■「第12回東京国際映画祭」コンペティション
(10月30日(土)〜11月7日(日)/渋谷Bunkamuraほかにて)

コンペティション 作品紹介

★賞金受賞対象作品
『ミッドナイト・アンド・ハーフ/A La Media Noche Y Media』
1999年/90分/35mm/カラー  ◇監督:マリアナ・ロンドン、マリテ・ウガス ◇製作:ヴィクトル・ルケルト ◇脚本:マリアナ・ロンドン、マリテ・ウガス ◇音楽:イグナシオ・バレト、トリナ・メディナ、ロス・ロドリゲス ◇撮影:ミカエラ・カハウアリンガ ◇編集:アルベルト・ゴメス ◇録音:アウロラ・オヘダ、フランクリン・エルナンデス、ロサ・マリア・オリアル ◇キャスト:サルヴァドル・デル・ソラル、マリア・フェルナンダ・フェロ、コンスタンサ・モラレス ◇配給:未定
 ラテンアメリカのある町が津波に襲われる。人々は逃げ惑い、道は車で埋る。疑い深い流れ者の青年は写真家の女性に恋しているようだ。私の予言通りに動けば2人は結ばれるのに、と少女は思う。町に残されたこの3人をめぐって展開する終末的幻想ロマン。
 海と海岸線を走る車、そして音楽。冒頭の映像にハッとして、思わず期待が高まるのを感じずにはいられなかった。が、しかし……。動的で開放的なものを連想させる流れが止まり、いきなり停滞してしまった物語は、届いたかもしれない地点を予測したまま踏み切るのをやめたような、すっきりしないものを観る者の心に残す。全編を通じて印象的な水のイメージや、暗示的なことばとモチーフが気持ちをくすぐるだけに残念だ。


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★賞金受賞対象作品
『オネーギン/Onegin』
1998年/106分/35mm/カラー  ◇監督:マーサ・ファインズ ◇製作総指揮:レイフ・ファインズ ◇製作:アイリーン・メイセル、サイモン・ボサンクウェット ◇原作:アレクサンドル・プーシキン ◇脚本:マイケル・イグナティエフ、ピーター・エテッギ ◇音楽:マグナス・ファインズ ◇撮影:レミ・エイドファラシン ◇キャスト:レイフ・ファインズ、リヴ・タイラー、マーティン・ドノヴァン、トビー・スティーヴンス、レナ・ヒーディー、ジェイソン・ワトキンズ、ハリエット・ウォルター、イレーヌ・ウォース ◇配給:ギャガ・コミュニケーションズ
 若き日の女の幻影に囚われ、苦悩する没落貴族オネーギン。ロシアの文豪プーシキンの代表作と謳われる悲劇の恋を描いた一大叙事詩。主演にはレイフ・ファインズ、相手役にリヴ・タイラーが臨む。
 ロシアの皮膚に突き刺さるような寒さを、実に良くフィルムに焼き付けている。全編、寒そう。上流社会に意味を見い出せずにいる貴族オネーギンが、結末へ向けてどんどん情けない男になっていく様を、レイフ・ファインズが演じるとまるで自然だ。これほど悲劇が似合う俳優もなかなかいないだろう。最近は、こういう悲劇的物語を描いた作品を観ることも少なくなったので新鮮に思えた。


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★賞金受賞対象作品
『破線のマリス』
1999年/108分/35mm/カラー  ◇監督:井坂聡 ◇製作総指揮:岩下孝広 プロデューサー:大平義之、八木欣也 ◇原作:野沢尚 ◇脚本:野沢尚 ◇音楽:多和田吏 ◇撮影:佐野哲郎 ◇美術:斎藤岩男 ◇キャスト:黒木瞳、山下徹大、陣内孝則、筧利夫、篠田三郎、中尾彬、堤寛大、中村敦夫 ◇配給:アスミック・エース エンタテインメント
 世紀末、東京。女性テレビ編集者、瑤子のもとへ、ある大学と郵政省の汚職疑惑、それに絡む殺人事件の内部告発が記録された1本のビデオテープが持ち込まれた。彼女は番組を作り上げる。しかし、疑惑をかけられた男、麻生は無実を訴えて激しく抗議、謝罪を要求し、執拗に瑤子を付け回す。そんなある日、またしても瑤子のもとへビデオが……。そこには、寝室にまで忍び込んだ、彼女の私生活を盗み撮りした映像が写っていた!
 真実、真相の要素を並びかえることで、新たな物語をデッチ上げるTV報道の内幕を描いた恐い話。しかし、映画というフォーマットでこれを語る場合、果たして、あの意外な情感(=ある「愛」)を観る者に喚起させる結末が正解だったのかどうか。この結末によって、本作自体が無理を押した作りものであるかのように思えてしまうかもしれない。もちろん、時代のマリス(悪意)がウィルスのように遺伝するというのはわからなくもないのだが。


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★賞金受賞対象作品
『ナン・ナーク 〜ゴースト・イン・ラヴ〜/Nang Nak』
1999年/100分/35mm/カラー  ◇監督:ノンスィー・ニミブット ◇製作総指揮:ウィズート・プーンウォララック ◇脚本:ウィシット・サーサナティヤン ◇音楽:バッカワット・ワイウィッタヤ ◇撮影:ナタウット・キッティクン ◇美術:アカデット・ゲーウォット ◇編集:スニット・アッサウィニクン ◇録音:ユッタナー・トゥサーウット ◇照明:スームサン・セーンキッリサワット ◇キャスト:インディラー・ジャルンプラ、ウィナイ・グライブット、プラモート・スックサティット、プラッチャー・ターウォンファー、パッチャリヤー・ナークブンチャイ、ブンソン・ユーヤンユーン、マーニット・ミーゲーオジャルン、モントリー・ゲートゲオ ◇配給:未定
 タイで実際に起きた、今は伝説となっている話を映画化。夫と強い絆で結ばれていた若い妻ナークは、肉体がこの世を離れても、魂は夫の側に暮らすことを望んでさまよった。彼女は愛が永遠であり、死さえもその信念を打ち消すことはできないと信じてやまなかった……。2年の準備期間をかけ、美術や衣装はもとより、言語や演技も忠実な再現に努めた監督は、舞台となる寺院も3カ所のロケ地で撮影した。
 戦争によって裂かれた男女の愛を、実に東洋的でストレートなゴースト・ストーリーに仕上げた作品だが、西洋人がこの作品を観ると、非常に魅かれるものがあるのかもしれない。100年前のタイを舞台にしているが、不思議と亜熱帯気候の蒸し暑さが、恐怖感覚を増幅させている。ほぼ全編にわたって映される、ワニ、ヘビなどの爬虫類が生息していそうな濁った川は、やっぱり恐い。


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★賞金受賞対象作品
『アローン 〜ひとり〜/Solas』
1999年/100分/35mm/カラー  ◇監督:ベニート・サンブラノ ◇キャスト:アナ・フェルナンデス、マリア・ガリアナ、カルロス・アルバレス・ノヴォア ◇配給:未定
 横暴な父親が支配する家庭から、自由と夢を求めて都会へ逃げてきたマリア。今は孤独で、愛に傷ついた彼女に、希望と人間の尊厳を取り戻させたのは、ひたすら忍従することで老いを迎えた、もの言わぬ母親の姿だった。
 「もの言わぬ母親」と解説に記されているが、確かに、母親のセリフは最小限に絞られており、やはり、本作の魅力は彼女の存在に集約されるといえるだろう。タイトルは、登場人物である娘と、彼女が住む同じアパートで1人暮らす老紳士、そしてもう 1人、この母親に向けられていると解釈したときに、作品が持つ限りない「優しさ」と「母性愛」が見えてくるような気がする。結末では、ある都合の良さと納得したい気持ちとが、観る者の心の中で揺れるかもしれないが、そのパラドキシカルな感情を感じるからこそ、見えてくる「希望」もある。


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★賞金受賞対象作品
『ママ/Mama』
1999年/100分/35mm/カラー  ◇監督:デニス・イェフスティグニェフ ◇キャスト:ノンナ・モルヅドゥコヴァ、オレグ・メンシコフ、ヴラディミル・マシコフ ◇配給:未定
 20年前、兄弟で編成された人気バンドがハイ・ジャックを企て、失敗した。現在は離れ離れに暮らしている彼らを、もう1度、母親がモスクワに呼び集める。旧ソ連で実際に起きた大事件をモチーフにした作品。
 カンヌ映画祭グランプリ受賞作『タクシー・ドライバー』('90・ソ連=仏)で、撮影監督として国際的な評価を受けたデニス・イェフスティグニェフ監督作。1988年に旧ソ連で実際に起きた悲惨な事件を引き起こした首謀者であり、一方で子どもたちを豊かな愛情をもって支えていくひたむきな母親の姿を、ノンナ・モルジュコーワが好演している。


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『虹鱒』
1999年/100分/35mm/カラー  ◇監督:パク・チョンウォン ◇キャスト:カン・スーヨン、ホァン・インスン、スル・キュング ◇配給:未定
 ソウルから離れた山奥で鱒の養殖をしているチャンユンのもとに、同級生2人が家族連れでやって来た。再会を喜び合ったのも束の間、粗野な狩人たちとの係わりや、恋愛問題のもつれから複雑になっていく人間関係の様子が長閑な山々を背景に描かれる。
 前作『永遠なる帝国』('95/韓国)で韓国アカデミー賞にあたる大鐘賞、作品賞を含む8部門を受賞したパク・ジョンウォン監督作。原作ものが続いていたが、今回は監督自ら脚本を担当したオリジナル。都会では見えづらい人間の暗い側面を、閉ざされたシチュエーションで展開させようするのだが、山奥という場面設定が十分に活かされていないため伝わってこないように思う。寒いときに精力を高めるため、男性が川に下半身を沈ませておくところなど、独特の文化的側面に通じるシーンは興味深い。


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★賞金受賞対象作品
『マリアの息子』
1999年/71分/35mm/カラー  ◇監督:ハミド・ジェベリ ◇キャスト:モーセン・ファルサフィアン、ラフィック・ベルガブリリアン、ハジー・ナイニザーデ ◇配給:未定
 ラフマンは村のモスクでコーランを読み上げるのが役目、牛乳配達の仕事も手伝っている。彼が慕うのは1人住まいの神父。母親に似た聖母像もラフマンが教会に惹かれる大きな要素だ。年老いた神父が事故に見舞われた時、彼にとって新しい冒険の旅が始まった。


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★賞金受賞対象作品
『ツイン・フォールズ・アイダホ/Twin Falls Idaho』
1998年/105分/35mm/カラー  ◇監督:マイケル・ポーリッシュ ◇キャスト:マーク・ポーリッシュ、マイケル・ポーリッシュ、ミシェル・ヒックス ◇配給:大映
 モデル志望の若いコールガールと心優しきある特別な双子の兄弟。彼らの愛に満ち、時に奇妙な同居生活を描く友情と再生の物語。監督・脚本・主演は、本作が全米デビューとなったアメリカ出身のポーリッシュ兄弟。
 なぜ今この作品なのだろうという漠然とした思いを除けば、監督2人のセンスと持ち味が随所に生かされた佳作だといえるだろう。登場人物がいずれも自然体で魅力的なので、とかく困難のつきまとう世の中でも何とかやっていけそうな、そんな気持ちにさせてくれる1本。


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★賞金受賞対象作品
『スプリット・ワイド・オープン 〜褐色の町〜/Split Wide Open』
1999年/107分/35mm/カラー  ◇監督:デーヴ・ベネガル ◇キャスト:ラーブル・ボス、ライラ・ロス、シヴァジ・サタム ◇配給:未定
 ボンベイの裏町で暮らしている花売りの少女が誘拐された。養妹を探して町中を歩く男性の目を通して、今置かれているボンベイの現実が浮き彫りにされる。新しいインドは世紀の変わり目に直面して大きな変化をとげようとしているようだ。
 花売りの少女が誘拐され、ボンベイのストリートを探し回る男の物語と、視聴者の隠された性の秘密を告白するTV番組「スプリッド・ワイド・オープン」がスクリーン上で同時に展開される。児童虐待や同性愛など、これまでインド映画の主流となる作品では語られてこなかった生活の実態が描き出される。ドキュメンタリー作品を数多く手がけてきた、デリー出身のデヴ・ベネガル監督作。 2年前の新聞に掲載されていたコラムをきっかけに、国内で起きている倒錯的な出来事や性生活の実態などを徹底的にリサーチ。インドでも、他のアジアの国々と同じ一種の"西洋化"が起きていることを伝えている。


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★賞金受賞対象作品
『アーベントランド 〜さすらい〜/Abendland』
1999年/140分/35mm/カラー  ◇監督:フレッド・ケレメン ◇キャスト:ヴェレーナ・ヤッシュ、ウォルフガング・ミヒャエル、アドルフォ・アッソー ◇配給:未定
 ドイツの気鋭の映画作家フレッド・ケレメンの監督第3作。失業が蔓延するヨーロッパの特定できない町を舞台に、長年一緒に暮らしている男女の絶望的な関係を一晩の出来事の中の描く作品。
 「正直なのは言葉を使わない言語」と監督自ら語るように、極端に少ないセリフと、これといった事件が起こらないまま、淡々と流れていくストーリー展開。ファンタスティックな要素をできるだけ抑制し、徹底的にビジュアル面だけで、ありのままの文化を表現しようとした実験的な作品だ。比較的近い位置から同時に撮影が行われたという、ビデオによるドキュメンタリータッチの映像と、フィルムによるフィクションぽい映像を巧みに切り換える編集テクニックが多用されていて、見る側が退屈しないような配慮が施されている。でも、140分の上映時間はどう考えても長すぎる。


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★賞金受賞対象作品
『ダークネス&ライト/黒暗之光』
1999年/102分/35mm/カラー  ◇監督:チャン・ツォーチ(張作驥) ◇キャスト:リー・カンイ(李康宜)、ファン・チィウェイ(范植偉)、ツァイ・ミンショウ(蔡明修) ◇配給:ビターズ・エンド
 全盲の両親と、知的障害を持つ弟を持ちながらも、明るく家族を支える17才のカンイー。台北郊外の港町基隆を舞台に、愛する人を失っても、再会を夢みながら、強く生きる少女の姿を描く。
 とにかく、主人公の少女を演じたカンイがカワイイ。逆に、描かれる場面があまり楽観的に見られるものばかりではない ─ 気がつけば、不穏で険悪なムードが満ち満ちている ─ため、終始彼女に花を求め、希望を託したくなってくるのだともいえよう。観客の感情移入を可能にするカンイの存在こそが本作の救いである。


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★賞金受賞対象作品
『大地と水/Home Ke Nero』
1999年/114分/35mm/カラー  ◇監督:パノス・カルカネヴァトス ◇キャスト:ヨルゴス・カラミホス、フォルティニ・パパドディマ、レナ・キツォプル ◇配給:未定
 大地と水にはぐくまれた若く、純真な愛。しかし陶酔の時が過ぎたときに、2人は傷つかずにはいられなかった。離れ離れになった彼らが都会で再会した時、愛は再び燃え上がるのだが……。
 田舎から都会へ逃れ、闇社会に溺れていく若者たちのせつない悲劇を描いた物語。脚本と製作総指揮をパノス・カルカネヴァトス監督自身が担当、エピソードなどは監督自らの体験が反映されたものとなっているようだ。ギリシアで問題となっている若者たちによる売春などの社会的なテーマも盛り込まれていて、単純なラブストーリーには終わっていないが、「若者」をテーマにしているわりにはどの役者も大人びていて(実物のフォティニ・パパドディマさんはたいへんセクシーな魅力にあふれていた)、脚本上の設定にある年齢にはとても見えないのだ。劇中に年齢を明確に説明する場面がないため、多くの観客はいい大人がいったい何をしているのだろうと疑問に感じ、作り手側が意図するテーマがうまく伝わらなかったかもしれない。


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★賞金受賞対象作品
『ルナ・パパ/Luna Papa』
1999年/106分/35mm/カラー  ◇監督:バフティヤル・フドイナザーロフ ◇キャスト:チュルパン・ハマトワ、アト・ムハメドシャノフ ◇配給:ユーロスペース
 『少年、機関車に乗る』の若き俊英による6年ぶりの新作。ある月の夜、見知らぬ青年と一夜をともにしたアマルカット。彼女は、妊娠し、青年は姿を消した。彼女と父と兄は、壮大な中央アジアに青年の足取りを辿る。
 ストーリー展開の面白さ、個性豊かな登場人物、濃密な映像などが実に素晴らしい。「あろうことか」という言い回しがしっくりくるような、さまざまな事件が多発するこの作品を観ていると、本来の映画表現における「自由さ」といったものを感じずにはいられない。特に、結末のデタラメな(ここではこれが褒め言葉として機能している)展開からくる覚醒感。この「デタラメさ」こそが、実は、本質的な意味での映画というものなのではないだろうか。今回のコンペに寄せられた作品の中でも屈指の出来だ。ラストシーンでは、泣き笑いがゴチャマゼになったようでありながら、爽快な気持ちがこみ上げてきて感動に至る。主人公の兄を演じるモーリッツ・ブライブトロイ(『ラン・ローラ・ラン』『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』でももうお馴染みだろう)がハマリ役である。


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★賞金受賞対象作品
『真夜中まで』
1999年/110分/35mm/カラー  ◇監督:和田誠 ◇キャスト:真田広之、ミッシェル・リー(李嘉欣)、岸部一徳 ◇配給:東北新社
 夜10時すぎから真夜中まで、トラブルに巻き込まれた外人ホステス(ミッシェル・リー)と彼女を助ける羽目になったジャズ・トランペッター(真田広之)の逃避行を、2時間のリアルタイムで描く大人の冒険譚。
 2時間のリアムタイムで進行することから、『ラヂオの時間』('97)のようにテンポがいいストーリー展開を期待できるかというとそうではなく、主人公たちのロマンスがじっくり描かれているかというとそうでもない。サスペンスと呼ぶには事件の発生から解決までの過程にひねりが見られず、アクションも今ひとつ。大竹しのぶや唐沢寿明、三谷幸喜らの豪華ゲスト陣が仇になって、真田の影が薄くなってしまった。


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★賞金受賞対象作品
『クリミナル・ラヴァーズ(仮題)/Les Amants Criminelles』
1999年/90分/35mm/カラー  ◇監督:フランソワ・オゾン ◇キャスト:ナターシャ・レニエ、ジレミー・レニエ、ミキ・マイノロヴィッチ ◇配給:ユーロスペース
 『ホームドラマ』のフランソワ・オゾン監督長編第2作。同級生を殺害した高校生カップルが、死体を埋めに行った森で道に迷い、森の男に捕まってしまう。実際の事件から始まる物語は、やがて童話の世界へと展開し……。
 フランスの異端児フランソワ・オゾンの、凝った映像(特に色彩感覚が印象的)と肉体のとらえ方には独特なものがある。森の中に住む男に囚われた、若き殺人者たちの運命に教訓じみたものも感じるが、それは本作が、「ヘンゼルとグレーテル」などの童話的要素も下敷きにしているためだろう。登場人物たちを切り取るワンショットの説得力、瞬間的にとらえられた表情が、その人物の心を露呈させてしまうカットにはドキッとさせられる。


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