『エンド・オブ・デイズ』 シュワルツェネッガー来日記者会見
 12月6日(月)パークハイアット東京・ボールルームにて

【挨拶】

■アーノルド・シュワルツェネッガー: 日本にまた来れてとても嬉しく思います。この間は、ご承知の通り『バッドマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』でした。その時、私は「アイ・ウィル・ビー・バック」と申し上げたので、約束通り戻って参りました。ターミネーターは必ず約束を守るのでございます。2年半、大きなスクリーンからはご無沙汰しましたけれども、日本のファンが寂しくないように、テレビの画面からコマーシャルでお目にかかっていたわけです。日本のものはいろいろ宣伝しました。他に何が残っているんでしょうか。コーヒー、ビール、ヌードル、他に何か商品がないんでしょうか。私は日本には何回も来ましたけれども、最初に私が日本に来たのは、忘れもしない、私がボディビルのチャンピオンの時にウェイト・トレーニングのヘルシー商品の宣伝のために参りました。その後は、映画の宣伝で参りまして、今回は、私の映画の中でも一番大きな映画『エンド・オブ・デイズ』を持ってきたわけです。これは、今までの私の映画でも、恐いということでもトップです。これを今回、日本の皆様に観ていただきたいと思い参りました。この映画は、アメリカ、ラテンアメリカ、ヨーロッパ方面で、大変なヒットをしております。日本でも必ずヒットすると自信を持っております。質問のある方は、どうぞ。

【質疑応答】

◆質問: 『エンド・オブ・デイズ』は久しぶりの映画になるのですが、この作品を選んだ理由を教えてください。

■シュワルツェネッガー: 私は心臓の手術をいたしまして、ファンには大変ご心配をかけました。で、もうアーノルドは、ああいったアクションは出来ないのではないかと心配された方もいらっしゃる。で、私はその方々にしっかり言いたい。私はこの通りすっかり直りましたので、これまで以上のアクションが出来るということを証明したくて、この作品を選んだわけであります。ビッグバンのようなインパクトがこれにはありましたから。ストーリーやシナリオが良かったから選んだことももちろんあります。このシナリオは本当に良く書けていると思いましたし、キャラクターがとても気に入りました。傷ついたアンチヒーローみたいな所がとても気に入った。それから、あれほど先物買いがはびこるハリウッドで、ミレニアム、つまり、2000年を描いた映画がこれ1本だったという斬新さですね。そして、この映画が持つメッセージ性に魅かれてこの映画を選びました。


◆質問: これまで、ありとあらゆる敵と戦ってきたあなたですが、今回の超自然的なサタンという敵は、戦い甲斐はどうでしたか?

■シュワルツェネッガー: 本当に、私はあらゆる敵を相手にしてきました。テロリストあり、殺人者あり、ヘビ、それから魔女などとも戦いました。それから、アンドロイド、そして妻とも戦って参りましたけれども、今回は本当に戦いの中の戦いでした。相手がサタンというのは、素晴しい相手だと思うのですね。善と悪の戦いという、これ以上の戦いはないわけですからね。最高の戦いになったと思います。人々は、こういう悪と戦う役の役作りなんて、どうやってするのかを聞くんですね。その時、私はいつも、簡単だよって言うんです。ハリウッドで2週間ほどエージェントという大変恐い人達と付き合えば、どんな敵も平気だと。そこで訓練されていますから映画の中では軽いんです。

◆質問: 今回の映画の中で、1番大変だったことと、1番シュワルツェネッガーさんが観てほしいところ、この2つをお聞かせください。

■シュワルツェネッガー: 難しいところといえば全部が難しかった。とにかく、これだけのスケールでアクションあり、スタントあり、どれも難しい。それから、悪魔という存在には必ず火がついてくるんです。つまり、火があるとはとても危険だということですね。そういう意味ではとても危険でした。それから、ヘリのアクションにしましても、今まで、ヘリのアクションの映画はいろいろありましたけれども、そうじゃないものを観せたいということで、私自身がケーブルにしっかりぶら下がる場面は、私にとってもチャレンジでした。でも、はっきり申しまして、肉体を使ったチャレンジよりも、演技の面でのチャレンジが多くてですね、これは特撮を使っていますので、ブルー・スクリーンの前で、何もないのに演技をする。最後の教会のあの悪魔は、もちろん後からつけられたわけですから、自分は空気と演技する。あの辺は、自分にはとてもチャレンジでした。とても苦労しました。それから2つめの質問ですが、まだ肉体を持つ前のサタンが、道路から出てきて、ニューヨークの街を浮遊してガブリエル・バーンに取りつこうとする場面ですね。壁にバーンが叩き突けられる、『エクソシスト』を思わせる場面ですが、あれは『エクソシスト』を倍にした迫力で、私はあの場面が好きです。それと、やはり最後の方のニューヨークの地下鉄の場面ですね。悪魔は地下に住んでいるわけですね。2人は電車に飛び乗る。電車は物凄いスピードで突っ走っている。悪魔は2人に見えない。悪魔は電車の運転手を殺す。後ろから胸を突き破って心臓をつかんでいる画が、正に視覚的にも凄い。とにかく、あのスピードの中で、そういうドラマが展開してくあの場面は本当に凄いと思います。

◆質問: ご自身はミレニアムについてどうお考えでしょうか。また、サタンが実際にやってきたらシュワルツェネッガーさんはどういう行動をとりますか?

■シュワルツェネッガー: まあ、世界中で世紀末的な不安を抱えているわけですね。何が起こるかということをみんなが心配している。世界が終わるんじゃないか。また、コンピューターの問題もありますし、酷いことが起こるんじゃないか、地震がくるんじゃないかとか、いろいろありますね。でも、私は言いたい。世界よ聞きなさい、悪魔が来ることもあるのだよと。もう一つの恐怖を、この映画は言っているのだと思います。私自身は、今年の大晦日の予定は、北米のスキー・リゾートへ行って、家族とスキーをやって楽しむはずです。酒盛りをしてますので、そんなことは全然心配は入りません。でもまあ、真面目な話、ミレニアムということを考えますと、この映画では、確かにバイオレンス、爆発、人間の恐怖などが描かれております。このヒーローもそういう状況の中で腕力を使い、武器を使って切り抜けているわけですね。でも、最後に彼が悟ることは、そういうものは悪魔が作ったものである。武器は悪魔が作ったものである。だから、そういうもので戦っても悪魔には勝てないと、彼は全部捨ててしまうわけです。そして、彼が最後に頼ったのは内面の力なんです。何かを信じるという力ですね。で、彼は勝つわけです。そういうメッセージを描いているというのは、ミレニアムに繋がるメッセージだと思います。20世紀を振り返りますと、人間の世紀の中で、これほど暴力的な世紀はなかったと思うわけです。人々は、銃を持って殺しあって、不必要に人の命を奪ってきた。で、暴力には暴力で対する、これが20世紀の生き方だったと思うのです。で、21世紀になってからは、銃は捨てましょうと、平和的に対処していきましょうとこの映画は言っている。それに必要なのは、何かを信じるということであり、内面的な強さを持つことである。無駄な殺しは止めましょうというメッセージを投げかけている映画だと思います。

◆質問: 2004年にはオーストリアの大統領になるという話もありますが、その辺はどうなんでしょうか?

■シュワルツェネッガー: 最初の噂は、私が死んだという噂でした。それから、カリフォルニアの知事になるという噂、それが今やオーストリアの大統領ですか? それから、今は、アメリカの大統領はあそこで生まれた人しかなれないという憲法があるんですが、私が憲法を変える気だというような噂まで流れております。それは全て嘘のことでありまして、私は本当にショービジネスが好きで、人々に娯楽を与えることが使命と思っております。日本の皆様や世界の皆様に、エンターテイメントを差し上げていくという基本線は絶対に変わりません。まあ、監督とかはやることもあるかもしれませんが。

◆質問: 映画では世界を救ってきたシュワルツェネッガーさんですが、ご自身もいろいろとチャリティなどに積極的に活動されてまして、今の立場で、地球人類を救えるとしたらどんなことをやってみたいでしょうか。

■シュワルツェネッガー: それは、互いに責任を持って生きて行こうという姿勢であると思います。政治とか政府、そういう所の人たちは、公約は大抵守らないので、そういう人たちに頼っても無駄なんです。なかなかことは進まない。ですから、自分たちが社会で、たとえば、お金持ちの人は貧しい人たちに援助をする。あるいは、強い者は弱い者を助ける。私自身でいえば、そういうことから出来るだけチャリティに熱心に協力している。その1つが、スペシャル・オリンピックというので、日本ではここ数年、このスペシャル・オリンピックは凄い発展いたしまして、いわゆる、そういうハンディキャップがある方々に、学校であるとか、お仕事を世話するとかですね、そういった病院のドアを開いて、社会に復帰させるという、こういうことが進歩があることです。私の義母(ケネディ家のお母さん:通訳者の解説)、1人の女性がやったことが、世界的な規模になったわけです。そして、日本とかオーストリアなどの国境を越えて、世界中の人達が互いに助け合い手を差し伸べるということが大切だと思います。

●司会者: ありがとうございました。

『エンド・オブ・デイズ』は12月25日(土)より日本劇場ほか全国東宝洋画系にて公開。