【解説】
◆ドビュッシーじゃ殺せない。
“誠実・清楚・洗練”をモットーとする手塚学園。しかしこの学園の歴史には、決して触れてはならない悲しい恋の物語があった…。
原作は、赤川次郎の同名小説。文字通り全世代を通じ支持されてきたその作品群は、角川文庫より発刊されただけでも今年で総販売部数1億冊を超えた。その記念すべき長編小説第1作目を飾ったのがこの「死者の学園祭」(1977年初版)で、その後発表された数々の名作・名シリーズを通じ人々に愛されてきた“赤川ワールド”の原点ともいえる作品の映像化である。
事件のはじまりは、悲しい恋の伝説だった。
ヒロイン・結城真知子を演じるのは今最も輝いている深田恭子。数々のテレビドラマやCMをはじめ各方面から常に熱い注目を浴びる彼女だが、映画主演は今回がはじめて。次第に謎が深まっていく本編において、彼女の存在自体が観る者の癒しとなり、衝撃のクライマックスへと導いてゆく。『セーラー服と機関銃』(1981)『探偵物語』(1983)と時代のスター女優を生み出してきた赤川作品のヒロインを、彼女がいかに演じるか大いに期待される。真知子を陰で支える演劇部顧問の国語教師・倉林勇には、『外科室』(1991)『落陽』(1992)『あぶない刑事フォーエヴァー』(1998)など幅広いジャンルの映画で個性を発揮するだけでなく、近年は米国へ活躍の場を広げる加藤雅也が扮する。そして真知子の前に現れた謎の転校生・神山英人を演じるのが、次代を担う大型新人俳優発掘の目的で開催された「21世紀ムービースターオーディション」で、応募総数17,404人の中からグランプリに選ばれた内田朝陽。オーディション最終選考の演技審査で審査員の満場一致の評価を見た彼の演技力に注目が集まる。
監督は初の劇場用長編映画『月とキャベツ』(1996)で、繊細で幻想的なラブストーリーを丹念に描き、国内外で注目を集めた篠原哲雄。高い評価を得た最新作『はつ恋』(2000年4月公開)に追随し、ミステリーという新たなジャンルでその才能を世に知らしめる。
|