というのも、今回、この映画の中で描いていきたいと思ったんです。そして、今回描いたウッディの将来の不安というのも、私たちが大人へとなっていく過程のことと同じようなことだと思います。今回、この映画の中で、ウッディはいろんなことを学んだと思いますけれども、その中の1つというのが、将来、自分がどうなるかなんて誰にもわからない。わからないことを悩んでもはじまらない。自分でコントロールできないことを悩んでもはじまらない。今を楽しんでいこうということだったと思います。実際、今回『トイ・ストーリー2』を作って、友人が観て、私に手紙をくれたんです。その中身とは、「昨日というのは過去のこと、明日の世界はどんなものかわからないけれども、素晴らしい贈り物だ」と書いてくれました。そして、それが今回の映画のテーマだと思っています。

それから、もう1つの質問ですが、あの作品は、私とスタッフ2人がアイディアを出し合って話をどんどん展開させていって作った作品なんです。当時は、ディレクターの方から公開されないという話だったんですが、公開されることになりまして、私自身も大好きな作品です。


◆質問: おもちゃの大好きな人っていうのは、過去に、日本でも、理由あっておもちゃが買えなかったりだとか、お母さんに捨てられたりだとかの過去があって、30代の人とか今になって必死に集めている方が多いんですが、監督もおもちゃにこだわりがある方なので、何か、過去にそういった経験というのがあるんでしょうか? それと、『バグズライフ2』だとか『トイ・ストーリー3』、具体的に続編の話は出ていますか?

■(ジョン・ラセター監督): 私が好きだったおもちゃはたくさんあるんですが、特に好きだった車のレーシング・カーと、G・I・ジョーで、車の方は持っているんですが、G・I・ジョーは、残念ながらお母さんに捨てられてしまいました。たぶん、その時のG・I・ジョーを捨てられた悲しみがバネとなって、今もたくさんのものを集めているんだと思います。まず、『トイ・ストーリー』は、『トイ・ストーリー』から『トイ・ストーリー2』を作るまで、だいぶ時間がありましたから、現段階では、そういったお話『トイ・ストーリー3』は考えてはいません。同じように、『バグズライフ2』もまだ考えてはいません。今、次の作品をピクサー社とディズニー社で考えているのは、『モンスター・イズ〜(現不明)』、私たちのこの世界を、今度は、恐竜が支配している世界という大変素晴らしい作品です。この映画はとても面白い作品になっていまして、2人のモンスターが、子供たちに出会ってどういう反応を見せるかというのが見所なんです。たぶん来年、2001年に出来上がると思っております。


◆質問: 今回、この作品はビデオとしてリリースされるのでしょうか? それと、今回声を演じた役者さんたちは、前作と同じ役者さんたちなんですが、彼らの反応はいかがなものであったでしょうか。

■(ジョン・ラセター監督): 1995年以来、ディズニー社の方では、映画の続編が出ますと、すぐにリリースをしておりますので、今回もビデオのリリースを考えております。で、今回は、お話をいただきまして続編を作ることになったのですが、いろいろと考えまして、ただ、ホーム・ビデオとして作るのではなくて、映画館でも皆さまに観ていただくことを考えまして、上映をすることになったわけです。全米でもすでに公開となってまして、大変良い興行成績を記録しておりまして、ホーム・ビデオではなくて、みなさんには映画館の方で観ていただいていると思っております。それで、声を演じてくださいました俳優さんたちなんですが、皆さんとても喜んですぐにOKを出してくれたんです。それは、続編ということではなく、今回のストーリーがとても良いということで、皆さん依頼をお受けしてくださいました。

◆質問: 今回の作品で、監督の好きなシーンはどこでしょうか? それと、監督の好きなキャラクターの好きな表情も教えてください。

■(ジョン・ラセター監督): いろんなシーンが好きで、特に好きなシーンを1つ選ぶのはとても難しいのですが、強いて言えば、ジェシーがウッディに向かって自分の辛かった過去のことを告白するシーンだと思います。とても感情溢れておりますし、ジェシーというのは、今回の『トイ・ストーリー2』の話の中で、とても重要な役割のキャラクターだと思っております。

今回、この映画を作るにあたりまして、続編ということでしたが、是非、女性のキャラクターを入れたいと思いました。独立心が強くて、みんなに好かれて、そんな女性が他の映画にはあまり出てこないというふうに思ったんです。前回の『トイ・ストーリー』は、大勢の男性の方々が小さい時に遊んでいたおもちゃのことを思いながら観ることが映画だったと思います。今回、この『トイ・ストーリー2』を作るにあたりまして、妻から、ちゃんと強い女性のキャラクターを描くまでは家に帰って来なくていいわよとまで言われました。今回の製作であります、カレン・ロバート・ジャクソンさんと、ヘレン・プロトキンさんとも、是非、女性のキャラクターを入れましょうと話していました。ピクサー社が作る作品の方針としましては、お子さんだけが観るものではなくて、10代、20代からお婆さん、お爺ちゃんの年代の方々、そして、お子さんがいらっしゃらない大人の方たちにも是非観てもらいたいと思っております。大抵のアニメーションは、女性向け、男性向け、男の子向け、女の子向けという言い方があると思いますけれども、そういうことにできるだけとらわれずに、多くの方々に観ていただきたい作品です。



◆質問: 今回、ウッディ役の唐沢寿明さんなんですけれども、監督はどんな印象をお持ちになりましたでしょうか?

■(ジョン・ラセター監督): 素晴らしい仕事をしていただきました。日本語の吹き替えを観ていただいた方はどれくらいいらっしゃるでしょうか? 英語(版)は?(記者は圧倒的に英語版を観ていた) 日本語版の方が素晴らしいです(会場笑い)。ということで、皆さん、もう1度観なければいけないということで、両方を観てください。

◆質問: その唐沢さんなんですが、まだお子さんはいらっしゃらないんですが、もしも将来、お子さんが生まれたら、そのお子さんにも観ていただきたいと思いますでしょうか?

■(ジョン・ラセター監督): もちろん、観ていただきたいと思っております。アニメーションというのは、ずっと残るものだと思っております。私の子供たちも、今でも『白雪姫』のビデオなど観ております。確かに古くはなってきていますが、大切なのは、ストーリーと、キャラクターの強さだと思います。素晴らしいものであれば、どの時代でも皆さまに観ていただけると思います。たぶん、今回の作品も、何十年もたてば、確かに古いと思われる方もいるかもしれない。でも、ストーリーとキャラクターの素晴らしさがあれば、これから先、何十年たっても、皆さまにいつまでも愛される作品になると信じております。

◆質問: ピクサーの方に伺ったのですが、今回、PLPプロジェクターを持ち込んで、当初の段階からデジタル上映をするということで色の設定をなさったとのことですが、その、実際にPLPで上映なさった状態を観て、満足なさいましたでしょうか。

■(ジョン・ラセター監督): たぶん、これは、皆さまにとってスクープになると思うのですが、日本でもデジタルでの上映はすでに決定していまして、それはどういうものかと申しますと、フィルムではなく、デジタルの状態で上映することができるものです。1年前ぐらいにデモ版を観ましたが、その時の私の顔は、マンガの中で驚いて顎がテーブルにつかえてしまったように、本当にすごく驚きました。確かに、デジタルなイメージのものを35mmの方に変換するのはとても大変な作業なんですが、それを観ると、実際にデジタルの方を観ると、「あ、完璧だ!」って思えたんです。今までのフィルムの映像を観ると「うん、いいな」とは思いましたけど、「完璧だ」とは思わなかったんです。

実際に、映画館でデジタルの映像を観ると、自分たちがピクサー社の方で観ているものとまるっきり同じものを観ていることになると思います。監督としましては、新しいテクノロジーを駆使しましたものを皆さんに映画館で観ていただきたい。たとえば、皆さまに、初日で観ていただくものと、数ヶ月たって観ていただくものと、全然変わらない素晴らしい形で観ていただきたいと思っております。と申しますのも、フィルムでの上映ですと、どうしても数ヶ月上映いたしますと、ホコリが付いたり、髪の毛が付いたり、傷付いたりいたしまして、ベストな状態のものとは言えなくて、自分としましても、ちょっと首を傾げた状態のものとなってしまうんです。そのデジタルの映像は、そういう心配がなく、いつでもベストな状態で観れますので、私自身、この上映を楽しみにしております。そして日本でも、この『トイ・ストーリー2』はデジタル上映でご覧いただけるということなので、是非、楽しみにしていてください。本当に素晴らしい、ファンタスティックな映像ですので、楽しみにしていてください。ですけど、正式な日にちなどは、後から発表されると思いますので、それまでは少しお持ちください。



この後、スペシャルゲストとして、ウッディとバズ(いずれも2メートルはある)がアニメから飛び出して会場にやって来た(写真参照)。そして、日本語吹き替え版でウッディの声を担当した唐沢寿明氏も花束を持って駆けつけた。
 なお、会場には、横浜ブリキのおもちゃ博物館、東京三菱銀行、マテル ジャパン、日本マクドナルドなどの企業をはじめ、日本のタレントたちが所有する多くのレア玩具が飾られ、会見前後に見物する記者の姿も多く見られた。



『トイ・ストーリー2』は3月11日より東宝洋画系にて公開。