『ポーラX』 レオス・カラックスほか来日記者会見 |
「今までの3作品は、私と同じ年齢の役者たちと作ってきて、今回初めて、私より若い子供、ベイビーたちと一緒に仕事をしました。前の3本は、私の若い時の、青春時代の映画だったと思います。それに比べて今回の映画は、年をとってからの映画というわけです。しかしながら、このピエールという青年と私との年の差に興味を持ちました。原作では、このピエールの未成熟さについて、作者はむしろ皮肉に語っています。しかし、私は皮肉に語るつもりはありませんでした。ピエールとともに居ようと思ったんです。ピエールと私が一致するのではなくて、ピーエルと共にあろうと思いました」 この言葉から、今回いかに彼自身の中で新たな展開があったかがうかがえるだろうか。彼の内面的展開そのものが、おそらくは、今回の『ポーラX』という作品なのだろう。ある種未成熟な若い俳優を起用し、自分もその中に飛び込んで製作したこの作品には、これからのレオス・カラックスが目指す、映画の方向性のヒントが隠されているような気がする。なにせ、知的で破天荒な青年、ギョーム・ドパルデュー(会見でもその破天荒ぶりは十分に発揮されていた)を使って、こういう作品を撮ってしまったのだから(賛否は見事に分かれると思うが)。 質疑応答が終わると写真撮影。監督とカテリーナ・ゴルベワは撮影を辞退したため、主演のギョーム・ドパルデュー1人の撮影会となった。この時、もしかしてレオス・カラックスをはじめとする3人の煙草は、この記者会見への退屈や気ののらない感じ、イラダチの象徴だったのではないだろうか…という思いが頭をよぎった。しかし、会見後、集まった記者の何人かが監督にサインを求めると、彼の"サイン会"は実に15〜20分にも及び、1人1人と笑顔でシッカリと握手をしている監督を見ていると、その疑惑は消し去られるかのようだったが…。 『ポーラX』は、1999年10月9日よりシネマライズにて公開。 |