『東京ゴミ女』
10月7日よりシネマ・下北沢にてロードショー

2000年/日本/1時間28分/製作:シネロケット+日本トラステック/制作協力:ボノボ/シネマ・下北沢

◇監督:廣木隆一 ◇製作:斎藤晃、遠藤久典 ◇プロデューサー:中島進、荒川礼子、東康彦 ◇アソシエイトプロデューサー:菊田昌史 ◇キャスティング・プロデューサー:水永久美子 ◇企画:成田尚哉 ◇脚本:及川章太郎 ◇音楽:岡村みどり ◇撮影:鈴木一博、飯岡聖英 ◇録音:土屋和之 ◇美術:林千奈 ◇助監督:宮城仙雅 ◇演出助手:白垣量童 ◇メイク:永江三千子 ◇スタイリスト:小倉久乃 ◇制作担当:鈴木嘉弘 ◇制作主任:平原大志

◇キャスト:中村麻美、鈴木一真、柴咲コウ、小山田サユリ、戸田昌宏、田口トモロヲ




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【解説】

◆どうしても捨てられないものって何ですか?

喫茶店でウェイトレスをしているみゆき(中村麻美)は、同じマンションに住むヨシノリに片想い。彼女はヨシノリのすべてを知ろうとして、彼が捨てたゴミを集めて、ヨシノリの生活を想像している。そんなある日、みゆきはついにヨシノリと出会うことができたのだが…。
愛する人のすべてを知りたい。そんな、誰もが感じたことのある想いを描く『東京ゴミ女』。彼と同じタバコを吸い、同じシリアルを食べる。ゴミを知ることで彼自身に近づいていくような感覚を持つことが彼女の幸せ。 決して器用には生きられないけれど、思わず愛しくなってしまう女の子の日常を、繊細かつキュートに描いた珠玉の青春映画です。


女の子の日常を、等身大に切り取ったのは、『800』『MIDORI』の廣木隆一。都会に住む人々の描写には定評のある彼の、登場人物を描く目線はどこまでも優しく、ゴミを捨てに行くみゆきの姿にwyilicaの「さあいこう」が流れる、感動的なシーンを紡ぎだしている。
撮影は『どこまでもいこう』の鈴木一博。『不貞の季節』に続いての廣木作品となる彼は、デジタル・ビデオの特性を生かした、人物に寄り添った映像で抜群の効果を生みだした。本作品のもう一つの主役である“ゴミ”を手掛けた美術は、『M/OTHER』の林千奈。ゴミに溢れるみゆきの部屋を、生活感を失わず、なおかつファンタジックに仕上げている。

みゆきを演じるのは、『ファザーファッカー』でデビューし、『富江』『御法度』などの話題作への出演が続く中村麻美。彼に対する一途な想いから、ゴミを集める女の子という難しい役柄を体当たりで演じて、誰もが共感できる魅力的なキャラクターを作り出した。
ヨシノリ役は鈴木一真。青山真治、阪本順治などの実力派監督の作品に出演し、最近では舞台にも出演するなど、役者としての幅を広げている彼にとって、『ゲレンデがとけるほど恋したい』以来、久しぶりの廣木作品出演となる。また、みゆきの同僚・京子を、ポンズのCMで注目された柴咲コウが映画初出演を果たし、存在感たっぷりに演じている。



 


【ストーリー】

なんの夢も目的もなく日々を淡々と暮らす、みゆき(中村麻美)。ロリコンのマスター(田口トモロヲ)が経営するバイト先の喫茶店では、暇さえあればセックス中毒のバイト仲間、京子(柴咲コウ)とともにタバコをふかす。みゆきを想って通い詰める常連客のサラリーマン川島(戸田昌宏)にも笑顔ひとつ見せたことがない。そんな彼女の唯一の楽しみは、同じマンションに住むオトコ(鈴木一真)の出すゴミをあさることだ。階段ですれ違っても、まともに挨拶さえできない憧れの彼。人のいない隙を見計らって、彼のゴミ袋を部屋へ持ち帰っては、ひとつひとつ丁寧に中身を確認するのだ。部屋のいたるところに、彼の気味をオブジェのように飾りつけ、タバコの吸い殻から彼の好きな銘柄を知り、自分も同じタバコを吸い、彼の好きな食べ物を買い込む。ゴミを知ることで、彼自身に近づいていくような感覚は、彼女にとって何にも代えがたい幸せなのだ。そしてある日ゴミの中から彼の写真が貼ってある履歴書を見つける。彼の名はアサモトヨシノリ。28歳のミュージシャンだった…。


 


【キャスト&スタッフ】

■廣木隆一(監督)

福島県生まれ。高校卒業後上京。大学を中退し、アテネ・フランセの映画技術・美学講座で学ぶ。当時、アメリカン・ニューシネマの影響を強く受け、1979年ごろから中村幻児などの監督の下で、フリーの助監督として活躍。1982年『性虐!女を暴く』で監督デビュー。『さわこの恋』(1990)などの作品を経て、1993年ゆうばり映画祭・ビデオ部門にて『魔王街』がグランプリを受賞。1994年には『800』がキネマ旬報第7位、文部大臣芸術選奨新人賞を受賞。同年サンダンス・フィルム・フェスティバルに応募したオリジナル・シナリオでスカラシップを獲得し、渡米。帰国後も『ゲレンデがとけるほど恋したい』(1996)、『MIDORI』(1996)、桐野夏生原作『天使に見捨てられた夜』(1999)、『不貞の季節』(2000)など、精力的に活躍している。


■中村麻美(みゆき)

1979年神奈川県生まれ。1995年『ファザーファッカー』(荒戸源治郎監督)オーディションにおいて4097人の応募者の中から主役に抜擢されデビュー。その後「南アルプスの天然水」などのCMで注目を浴び、『富江』(1999・及川中監督)、『御法度』(1999年・大島渚監督)など話題の映画に出演。映画最新作は今秋公開の「世にも奇妙な物語」。「こんな私に誰がした」、「君の手がささやいてる<第1〜3章>」、「運命の恋人」、「ブギーポップは笑わない」などテレビドラマ作品でも活躍中。現在、ヤマト運輸「クール宅急便」、花王「クリアクリーン」のCMがオンエアされている。


■中村一真(ヨシノリ)

1968年静岡県生まれ。18歳でモデルデビュー。国内外のファッション誌などで活躍する傍ら、海外のコレクションにも出演し、日本を代表するトップモデルになる。1995年フジテレビのドラマ「ヘルプ」で俳優デビューを飾る。『12』(1996年・天願大介監督)、『狼の眼』(1997年・細野辰興監督)、『不機嫌な果実』(1997年・成瀬活緒監督)、『冷たい血』(1997年・青山真治監督)、『愚か者〜傷だらけの天使』(1998年・阪本順治監督)などの映画作品のほか、テレビドラマでも「ナチュラル〜愛の行方」「天うらら」「女医」「イマジン」など出演作品多数。


■柴咲コウ(京子)

1981年東京都生まれ。1998年TBS「倶楽部6」でデビュー。「ファンデーションは使ってません」でお馴染みのポンズのCMで注目される。「L×I×V×E」、「コワイ童話」「悪いオンナ」「ブラックジャック」「アナザヘブン」「伝説の教師」などテレビドラマに出演。映画出演作品は本作のほか、『バトル・ロワイアル』(深作欣二監督)、トニー・レオンらと共演の香港映画『東京攻略(原題)』(ジングル・マー監督)などが控える。